伸ばしたその手は空を切る   作:普通の凡人

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2~3日目

骨がくっつくまでの間

俺はカーリーの家にお世話になることになった。

助けてくれた上にそんな申し訳ないと思ったが

今の俺をこのまま野に放つと速攻死ぬから助けた意味が無くなるとの事。

…確かに!!!

そういう訳なので、今はこの都市のルールや生き方をカーリーに教わっている。

都市の禁忌やら区の禁忌やら、破ると都市のトップ()から兵が送られたり、その区の企業()から禁忌ハンターが送られる。

こんな無法地帯にも守るべき絶対的な法があることに驚きだ。

まあ、禁忌なんて今の俺には関係ないことしかない、

なんだよ人体蘇生禁止って、死んでも生き返る方法あるんかよここ。

ひとまずそれは置いておいて、

他に聞いたことは

組織と関わると金をむしり取られて殺される。

料理人に関わると金を奪われ、食材にされて殺される。

礼儀正しい人間は決まってまともじゃないから金を取られて、

結果的に殺される。

殺されてばっかりだな!!!

…ここでも生きていくには金が必要なようだ

しかし、俺は当然無一文

手持ちに何もありゃしない、

金になりそうなものは昨日拾ったナイフ1本だけ

さーてどうしたものか。

 

「あ、そうだ!

殺したあいつらの住処から金掻っ攫おう」

 

なんだろう、

たったの2~3日で考え方が現代日本人から都市に染まってきた気がする。

そうと決まれば早速準備をしてカーリーに話す。

 

「いいんじゃないか?

今のお前にそれ以外で金を稼ぐ方法は無さそうだし

着いてこい、奴らの店まで案内する」

「マジ!助かるわ

いやぁ〜

俺だけだとたどり着く前に夜になるところだったぜ」

 

カーリーのアパートから外へ出るとどうやら夕方に差し掛かったようだ。

若干周囲は暗くなっていた。

 

「わぁ、結構時間経ってたのね…」

「お前を見つけたのが朝の10時頃で、

それから8時間ほど気を失ってたからな」

「え、助けてくれなきゃ確実に死んでたじゃん

ほんと命の恩人だよ」

「前にも言ったがわたしがしたいからしたことだ気にするな

そんなことより、早くしないと日が暮れるぞ」

「あ、悪い

急ごうか」

 

カーリーの先導されながら路地を右へ左へと進む。

時より裏路地の住民が現れる為、

物陰に隠れながら目的地を目指した。

かれこれ1時間ほど歩いていたら、

現在準備中と書かれた札がかけられた建物に到着する。

 

「あ、鍵ないじゃん

カーリーピッキングできる?」

「必要ない、やつらは食材を仕入れに行く時は基本的に裏口の鍵をかけない」

 

そういうとカーリーは裏口に周りドアノブをひねる。

本当に鍵がかけられてなかったためカチャリと開いた。

 

「え、マジで開いた

田舎のばあちゃんちかよ

てか、なんで開いてるって知ってるん?

よく出入りしてた?」

「違う、これは生きる術として教えておこうと思ってたことだが

私は普段からとにかく周りの人を観察していた

そうして見たものの中から自身と周りを守るためのものを探すんだ

そうしているうちにこうやって、

役に立つ情報が見つかることがある。」

 

そう話す彼女は突然顔をしかめた。

 

「ラック…お前は入らない方がいいかもしれない」

「え、なんだよ急に…ゔっ!」

 

開けた扉から強烈な血の臭いが漂ってきて

思わず吐きかける。

 

「入口でこれだ、中はもっと酷いぞ

それでも来るか?」

「…行く、多分

この先こういうのには慣れておかなきゃダメなんだろう

ここで生きていくのには」

「少なくとも、この23区ではな」

 

意を決して入ると

そこには予想していた以上の光景が待ち構えていた。

入ると加工場のようで、あちこちに食材が吊るされたり

液体に漬けられており、どの食材も苦悶の表情を浮かべている。

あ、食材ってのは人間のことだ。

老若男女合計で6人、様々な人間が食材としての加工をほどこされている。

誰も彼も生きたままだ。

口を丁寧に縫い付けられているせいで叫ぶことはないが、

呻き声が絶えず聞こえてくる。

 

「…ひっでぇなこれは

何これ、なんで生きたまま?

