マジック・ザ・プリキュア   作:MP5

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 合同キャンプ回
 初変身回でもある


風は悪戯がお好き

 先日の騒ぎが集団パニックということになって片付いたある日、カインは学園長に呼び出された。理由は、多元宇宙研究会員として多元宇宙の話を聞くためである。学園長こと、望月ゆめは元絵本作家として、違う世界の住人の話に興味があった。

「・・・俺は胸が苦しくなりながらも、恐ろしいダスクモーンからプレインズウォークして脱出しました。俺に光霊召喚を教えてくれた男の霊がどうなったのか、想像したくありません」

「大変だったのね、絵本にしたらおぞましい作品になっていたわね」

「実は一度だけ、ダスクモーンにプレインズウォークしようとしました。しかし、次元がそれを許してはくれず、できませんでした」

 彼の目には悔しさが滲み出ていた。

「あなたは自分を責めすぎよ、彼もあなたに会えて良かったと思ってる」

「その後、俺はストリクスヘイブンのクアンドリクス大学にいる、ジモーンという学生にダスクモーンに関するデータを渡しました。いつの日になるかわかりませんが、ダスクモーンが脅威にならない日がくることを祈っています」

「今のところ、行方不明者の話はないわ。引き続き警戒するようにするわ。カインさん、話変わるけど、キャンプの準備はできてるかしら?中等部の3年生と交流する話、聞いてるはずだけど」

 明日、少し離れた山のキャンプ場で中等部の生徒と進路について話も含めた親睦キャンプをする。みなみは張り切って準備を始め、せいら達を少々困惑させたと聞いている。無論、カインも準備を進めているが、短刀や斧を持っていくべきか悩んでいた。

「実は、斧と短刀、俺のテントを持参したいのですがよろしいですか?テントは許可が降りましたが、斧も持っていきたいのです。せめて、短刀だけでも」

 ゆめは嫌な予感がしたため、一応理由を聞く。

「ねぇ、斧持ってどうするの?流石にクマは出ないと思うわ、生息が確認されていないもの」

「猪の頭を叩き割り、肉にすることもできます」

「イノシシ対策だけでは許可できないけど、引率の先生に預けてもらえるか、私が話を通しておきます。それなら大丈夫のはずよ」

「ありがとうございます。アレは、ファイレクシア侵略の頃からの相棒なので」

 

 

 

 

 

 キャンプ当日。キャンプ場では、ある事件が起きていた。猪が大暴れし、あちこちを荒らして回っているのである。全員をバスに避難するよう、みなみに頼み、担任に預けていた斧を片手に突撃するイノシシと対峙する。途端、イノシシは急ブレーキをかけ、細かく震え出し、一目散に森へ帰っていった。

「賢い生き物だな。どっちが上かわかっているようだ」

 斧をしまい、威風堂々と帰還すると、全員から拍手喝采が響き渡り、誰も彼を悪く言う人間はいなくなった。そのかわり、一部の素行の悪い輩達は恐れて逃げるようになった。しかし、肝が冷えたと教員からこっぴどく叱られたのだった。余談だが、もし逃げずに突撃しようものなら、ティムールの奥義、龍爪撃でバラバラにし肉と骨と皮にする予定であった。

 

 

 

 

 昼食の準備中、少し臍を曲げたカインを慰めるみなみ。臍は曲げても斧で薪を割り、火起こしが苦手な仲間の代わりに火打石で点火してくれたり、火加減の仕方も言葉と動きで教える。

