キヴォトスに転生したので推しに会いたい   作:かびたろう

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お久しぶりです。時間って経つの早いですね。

思ったんですけど、これタイトル
「キヴォトスに転生したので推しに会いたい」じゃなくて
「キヴォトスに転生したら推しに会った」じゃないのかと最近思った、まあいいか。



9話 バイトとラーメンとアビドスと

 

……どうもこんにちは天川セイラです、今日でフウカの家に自身が家を借りれるようになるまでの間、泊めさせてもらってから大体1週間とちょっとかな?

 

そういえば俺のヘイローや神秘についてなんだけど、未だによく分かっていない。フウカに俺のヘイローのことを聞いてみたら、一応ヘイローはあるらしい、でも他の人のヘイローは形などははっきり見えず、ぼやけて見えるらしいんだけど、俺のヘイローはぼやけて見えるかつ、透けて見えるらしい。ちなみに神秘についてはマジでよくわからない……。カービィのコピー能力が使えるからカービィ関連の神秘なのかもしれないけど。黒服だったらわかるかも?でもあんまり関わりたく無いんだよな……。

 

 

「セイラ?どうしたの?」

 

「……何でもないですフウカさん」

 

まぁ、はい。そんなこんなで一応1週間ということでフウカも俺に対してタメ口で喋ってくれるようになったわけで、でも俺は名前ではなんとか呼べるものの敬語はまだ抜けていない……。

 

「何でもないって顔ではないでしょ。何か悩んでるの?」

 

「あはは……」

 

……フウカの言っている通り今はヘイローでも神秘でもない理由で俺は悩んでいる、何で悩んでいるかって?それは……。

 

「バイトが……見つからねぇ……!」

 

俺は今バイト探しに悩んでいるのである、なんだって?キヴォトスじゃバイトはたくさんあるだろって?それはそうなんだが、俺は学校に通えていない、ということは前にも言った気がするが、キヴォトスじゃ人権がないようなもの(?)それに学校に通ってないということで保証とかうんたらかんたらでどこも雇ってくれないのである。一応単発バイトとかは行けるところは行っているが……。

 

「金が……圧倒的に……金が足りねぇ……!」

 

なんでこうも金が欲しいのかと言うと前述にも述べた通り、俺はフウカの家に泊まらせて貰っている身だ、ずっと泊めさせて貰う訳にはいかない。たがら迷惑をかける訳にもいかないので安定した職場を見つけ、なるべく早く家を借りれるようにならなければならないのだ。

 

「いくらお金が欲しいからって怪しいバイトはしないでね?」

 

「流石に分かってますよ……」

 

それにしてもどうするべきか……。

 

そんなことを思いながらスマホで求人サイトをスワイプする。

 

あ、スマホは充電すれば使えた、トラックに跳ねられても大丈夫なスマホだったね。後前世で使ってたアプリは使えなかった、というか何故か消えていた、ちょっと悲しかったな……。

 

「うん……?あれ?」

 

セイラに気になる求人が目に入る。 

 

確か……ここって……!

 

セイラはその求人を見た瞬間、その求人に応募する。

 

 

 

それから数日後……。

 

 

 

セイラはウィングの能力を使って飛びながらスマホに表示されているマップを見る。

 

 「えーと……確か多分ここだよな?……」

 

セイラが周りを見ながら地面に着地する。

 

「ここで、あってるのか?」

 

一度スマホを見て前を見る。

 

セイラの目の前には建物があり、その建物の入り口の上の方に柴関ラーメンと書かれた看板があった。

 

「ここが……!柴関ラーメンの店……!」

 

そう、あの時セイラの目に入った求人は柴関ラーメンの求人だったのだ。

 

まさか柴関が求人を出しているとは思わなかったな……。ヤベ、もう少しで面接の時間だ、早く店に入ろう。

 

ガラガラ……

 

セイラが店の引き戸を開けると真っ先にスープのいい匂いが漂って来る。

 

「すみませーん……」 

 

「いらっしゃい、好きな席に座ってくれ」

 

セイラが店に入って声を出すと、獣人の姿をした人が席の案内をした。

 

