磁石みたいな呪力してたら厄ネタも寄ってくるんだが   作:トルへパ

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#7 姉妹校交流戦②

団体戦の始まる少し前、虎杖が生きていたことが発覚し、ミーティングのため移動しようとすると、夜蛾学長に関節技を決められていた五条先生が声をかけてきた。

 

「あ、蒼夜、ちょっと待った」

 

「何すか先生」

 

「君にはさらにプレゼントがあるよー。それは、こちら!」

 

そういうと五条先生は自身の影から黒い鞘に入った刀を取り出した。ぱっと見はただの刀にしか見えないが、呪力がたぎっていることから結構な業物なんだろうか?なんかにやにやしてるのが腹立つな。

 

「これはね、土御門家の家宝の一振りだ。陰陽思想は知ってるでしょ?これは陰の方でね、今みたいに影に入れるから収納しておけて便利だよ」

 

「土御門家って確か安部清明の子孫の家ですよね?今はあんまり名前聞きませんけど。なんでそんなもの持ってんですか」

 

「なんでって、そりゃこれ君のお父さんの形見だから」

 

「は?」

 

俺の父親の形見?そんなものがあるの今初めて聞いたんだが。というか俺の両親の話なんて今まで聞いても教えてくれなかったのに何で急にそんな情報を言い出すんだこの人!

 

「蒼夜も強くなってきたからねぇ。そろそろ両親のことを教えてあげてもいいかなって。君のお父さんは現当主の土御門陽明(はるあき)の双子の兄、土御門夜影(やかげ)だよ。君が生まれるよりも前に亡くなっているけどね」

 

「それは…」

 

もしかしたらとは思っていたが、やっぱり亡くなっていたのか。五条家(ここ)に引き取られる前の記憶は今でもあまり思い出せない。覚えているのは母親と色んな所に言った記憶だけで、父親と思われる人の記憶はない。あまりに記憶がなさすぎるから会ったことがないのではと思っていたのだ。しかしなぜそんな昔に亡くなったはずの父の形見を持ってるんだ?

 

「君のお母さんがうちに来た時にね、君を引きとってほしいっていってきてさぁ。ガキのお守りなんて御免だし、あの時は蓮奈がいることが発覚してこっちもてんやわんやしてた時だったから、ここは託児所じゃないですよって追い返そうとしたんだけど、どうしても頼むってしつこくてさぁ。結局君を預かるって決まったときに一緒に預かったんだ」

 

半分くらい脅しだったけどねあれはと笑う五条先生。そんな経緯だったのか。父親が死んで五条家に預けたってことは、何か事情があったのか?それとも───────

 

「君のお父さんは土御門家を出ていった身だったから頼らなかったらしいよ。あと、なんか勘違いしてるみたいだけど君は捨てられたんじゃないよ。むしろその逆、とっっっっても預けたくなさそうだったけどこれが最善だろうってことでこうなったの」

 

「じゃあ、母は今どこで何してるんですか?」

 

「それはまぁ、まだ秘密。確実に言えるのは、生きてるってことだけ。言ったでしょ?会ってみたかったら強くなることだって。あの人が君を預けたのは巻き込まないようにっていうのもあるから、君が強くなれば一緒にいれるよ」

 

「はぁ」

 

やっぱり母親については濁されるのか。昔から母親については特に教えてくれないし、俺の記憶の方ももやがかかったようでどんな見た目だったか思い出せない。豪快な人だったような気はするが。

先生は話はこれでおしまいというように手を叩き

 

「ま、なんにせよ団体戦だ。どれくらい強くなったかを確認するにも、ソレを試すにもいい機会だ。ほらほら、ミーティング行っといで」

 

 

 

 

 

 

 

開始の合図とともに走り出し、先ほどの一幕を思い返していると、さっそく東堂が現れ虎杖が顔面に膝蹴りを決める。そのまま任せて進んでいった、まではよかったが、

 

「京都校の面々と全く遭遇しない…なんか妙だな」

 