「ついてないわね」

「どっちがです?」

「もちろんカインよ。英雄だったのに怒られるなんて」

「まぁ俺は良いです。スーラクに比べれば、ドラゴンと犬ほど差があります」

 テントこそ違うが、同じグループに分けられた二人。まるで息の合う夫婦のような会話に、他のメンバーは優しい眼差しで観察している。交際していないはずなのに。

「ところで、今日は何を作るのですか?肉は狩り損ねたし、食料はないはずです」

「テーブルに、豚肉にニンジン、玉ねぎにじゃがいもがあるの。カレーライスっていう料理を作るわ」

「?故郷にはない料理ですね、狩りで得た豚肉があれば、塩茹でして、それでお祭り騒ぎして一晩過ごしたのを思い出します」

「故郷に岩塩があるのかしら?」

「ありませんよ。定期的にアブザンの商人がやってきて、塩と工芸品、もしくは羊毛を交換します」

「アブザン?」

「ここでは難しいので、後ほど」

 カインの包丁使いに全員が震えた。上手いと言う意味ではなく、見ていてとても不安になるほど拙いのだ。

「ねぇ、こっちが怖いから代わるわ」

「しかし、俺が任されたのですから」

「あまり人を不安にさせるのは良くないわ」

「・・・はい、わかりました」

 あれほど武術や勉学ができても、苦手なことの一つはあるんだと、みなみは知った。自分にも、克服できないことがあるため、少し親近感を持った。

 

 

 

 

 昼食後、空き時間でタルキールの氏族について簡単に語ることにした。

「タルキールには、5つの氏族があります。ティムール、スゥルタイ、アブザン、マルドゥ、ジェスカイの5つです。ティムールは俺の出身で、半遊牧民的な生活をします。自慢ですが、戦闘において最も攻撃性が強い氏族です。アブザンは、最も守りが得意な氏族で、都市を構え商売が発達しています。マルドゥは、規律的で戦闘では圧倒的に統率が高く、爆発力はティムールに負けていません。ジェスカイは、日々修行している僧侶がまとめる氏族で、元プレインズウォーカーが長を務めています。スゥルタイは、農業や畜産が盛んで、シブシグと呼ばれるゾンビと平等に生活しています。共通点はドラゴンに対して警戒及び共生していること、ジェスカイを除けば、先祖の霊を大事にしていることですね」

 みなみは恐る恐る質問した。

「ま、まさか、その霊と生活しているなんて、言わないわよね?」

「アブザンやスゥルタイはそうですね。ティムールの場合、精霊と共にいるのですが・・・みなみ様、顔色がすこぶる悪いですよ?」

「だ、大丈夫よ、お化けなんて、怖くないから」

 カインは察した。この人はスピリットやホラーといったものが非常にダメで、名前を聞くだけで怖がってしまうのだろうと。

「申し訳ありません、とても短慮でした」

「いいの、やっぱり怖いものは怖いもの」

「・・・もし、眠れなかったり、恐怖を感じたとき、俺が側にいてもいいですか?」

「え?」

「俺がこの次元にいる限り、多少和らぐのであれば、いつでも」

「ありがとうカイン。また、そんな時があったらよろしくお願いね」

 彼女のことを知ることができて嬉しい半面、話題には気をつけようと決めたカインであった。

 

 

 

 

 

 中等部との合流時間になり、キャンプ場にバスが到着。生徒一同がゾロゾロと降りてきた。そのなかに栗色の髪を小さく団子に括った髪の活発そうな少女がみなみに気づくと、一目散に駆け寄ってきた。

「みなみさーん、ごーきげーんよーう!」

「ごきげんよう、はるか。頑張ってるって声を聞いてるわ」

「ゆいちゃんや他のみんなの協力もあって、みんなの学校を守ってるよ」

「ふふふ、やっぱりできる子ね」

 久しぶりの出会いに抱きしめ合う二人。

「そうだ、紹介するわね。彼はカイン、私のボディーガード兼クラスメイトよ」

「カインと申します。以後、お見知り置きを」

「春野はるかです。カインさん、とっても大きいんですね」

 身長差およそ40センチ近く差があるため、首を上げて痛めそうになっている。

「大丈夫ですか?腰掛けに座ってお話ししましょうか?」

 大柄で厳つい風貌とは想像もつかないほどとても紳士的で柔和な彼に、少し男性が苦手なはるかも、安心して話ができていた。

「みなみ様にはるか様、トワ様と交えてお話ししたいことがございます。お時間よろしいですか?」

 

 

 

 

 

