磁石みたいな呪力してたら厄ネタも寄ってくるんだが 作:トルへパ
Prrrr…Prrrrr
昨日の一件から一夜明け、疲れで眠っていたところ、けたたましい着信音で目を覚ます。
まだ寝ていようと眼を閉じるが、鳴りやむ気配は一向になく、完全に目が覚めてしまった。
「なんだようっせぇな…何時だと思ってんだよ」
イラつきながらスマホを見ると下手人は五条先生だった。どうせあの人のことだから早朝にかけてきていると思ったが時刻は8時。どうやら思っていたより熟睡してしまったらしい。ベッドから身体を起こし調子を確かめる。かなり攻撃を食らっていたが一晩寝ただけで案外具合がいい。あのあと家入さんに治療してもらったのが良かったか。
目をこすりながら立ち上がり部屋の扉を開けると、先生と伏黒、そしてピンクっぽい髪色をした同年代らしき少年が立っていた。
「そして今出てきた寝坊助が3人目の一年生の五条蒼夜くんでぇす!」
どうやら俺は紹介されているらしい。五条、という部分が気になったのかその少年は驚いた顔をして俺を見る。
「え、五条、ってことは先生の…弟?」
彼は先生と俺を交互に見比べながら、似てねぇななどとつぶやいている。先生がそのまま続ける。
「そ、義理のだけどね。蒼夜はうちが引き取った子でねぇ」
そのまましゃべり続けそうな先生を制止する。初対面の相手に複雑な家庭事情を話すなよデリカシーとかないのか。相手も反応に困るだろそれ。
「改めて五条蒼夜だ。たぶん同級生だよな?よろしく。五条だとややこしいし蒼夜で呼んでくれると助かる」
そう言うと向こうもよろしく!と明るく返事が返ってくる。
「仙台から来た虎杖悠仁です。すくな?ってやつの指を食べちゃってここに来た。よろしく!」
「お、おう…(指食べたってなんだよ。ん?今宿儺って言ったか?どういうことなんだ)」
頭に?が複数浮かぶ中先生に視線を向けると待ってましたとばかりに説明が始まり、要約すると虎杖は両面宿儺の器であり、指を20本食べるまで死刑が延期されている状況らしい。昨日そんなことになってたのか。虎杖も伏黒も災難だな。
「あれ、そういえば昨日それっぽいの拾ったような」
「そ、蒼夜がが昨日拾ったのは正真正銘宿儺の指だよ。3級の呪霊がやけに強かったのはそのせいじゃないかな」
先生がこれねと言いながらポケットから指を取り出す。虎杖がそうそうこれこれとうなづいている。
「悠仁、いける?」
「これ不味いんだよなぁ」
そういいながらパクっと飲み込むので慌てるが、本人はうぇ~となってるだけで変化はない。伏黒が驚いていないのを見るとどうやら本当らしい。
「さて、話すのはそれくらいに。今日はお出かけだよ」
出かける?どこに?
「4人目の一年生を迎えに行くよ」
「どんな感じのが来るかね」
「女子ってことしか聞いてない」
そんな風に伏黒と話しながら、原宿に来たわけだが。道を挟んだ向こう側のやり取りを眺める。
「私はって聞いてんのよ」
「いや、今急いでるんで…」
あれに話しかけなきゃいかんの?っていうか虎杖はその眼鏡どっから持ってきたんだよ。
五条先生が声をかけるとこっちに来て名乗ってきた。釘崎野薔薇というらしい。だいぶ気が強そうだ。
虎杖と伏黒に続いて俺も名乗る。
「五条蒼夜だ、五条はややこしいから名前で呼んでくれると助かる」
(五条ってことはあの先生の親類なのかしら?にしてもいきなり名前呼びしろって…私距離詰めてくるやつ嫌なのよね…ホントロクな奴がいないわね)
なんだか険しい顔をした後ため息をつかれた。なんだコイツ。
そんな
目的地に向かう道中、俺は虎杖の疑問点について考えていた。普通に生活してきた人が、たまたま1000年以上前の呪いの王の指を抑え込める器でした、というのが疑わしい。似たような例でいえば乙骨先輩も元は一般家庭の出身だが、実際は菅原道真の遠縁の子孫だったわけで、血筋による裏付けがあったわけだ。聞いた感じ虎杖は呪術のじの字も知らないようだし、祖父母に神社とかお寺に縁がある人がいたりするということもないようだから、昔は呪術師の家計だったとかもなさそうである。これは正式に調査してみないとわからないだろうが。そもそも、呪術師だろうと両面宿儺の指なんて飲み込んだら死ぬ。
もしこの耐性が血筋によるものだとしたらもっと早く上層部が見つけて秘密裏に指を処理しているのではないかと思う。上層部が虎杖を死刑にしようとしていることからしてこれもないだろう。だとするともう突然変異というくらいしか可能性がない。なるほどこれは確かに1000年に1度の逸材だ。という結局何もわからないという結論になってしまった。
虎杖はこうして少し話すだけでもかなり明るい奴だというのはわかった。どうしてこうなったのかは気になるが、俺が考えてもしょうがない。
そんな風に件の恐らく指を食べた影響でできた目の下に瞼の痕がある少年を見ながら歩いていく。
そうして。
着いたのはまたもや廃ビルだった。そんなこったろうとは思ってたよ。というか二日連続かよ。嫌になるね。
「「だましたなぁ!!」」
二人の絶叫があたりに響き渡る。そりゃそうか。さっきまでウキウキだったもんな。
「悠仁と野薔薇は建物内の呪いを祓ってきてくれ」
