目が覚めると目の前にカーリーの顔があった。
「うおっ!?!?顔良い!」
どうやら雑魚寝した後寝返りでカーリーの隣まで転がっていたようだ。
「起きたか」
「あ、悪い
起こしちゃったか?」
「いや、私が起きやすいだけだ」
ぐっすり寝ていたようだが、驚いて開けた声に反応してムクリと起き上がった。
……こんな感じに異変があったらすぐに反応できるようしないとダメかな?
「……はぁ〜
よく寝た、こんな安心して寝れたの初めてだ」
立ち上がり、身体を伸ばす
十分な食事を取って、十分眠れたおかげか
あちこち怪我まみれの身体なのに過去1調子がいい
「この後、外の歩き方とか説明する為にまた外に行くが」
「平気そうか?」
「おうよ!体調バッチリよ」
「そうか、
それなれ説明ついでにお前の日用品買ってくるか」
取ってきた売れそうな物をいくつかカバンに詰め、
外へ出ると太陽がちょうど真上にあり、
明るく街を照らしていた。
周囲を見渡すとチラホラ人影が見える。
「この辺りの人は比較的善良な人達だ
あくまでも比較的だが、こちらから手を出さない限りは攻撃されることはない」
「へぇ、みんながみんな隙あらば狙ってるって訳じゃないんだな」
「法はほぼないが、一定の秩序がある」
「そっか、意外だ
うかつに敵対されないようにしないと」
「そうだ、もしここら一帯の住民全員に敵対されるようなことがあれば
住民が一致団結してお前を捕らえて掃除屋の前にたたき出すぞ」
「こわっ!!!」
「昨日行ったソニーとビーンの店周辺は近づくなよ、あの辺は
基本人肉店だから食材にされる」
「はいわかった、絶対近づかない」
「あ、あとソニーとビーンを殺したことを言いふらすなよ
あの店の常連に報復される」
「わかった、お口チャック」
「なんだそれは」
「そういえば、カーリーって何歳なん?」
「唐突だな、今は確か16歳」
「16!?!?」
「……なんだ、何をそんなに驚く」
「いや、だって
俺の知る16の女性はきゃぴきゃぴしながらタピオカ飲んだり……
いや、これは偏見か
とにかく、あんまりにも大人びててもっと上かと思ってた。
なんというか、子供にないような落ち着きがあって」
「きゃぴきゃぴだかタピオカだか、よく分からないが
こんなのじゃないのか?」
「いやいや、他の子とかそんな事ないでしょ」
「残念だが、身近に比較できるような同い年の子供はいないからな」
「えっ、友達とか」
「友達と呼べるような同い年の子供はみんな死んだ。」
「あ、いや、ごめん」
「別に、気にしてない
知らなかったことだ、気をつけようがないだろう」
「いや、そうだとしても…」
「……お前はいくつなんだ?」
「俺?俺は……知らない」
「そうだと思った……なら同い年でいいか」
「雑!決め方雑!」
「これで、比較できる同い年の友達ができたな」
「おぉう」号泣
そんなこんな、色々話していると建物に店が目立ってきた。
その中にある年季の入った商店の前でカーリーが立ち止まった。
どうやら、ここが目的地のようだ。
「私は普段ここで必要な物を買ってる
珍しいものがあってもあまり見るな
カモにされるぞ」
カーリーはそういいながら扉を開けて中へ入っていく。
中には日用品に用途の分からない妙な道具
中古品のような武器まで、様々なものが商品として積み上げられていた。
その山の隙間からしわくちゃの老婆が目を見開き見つめていた。
「こわっ!お化けかよ!」
「出会ってそうそう、随分と失礼な小僧だね」
「失れなこと言うなラック
…代金割増されるぞ」
「大変申し訳ございませんでした!!!!!」
「やかましいよ」
代金割増を避けるため繰り出すは日本人の伝統芸能
全身全霊のDO☆GE☆ZA
全力で額を床に擦り付ける。
「わたくしめが大変無知なため、とんだご無礼を働きました
お許しください!」
「…カーリー、お前さんの友達は随分と変わりモンだね」
「私もそう思う」
カーリーと老婆の間に微妙な空気が流れた
「さて、今日は何用で来たんだい?」
「今額で床を磨いてるこいつの日用品と
いつくか買取を…」
「ほう、どれどれ
だいたい5万眼だね」
「最低価格でだろ」
「バレたかい。5万5000
これ以上は出さんよ」
「こんな感じに、油断すると安く買い叩かれるから気をつけろよ」
「顔見知りに対しての軽いジョークさ
おまえならこんなのに騙されないだろう」
どうやら寝る前にあったショーンおじさんほどでもないが
それなりに親しいようだ、油断出来ない相手でもあるようだが。
俺は2人の交渉を横目に物品の山から適当に服なんかを探す。
「ほとんど古着か、これ穴空いてるし
ん、妙な生地使ってる服あるな
軽いし、かなり丈夫だ
いいなこれ
いくらだ……100万!?