伏黒や真希先輩も同感だったのかうなずいている。虎杖を殺すつもりなのではという推測を話していると、伏黒の鵺が京都校を見つけたため、そこに突撃する。水色の髪の女子の刀を鞘に入れたままの刀で受け止め弾き返す。

 

伏黒は糸目の加茂さんを相手にし、真希先輩はこちらに追撃を入れようとしている。すると、

 

「ストップ真希ちゃん」

 

「…やっぱいるよな」

 

蓮奈が攻撃を素手で受け止めていた。先程まで見えなかったが一瞬で間に割り込んだのか。相変わらず目で追えないスピードだ。

 

「真依ちゃんならあっちに行ったよ。本命はそっちでしょ?」

 

「…!私はあっちに行く、ここは任せたぞ!(邪魔するなってか。ここはいったん離れる)」

 

真希先輩は妹さんを追うらしい。まあ俺が蓮奈を食い止めるならここに人ではいらない。一人いようが二人だろうが変わらないだろうしな。

意識を目の前のやつに戻す。刀をどうにか弾きながら応戦するも押されている。俺が刀に慣れていないことを加味しても、思ったよりこの人強いな!

 

「はぁっ!!」

 

「うわっ」

 

力強い踏み込みによって放たれた一撃を受け止めようとしたが、そのまま吹っ飛んで川にたどり着いた。たぶん分断が狙いだな。

 

「いいんですか、仲間と離れて」

 

「私は2年の三輪霞です。ごめんなさい、手荒な真似をしてしまって。虎杖君のことも」

 

三輪先輩は開口一番誤ってきた。それは別にいいんだが、気になるのは蓮奈のことだ。絶対に俺を狙ってくると思ったのに、襲ってくる様子がない。それどころか俺たちの様子を興味深そうな目で観察している。そんな疑問に気付いたのか先輩が続ける。

 

「私があなたと相手をさせてほしいといったんです。確認なんですけど、弟君って、シン・陰流が使えるんですよね?」

 

「?まぁ、はい。といっても厳密にいえば、俺のは我流ですけどね、使ってるのを見て真似ただけなんで」

 

そう答えると、三輪先輩の表情が険しくなる。何か気に障ることを言っただろうか。

 

「やっぱりそうなんですね…なら、私の恨み、思い知ってもらいます!」

 

言い終わるまでもなく先輩が切りかかってくる。恨み?俺が何したっていうんだ。そもそもこの人と会ったことすらないんだが!?

そう思いながらも刀を抜き、黒い投信があらわになる。こちらも攻撃に合わせて刀を振るい鍔迫り合いになる。刀に呪力を込めると相手の呪力と反発し、お互いに距離が離れる。

 

「刀、降り始めたのは最近ですか?無駄な力を抜くのがコツですよ」

 

「先輩にも同じことを言われました。やっぱりそう短期間で上達はしませんね」

 

そういうと先輩が刀を鞘に納め抜刀の構えをとる。同時に周りに円形の結界が張られたのが見えた。あれがシン・陰流簡易領域、じっくりと見れるのは初めてだ。三輪先輩はこっちを見て

 

「どこから来ても構いませんよ」

 

「…」

 

(そのまま突っ込んだらカウンターが飛んでくる…なら!)

 

俺はそこら辺の石を拾い、呪力を込めて先輩めがけて投げる。医師に込めた呪力と手の呪力の反発、腕のパワーが合わさって投げられた石は無視はできない。そして投げたと同時に相手に駆け出す。

 

(石を防げば一瞬隙ができる、そこを突く!)

 

蒼夜の予想通り三輪は石をカウンターで迎撃する。しかし

 

(抜刀から納刀までが早い!?もう結界が──────)

 

シン・陰流簡易領域 抜刀!!