五条先生の言葉に釘崎が建物に向かう。虎杖は呪具を渡されていた。呪力操作習ってないのか。それ大丈夫なのか?その様子を見ていた伏黒がやっぱり俺もというが、無理しないのと止められている。…まあ先生は生徒を死なせに行くようなことはしないし大丈夫なんだろう。二人が出てくるまでゆっくり待つとしよう。
と、思っていると
「あ、蒼夜も一緒に行っておいで。監視役と万一の場合に備えて」
「俺も病み上がりなんだが?」
「その割に元気そうじゃん。昨日の怪我も
「はあ」
こう言われては仕方ないので俺も廃ビルに向かう。まぁ心配だったしちょうどいい、昨日みたいのがいたりしなきゃいいが。
建物に入ると虎杖と釘崎が言い争いをしていた。どうやら二手に分かれるというのでもめているらしい。二人は俺を見てあれ、来たの?という顔をする。
「まあまあ、この感じなら二手に分かれてもダイジョブだと思うぞ。俺は虎杖についてくから」
そう助言すると虎杖はしぶしぶ納得した様子だ。しかし今度は釘崎が
「ここまで来るときも思ったけど…足、悪そうだけど問題ないんでしょうね。監視役だか何だか知らないけど足引っ張らないでよね」
そういえばいってなかった。虎杖は気になってたけど聞き方ぁと釘崎を咎めている。もしかして心配してくれたのだろうか。
「問題ない。確かに麻痺はあるが、今までこれでやってきてる」
「そ。じゃ私は上から、アンタ等は下からね」
納得したのかスタスタと階段を昇って行ってしまった。俺たちも探索を始める。
そのまま進んでいると、頭上にカマキリ型の呪霊がいるのが見えた。虎杖はいろいろ言われたのが腹が立ったのかぶつぶつ文句を言っていて気づいていない。危なかったらフォローしようと身構えていると
「おっと危ね」
(気づいてなかったのに見てから避けた。それに反撃まで)
高い身体能力に感心していると、そのまま四肢を切り落とし動けなくなったところに頭に呪具をブッ刺しとどめを刺していた。あまりの流れ作業に驚いて言葉に詰まる。呪力強化しているならまだしも、なしでこんな動きができるやつがいるとは。これに呪力強化が加わったらと思うと怖くなる。お前昨日まで一般人だったんだよな?なんで躊躇いとかないんだよ。
「ッ!後ろ、危ねえぞ!」
「?」
虎杖が慌てている。後ろを指さしていて何かと思ったらマネキンが今にも殴りかかってきていた。焦ってこっちに来る虎杖を尻目に振り返ることなく全身を呪力で強化する。するとマネキンの攻撃は何かに弾かれたように届かない。その隙だらけのところに裏拳を叩き込む。反発も相まって吹き飛ばされた呪霊はそのまま壁に激突し消失した。俺が無事なのを見て安心した様子の虎杖はふぅと息を吐いて
「びっくりしたあ、強いんだな蒼夜」
「今のはまだ弱い方だ。さっさと片付けて五条先生に飯たかろうぜ」
そのまま呪霊を祓いつつ上の階へあがる。俺に気を使ってかゆっくり目に階段を上がってくれている。なんとも優しい奴だ。
最上階につくと、隣の部屋から釘崎の声がする。呪霊と…子供がいる?もしかして人質に取られてないかこれ?まずいな、下手に動くとバレそうだしどうするか。手助けの方法を考えていると、虎杖がおもむろに壁を拳をノックして
「おい、何してんだおま────────」
バゴッ
素手で壁をブチ抜いた。
(一応コンクリートだぞこの壁。俺も腕の力はある方だけどこんな芸当できんわ、どうなってんだコイツの
そのまま虎杖が子供を抱きかかえ安心できるよう声をかける。見たところ子供にけがは内容で一安心だ。
人質がいなくなって劣勢になった毛むくじゃら呪霊が逃げようとする。壁抜けられんのかよ。
「五条、その腕よこせ!」
言われるがまま釘崎の方に腕を投げる。すると藁人形とくぎを取り出しトンカチで打ち付けた。
芻霊呪法 共鳴り
(建物の外に逃げた呪霊の気配が消えた。相手の一部を触媒にダメージ与えられんのか、強いな。)
意識をこちらに戻すと、虎杖が釘崎に真面目にやれだのコンクリブチ抜くやつに言われたくないだの言いあっている。虎杖がなんで呪術高専に来たのか聞くと
「田舎が嫌で東京に住みたかったから」
「それで命賭けられんの?」
「賭けられるわ、私が私であるためだもの」
「私が死なずに済んだのはアンタ等のおかげ。誰が死んでも生き残っても明るい未来はなかったわ。」
そう言って助かった子供の頭を優しくなでた後
「ありがと」
建物から出ると五条先生と伏黒が待機していた。心なしか先生の機嫌がよさそうに見える。
「お疲れサマンサー!!!子供は送り届けたよー今度こそご飯行こうか。」
「ビフテキ!」 「シースー!」
ようやくのごはんにテンションが上がる二人をよそに伏黒が声をかけてくる。
「大丈夫だったか?」
「おう、全く問題なし。悪いな、そっちは暇だっただろ」
「別に」
どうやら心配してたようだ
そんな風に話していると虎杖と釘崎も会話に参加してくる。そこに先生も混ざり
「何の話してんの?」
「なんもなかったかって。俺たち心配されてたみたいだぞ?」
「優しいなあ伏黒はー」
「出番なくてスネてんの」
「プップー、子供ー」
そんな雰囲気でご飯を食べ、(ちなみに銀座の高級寿司ではなく回転ずしだった。チッ高いの食おうと思ったのに)同級生4人の交流は始まった。
─────そんな日々がすぐにそれが欠けるとも知らずに。
主人公の見た目
髪 限りなく黒に近い紺
目 茶色っぽい赤
制服 特に何も言わなかったらいじられそうになったので止めた