「あ、いえ今日の16時からバイトの面接の予約をしている天川セイラです」

 

「おお!兄ちゃんがセイラ君か!まってたぜ。セイラ君から見て左の奥の席に座って少し待っててくれ」

 

あそこか。

 

「分かりました!」

 

言われた通りに俺から見て左の奥の席に座る。

 

ここが柴関ラーメンの店の中か……。というかこの席確か、アニメのブルアカで便利屋が爆破した時に座ってた席じゃないか……?どうなんだろ。

 

「すまん!待たせたな!」

 

そう考えていると柴関の大将がやってきた。

 

「じゃあこれから面接を始めるとするか!」

 

「わかりました!」

 

そうセイラが言うと簡単な質疑応答が始まった。大体いつぐらいにシフトに入れるか、そして学校のことについてなどについて喋った。

 

それから数分後

 

「これで面接は終わりだ!」

 

「ありがとうございました!」

 

結構あっさり面接が終わったな。

 

「それにしてもセイラ君も色々と苦労してんだなぁ」

 

「まぁ……はい……」

 

「よし!採用だ!」

 

「……えぇ!?」

 

マジで!?そんなにあっさり決めていいのか!?

 

「採用ですか!?そんなにあっさり!?」

 

「あぁ、採用だ」

 

マジですか……。えぇ……、真っ先にここに来れば良かったな……。あの一週間は何だったんだ。

 

「えっとこんなこと聞くのはなんですが理由とかは……」

 

「……まぁ、理由としては最近ここも繁盛してきてな、人手が欲しいのと、そんなに若くして苦労してる子を見捨てられなくてな」

 

た、大将!!

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

「おうよ!」

 

そんなこんなあっさり柴関のバイトに受かった俺、やったぜ。

ていうかようやくバイトに受かった……、ふぅ……、これで少しは収入が安定すればいいんだが……。

 

グゥゥゥ……

 

「……」

 

なんか転生してから腹の減りが早くなってる気が……。カービィの神秘(仮)のせいか?

 

「あっはっは!!」

 

「すみません……」

 

セイラの腹が鳴り大将が豪快に笑う。

 

「いいってことよ!腹減ったんなら食ってくか?俺のラーメン!」

 

「食べます!お願いします!!」

 

セイラが即答する。

 

「俺のオススメは柴関ラーメンだがどうする?」

 

「じゃあそれで!」

 

「あいよ!柴関ラーメン一丁!」

 

マジか!食っていいのか!?柴関ラーメン!ブルアカプレイヤーからしたら、ブルアカ世界に転生したらやりたいことtop5には入ることだぞ!?多分。えーと……財布は何処にしまったかな……。

 

「あ、そうだお代は結構だからな!」

 

マジですか……。

 

大体10分後……。

 

 

「柴関ラーメンお待ち!」

 

ゴトッ

 

うっひょー!!!これが柴関ラーメン!!めっちゃ美味そうなんだけど!?

 

ゴクッ……

 

「麺が伸びる前に食っちまいな!」

 

「い、いただきます!!」

 

パキッ

 

 

ズルルルル……

 

そう言うとセイラが割り箸を割りラーメンを啜り始める。

 

モグモグ……ゴクン……

 

う、美味すぎるだろ!フウカの料理もすごい美味いがこのラーメンもすごいうめぇ!スープが麺に絡んでるって言うのか?こんなラーメン初めて食べた!!次は、スープを……。

 

ズズッ

 

レンゲでスープをすくって飲む

 

「うっま!?」

 

何だこれ!?醤油のコクっていうのか!?なんだかよく言えないがすごい美味いということだけはわかる!!

 

ズルルルル……

 

セイラが再び麺を啜り始める。

 

「いい食べっぷりだな!セイラ君!作る甲斐があるってもんだ!」

 

しばらくして……。

 

「ふぅ……ごちそうさまでした!」

 

「どうだ?うちのラーメンは!」

 

「もうホントにすごい美味しかったです!こんなラーメン初めて食べました!」

 

マジで冗談抜きで美味しかった!こんなラーメン初めて食べた……。ていうか俺ここで働けるんだよな……。よし!頑張ろう!

