ではどうぞ。
――Side 頼久
昨日ぶり2回目の保健室の天井。
「意識失ってる間か状況関係ないかの違いは有れど、高速再生する様は柱間を思い出すね。まあどう考えても規格外のバグみたいなコだったから、それを基準にしたらダメなのはわかってるけど」
目を覚まして早々にリカバリーガールから小言?を貰う。
「持ってる力の過半は方向性の制御はできるんですけど、ブレーキ踏んだあとの反動で吐血したり倒れたりするんで……」
「力に振り回されてるのは知ってるけど、担ぎ込まれるこっちとしては全身複雑骨折してたり、ソレが外力もなくリアルタイムで治っていくのは心臓に悪いね。年寄りをあんまりドキドキさせないでおくれ」
「が、頑張ります……」
これでも木人と六道仙人モード以外なら、うん時間単位で使えるっちゃ使えるようになったんだよな……(反動のデカさや、同時発動による使用可能時間激減及び反動の跳ね上がりは無視するものとする)
「それよりお礼とかなんか言いたそうな顔してるその子をこれ以上待たせたらダメだよ。もう治ったし、ストロベリーな会話とかになりそうだから、他所でやっておくれ」
「「は、はい」」
オレと助けた娘は慌てて保健室を出て……空いてる使われてない教室に入る。
「……えっと、助けてくれてありがとう。とっても素敵だったよ」
「気がついたら助けてた。それだけだ」
彼女はオレの言葉に何処か懐かしむような顔をして――
「やっぱり、あなたは私が困った時、助けてくれるね。端末越しに記憶を取り戻したり、アーシェスとして、私を護ってくれた時のように……ね」
「……オレが『イオナサル』たちを手助けしたのはここではない前世のことだ。……それに君を助けたのは別の可能性軸の誰かで、人違いかもしれないぞ」
オレが助けた彼女とは限らない。
天文学的可能性を引く奇跡が都合よく起きるなんて思っていないから。
「うーん、それはないかな」
「……?」
「寝てる間に同調して、無意識のあなたに会って、記憶を少し覗き見たけど……私の知る、前世の私が辿った記憶の通りだったよ?」
……プライバシーもへったくれもなかった。
いや前世で精神世界潜り倒して、想いを紡ぐためとはいえ無我の領域まで踏破した自分にとやかくいう権利などない。
「――千手縛鎖頼久だ。前世で助けた君に再会出来てとても嬉しい」
「結城寧です。 雄英高校サポート科1年生。よろしくね、あなた。あ、その……記憶覗き見した時に今生の女の子関係とかもうっかり知っちゃったから……まずは婚約者候補からお願いします」
いきなり婚約者候補ですか……たまげたなぁ(白目)。
「こちらこそよろしく」
「……このまま不純異性交遊に及んだら除籍不可避だったが、自重したようで何よりだ」
教室に入ってきた相澤先生の言葉にオレは飛び上がりかけた。
しかもなんかA組のほとんどが一緒にいるし!
「なっ!?いつの間に!?」
「そちらの結城さんの『……えっと、』からだね」「つまりほぼ最初から」「どんだけ二人の世界に入り込んでたん?」「あの固有結界の色ボケ状態のところに襲撃されたら間違いなく死んでましたね」
どうやら一部始終見られてたらしい。
「渡我被身子です! 頼久君の記憶見たなら分かると思いますが、淑女協定の締結よろしくお願いしますね!」「轟焦凍……前世がどうとか私は、わからないけど……簡単に譲るつもりとかないから」「八百万百ですわ!頼久さん前世からヒーローのような在り方だったのですね!お時間あるときに詳しくお話しましょう!」「うわ、3人の圧がすごい(By峰田)」
「あ、えっと……よろしくね?」
「お前どういう星のもとに生まれたら色々なモノを引き寄せる引力を身につけるんだ?……いや、オレとしては面倒事ないように避けたいからなんだが……」
「相澤先生! 収集つかないから! 緑谷委員長!クラスの手綱なんとか「ごめん僕昼休みのあと飯田君に委員長の座を譲ったから」なら飯「静粛に!静粛に!」」
「……で、オレの回復する頃を見計らって希望者という名のほぼ全員(爆豪と青山と麗日さんがそれぞれ用事で居ない)で押しかけようとしたら、オレと寧が保健室から追い出されるところで、周囲の警戒全然してないから普通に尾行して、空き教室での一部始終を覗き見したと……」
言っててコレ爺様や親父にバレたらしこたま鍛錬の予感で震えが止まらんがまあそれはさておき……。
「警戒心ゼロの敵を尾行する訓練にもなったし、何処かお前に壁を感じたり、人間的に何処か壊れてる感あるお前の人間的一面を確認した結果、全員が親しみを覚えたらしいから合理的行動だったと釈明しておく」
「精神年齢高い気がしてたけど、前世の記憶あるなら納得だし」「むしろ納得しかないと言うか……」「私たちの色仕掛けとか逃げてた本当の理由が寧さんへ操立ててたからとすると筋通りますしおすし」
誰かオレを殺してくれない?
社会的公開処刑ですやんこんなの。
「……とりあえず、オールマイトに用事あるんで解散で良いですかね? オレの安否確認できたし」
「なんの用事か分からんが(担任として)同行しよう」「相澤院!?」
「寧、コレ連絡先な。たぶん今日は19時から24時の間なら出られると思うから」
オレは即席で連絡先書いて渡し、オールマイトの行方を白眼で探知からのその場をあとにした――。
――Side オールマイト
「No.1ヒーロー。アンタの消えつつあるその受け継がれし焔の残り火を――計りしれぬ苦痛、あるいは味覚の喪失、あるいは寿命と引き換えに……蘇らせる方法があるとしたら代償と引き換えに受けるか?」
いきなり呼び出されて雄英高校の屋上に来た私と千手少年に相澤先生。
そしてそこで告げられた言葉に私は声を失う。
様々なモノを見通すその白い目は、おそらく私の力が残り火のように見えているのだろう。
いつか来ると分かっていたが、こうして誰かから言葉で終わりが近づきつつあるのを突きつけられると、来るものがある。
そして……力を受け継いでくれた緑谷少年の顔が脳裏に横切る。
彼はまだ雛鳥で、悪意に立ち向かえるかと言われたらノーだ。
……だからまだ……私が倒れるわけには行かない……ならば……。
「叶うなら……ね。まだ次の希望の象徴が育っていないのに、倒れるわけには行かない」
「そうか」
彼はいつの間にか包丁のようなものを両手に持っていた。
「!? 千手血迷ったか!」
相澤先生が捕縛布で縛り上げようとするがそれをかわす千手少年。
「先生、コレは殺しの技が生み出した、蘇生の秘技なんで……邪魔しないでくださいね」
彼の影から鎖のようなものが出て相澤先生を捕縛した。
そして――こちらを見ながら数歩歩いてきたと思ったら――いつの間にか千手少年は私の後ろの方を歩いていて――
「かハッ」
口から、身体から、血が噴き出す。
いつの間にか、内臓みたいなものが、私の周りに散らばっている。
しかし――私に「かつての怪我」も含めた傷がなく――同時に酷く空腹と若い頃感じていた筋肉痛ににた何かが全身を襲う。
「しばらく痛みは残りますが、頑張って明日から胃に栄養あるもん入れてください。数日中には治りますんで」
その言葉を最後に私は数年ぶりに、睡眠以外で意識を手放した……。