――Side 頼久
雄英高校体育祭の3年の部が明日、1年の部が明々後日に控える今日この頃。
「生徒の反応が二極化してるな……」
落ち着きを払ってる生徒と焦り等から気が立ってたり、落ち着きがない生徒の二極化である。
前者は前年などで実力見せたりしている上級生の過半や精神的余裕のある一部(主に開き直ってる経営科)の1年生、後者は今回こそはとなっている上級生やほとんどの1年生である。
「辻ヒーラー!怪我した!治せ!」
「へいへい〜」
回数こなしたおかげか治療が終わるまでの時間が短くなった。
おかげで小言食らう時間は概ね減ったと言っていいだろう。
「さてと、次は「見つけた!」おん?」
振り返る間もなく後頭部に柔らかい感触。
…………東方不敗の孫が背後を取られるなど……不覚……
「じゃなくて、なんですかね、ミッドナイト先生」
「思ったより動じなくてショック!」
「これで動じてたら自宅に転がり込んできた年頃の娘らのハニトラとか人為的ラッキースケベとかで動じてマリッジエンドなんで……」
「……イレイザーヘッドから聞いてたけど、なんだか大変そうね……」
なんか落ち着いたのか、離れてくれた。
「んで、なんの用です?」
「――リカバリーガール、最近若返った気がするんだけど、何か知らないかしら?」
「企業秘密って返したら許して「ダメよ」ですよねぇ……」
嘘はつきたくないし、別にそこまで重要なことじゃないからな……。
「まあ簡単に言えばガチのアンチエイジング料理を振る舞っただけですけどね」
「……それ、私も食べたいわ」
「若いほど効果出にくいんで、一回食べたところでリカバリーガールほどじゃ「何回も食べれば効果出るんでしょ?幾ら?お金ならわりとあるわよ」美への執念すごい!?」
やべえ、舐めてたわ……。
「……今夜の19時に始まる雄英高校体育祭教員決起会に料理人ポジでオールマイトの夕ご飯兼ランチラッシュ先生へ蘇生包丁の技実演も兼ねて参加するのでそこで用意し「楽しみにしてるわね!」むぎゅ」
正面から抱きしめられた。
……この人の個性眠り香じゃなかったっけか。
まあ、耐性があるらしいと分かったのは良しとしよう。
「ちょうどいいところにいるじゃねぇか女たらし!怪我とか全然平気なんだろ!オレの技受けるカカシやれや!」
なんかいきなり攻撃仕掛けられたので、瞬身で回避したり、氷遁で爆豪の汗線を閉じる害悪寄り戦法発動。
「てめぇ! ちょこまかと!」
「いや、普通に逃げるよ、当たれば痛いし。無力化するためにも冷やしたほうがいいかなって」
「――頼久、交代」
しれっとオレと爆豪の間に入り込む焦凍。
「なんだ半分女!」
「頼久は辻ヒーラーしてる。怪我人の治療優先。それはそれとして、凍結の力だけで何処までできるか試金石にちょうどいいから相手して」
「半分女が半分だけでオレに舐めプとかいい度胸だなァ! ボコボコにして愛しの女たらしの治療受けさせてやるよ!」
爆豪さんや、青筋出てるけどそのうちぶちっといかない?大丈夫?