 

 

「でしょでしょ!ここのラーメンすっごく美味しいんだよ!」

 

「ちょっと、ユメ先輩!」

 

セイラがバイトを頑張ろうと思っていると後ろから声がかかる。

 

うん……?誰だろう?あれ……ユメ先輩……?

 

セイラが後ろに振り向く。

 

「お!ユメちゃんにホシノちゃん!いらっしゃい!」

 

……!?どぅぇえ?マジ!?ユメ先輩とホシノ!?ホシノはまだしもユメ先輩……。いや、そうだここ原作よりも2年前のキヴォトスだったな……。そうか……ユメ先輩まだ生きてる時期か……。

 

「すみません……大将、ご無沙汰してます」

 

「そういえば学校はどうしたんだい?」

 

「お仕事が終わってお腹が空いたのでラーメン食べに来ました!」

 

「嘘つかないでくださいユメ先輩、まだ業務終わってないのにユメ先輩がお腹空いたってゴネるから来たんでしょう。食べ終わったら学校に戻って業務の続きですよ」

 

「ひぃん……」

 

おぉ……ユメ先輩の生"ひぃん"だ……。

 

「あれ?そういえばこの人は?」

 

ユメ先輩が俺に対して疑問を持つ。

 

「あぁ、この子は……」

 

「天川セイラです、これからここでバイトさせて貰えるようになりました。よろしくお願いします!」

 

セイラが自己紹介をする。

 

「セイラ君って言うんだね!そうだ!私の名前は梔子ユメ!アビドスの2年生なんだ!よろしくね!さぁさぁホシノちゃんも自己紹介して!」

 

「……はぁ、なんで私まで……。アビドス1年の小鳥遊ホシノです、よろしくお願いします」

 

やっぱり全然違うな、2年後のホシノとは……。めっちゃ尖ってる……。

 

「梔子さんに小鳥遊さん!よろしくお願いします!」

 

「ユメでいいよ!セイラ君!あれ?そういえばセイラ君学校ってどこ行ってるの?見たことない制服だけど……」

 

「ていうかそれ制服なんですか?」

 

やっぱり聞かれるよなぁ……。

 

「あ、あぁ……そのことについてなんですが……」

 

少年説明中……。

 

「へぇ……、そんなことが……。だったらさ!アビドスに来たらいいじゃん!皆も大歓迎だよ!」

 

「皆と言っても2人しかいませんけどね」

 

「ひぃん……」

 

「あはは……」

 

おぉ、2回目のひぃんだ……、今日は贅沢だな……。

 

「それに私は反対ですよ」

 

「えぇ!?なんでよホシノちゃん!」

 

「当たり前ですよ、こんな身元も分からないような怪しい人をアビドスに招き入れるなんて、私は反対です」

 

「えぇ~そんな〜……。あ!そうだ!セイラ君は!?本人に聞いてみないと分からないよ!どう?セイラ君はアビドスに入りたい?」

 

アビドスか……。そうだな……。

 

「そうですね……。……すみません、お断りさせていただきます。小鳥遊さんの言い分も真っ当ですし、俺もしたいことがあるので」

 

「そっか……じゃあ仕方がないね。あ!それじゃあモモトーク交換しよ!スマホ出して!」

 

モモトーク……!転生前でいうL〇NEみたいなものだったよな……。モモトーク入れてたっけ?あ、入ってる。

 

セイラがユメ先輩とモモトークを交換する。

 

ピコン

 

「ホシノちゃんはいいの?」

 

「私は遠慮しときます」

 

「そう?」

 

ユメ先輩とモモトークを交換してしまった……。

 

「あ、それでは俺はこれで」

 

セイラが帰るために席を立つ。

 

「あれ?もう帰っちゃうの?」

 

「はい、結構時間たっちゃってますし、それにお客さんも増えてきてますしね」

 

話していたらいつの間にか店のなかに徐々にお客さんが増えていた。

 

「邪魔になってしまったらいけないので俺はもう帰ります」

 

「確かに……お客さんが増えグゥゥ……!?」

 

突如ユメ先輩のお腹が鳴る。

 

