ProjectMoonの都市には裏路地と呼ばれる場所があり
それは翼が安全を保証する巣の間に広がる地域をさす。
ここでは法律は存在せず、暴行、盗み、詐欺、誘拐、拷問、殺人
考えゆる限りの犯罪行為が蔓延り、住民はそれらを自身の力で対処しなければならない治安最悪危険地帯。
そしてここはその裏路地の中でも悪名の高い23区。
あるフィクサー曰く
やり手のフィクサーでも手を引く裏路地のひとつ。
隣人が寝て起きたら手足を切られ道端に転がっている。
そんな血生臭い区である。
さて、目の前には鈍器で頭を潰された男とそれを行ったエプロン姿の男。
「あぁん?なんだガキか
ガキは在庫がまだあるから別にいらんけどな
まあ、あることに越したことはないか」
そういうとエプロンの男は鈍器を握り直しこちらへ向かってくる。
「また、またかよ
なんなんだよ!!俺が何したって言うんだ!!!」
感情のままに叫びながら彼は逃げることしか出来なかった
結果を言うと、男から逃げ切ることができた。
男はつい先程在庫の補充を済ませたばかりであり、彼を追うことにそこまで意欲的ではなかった。
ここで死体を放置したら、ネズミたちが群がり遺品や可食部位、金に変わるものならなんでも持っていかれてしまう。
小さいガキ1匹捕まえる為に放置するのは割に合わないのだ。
そのため子供の足でもどうにか逃げ切ることができたのだった。
しかし
「…振り出しに戻ってきた
はぁ、腹減ったな」
急に空腹に襲われる
現在午前の…午後?
時間は分からないが目覚めてから少なくとも半日
食べ物はおろか水すら口にしていないからだろうか
「なにか、ないのか
この際なんでもいい」
周囲を探すもろくに食べれるようなものはない
こんな状況だ、雨水でもなんでも啜れれば
「……あった」
路地の脇、様々な物が捨てられたゴミ箱
そこに張られたビニールの上に溜まったやや濁った水
「……うぇ、けど
背に腹はかえられないか」
顔を歪めながら啜り、他にもなにかないか探す。
9割腐った野菜の無事な所、肉がわずかに付いたよく分からない骨
「妥協が大事、妥協だ
ゴミ箱なんてこんなもん、今の俺にはこれでもご馳走、おぇっ」
えずきながらも食べる、火を通したりしたならまだマシだったかも知らないが
火起こしに必要なものはこの場にはない。
「腹が、膨れるとまだマシだな
考え方も変わる、少しポジティブにとらえていこう」
空腹は大敵、古事記にも書いてあった。
僅かに腹が満たれたので、これからどう動くか決めていこう。
死にたくない、これは絶対だ。
こんなクソみたいな場所で死んでたまるか。
その為に衣食住を安定させる。
毎晩あの化け物共に怯える暮らしなんてごめんだ。
必ず、安心して住める家を手に入れる。
「よし」
夜隠れるための隙間、その前に立ち宣言する。
「ここをキャンプ地とする
ここを拠点に何がなんでも生き抜いてやる」
「おい、ガキの声が聞こえたぞ
お前が言ってたいい食材になりそうなやつかも知れん」
「やべっ」
どうやら道は前途多難なようだ。