 

「ぐっ!!」

 

慌てて防御しようとするも間に合わず、腹を切られてしまう。幸い致命傷にはなっていないが、恐らくは手加減してくれたんだろう。殺意は感じないし。

 

(しくったな…カウンターの隙がほとんどない。動きがめっちゃ洗練されてる、小細工でどうにかなりそうにないな)

 

どうするかと考えながら立ち上がり呪力を反転させ腹の怪我を治す。

 

(反転術式!?一年生でそんな技術を…やっぱり五条先輩の弟君なだけあるなぁ)

 

対策を考えるためにも、話聞いて時間稼ぐか。

 

「強いんですね先輩、ところで、俺先輩に何かしましたっけ?初対面だと思うんですけど」

 

「そうですね、これはただの八つ当たりです。ごめんなさい」

 

「ええ…どういうことなんですか」

 

そういうと、真剣な顔をして先輩は語り始める。

 

「私の家、貧乏で。弟も二人いるんです。だから、自立して頑張って稼ぐためにも、一級術師に近づきたい、そう入学してから五条先輩に話したんです。そしたら」

 

なんだかどういうことになったか先が読めた気がしたが、続きを聞く

 

「そしたら?」

 

「なら強くならないとねということで、ひたすら()()させられました。まずは無駄な動きをなくしていこうって同じ動きを延々やり続けて、ちょっとでも型が崩れると電流を流されて。簡易領域も無駄が多いからってさらにメニューが増えて、先輩が飛ばす無数の電撃を抜刀でさばけるようになろうって。それを一年続けたらこうなりました」

 

「うわぁ…」

 

まじかよ…後輩しごくにしたってやりすぎだろ。ドン引きしながら目線を蓮奈に向けると、ぎこちなく顔を逸らして口笛を吹いている。

 

「先輩は私よりもうまく簡易領域が使えました。でも、知ってると思いますけどシン・陰流は門外不出の縛りがあるので、基本門下生の人以外は使えないんですよ。でも五条先輩は使えたんです。()()()()()()()()()()

 

門外不出。門下生以外に教えることを禁ずる縛り。それの抜け穴は、俺がやったように見て盗むか、門下生じゃない人に()()()()()()くらいしかないんじゃないだろうか。

ん?そういえば昔簡易領域を教えろって蓮奈に付き合わされたことがあったような…

 

「もしかして…俺が簡易領域を教えたから?」

 

「そうです…それのおかげで私の特訓はより過酷なものになったんです!確かに私は強くはなれました。それはそれとして、この地獄の特訓の原因のあなたには、憂さ晴らしに付き合ってもらいます!」

 

「理不尽だぁ!?」

 

最初見た時になんか睨まれてるなとは思ってたが、こんなことになってるなんてわかるか!この人がそういう目にあってるってことはほかの京都校の面々も強くなってて苦戦してるんじゃないか?

 

とりあえず作戦は決まった。先輩には悪いけど、さっさと決着をつける。蓮奈が飽きて呪霊退治に向かわれたらこっちのチームが負ける。

 

三輪は蒼夜に八つ当たりしていることを告白してすっきりしていた。

(はぁ~言っちゃった。弟君には悪いけど、勝って昇給のチャンスにつなげさせてもらいます!)

そうして構えていると、先ほどと同じように蒼夜が真っすぐ突っ込んでくる。

(さっきと同じ。カウンターで倒─────)

 

蒼夜の対抗策。領域に対抗する術、それもまた

 

()()()()()()()()()

 

(…!カウンターが発動しない!?)

 

簡易領域は結界術の一つであり、領域展開への対抗手段として用いられる弱者の領域。

領域に対してこちらも簡易な領域を展開することで術式のダメージを軽減する。しかし領域展開が相手ではいずれ押し切られ時間稼ぎにしかならない。しかし、簡易領域も領域である以上、()()()()()()()()()。押し合いが発生した場合、領域の練度が高い方が相手の領域を押し返し、自分の土壌に持ち込める。

 

(簡易領域が、削られた!?弟君の方が練度が高いっていうの!?)

三輪は予想外の方法で突破されたことに衝撃を隠せずに動揺するが、すぐに思考を切り替え抜刀の構えをとる蒼夜に刀を振り下ろす。

(オートのカウンターはなくともこっちの方が速い、そう簡単にはやられません!)