 自分のテントを広めに広げて3人を招待する。テントにエンチャントを施した。

「さて、外から会話を聴かれないようにしました。改めまして、俺はトワ様とも違う次元から来ました、カインと言います」

「次元?」

「次元とは、簡単に言えば世界です。俺の出身次元、タルキールではドラゴンが大量にいますが、この世界ではいないでしょう?」

「えっ?」

 あまりに突拍子な話について来ることができないはるか。

「証拠なら、今から見せましょう」

 小さな声で呪文を唱えると、黄色く光る猫のようなものが虚空から召喚された。

「猫ちゃんが光ってる!・・・あれ、なんか触れない」

「これは光霊といって、俺の心の光から生まれたものです。霊とありますが霊というよりも、心の形が具現化したものです」

 カインが光る猫、永劫の好奇心に触れると、彼と一体化した。

「光霊はエンチャント魔法でもありますので、このように力になってくれます。まぁ俺の心ですからね」

 トワは少し疑問に思った。魔法にはどのようなものがあるのか。

「他にありませんこと?」

「ありますとも。先程の召喚魔法以外にも、雷を打ち出したり、炎で一網打尽にしたり、相手の痕跡を探したりと色々です」

「まぁ。無限なんですの?」

 カインは横に首を振った。

「どの魔法も、極一部除いてマナがなくては唱えられません。また、場所によって使えるマナが違います」

「色によって違うのかしら?」

「はい。白は平地、青は島、黒は沼、赤は山、緑は森から出ます。・・・皆様、休憩を挟みましょう。はるか様がお疲れのようです」

 休憩がてら、はるかに魔法のことを簡単に説明した。

「うーん。カインさん、ディスダークはどの色になりますか?人を絶望の檻に閉じ込めてゼツボーグを作るのですが」

「ゼツボーグとは、あのナイトメアのことです?でしたら、黒か青の魔法ですね。黒は弱さにつけ込み精神を攻撃し、青は精神そのものに働きかけます。つまり、精神を支配することに長けます」

「うわぁトワちゃんが洗脳された理由がわかった気がします」

 不安気になる3人に声を掛ける。

「誤解がないように言っておきます、たとえ黒だろうと青だろうと、それを基準に善悪は判断できません。白で圧政を敷くものもいますし、黒でも正義感のある人物もいます。どんな力も使い方次第であることをお忘れなきよう」

 

 

 

 

 

 

 交流のレクリエーションとして、火起こしからの夕食作りが始まる。カインから習った薪割りを、今度は中等部の後輩達に教えている。ノーブル学園が自分の夢を自分の力で叶えるという、勉強一辺倒ではない、勉学と関係ない要素も学べる良い学舎だとカインは考えた。

「あの、少しよろしくて?」

「トワ様、いかがなさいましたか?」

「・・・単刀直入に言います、みなみに気がありますね?」

 薪を割る手を止め、トワに向き合う。

「それは、どういう意味です?」

「カインの目は私達に向ける目は、まるで妹の成長を見守る兄の目ですわ。ですが、みなみだけを見る時の目は、惚れた女を見る益荒男の目でしてよ」

 愛らしい見た目にあわず、カインを益荒男と呼ぶトワに少し驚いた。

「確かにそれもありますよ。人生で初めての恋ですので」

「なら、応援して差し上げます」

「ですが、同時に諦めもあります。生きる世界が違いすぎます」

「んな!?」

「ティムールの環境はここより遥かに過酷です。それに、余所者を受け入れにくい。いくら愛し合っていても、迫害される可能性がゼロでは無いのです。みなみが傷つくなら、俺は喜んで離れます」

 彼の真剣な眼差しに嘘は無かった。しかし、納得いかないトワは彼の脇腹を抓る。

「な!?」

「ティムールの戦士は臆病ですの?やってみないとわかりませんわ」

「・・・わかってませんか。他氏族との小競り合いやドラゴンとの戦い、君達がどのような存在かは、まだわかりませんが違う世界とは恐ろしいのです。生きるために命を奪うことができますか?」

「!?・・・話を変えるようで悪いですが、あなたはそれでいいのですか!?まずは気持ちを伝えないと分かり合えませんわ!」

「トワ様・・・確かに一理ありますね。ですが、今はその時ではありません。俺も心の準備ができていませんから。俺は仕事に戻ります、何かありましたら、また」

 

 

 

 

 

 

 その時だった。数名の生徒達と引率の先生が連鎖的に苦しみ出し、黒いモヤを吐き出す。モヤは人型になり、吐き出した本人達は気を失い倒れる。前日の事件が、別の場所で発生した。カインは避難をはるか達に任せ、ナイトメアの引きつけ役を担うことにした。

