5章攻略時何度負けたかわからない
そんな彼が人格で来るなんて感慨深いものがあります
深く沈んでいた意識が浮かんでくる。
「ん……ぅ……ん?……ん!?」
意識が覚醒すると共に飛び起きる。
人殺しが平然と練り歩き、夜には化け物が全てを片付けていく裏路地
そんな場所で気を失う=死
幸いなことに命はまだどうにかある、
寝起きで霞む目を擦りながら見渡す、
かなりボロいが壁と天井が見える、室内のようだ。
「ここ、どこだ?
誰かが俺を運んだのか?
なんのために?
誘拐?
だとしたらなぜ拘束の一つもされてないんだ?」
睡眠によりよく働くようになった頭で状況をよく考える
しかし
「わけが分からない……い"っ!
全身痛い、あ、無理
今考え事無理、頭のてっぺんからつま先にかけて痛い
あ、左腕よく見たら折れてる
変な方に曲がってる、アッ!!
意識したら更に痛みがァァ!!!!!!!!」
その思考は全身の痛みで掻き乱され、
身体は床でゴロゴロと転げ回った。
よく考えてみよう、大の大人に何度も蹴り付けられたのだ、
子供の骨なんて折れて当然、
戦うおろか立つことすら出来なかっただろう。
その
麻痺していた痛みが浮かんでくる。
痛みは骨だけではなく、掃除屋にやられた傷は熱を帯びジンジンと痛み。
腹の奥からぎゅるぎゅると「あ、これ腹下したやつだ」
「ぬ、ぬ"ぐぉぉ"、
は、腹がァァァ!!
トイレ、トイレはどこだ」
彼は必死に床を這いずり周り出口を探す。
ここで漏らす訳にはいかない!
これは人としての尊厳の問題だ!
恥もプライドも捨てれるが、尊厳だけはダメだ!
前回まで死ぬか生きるかの瀬戸際で足掻き生き残った男とは思えないほど
みっともなく床をたまにグネグネしながらトイレを探し履い回っていた。
すると這い回っている場所とは真逆の壁にあった扉が開く。
「なんだ、起きていたのか
あまり動くな、身体のあちこちが折れてるんだ
肺に刺さったりなんかしたら死ぬぞ」
入ってきたのは10代前半の少女、赤い髪を肩まで伸ばしており
目つきはやや鋭いがその目に敵意は無い。
「ふ、ふぅ"……う"ぅ"ぅ"」
「まて、こっちに敵対する意思はないぞ」
腹痛のあまり威嚇のような声が出たし
それを本当に威嚇と受け取られてしまった。
人と言うより動物だこれでは
しかし、そんなこと今は気にしている暇はない!!
「ソニーとビーンをよく殺せたな
見てた感じ戦い慣れてないだろ
気を失ってたから助け「そんなことはどうだっていい!!?!?」
えっ、は?」
「トイレ!どこ……デスカ」
少女が困惑する中、切実な叫びが部屋に響いた。
少年()トイレ中
「いやぁ、助かった
本当に助かった
危うく人としての尊厳失うところだったよ」
「そ、そうか
初めてだよ、第一声がトイレどこって叫ぶヤツは」
「そうだよな…あー、切羽詰まってたとはいえはずっ」
自身の行動を客観的に見て、思わず頭を抱える
そんな彼を気にせず彼女は手を差し出してきた。
「まあいい、
わたしはカーリー」
「え、あぁ、俺は…まあひとまずよろしく」
とりあえず、差し出された手を取り握手を交わす
「たまたまお前の戦いを離れたと頃から見ていたんだ
あんな所で気を失っていたらすぐ死ぬだろうからここまで連れてきた」
「え、マジ?