 

その一撃を

 

パキン

 

最速の抜刀に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ほぇ?」

 

何が起きたかわかっていない先輩に、刀を鞘に仕舞いながら種明かしをする

 

「俺の呪力は磁石みたいに反発しあう特性があるんですよ。抜刀は刀を呪力で強化して鞘の中で加速させますよね?それに加えて鞘自体にも呪力を流すことで鞘と刀の反発する力も乗せたんです。だから俺のカウンターが間に合った。刀折っちゃったのは、すみません」

 

呆然とする先輩に、今まで沈黙を貫いていた蓮奈がが声をかける。

 

「惜しかったね三輪。簡易町域が破られても混乱せず動けたのはよかったよ。そのまま攻撃しようとしたのは場合によっては危ないかもだけど」

 

そのまま今度は俺の方を向き

 

「そして、アンタは強引に突っ込みすぎ、今回は押し勝ったからいいけど相手の方が上手だったら普通に切られておしまいだよ?でも…」

 

そこで言葉が途切れたかと思うと、急に笑顔になり頭をなでてきた。

 

「ちょっ、なにすんだよ、やめろって」

 

「思った以上に強くなってて感心感心。動きもよくなってたね。真希ちゃんがかなりしっかり鍛えてくれたのかな?後でお礼言っとこ」

 

(あ、そういうところは弟とそっくりだ)

三輪は蒼夜が先輩に頭を撫でられているのを見て自分の弟たちを見ているようで和んでいた。すると先輩はなでるのをやめ距離をとると

 

「さあ、じゃあ次は私とやろっか」

 

そういうと蓮奈が体に電気を纏い始める。とっさに警戒を強めると同時腹部に重い一撃が炸裂し、そのまま木に激突する。

 

「ぐはっ(やっぱり速いなッ!全然目で追えない!)」

 

「ほらほら頑張って。一矢報いて見せなさいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼、ボコボコにされてるけど大丈夫なのかい?五条君」

 

「問題ないよ冥さん。あれは姉弟のじゃれあいさ」

 

教師陣は冥冥の鴉との視界共有により全体の様子を観戦していた。スクリーンには見えないほどのスピードで攻撃を入れている蓮奈の姿が映っている。

 

「さすがは五条家の相伝術式、()()()()。かの日本三大怨霊、後に祀られた菅原道真公と同じ術式か。なんで五条家はこんなに強い子を隠してたんだい?」

 

含みのある言い方をする冥冥に五条は何も言わず、皆がスクリーンに視線を戻す。

 

 

 

 

 

時はミーティングの時まで遡る。方針がある程度まとまったところで、真希が蒼夜に

 

「蒼夜、最後にお前の姉貴について説明しろ。お前が一番詳しいだろ?」

 

「…はい」

 

すると一同がこちらに目線を向ける。虎杖はお前姉ちゃんいたの!?という顔をするが、気にせず続ける。

 

「姉貴…蓮奈に会ったら相手はしようとせずに逃げてください。東堂以上に相手するのは無理です。基本的には俺が相手をしますが万が一の場合はそうしてください」

 

みんながうなづいていることを確認して

 

「次に術式ですが、雷電(らいでん)呪術は簡単に言ってしまえば雷を操る術式です。シンプルですが、だからこそ対策しにくい。実際に雷みたいな速度で移動されたら対処できません」

 

すると虎杖が疑問に思ったのか

 

「蒼夜の姉ちゃんが強いのはわかったけど、なんで雷なんだ?五条先生みたいにムカゲン?じゃないのか」

 

まあ虎杖はその辺知らないかと思っていると、伏黒が説明してくれる。

 

「五条家ってのは、元々菅原道真の子孫なんだよ。学問の神様くらいは聞いたことあるだろ」

 

それを聞いて何か覚えがあったのか手を打つ虎杖。

 

「菅原道真は大宰府に左遷された後亡くなって、都に雷が落ちて死人が出て、最終的に祀る神社を立てたら治まったっていうのが有名だな。ここで重要なのは、今でこそ学問の神様だけど、最初は()()として祀られてたってところだ」