ひぇぇ、無理無理」
バカ高い服をサッと戻し
無難な物を5セットずつ集めて店主まで持っていく
「これは……100万だね」
「ジョークも大概にして欲しいんだが?」
「いや?これで適正だと思うね」
「土地と建物の権利書だぞ
少なくとも800で売りつけてもそっちに十分な利益があるはずだ」
どうやら交渉は上手くいっていないようだ
カーリーが出している物は店の権利書、
確かにあれは100万なんことはないはずだが。
「確かに、1000万でもあたしに利益はでるよ
けどねえ、これを買うのもかなりリスク伴うのよ
所有者が売りに来たなら問題ないけど、違うでしょ
あぁ、今日の朝から広まった話なんだけどね
ソニーとビーンあの料理人達、誰かに殺されたみたいなのよ
君達でしょ、殺したの」
「それで、そうだと言ったらどうす」
二人の間にヒリついた空気が流れる
「勘違いは困るね
わたしの寿命を縮める気かい」
しかし、すぐにその空気は飛散した。
老婆の態度からこちらの不利になるような要求は無さそうだ。
「店の権利書
つまり、殺されて奪われた権利書を買い取るって訳だ
報復に動く組織なんかは確実に私のところに来るだろうね
組織ってのは必要以上に人を殺す。
これを買えばあたしも危険なんだよ」
「そうか……」
「組織こわっ!」
「だから買取価格はかなり渋めにさせてもらうよ」
「…わかった」
「まあ、100万は冗談さね
500万眼でどうかね」
こうして、交渉は成立した。
買ったものと受け取った金をカバンに詰め店を出ようとすると店主が一言
「最近、店の前にネズミがよくうろついてるから気をつけるんだよ」
「……わかりました!」
軽く会釈しながら店を出る、
大金を持っていると無意識に周囲を警戒してしまう。
「自然にしろ、何か持ってるとアピールするようなものだぞ」
「そうか……あ、悪い
ちょっと手遅れみたいだ」
カーリーの忠告を聞くと同時に物陰からこちらの様子を伺う男女と目が合う。
目が合った瞬間、物陰から出てきて真っ直ぐこちらに向かってくる。
「あ、やばいな
俺ら狙いだ」
「走れ!」
全力で逃げる、しかしカーリーはともかく俺の足では追いつかれそうだ。
この前のように引いてもらうのもアリかもしれんが、
また肩外れるのはごめんだ。
実はあれのせいで腕の長さが左右で1cmぐらいかわった。
「カーリー、狭い通路に誘い込んで迎え撃とう」
「勝機は?」
「軽い作戦はある」
「ならここを曲がるぞ」
作戦は簡単、俺が囮になりカーリーに背後へ回ってもらい
カーリーが背後から急襲して挟み撃ちにする。
隠れられるような物陰が多い路地まで走り、
適切な場所を見つけるとカーリーには隠れてもらい
俺は目立つように路地の真ん中に座り追ってくる2人を待ち構える。
10秒もしないうちに追いついてきた。
とにかく俺に注意を集めることに集中させ
カーリーが奇襲しやすいようにする。
そのためにやることは、これはさっきもやったな。
「やっと追いついた」
「あら、2人居たはずなのに」
「ははは!!!こいつ見捨てられてやがるぜ」
男女は軽く周りみたようだが
カーリーが隠れていることには気がついてないようだ
「お前、あの婆さんの店でそれなりに良い取引したみたいじゃねえな
何、全部とは言わない、ちょーっとだけ分けて欲しいんだ」
「そうそう、あたし達お金がないのよ」
「だいたい9割ぐらい俺達に恵んでくれよぉ」
「子供に手荒な真似はしたくないよの」
つまり、死にたくなければ金よこせということだ
この都市にはこういう人間しかいないのか、若干呆れながらも行動を取る。
全力で注意を向けるためやることは普通ならやらないが
恥を捨てた俺には簡単なことだ。
「う"ぉ"ぁ"ぁ"ぁ"、金なら差し上げますんで
殺さないでくださぁ"ぁ"ぁ"い!!!
