――Side 頼久
体育祭から休みを挟んだ登校日。
「凄いな、体育祭効果」
「オレたちあちこちから声かけられたし」
朝から元気だねぇ(オジサン感)
「頼久たちはどうなの?最終種目までのこったし、やっぱり声かけられた?」
「いや……登校は母さんが車で送ってくれたし……」
オレは言葉を濁すように否定する。
「私たち土日は住んでる御屋敷の手入れしたり……」「……頼久さんのジェノメトリクス……精神世界にダイブしたり」「東方不敗や柱間さんたちにフルボッコにされたり」「頼久に色仕掛けスルーされて悔し涙流したりしてたから」
「「……」」
「峰田と上鳴の顔がすげえことになってる……」
「中指立てはやめたまえ!」
ヒミコたちの言葉に血涙流す2人とそれに反応する尾白と飯田。
「ホームルームを始めるぞ」
教室に入ってきた相澤その言葉で、全員が一瞬で自分の席に座る。
うーん、教育の賜物である。
「来週1週間、お前たちには職業体験をしてもらう」
その言葉にざわめきが起こるが、相澤先生の咳払いで直ぐに静かになる。
「……ヒーローのうち受け入れ可能な者が1事務所2人までスカウトの書類を出している。スカウト受けたものは原則その中から、スカウトのなかった者は受け入れ可能な事務所40の中から選んでもらうカタチになる。ちなみにスカウトを受けた数はこうなっている」
プロジェクターから投影される一覧。
轟 1531
千手 1416
八百万 1281
麗日 1100
爆豪 1006
常闇 963
切島 738
芦戸 432
瀬呂 316
葉隠 103
渡我 61
緑谷 36
「優勝してる轟はともかく準優勝より上のがいる件について」「ふくいいんちょや麗日はわかるけど、千手の人気高さはなんだ???」「たぶん昼休みの出張所や緑谷君と葉隠さんの試合のときが影響してるかと」「「「それでそんなにあつまる???」」」
「まあ……コレでもバラけたほうだな。ひどいときは3人にだけ集中してスカウトなしがほとんどなんて年もあったというし」
遠い目する相澤先生。
なんかあったのだろうか……。
「まだマシな方……か……」「にしても渡我と緑谷が低いのなんでだろ」「たぶん……渡我ちゃんはほぼ個性使わなかったから未知数で判断に困ったから。緑谷は瞬間出力強いけど何処か危なっかしいから、暴発に対応出来る自信あるところしか送らなかったか、他の事務所がスカウト送ると思って別の人にしたとかで」「「「ああ……(納得)」」」
「とりあえず指名ある奴にはそれぞれにリスト渡すからそれを見て選ぶように。ソレ以外は別途冊子渡すから、そこから選べ。以上だ」
そんなこんなで昼休み
「頼久は何処に行くか決めた?」
食事終えて一息ついてるとそんな質問が飛んできた。
「ぶっちゃけ、どこでもあんまりかわ……父さん達のところだと、馬車馬ルート不可避だからそこ以外だな。今回指名じゃなくて、誰でも受け入れ可能な40の方だから問題ないけど」
「そういえばまえ仮免持たされた時に1日おじさんたちの代行させられたんだっけ?……書類仕事以外ケチつけられなくて扉間おじさんがつまらんとか言ってたような……」
「安定の千手家スパルタ式鍛錬」「でも苦難以上に身につくことが多いですからね、下手な死線よりよっぽど経験になりすよ」
焦凍とヒミコの言葉をスルーしつつ、オレは手元の一覧に目を通して……
「……あ、サーチ持ちのいるプッシーキャッツとかいいかなって」
すると4人の顔が食堂から戻ってきていた緑谷に向く。
「緑谷さん!」「はいっ!?」
「ヒーロー『プッシーキャッツ』の構成人数と男女比とかをお願いします!」「え? 山岳救助を得意とする4人組のヒーローで、タイで性転換して男になった虎以外全員女性だけど……」
「女性陣の既婚率!」「え?結婚? してないはずだけど……?」
「「「「ということでだめです」」」」
「ひどくない?」「緑谷、ヒーローウィキペディア説」
瀬呂、なまじ否定できない話やめようか。
「1つ、真面目にオレの能力について、オレの認識してない範囲も分析できそうな人いるのそこしか心当たりない。2つ、山林の救助に長けてるヒーローから学べること多そうだし。3つ、ピクシーボブの個性が長期戦に適してるからオレの苦手を克服するのに役立つかなって」
「むむむ」「ちゃんと理論武装してますわね」「否定しにくい……」「頼久の貞操の危険が見える気がするのに、総合的に最善な選択肢でもあるからすごく困る!」
透さんや、なんか変なもん見えるようになってない??