普通食肉加工とかは屠殺した後するものじゃないのかよ

これ何に漬けてるんだ?

あっち!あ、これ低温調理器だ

って昨日連れてかれてた子供、

あーなんか、ごめんね

いや、ごめんじゃ済まされないんだけど

うわぁ、ほんとにパイナップルと煮込んでるよ

助け…るにはも手遅れか

あー、大分火が通ってる

他にも色々あるな

フライヤー、蒸し器、燻製器、圧力鍋、BBQグリル

どれも人入れられるぐらいバカでかいな…はは

オェ…」

「おい大丈夫か!?

ショックが強すぎて気が触れたのかと思ったぞ」

 

数行ほど思ったことを考えずに口に出した後、

近くの流し台に吐いた、

今日は何も食べてないので胃液だけしか出てこなかったが。

前世で見たR-18Gの作品がお遊びに見えるようなエグいものを見たのだ。

はっきり言って俺にはその手の耐性はない。

前世で見たと言ってもたまたま目に入った程度だ。

そういうのを見るような趣味はなかった。

流し台に反射して映る俺の顔は酷く青ざめめいた。

 

「おい、外に出てるか?」

 

そう声をかけるカーリーは平然とした顔をしている。

きっとこのような惨状を見るのは初めてでは無いのだろう。

こんなものに狼狽えいたらきっと生きていけないだろう。

ならば

 

「いや、残る

逃げちゃダメなんだ

これから逃げたら多分、ダメなんだ」

「わかった…無理はするな」

 

深く息を吸い心を落ち着かせる。

生きるために乗り越えるんだ。

 

「なあ、さっきは何も考えず手遅れって言ったけど

助けられると思うか?」

「無理だ、やつらは仕込みの段階で

助からないような状態まで追い込み延命処置を行いながら調理するんだ」

「そう、か

じゃあ、この人達はこのまま苦しみ続けて死ぬことになるのか」

 

ナイフを取り出し、周囲の人達を見渡す。

 

「なあ

楽にするには、どうしたらいい」

 

それを聞いたカーリーは少し驚いた顔をしつつも

 

「確実なのは頭を破壊することだ、脳幹を破壊出来れば即死させられる

そのナイフでは無理だろう、これを使え」

 

そういいながら、近くにあったミートハンマーを取り、渡してきた。

俺はそれを手に取り、低温調理器に入れられた子供の頭に力の限り振り下ろした。

骨を砕き中身を潰す、その嫌な感覚が手に伝わってくる。

 

「…上手くいった?」

「あぁ」

 

子供を見ると、頭が陥没し身体から力が抜けていた。

殺した、そう確信する。

 

「…ッスー、はぁ…」

 

ひと呼吸おいて、子供を低温調理器から取り出し

縫われた口の糸を切り床に並べ手を組ませる。

他の5人も同様に行い、なるべく綺麗にした後外へ運び出す。

 

「…こんな所で眠るなんて嫌だろうけど

どうか安らかに」

 

手を合わせると少し気分が軽くなった、

弔いは生者のためのものとはよく言ったものだ。

6人に手を合わし終わり振り返るとカーリーがこちらをじっと見ていた。

 

「なんだよ…何か変か」

「ここでは死体は基本放っておくのが常識だったからな

少し、物珍しかった。」

 

そういいながら、カーリーも手を合わした。

ここでは死人を弔うような風習はないのか

いや、あるにはあるのだろう

あるが、出来るような生活じゃないんだろう。

特に、わざわざ関わりのない他人に対しては行うなんて。

 

「…時間取って悪かったな

さっさと目的の物探そうぜ」

 

周囲を見るともう暗くなっている。

日本と日没の時間が同じか分からないが、現在は18~19時ぐらいだろうか?

あまり時間をかけたらまた裏路地の夜になってしまう。

 

店へ戻り、手当り次第にものをひっくり返し

金目の物、あるいは現金を探した。

 

「小銭、小銭

脱ぎ捨てられた靴下、くっせ!」

「おい、レジがあったぞ」

「よっしゃ!こっちの棚に鍵あったぜ」

 

「金庫発見!ダイアル式じゃん!