(くっ辺りが燃えやすいか。紅蓮地獄使って山火事なんてできないな)

 赤の全体攻撃呪文、紅蓮地獄は確かに一網打尽には向いているが、いかんせん、薪や藁が多い場所で使えば一帯を灰にしてしまう。仕方なく斧を振い、ナイトメア達を相手にする。幸いにも連携が一切取れておらず、ただ力任せに拳を振りかざすだけであったため対処が簡単だった。躱しては一撃を叩き込む。それの繰り返しで数を減らした。

 倒したナイトメアがモヤに戻ったかと思えば、今度は一体に集まり、カインよりも5倍ほど大きくなる。

「ふん。この様子だと、操っている奴がいるか。しかし、一人では難しいか」

 途端。青とピンク、そして赤い少女が素早くカインの横を通り、巨大ナイトメアを吹き飛ばした。

「この気配、プリンセスプリキュアか。しかし・・・」

 この時、見てしまった。風の悪戯でめくれた、少女の大事な部分を。

「大丈夫?顔真っ赤よ?」

 ボリュームのある青髪に、青を基調にした美しくも可愛らしい服装をした少女がカインに声を掛けた。

「問題ありません。申し訳ありませんが、あのナイトメアを惹きつけてください。コイツを操っている奴を探します」

「わかったわ。みんな、時間稼いで」

 

 

 

 

 カインは地図を広げ、地図に魔法をかけた。途端、地図に道が自動で記され、現在地付近で止まる。場所を把握したカインは、道に従って走り出し、腰掛けにできそうな大きさの石の前に止まる。斧を振りかざし、勢いよく振ったと思えば石を叩き割った。途端、石から人型の何かに変わり、右腕から大量に出血した。痛みのあまりに地面に伏せている。

「右手が!?おのれ戦士よ、我が主人の邪魔をするな!」

「主人だと、名前はなんだ!」

「教えるわけにいかん、だが我が名は教えてやろう。化け術のログだ。ところで女子どもが危ないと思わんか?」

 カインはプリキュア達に視線を移したかと思えば、その隙をついて姿形を変え逃げ出す。ダメージを受けたはずの右手の傷が無くなっている。

「敵に釣られるとは、まだ甘いな。それと右手はダミーだ、さらばだ異世界の戦士よ」

「な!?くそっ無駄に早い」

 追跡を諦め、少女達の援軍に向かう。その頃にはナイトメアの浄化を終えていた。

 

 

 

 

 

 無念そうにカインは近況を報告する。

「石に化けていた時点でシェイプシフターと疑うべきでした。敵の逃亡を許す失態、お許しください」

「大丈夫ですよカインさん。わたしなんてその、まだまだだし」

「ところでその、シェイプシフターってなんですの?」

「シェイプシフターとは、姿形を自在に変えられる種族です。凶悪な輩から、他種族と助け合って暮らすものまで様々です。ログは前者でしょう、油断できません」

 彼女達は知らないが、凶悪な悪戯を仕掛けて次元中を混乱に陥れたプレインズウォーカーがいる。

「なるほど。そういえばカイン、私からなんで目を逸らすの?」

 カインが青の少女戦士を視界に入れないようにしているのがわかる。

「・・・正直に申し上げてもよろしいですか?男が注目してしまう部分が目立つからです。その・・・見えました、大事なところが」

 言葉の意味がわかった青の少女戦士こと、キュアマーメイドは、次第に顔を赤くする。

「え!?」

「か、風の悪戯でその、桃がクッキリと・・・」

 あとに続くようにピンクの戦士、キュアフローラも感想を言う。

「そういえばマーメイド、それとなく女性の魅力が去年より増したような?何処とは言わないけど、羨ましいです」

 慌てる様子で赤の戦士、キュアスカーレットはカインを嗜める。

「ですがカイン、異性の大事な部分を見たからには、責任を取らなくては行けませんわ」

「ははぁ。なんなりと罰を申しつけください」

 ここまで反省されると、かえってどう言えばいいのか。

「カイン、今後も私を支えてくれるかしら?それと、もっとあなたの事を知りたい」

「・・・かしこまりました」




 プリキュアってマジックのカラーパイに当てはまると、意外とコスチュームカラーと違うことが多い
 特に協力者達にその傾向があると思います
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