「それもありかもしれない……けど、力を試したい時に色ボケしてたら頼久に怒られるから、真面目にやる」
「――この天然ボケマシーンがァ!」
とりあえず焦凍が現在しっかりと使える範囲(パクティオのアーティファクトは今回使わないことにしたらしい)の力で体育祭を乗り越えることにしたようだ。
「あ、頼久〜悪いけど障子の回復お願いできる?」
「流れ弾ならぬ流れ酸を被弾してな……」
芦戸と障子とは珍しい組み合わせ……と思ったけど、それぞれ別のことしてたが、芦戸の酸が障子に被弾したらしい。
水で洗い流したけど、酸がついたところが結構痛々しいことになってる。
「酸の洗い流しがされてて傷がこのくらいなら跡は残らない……はず」
「そこは断言してよ〜」「ヒーローは怪我がつきものだ。多少の跡くらい、問題ないぞ」
オレは掌仙術で治療していく。
直ぐに肌も再生していく。
……傷跡は残らなそうだ。
「……とりあえず問題なし。念のため数日間食事を気持ち多めに食べておいてね」
「分かった。治療ありがとな」「ヒーラーが味方にいるありがたさ……身に沁みるね……!」
オレこのままだとヒーラーに転職させられそうだなぁ……。
「お、口田に……いいんちょと瀬呂……どういう組み合わせ?」
「口田くんの個性が声依存だから、発生練習の手伝いだ! 学級委員長として、クラスの困りごとをなんとかできないか僕なりに手伝いをと思ってね!」
「オレは通りすがりでいいんちょたち見つけたから近くで様子見しつつ自主練してた」
偶然ならええか。
「辻ヒーラーしてるけど治療ほしい?」
「大丈夫」「とくにケガはないぞ!」「オレも問題なし」
「元気そうでヨシ!」
現場猫的指差し確認。
「現場猫が背後霊みたいに見えたんだけど、前世現場関係者だったりした……?」
「ノーコメント!」
瀬呂の質問をぼかしながら別の場所へ。
「なんだお前ら熟年夫婦か?」
「「最初の言葉がそれ!?」」
麗日さんと緑谷のコンビ?がそれぞれ個性の練習(麗日さんが浮かべて個性解除して落ちる瓦礫を、緑谷が迎撃したり回避してたりしてた)のを見て息ぴったりだなーと思いながら声かけたら思ってたことがそのまま出てた。
反省してるが後悔はない。
「すまない、思ったことをそのまま言った」
「悪意感じないから怒りにくい……」
毒気が抜けたような表情の麗日さん。
「とりあえず緑谷、オレが提示した課題……何とかできそうか?何とかなりそうか?」
「千手君の『六道仙人モード』を参考にさせてもらったんだけど――」
その言葉と共に、彼の周りに緑色の雷が迸る。
「まだ3%くらいしか使えないけど、全身に満遍なく身体能力強化ができるようになったよ。フルカウルって名前にしてる」
「それはいい。あとは%と継続時間だな。時間かかるか分からんが、少しづつ頑張れ」
「うん!」
「すまない……腹痛は負傷扱いじゃないんだ」
「そう上手くは……いかないね……」
「威力は間違いなく高いのだが……惜しいというべきか……」
常闇と青山という属性真逆っぽい2人に遭遇。
どうやら常闇的に光が苦手なダークシャドウの鍛錬相手としてちょうど良く、青山的に耐久戦術の経験値積むための良い特訓相手ということで噛み合ったらしい。
ちょうど通りかかったから声かけられたが、「儂らには救えぬものじゃ」状態だったので、許せサスケして二人と別れる。
「ということで明日から始まる雄英高校体育祭の決起会を開催するよ!」
はい、王の財宝にあるトリコのグルメ界食材をランチラッシュ先生が捌けるモノを任せつつ、オレはトリコの料理の中で滋養強壮とか回復力底上げとかそのへんの効能意識しつつ美食を揃えていく。
「肌年齢が5歳……いえ、10歳くらい若返ったような……」
「千手少年の用意する食材とその料理はすごいね!いくらでも食べられそうだ。まあ胃が復活してなかったらドリンクだけだったかもしれないけど!」
「……美味いな」
「これは明日の治癒もしっかりと頑張らないとね!」
「本当に多才だなアイツ。ウチの発目に並ぶ才媛の結城が目をつけたのは慧眼というかなんというか……」
なんか言いたい放題である。
とりあえず先生方が食べ終わった皿は宝物庫にいれる。
なんか中にいる数千体の自立人形が洗って処理してくれるからなのだが、排水とかどうなってるかさっぱり謎である。
とりあえず明日と明後日は1年生休みだし、なんなら明々後日もオレ体育祭出禁だから暇だし……何するかな!
「あ、千手は三日目の1年生の部、解説席で基本解説してもらうからな」
「ガッデム!」
どうやら、実質5連休前の夢は儚く潰えたのである。