ではどうぞ。
――Side 死柄木
ヒーロー殺しと言われてるあの血染めの狂人と『破談』になったから黒霧に送り返しをさせたあと。
「死ぬかと思った」
一息はいて、カウンター席に座る。
「少し上から目線が目につく以外きわめて理性的な【傲慢な太陽】がどれだけまともか再確認できましたね」
黒霧がバーのマスターよろしくグラスの手入れをし始める。
『しかし困ったね。彼がこちらにはいらないとなると、計画を練り直さねばならない』
先生が困りながらも、何処か喜ぶような声でそう告げる。
「ゴロツキを増やしたところでにぎやかしにしかならなそうですしね……」
黒霧がそう零す。
『脳無は自律しておらんからなぁ』
すると入り口のドアが突然開かれる。
そこには褐色肌の白色髪の女が立っていた。
「――誰だ?」
「ジリリウム・リモナイト。そこから声だけだしてる『ドクター』とは共同研究をしたこともあるわね」
『――貴様! 儂の一番大事な研究所を爆破して行方をくらませておきながら、今になってのこのこと姿を見せるとは!』
ドクターが激怒している。
「あら、こちらの技術提供で脳無完成の目処が立ったというのに、ひどい人ね。それに――目処が立った途端、私が貴方に教えていたフェイク含めた全てのラボに立ち入り調査が来たおかげで、人類に有用な資料とかを踏み荒らされて大変だったのよ?」
『はん、ソレはお主が間抜けだっただけじゃろう!』
今のこの女の言い方的に、ドクターにブラフ混ぜた潜伏先教えておいたら、その全部に警察が来たと言ってるよな。
「あら、貴方以外に教えてない普通の病院にも立ち入り調査入って、何もなくて肩透かししてたみたいよ?」
『ソレがどうした。お主が抜かっただけじゃろう!』
『……』
先生が呆れてるのか何も言わない。
「それで敵連合の首魁さんは私を幹部待遇で採用してくれないかしら?」
判断材料なさすぎる。
こういう時は……たしか……
「今決定するには情報が足りないので、前向きに検討しつつ情報を踏まえて判断します」
「即決でOK出さないのは個人的に残念だけど、彼のような判断能力不足じゃなさそうなのは好感持てるわね」
プラス・マイナスで気持ちプラスみたいな評価だろうか?
『なんじゃと!?』『ドクター、ストップ』
ドクターの反応に先生が釘刺ししてる。
「それじゃあ、私はこの辺で失礼するわ。必要ならここに連絡してちょうだい。」
名刺を手首の動きだけで器用にカウンター席のオレの前にスライドさせてみせるジリリウムという女。
「あとそこのヒトデナシさんに伝言お願いできる?」
「……黒霧」「えっ?あ、はい。承ります」
慌てて紙とペンを律儀に用意する黒霧。
「――脳無の素体に使えそうな死体を数百程持ってるけど、頭の1つも下げられない魂のレベル低い俗物に上げるつもりはない――とね」
『……!!!』
なんか顔知らないし見えないけどドクターが激怒してるのは伝わってくる不思議。
「いい返事を期待しているわ」
そう言って女は去っていく。
……先生とドクターの様子見つつ、あの思想強いアレがどう動くか、様子見するかね。