「あ!そうだった!そういえばお腹が空いてここに来たんだった!大将〜!柴関ラーメン大盛り2人分お願いします!!」

 

「ちょ!?ユメ先輩!私の分まで言わなくて良いです!」

 

「あ……ごめんねホシノちゃん」

 

楽しそうだな……。

 

「それじゃ俺はこれで!大将!ラーメンごちそうさまでした!」

 

「セイラ君!じゃあな!またバイトで!」

 

「セイラ君またね!」

 

「また……」

 

 

 


 

セイラが店を出てしばらくして……。

 

ラーメン美味しかった……また食べたい。……まだ夕飯まで時間あるな……少しここらへんを歩くか。あ、そうだ、帰ったらフウカともモモトーク交換しなきゃ。そういえばユメ先輩本当に優しかったなぁ……ユメ先輩死んじゃうんだよなぁ……。なんとか助けられないのか……。

 

セイラが夜風に吹かれながら考える。

 

……ダメだダメだ!考えるな。思ったが俺はブルアカ世界、ましてやキヴォトスにおいてイレギュラーな存在だ、簡単に原作を変えようかなんて考えるな……。でもなぁ……。考えても仕方がない……少し早いけどもう帰ろうかな。

 

「リーダー、多分あいつっすよね?」

 

「多分あいつだな……よし……」

 

 

後ろから何か聞こえるな……。

 

セイラが後ろを注意しながら帰るためにポケットに忍ばせておいた羽根を取り出そうとしたその瞬間。

 

ダァン

 

「!!」

 

後ろから銃声がしたその瞬間体を反らし、銃弾が頬をかすめる。そしてすぐさま後ろに振り向きながら距離を取った。

 

「くっ!」

 

「クソ!外した!」

 

アビドスのヘルメット団か。

 

「誰だお前ら。なんで俺を撃ってきた」

 

「……なんで私たちがお前を撃ったかって?私たちは依頼を受けたんだ、お前をここで襲えってな」

 

依頼を受けた……?一体どいつから……。まさか……カイザーとか?

 

「一体どいつから依頼を受けた!」

 

「すまないがそれは分からない、いつの間にかお前をここで襲えって手紙が置いてあったもんでね。最初は怪しんだがいかんせん多額の報酬でな、私たち金に困ってんだ、お前にはすまないがここで襲わせて貰うぞ!」

 

依頼主が分からない……?まさかだがあいつだったりしないか?まあいい……腹ごなしに戦ってやる!ここで試したい能力もあるし!

 

セイラがなにかを探すように周りを見渡す。

 

「お前ら!いくぞ!」

 

「「「おお!!」」」

 

お、あったあったこれぐらいでいいかな……っと。

 

ゴクン……

 

 

セイラが何かを掴み、飲み込む。

 

うぇ……ジャリジャリする……。

 

「お前、何そこでしゃがんでんだ!しかも何やってるんだ!お前ら!撃て撃て!!」

 

ヘルメット団がセイラに集中砲火を浴びせようとする。

 

「!!ヤベ!!………なんてね!!」 

 

サンドキャッスル!

 

セイラが腕を上に振り上げたその瞬間、巨大な砂の城が出来上がりその砂の城に弾丸が止められる。

 

「はぁ!?何だこれ!!何でこんなところに砂の城が!?」

 

コピー能力!!サンド!

 

「おいおい!いつの間にか変な帽子かぶってんぞ!」

 

なんか帽子のこといつも言われてる気が……。まあいいか。

 

「クソ!舐めやがって!」

 

突っ込んできたな、じゃあ次は……。

 

サンドウェーブ!

 

「いててっ!なんだこれ!?目眩ましか!?」

 

あれ……あまり効いてない?目眩ましにはなってるらしいけど……。あ!そうか!こいつらヘルメットかぶってるじゃねえかよ!だったら!

 

サンドキャプチャー!

 

その瞬間砂がまるで縄のように団員に絡みつき、セイラの方に引き寄せられる。

 

「グェッ!」

 

「よし!これを……」

 

一番団員が密集している箇所に捕まえた団員を投げる。

 

「どりゃぁぁ!!!」

 

すななげ!