嫌だぁ"ぁ"ぉ"ぁ"ぁ"!!!!
じに"た"く"な"い"!!!!!!!」
涙と鼻水撒き散らしながら全力の命乞い土下座である。
できる限りみっともなく、絶対に反撃してこないだろうと思わせるような情けなさを強調する渾身の演技!
自分でもびっくりすぐらい情けない男の号泣!
「うぉ!?!」
「えっと、あの、ぼくぅ?」
「あ、あぁ…ボウズ?
とりあえず金出せば命は取らねえから
そんな泣くのはやめようぜ、な?」
あんまりな情けない有様にどちらも戸惑っている。
気持ちはよく分かる、俺でもこんなん見たらそうなる。
男の方はそんな俺を見て何も出来ないと思い込み不用意に近づいてきた。
「……フッ」
「は?」
男の足が間合いに入った瞬間隠し持っていたナイフを足首に突き刺す。
前の料理人達のように命を奪う必要なはない、
俺達(主に俺)が逃げ切れれる程度に機動力を奪えればいい。
「い"っでぇぇ!!」
男は予期せぬ激痛に反射的に身をかがめる。
そこへ全力で踏み込み拳を突き上げる、
その拳は顎に強烈に突き刺さった。
身をかがめる勢いと突き上げる拳が合わさり男の脳はぐらりと揺れ
身体は後ろに若干反り返ったあと前方へ倒れ伏せた。
「よし、あ"っ!!!
い"っでぇぇ!!!!」
激痛に身悶えする、骨折がちょっと休んだ程度治る分けない。
折れた腕でぶん殴れば当然こうなる。
「あたしの彼をよくも!!!」
当然だが、女は激昂して襲いかかってくる。
こんな腕じゃなきゃ受け止めるなりなんなり出来たかもしれんが
これ以上の骨折の悪化はごめんだ。
「今!!!」
だから合図を出す。
「ガッ!?!」
即座に隠れていたカーリーが背後から女に奇襲を仕掛ける。
カーリーの攻撃をもろに受けた女は壁まで吹っ飛び動かなくなる。
「ラック、無事か?」
「殴った腕がめっちゃ痛い以外これといって被害はない」
カーリーは普段通りの声とは裏腹に
やや心配が混ざった顔で駆け寄ってきて、
土下座の時着いた土をはらいながら新しい怪我が無いか確認している。
やめろよ、そんなことされると好きになるだろ。
「何処にも怪我はないな」
「大丈夫だって、それよりこいつらが起きる前に早く離れよ」
「あぁ、さっきみたいにするなよ
堂々としていないとまた絡まれるぞ」
「わかってる」
今度こそ、目をつけられないよう注意を払い帰路に着いた。
幸いなことに、俺達を襲う輩は現れることはなかった。
余談だが、拳の骨にヒビが入ってたらしい。
奇襲の刺突
防御 3~5 マッチ勝利後、次のダイス的中で虚弱
刺突 3~7
折れた腕の一撃
打撃 3~9 敵と自身に束縛