The Hypocrite's Archive 作:Xelphyr
「………海?」
見覚えのない教室。
一部が崩壊した壁と天井、青空、積み上げられた机、広がる水平線、水浸しの床。
zzz…
そして寝息を立てる見知らぬ幼女
「子供…?」
髪色は淡い水色で、インナーカラーはピンク。カチューシャに大きな白いリボンをつけた少女が、彼の前で机に伏して、静かに眠っている。リョウイチは、少女に近づいた。
「くううぅぅ……Zzz…むにゃ、……いちごミルクは………うへへ………んにゃ?」???
「起きたか」リョウイチ
「ふわぁぁ……ありゃ?」???
「…?」リョウイチ
「ありゃ、ありゃりゃ……?え?あれ?あれ?」???
眠っていた少女は立ち上がり、目をこすりながら彼を見る。そんな少女に目線を合わせるためにリョウイチがしゃがみ込むと、明瞭に彼の顔を認識した少女が慌てだす。その様子は驚いているようにも、喜んでいるようにも、信じがたいものを見ているようにも見えた。
「こんにちは」
「こ、こんにちは…この空間に入ってきたということは──まさか、天音先生……!?」
「ああ、天音隆一だ。よろしく頼むよ」
「うわぁぁぁ!?そ、そうですね!!もうこんな時間!?わぁぁ、えぇと……」
「落ち着いて」
「そ、そうですね!?えと……まずは自己紹介からっ!」
少女が礼儀正しく足を揃え、彼に自己紹介と挨拶を始める。
「私はアロナ!アロナです!このシッテムの箱のシステム管理者であり、メインOS、先生のアシストをする…秘書です」
「OSか……君は、俺の秘書──俺の手伝いをしてくれるのか?」
「はい!やっと会うことができましたね!私はここで先生をずっと、ずーっと待ってました!」
「…なんか怖いな」
「これから先、頑張って先生をサポートしていきます!あ、では形式的ですが……生体認証をお願いします、先生、指先に手を……」
「手……」
彼はゆっくり慎重にその指を出す。
数分後
「…なるほど。先生の事情は大体把握しました、連邦生徒会長が行方不明。それに伴い、サンクトゥムタワーを制御する手段がなくなった」
「アロナは連邦生徒会長の事を知ってるの?」
「私にはキヴォトスの多くの事がインプットされていますが、連邦生徒会長に関する記録はキヴォトス全体のデータベースを探してもほとんど見つからないのが現状です…彼女が何者で、何故いなくなったのか……動機も経緯もわかりません。お役に立てず、すみません…」
「それはあんたのせいじゃないから
「あ、はい!そちらは大丈夫です!シャーレからならサンクトゥムタワーの制御権の奪取くらいちょちょいのちょいです!」
少々お待ち下さい!とアロナが立ち上がる
───サンクトゥムタワーのadmin権限を取得
───完了
ほんの一瞬だった。アロナがまばたきをしたその一瞬。
現時刻を持って、サンクトゥムタワーの制御権はアロナの手に──そしてアロナの管理者である彼の管理下に入った。
「先生。サンクトゥムタワーの制御権を無事に回収出来ました。今サンクトゥムタワーは、私の制御下にあります。ふふーん♪今のキヴォトスは先生の支配下にあるも同然ですよ!」
「……その権限、リンの所に渡せない?」
「リン──七神リン行政官ですね?つまり、この権限を連邦生徒会に移譲すればいいですか?」
「ああ、頼む。俺は生憎ここキヴォトスに関する知識がまだ乏しい。だからこそ、
「ではこれより、サンクトゥムタワーの制御権は連邦生徒会に移管します。それでは、先生!」
そして、景色が一変。再び、シャーレの部室へと逆戻りしたのだった。