……暗証番号わっかんね!!」

「70 46 76 87」

「は?あ、開いた

なんでわかったんだ?」

「レジに付箋で貼ってあった」

「ザルすぎんだろ!!!!」

 

冷蔵庫、案外人肉以外の肉入ってんな」

「そういうのは商品で、しかも手に入れずらいからな

自分で食べる食材は安価で手に入りやすい市販の物を使ってるんだ」

「じゃあ、いくつか持ってくか

ラップに包んで保冷剤と一緒にしまえばアパートに着くまでは全然持つし

肉以外にも、缶詰とか日持ちするもの持ってこ」

 

「カーリー、カバン見っけたよ

ふたつもある」

「……片方穴空いてるな」

「マジじゃん!」

 

「料理本多いな」

「こいつら、腐っても料理人だからな」

「どれどれ〜、うげっ!!!

写真付きのクソグロ本じゃねえか

血管ラーメンとかなんだよこれ!」

「まあ、人間を調理する料理人だからな」

 

「腹減ったな」

「なら保存きかない魚とか食べてろ

どうせここに置いていっても腐らせるだけだ」

「え、調理って

あの人焼いたりしてた場所で?」

「消毒しとけば大丈夫だろ」

「く…生は怖いから背に腹は変えられん!!」

「しっかり火を通さないとまた腹を」

「そのいじりやーめーや!

あ、酒ある」

 

「こんなものか?ラック

そっちも持っていくものの選別は終わったか?」

「いや、ちょっと待ってな」

「書類なんてひっくり返してどうした」

「あった!

この店の権利書、これ売れば暫く困らないんじゃないの?」

「そうだな、売るのに多少のリスクかかるがな」

 

見つけた金、金になりそうなもの、

食料を詰めれるだけカバンに詰めこんだ。

詰め終わりパンパンになったカバンを背負うが

 

「おっも!!!」

「まあ、重いだろうな」

 

決して持ち上げられない重さではないが、

移動に制限がかかるぐらいには重い

これを背負っては素早く隠れたり出来ないだろう。

 

「これ背負って帰るのはかなりリスクじゃないか?」

「まあ、そうだな

カバン2つ使えれば分けていけたんだがな…」

「どうにか人がいない道とか通れないか?」

「無理だな、どうやっても人がいる所を通る」

「それじゃあ、半分置いていって

また取りに戻るか」

「もう、明日には他の空き巣が入ると思うぞ

店が開店してない=誰もいないってことだからな」

「そうか、人がいない時なら隠れなくていいのになぁ

ん、待てよ」

 

ひとつ思いつく、人がいない時間

あるじゃないか、もう2度も経験したあれが

 

「なあ、掃除屋が出る時間は人はみんな家にいるんだよな」

「ん?あぁ、知っているだろうが

外にあるのは全て掃除されるからな」

「じゃあさ、その時間が終わった瞬間に飛び出していけば

人はいないよな」

「…そうか!

そういう手があったか」

「よし、決まりだな!」

 

そうと決まればカバンを裏口前まで持っていき

裏路地の夜の始まりを待った。

扉に横に店にあった時計を立て掛け、

余った食材で料理を作りながら待っていると、

遠くから多くの足音が地面を伝い聞こえてくる。

 

「よし、裏路地の夜だ

掃除屋のクソッタレ共が来たぞ」

「4時34分に終わる、その瞬間飛び出すぞ」

「よーし、時間まで食べて待つぞ

今夜の晩御飯は魚の煮物よ〜」

「食ってろと言ってた私が言うのもなんだが

ここで食えるんだな」

「慣れた!」

 

この後、裏路地の夜が終わったあと

飛び出したらその後は時間の勝負だ、

時間が経つにつれて住民達は外へ出てくるだろう。

来た時は隠れながらとはいえ歩いて1時間程度かかった。

全力で走って10~20分はかかるだろう。

英気を養う為に今は食べておく。

 

「カバンは」

「あ、カバンは俺が持つよ

こういう力仕事は男の役目だよ」

「……」

 

なんか微妙な目で見られた、

後で知ったが、カーリーの方がずっと力が強いようだった。

どうやら俺はヒョロガリの雑魚だったようだ、残当!!!