 

「ぎゃあぁぁぁぁ!!」

 

投げられた団員が悲鳴を上げる。

 

「お前ら!避けろ避けろ!」

 

ドカーン!!

 

「よし!ストライク!」

 

「クソ!お前ら!あいつを囲い込め!そうすりゃ何も出来ないはずだ!」

 

なんだ……こいつらの動きが変わった?なにをするつもり……!俺を囲い込むつもりか!少し面倒くさいな……いや……。

 

セイラが少し動きを止め、その間にヘルメット団がセイラを囲い込む。

 

「ふっふっふこれでお前は何も出来ない!さっさと負けを認めたらどうだ!」

 

「これで勝ったと思ってるのか?来るならさっさと来い!」

 

「なんだ?負け惜しみか?だったら望み通り行ってやるよ!お前ら!行くぞ!」

 

その瞬間大量のヘルメット団が押し寄せる。

 

「これで……」

 

バッ!!

 

セイラが腕を上に振りかざすわ

 

「一網打尽だ!!」

 

デザートハリケーン!!

 

その瞬間セイラを囲うように小さな砂嵐が巻き起こり、その砂嵐に大量のヘルメット団が巻き込まれる。

 

「「「ギャァァァ!!!?」」」

 

バタバタドサ

 

砂嵐に巻き込まれたヘルメット団が落ちてくる。

 

「……お前ら」

 

残ったヘルメット団に話掛ける。

 

「まだやるか?」

 

「ひっ!退散たいさーん!!」

 

残ったヘルメット団が蜘蛛の子を散らすように逃げ始める。

 

「ふぅ……終わったな……」

 

セイラが疲れのせいか座りこむ

 

疲れた……。それにしても近くに砂があって助かった……。俺、能力がないとまともに戦えないし、ゲヘナで巻き込まれたとき能力がないと逃げてばっかりだもんな……。まぁいざとなったらウィングで戦ってたけど。あれ頭突きメインだから痛いんだよな……。

 

ブルブル……

 

セイラの腕が震える。

 

……やっぱりまだ慣れないな、銃弾は……。いくら回復するからって怖いものは怖い、それに食べ物を食べないと回復しないし……。この1週間、ゲヘナでも逃げてる最中にどれだけ撃たれたことか……。なんとか致命傷は避けてるけど、撃たれたその度度に食べて回復して、食べ物のストックが減ってるときはすごい焦ってたな……。

 

そう、セイラにヘイローはあるが、他の生徒みたいに撃たれたら“痛い“ではなく、セイラの場合撃たれたら普通に血が出るし、下手したら死んでしまう可能性がある、そしてその都度食べ物を食べて回復しているのである。

 

そんなことを思っていると、ふと、セイラの後ろに怪しい気配がした。

 

「クックック」

 

「!?」

 

セイラが振り向く。

 

「クックック……実に見事な戦いでしたよセイラさん」

 

……クソ……、こいつにだけは会いたく無かったんだけどな……。

 

そこには夜に紛れるような上下黒いスーツを着こなし、顔面も黒く、ひび割れている。そしてひび割れたすき間から光が漏れている異形の姿をした、キヴォトスの大人。

 

「黒服……!」

 

……まぁいつか来るとは思っていたけどここで出会うとはな……。

 

「おや、何故貴方が私の名前を……。まぁいいでしょう。セイラさん、端的に申し上げます。私と契約をしませんか?」

 

「断る」

 

「即答ですね。理由をお聞きしても?」

 

「当たり前だろ。急に現れた奴が「契約しませんか」だなんて怪しいに決まってる」

 

「それはそうですね」

 

そういやなんで俺に対して契約を持ち出したんだろうか……。まぁ大体分かるけど一応聞いとくか。

 

「……少し聞きたいことがある、次はこっちから質問していいか?」

 

「えぇ、どうぞ」

 

「なんで俺に対して契約を持ち出した」

 

「そうですね……セイラさん、貴方に対して興味があるので調べさせてもらいたいことがあるのです」

 