 

「なるほど、だから雷なのね」

 

ナイス伏黒。説明の手間が省けた。

 

「姉はたぶん俺を狙ってきます。あの人が本気出したら一瞬で決着ついちゃうし、そういうことするタイプじゃないんで」

 

 

 

 

 

 

 

「オラァ!」

 

「そんなの当たらないって」

 

「チッ」

 

蒼夜は蓮奈の猛攻を何とか凌ぐので精一杯だった。簡易領域を張る隙もないし、近接攻撃が飛んでくると思えば電撃が飛んでくるため、ダメージが蓄積していく。現に蒼夜の体は所々強力な電撃によって焦げている。

 

「電撃強すぎるわ!殺す気か!」

 

「こんなもんじゃ死なないでしょ、昔っから頑丈だし」

 

「そんなんだからさっきみたいなことになるんだよもう少し手加減を覚えろよ」

 

「あれは特訓よ。この業界は人が簡単に死ぬ。だから強くならないと、自分の意見も通せないし、命も守れない、私は仲間にそんな風になってほしくないの。だからこうやって鍛えるのよ」

 

「…それは、自分がそうだったからか?」

 

「…」

 

蓮奈は答えず、攻撃を再開した。

 

彼女は俺が五条家に来た時には普通に暮らしていた。でも俺は自分が来るよりも前にどんな生活をしていたのかについては知らない。ちょっと聞いた話では、五条先生と蓮奈は完全に血がつながっているわけではないらしい。先生とは()()()()兄妹であり、当主と使用人との間に生まれた子だとか。あの家は400年に一度の六眼と、無下限呪術を至上としている。逆に言えばそれ以外に興味がない。むしろそれ以外を認めない派閥もあることを考えると、その辺で苦労したのであろうことは想像に難くない。

まあ俺はそれどころか五条先生のゴリ押しで前当主の養子となっているし、術式すらないしで余計複雑なのだが。

 

そんなことを考えながら、そろそろ攻勢に出ることにした。反転した呪力を全身に回す。

相手が目で追えないなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「身体が治ってる…反転術式ね。でも」

 

そう言うが早いか、再び攻撃が始まる。

 

「治るより攻撃の方が早ければ、何の意味もないわよッ!」

 

攻撃を受ける最中、何かを引き寄せる感覚。後はそこに拳を合わせるだけでいい。

 

「そこ!」

 

「!」

 

相手が来るのに合わせて全力で殴り飛ばす。腕の力と呪力の反発が乗った一撃で吹き飛ばされた蓮奈は、木を何本か折ってようやく止まったようだった。しかし、何事もなかったかのようにすぐ戻ってくる。嘘だろ、結構いいの入れたはずなのになんでピンピンしてんだよ。これだから遠距離強いくせに近距離強い奴は。

 

「いやー今のは効いたわ。呪力を方位磁石みたいに使ったのね。ちゃんと一撃入れられたのは初めてじゃない?」

 

「その割に効いてなさそうだけどな」

 

(すごい、先輩に一撃入れた!)

蒼夜に刀を折られやることもないため蒼夜と蓮奈の戦闘を観戦していた三輪は、事前の宣言通り一矢報いたのを見て感心していた。そんな時、持っていた携帯が振動する。相手は…メカ丸だ。

 

「はい。啖呵を切ったのに負けちゃった役立たず三輪です」

 

『眠れ』

 

「ZZZ」

 

ここからどうしたものかと思っていると、こちらを観戦していた三輪先輩が電話に出て倒れた。

 

「あー、狗巻君の呪言かぁ。このままほっとくのも危ないし…よし、蒼夜、今回はここまでにするわ。私は三輪を先生たちに届けて来るから」

 

そのまますっといなくなってしまった。フリーになったので誰のところに向かおうかと考えていると

 

ズズン

 

「なんだ?」

 

遠くの方で地響きがしたと思った矢先、空が暗くなり、帳が降り始めていた。

 

 

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