そんなやり取りしながら待っていると、足音が小さくなるのを感じた。

時計を見ると4時半、もうすぐこの裏路地の夜も終わりのようだ。

 

「いや〜、家って最高

あんなに地獄だった裏路地の夜がこんなに快適!」

「準備しろ、34分になった瞬間飛び出る」

「はいはーい」

 

カバンを背負い、軽く準備運動する

 

「34分まであと3、2、1

今!」

 

カーリーの合図と共に外へ飛び出す。

そこには家以外何も無くなった路地が広がっていた。

はずだった。

そこには、2体のみだが掃除屋が残っていた。

なぜ、時間になったのに残っているのか。

その理由は、立てかけていた時計にある。

実はあの時計は不運にも3分程進んでいたのだ。

そのせいで、退却中の掃除屋とばったり出くわしてしまった。

 

「やっべ!なんでいるんだ!」

 

幸いなことに突っ込んでくる掃除屋を横にコロコロ転がって回避することはできた

完全な予想外だったがまだやれる。

 

「やっべ、やっべ!」

「落ち着け!多少時計がズレてただけだ

数分で居なくなる、耐えろ!

こいつらは単体ではそこまで驚異ではない!」

 

カーリーはそう叫びながら掃除屋の攻撃をかわしつつカウンターを叩き込んでいた。

……えっ、つっよ

俺にはあんな芸当は無理なのでとにかく避けて時間を稼いだ。

右へ左へ、たまに掃除屋の股下をくぐり抜けたり。

どうにかこうにか敵の攻撃をどうにか避ける。

カバンが重くて動きが鈍り、多少かするが致命的な傷は避けれている。

このまま粘ればじきに終わる。

と、そんな上手く避け続けられるはずも無い、

攻撃を避けた時、カバンの重さに体を引っ張られバランスを崩した。

掃除屋はその瞬間を見逃さず突っ込んで体当たりしてきた。

 

「いって!あ、てめえ、のるじゃねえ!

クソッタレが!!!!!!」

 

もちろん、避けられも受け止めること出来ず吹っ飛ばされ

地面に転がったところを掃除屋にマウント取られた。

 

「14326414 19181786332316 7584945646」

「は、なんか言ってる!?

こいつら喋んのかよ!人の言葉はなぜバケモンが!

あ、ちくしょう!いってえな!!

俺はお前らのおやつにはならねえよ!」

 

マウントとられながらも必死に攻撃を防ぐ

骨にヒビいて超痛い、密着して気がついたが。

こいつは何かにぶつかったようで手負いのようだ

あちこちからなんか液漏れしてるし、片方の腕が垂れ下がってる。

 

「しめた!!!!!」

 

即座に残っている腕に全力でしがみつく

相手が使えるのが片腕ならそちらにしがみついてしまえばもう攻撃はされない

俺の意図に気がついたのか掃除屋は俺を引き剥がそうと暴れるが、

マウントを取ったまま手負いの片腕で引き剥がすことは不可能。

 

「へ、これでもうなにもできねえよな!

っかは!」

 

掃除屋もただで抑え込まれる訳がなかった。

掴まれた腕に全体重をかけ胸部を押し潰し呼吸を止めにかかった。

 

「やば……ぐ、ぁ……いき…が……」

 

肺の中の空気は一気に押し出され、

酸素の足りなくなった頭は段々とぼやけていく。

呼吸をしようともがくがマンウト取られた状態から抜け出すには絶望的に力が足らず、ただその場でモゾモゾもがくことしか出来なかった。

 

(やべ、いしきが……はなしたら、し……)

 

段々と視野が暗転していく、

あぁ、このまま死……とはならなかった

突如、ゴッ!という衝撃とともに胸部にかかって重さが消える。

 

「ぷはぁ!……ゴホッ!ゴホッ!」

「おい、生きてるか」

「はぁ……はぁ……どうにか、死んでないわ」

 

掃除屋は後頭部が潰れ絶命してる、

どうやら、カーリーが自分の方にいた掃除屋を片付けて駆けつけてくれたらしい

……え、強くない?