本当に助かった、ありがとう
…どうして俺を助けたんだ?」
「そう警戒するな
別に何か礼を要求したりするつもりは無い
わたしが助けたかった、それだけだ」
「…は?」
はっきり言って、何かの要求は必ずあると思った。
なんの利益もないのに人は人を助けない
現代でも
しかし、彼女はそういったものは一切ない
その目は嘘偽りなく真っ直ぐとしたものだった。
前世、
現代日本でもほとんど見ないようなそれを受け、
明かりのついてない暗い部屋であるのに
それがとても眩しく目を被った。
「疑って悪かった
完全な君の善意で助けてくれたんだな
助かったよ」
「気にしてない、
わたしのように要求をしないやつの方が稀だろう」
こんな優しい少女を疑ってしまって申し訳ない気持ちになっている
いや、まじ今俺印象的最悪だよな
なんか変な動きしてたし、威嚇するし、叫ぶし
人の善意を疑うし、あぁ、ダメだこいつ。
「おい」
「え、は、はい
なんでしょう」
いたたまれなくなっている
折りたたまれた布を渡される
「意識ないうちにしてやった方がよかったんだが
起きたならしかたないよな
早く口に咥えろ」
「えっと、なにを?」
「骨の整復、折れた骨のズレを戻すぞ」
「整復…
え"っ!それめっちゃ痛いやつじゃ」
「あぁ、曲がったまま骨をくっつけたくないだ
動くなよ」
「ま、まって!心の準備!!!
心の準備させて!!」
「騒ぐな、どうせ騒いだところで変わらん」
「い"っ!!!!!!!!」
この1時間後、処置を終えた彼は
「申し訳なさ吹き飛んだ」
そういい泣いたそうな。
カーリーは整復後、
副木代わりのダンボールや雑誌を折れた箇所に当てて固定しながら
この世界について知っていることを教えてくれた。
ここは都市の裏路地、そのうちの23区と呼ばれる地域らしい
夜に見た化け物は掃除屋と言われる化け物で
裏路地を決まった時間駆け巡り文字どうり掃除していく。
裏路地の夜に外で生き残るの人間はかなりの幸運らしい。
そして、先程俺が殺した2人組はソニーとビーンと呼ばれる料理人で
人間を攫い、調理して店の商品にしていたらしい。
「それ、客来るのか」
「人肉料理がメインの店なんだから、それを目当てに来るんだ」
「うげぇ、まじで人食うんだ」
「お前、本当に何も知らないんだな
巣から来たのか?」
「その巣ってのもよくわかんない
都市というのも、都市の外の外郭?ってのも全くわからない
なんなんだ?」
「なんだ、記憶喪失かなにかか?
翼の実験体にされた子供が外郭に捨てられるって噂は聞くが
その類かもしれんな。」
本当に自分の知るものが全くない、薄々察してはいたが
完全に俺の知る世界とは全く違う異世界のようだ。
「お前、名前は?」
「あ、おれは……」
名前が口から出てこない、俺は誰だ?
記憶は確かにある、何をやってた、どう生きてきた
親の顔も友人の顔も全てはっきりとわかる。
しかし、自分の名前だけが霧がかったようにぼやけて思い出せない。
まるで世界から名前だけ拒絶されているようなそんな感覚を覚える。
デ○ケイドの写真みたいなイメージ。
「忘れた、思い出せない」
「そうか、」
頭をひねる、どうしてこのようなことになってるのか。
本当は実験での記憶喪失しており、
今の俺は別世界の記憶を植え付けられたとか?
…こういうことはよくわからないが、
とにかく考えても無駄なんだろう。
答えを知る人は今ここにいない。
不毛な思考は時間の無駄だ、これからについて考えていかねば。
まずは名前だ、名無しなんて生きていく上で不便でしかないだろう。
何かいいものはないだろう…
日本人の名前は、何か違う。
「どうした?」
「ん?あぁ、今自分の名前考えてるんだよ
おいとかお前だけだと不便だろ?
なんかいい感じの…、あ、君から見て俺ってどんなやつ?」
「どんな?
腹下し」
「それは待ってくれ、それはなしで
頼む、ほんとに」
「…わたしより背が低くて弱くて少し狡猾」
「マイナスしかねえ!!」
「あとは、幸運なやつだな」
「幸運?」
「何も知らずに外で裏路地の夜を生き残ったり
戦った経験も無さそうなのに
人喰いの連中相手に生き残ったり。
これだけでもかなり幸運な人間だと思うぞ」
「幸運、幸運か」
そう思えば、本当に幸運だ
掃除屋以外でも、奴らから隠れたゴミの山も
自分の代わりに別人が連れていかれた時も
たまたま見つけられたナイフも
2日目の掃除屋が大型だったのも
こうやって、カーリーに助けられるのも
本当に幸運が重なって今まで生き残れてきた。
名は体を表す、うん
幸運か、いいかもしれない
「新天地で幸運を
good luck…
よし」
俺はカーリーへと再度手を差し出し名乗りあげる
「よろしくなカーリー
今日から俺はラック
微運なラックさ」
「腹下しのじゃなくてか?」
「やーめーや」