「オレの回避能力を持ってすれば何とでもなる」
「死神は身構えてる時には来ないとか言いますよね!」「疲労困憊してる時も同じこと言えます?」「頼久……今のところ信用皆無」「というか意識ない時本当なら襲えてたけど、淑女協定締結してたからうごごご」
「どうしてそんな怖いこというの?? あと峰田と上鳴はその顔と中指立てやめようか」
「リア充爆発すればいい」「爆豪、やれ」「おいコラオレに命令すんじゃねぇ自分でやれや玉!」
爆豪をしれっと共犯に巻き込もうとしてる峰田ェ……。
とりあえず、プッシーキャッツに行くかな……。
午後はヒーロー情報学基礎だったのだが……
「『ミリオンハンズ』。その手で総てを救えるようにと」「理想が高いけど、理想を目指すならありね!」
コードネーム決めが行われていた。
相澤先生はネーミングセンスとかそのへんダメだからとミッドナイト先生が審査員をしている(そして寝袋で寝てる相澤先生ェ……)
とりあえず暗中模索のクラスで一番槍を務めたおかげか、1抜けできたので一安心。
「なら私はー……姿を変えていろんな力を使えるってことで、『ミリオンフェイス』で!」
「なんか他にもありそうだけど、今までの範囲的にそれが良さそうなのがうーん……OKとしておきましょう」
なんか通った感が教室を支配するがまあええやろ(現場猫感)
その後爆豪以外はダメだし受けたりしながらも授業終了までにはミッドナイト先生からOKが出て一段落。
授業の小テストとかで煽られてた上鳴等が逆に煽り散らかしてるあたり、鬱憤のガス抜きになっただろうからまあええか。
「ところでさ、ずっと気になってたんだけど……」
「「「「渡我さん(被身子ちゃん)、なんで片目を包帯で覆ってるの?」」」」
放課後、一息ついてる時に事情知る者以外から問いかけられた。
質問の通り、ヒミコは自身から見て左目を包帯で覆っている。
「頼久君、言ってもいいですよね?」
「オレとしては認識外の出来事なんでぇ……オレに言われても……」
「では遠慮なく」
そう言って彼女は包帯を外し――閉じていた目を開く。
「えっ?」「おいおい」「白い……目?」「千手と同じ目?」「どういうことだよ!?」
困惑する一同をよそに、ヒミコが口を開く。
「頼久君の精神世界で目を抉られて、それに耐え抜いたご褒美で精神世界の頼久君から左目を譲り受けられたんですけど、現実に戻ったら本当に左目が頼久君のになってたって次第ですね」
「オレからしたら瞑想に近い眠りの間にオレの認知不能な精神世界でなんかとんでもないこと行って、それが現実に反映されてびっくりしてるんだ」
オレは悪くねぇ!(本心)
「目を抉られる時点で何があったし」「精神世界……人の意識のなかに潜れるの!?」「無意識……改変……はっ、閃いた!」「おまわりさんこいつです」「つか、ちゃんと見えてるわけ?」
「はい、ちゃんと見えてますし、透ちゃんもバッチリ見えてます。コレで頼久君誘惑のために痴女してたら速攻サーチアンドデストロイできますね!」
耳郎の問いかけに笑顔で答えるヒミコ。
「デストロイしたらあかん」「その口ぶり的に未遂とかそこそこありそう」「……ハッ、その精神世界ダイブで目を抉られてるの耐えられたらオイラもその透かせる目を手に入れられ」「「「絶対ダメ」」」
「その階層での問題解決ができたらしくて、階層主が何処かに居なくなったので……ダイブしても無理かなって」
その言葉に露骨に落ち込む峰田。
テメーそんなことに使えば連鎖的にオレの立場暴落不可避やろがい!
「ただまあ、まだ目が慣れなくて、色々見えすぎて目眩がしちゃうので……。目を閉じて包帯で覆って、人並みの視野に抑え込みしてるってところですね。見えすぎるのも考えものです」
「確かに?」「とりあえず目が無いってわけじゃなさそうで安心した」
このクラスは(一部特殊なのから目を逸らしつつ)善性の人間で固まっててよかった。
「おかげで頼久君に変身したとき、左目の力使っても負荷がほとんど無くて助かるんですよね」
「あれ、頼久は左目使うと反動あるみたいなこと言ってたけど……」「もしかして、変身した相手の身体の一部を元々持ってると、変身相手の力の反動を踏み倒しできるとか……?」
「……まだなんとも言えませんね。判明したら教えるかもです」
なんか言い淀んだな?
まあ、どれだけ親しくしても秘密の1つや2つ教えられないこともあるから、是非もないか。
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