 

「うっわカーリー、

ピンチに駆けつけてくれるとかマジイケメン

惚れるわ」

「生きてるなら冗談言ってないで立て、ボサっとしてる時間はないぞ」

「あ、はい」

 

カーリーは軽く流しながら俺の手を引いて走り出した。

 

「ちょ、まって

うわぁぁぁぁ?!?!?早すぎ早すぎ」

「口を動かせば舌を噛むぞ

誘導するからとにかく足を動かせ」

 

カーリーはアパートまでを無駄のない最短のルートで走り抜けた。

途中で数人建物から人間が出てくるが反応される前に通り過ぎていった。

まるでジェットコースターのような軌道で建物の間を通り抜けていくと、10分もせずにアパートの前までたどり着いてしまった。

 

「着いたぞ……おい、大丈夫か?」

「……食った物吐きそう

あと腕がちょっと」

 

俺は走り抜けている最中、

ほとんど振り回されるに近かった為か引かれていた右腕は

体重+荷物の重量+引かれる力によって

肩関節周辺の負荷がとんでもないことになっていた。

 

「見せてみろ、肩が外れてるな

すぐ戻す」

「ちょっま、ミ°ッ!!!」

 

ガコンと関節をはめ込まれる、初めてだよ

こんな診断即治療。

 

「はやい、発見から実行まで早い!

せめてカウントとかしてくれないかな!

あと治してくれてありがと!」

「変に身構えさせると

力んで筋繊維や神経を巻き込むかもしれなかったからな」

「あ、そうなんだ

ありがと!!!」

 

はめて貰った肩を回す

多少の痛みはあれど痺れ等はなく動かすのに支障はない。

 

「ふぅ、とりあえず

カーリーのお陰で無事に帰ってこれたよ

いやぁ、俺ほんとお荷物だったな

情けないよ」

「気にするな、

お前みたいな人達を守るためにわたしは鍛えてる」

「きゃっ、なんていうイケメン

まじ惚れちゃいそう」

 

そうこう話していると

流石に声が大きかったかアパートの一室から住民が出てきた。

 

「なんだぁ、まだ裏路地の夜が過ぎたばかりだぞ」

「やっべ、隠れなきゃ」

「いや待て、あの人は平気だ」

「へ?」

 

出てきたのは暗めの茶髪と髭を生やした中年手前の男性

その目から敵意はなく、ここらの住民の中ではまだまともな雰囲気を感じる。

 

「なんだ、カーリーか

もう1人は知らないな、ん、男か

……まさか、こんな夜更けに男女2人きり

カーリー、色を知る歳になったか」

「は?」

「いやなんだ、すぐ帰る

邪魔したな」

「違う!」

「おっと、必死に否定するなんてますます怪しいぞ」

「ラック!お前からも否定しろ!」

「えっと、あー?」

 

 

 

 

 

「……ラック、この人はショーンおじさん

私が小さい時からお世話になっている人だ」

「いやぁ、からかって悪かった

悪かったからその怖い目を辞めてくれ」

「えっと、ラックです

カーリーに助けて貰って怪我が治るまでお世話になってます」

「ショーンだ、飯が無くなったらうちに来い

少しぐらいは分けてやれるからよ」

「ショーンおじさんは昔から、食べ物や飲み物を分けてくれるんだ。

私もいつもお世話になってる」

「カーリーはここのアパートの住民の娘みたいなもんだ

おいラック、泣かせたら他の連中が怖いぞ〜」

「だから違うと言ってるだろう!」

「はい、必ず幸せに」

「お前もなにのっているんだ

私にツッコミをさせるな」ゴスッ

「いったぁ!?!」

「余計なこと言ってる暇あれば持ってきた物を整理してしまうぞ

はやくこい」

 

かなりキレてるカーリーに無理矢理引っ張られその場を離れさせられた。

そんな俺達をショーンおじさんは微笑ましそうに見送っていた。

 

「はぁ……まったく」

「……いい人だったな」

「そうだ、根っこまで良いとは言えないが

それなりによくしてくれる大人だ、それなりに家族みたいに思ってる」

「そうか」

 

その後は特に会話もなく、

カバンから戦利品を取り出し、整理を行う。

食べ物は棚や冷蔵庫にしまい、

金品や書類等はまとめて置いておく。

整理が終わる頃になると強烈な眠気に襲われる。

濃密な1日を過ごしたせいで流石に充電切れだ。

 

「昼前まで、休むとしようか

2人分布団はないから雑魚寝になるが」

「りょうかいかーりー

おきたらまたいろいろちょうたつしようぜ……」

 

思考がぼやけまくった俺の頭は、その言葉だけ言ってシャットダウン

倒れるように床に寝転がる。

この都市に来て、

ここ数日始めて安心できる睡眠がようやる取れたのたのだった。

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