……こいつ言い方気持ち悪いな……。なんだよ俺に対して興味があるからってもうちょっとなにかを他の言い方ないのかよ。

 

「興味と言うと俺の力のことか?さっきの戦い、見てたんだろ?」

 

「えぇ、話が早くて助かります。そうです、貴方の先程使っていた力に、そして貴方の神秘に興味があるのです」

 

やっぱりか……俺の能力について……。そして俺の神秘か、神秘……。

 

「……黒服、契約っていうのはどういう内容だ」

 

「おや、契約する気になりましたか?」

 

「違う、少し気になるだけだ」

 

「そうですね……。まず契約の内容としては、貴方に血を提供して欲しいのです。そして貴方の力の実験を」

 

俺の血の提供……?体いっぱいとかじゃないだろうな……?

 

「それは……どれぐらいの血の量だ?」

 

「量ですか、えぇ、病院などでよく見る注射器一本分程度の血の量を定期的に提供してもらいます」

 

流石に違ったか……。注射器一本分を定期的に……。そして俺の力の実験……。

 

「俺の力の実験については」

 

「貴方の力の実験についてですが、簡単な身体能力のテストなどをさせてもらいます」

 

簡単な身体能力のテストか、耐久力テストとかでは多分なさそうだな……。

 

「分かった。じゃあその次に、俺に対してのメリットを教えて欲しい」

 

「えぇ、貴方に対して対価はですね。まず資金の提供、そして研究の結果を教える、そして貴方の望むものを差し上げます。これでどうでしょうか?」

 

資金の提供、研究の結果……。俺の望むものか……。

 

「……そうか、気が変わった。黒服、契約しよう」

 

「クックック……。そうですか……。つかぬことをお聞きしますが、気が変わったことについて理由をお聞きしても?」

 

「俺に対してのメリットが大きい。俺も知りたいんだ、俺自身の神秘について。自分だけで俺の神秘について模索するのもいいが、正直自分だけじゃ分からないことが多すぎる。だから黒服、お前みたいな神秘の専門家みたいな奴に調べてもらったほうがいいと思った」

 

「そうですか。では、後日にサインをお願いできますか?」

 

「あ、そうだ契約の条件についてなんだが、資金は俺は要らないんだ、だからそれを変更して欲しいんだが」

 

「それはいいのですが。本当にいいのですか?資金の提供をなくしてしまっても。恐らくですが貴方は、今日1日見ていたところお金について苦労していると見えたのですが」

 

なんかこいつしれっと今日1日見てたとか言ったぞ……?こいつストーカーかよ……。そういやこいつ先生大好きストーカー野郎だったな……。

 

「金については俺自身が働いて稼ぎたいんだ。そして条件の変更についてなんだが」

 

セイラが圧を掛ける。

 

「小鳥遊ホシノの件から手を離せ」

 

「……!!クックック。そうですか、分かりました。暁のホルス……小鳥遊ホシノさんの件からは手を離すことにしましょう」

 

あれ……あっさり手を離したな?資金からの変更には見合ってない、みたいなこと言われると思ったんだが……。

 

「あっさり手を離したな……?黒服?」

 

「えぇ、小鳥遊ホシノさんの件については少し残念ですが。セイラさんには小鳥遊ホシノさんと同等、いや、それをも軽々と凌駕するであろう神秘の可能性を見いだしましたので」

 

ホシノを超える神秘……俺が?

 

「私からとしてはこの3つの条件以外にも、なにかつけ足して来ると見越していたのですが、まさか条件の変更だけとは……クックック。実に貴方は謙虚だ……」

 

あれ……なにか大事なことが抜けてるような……?あ!そうだ!

 

「そうだ黒服、一つつけ足したいことがあるんだが……いいか?」

 

「えぇ、何でしょうか」

 

「俺に対して危害を加えない、という条件もつけ足してくれ」

 

「クックック……えぇ、分かりました……」

 

ヤッベェ……これ言ってなかったら結構ヤバいことになるような気がする……。言ってよかったぁ……。

 

「では、この契約内容で契約書を後日手渡しますのでその時にサインを」

 

黒服がセイラに後日契約書を渡すために、黒服が渡すための場所の住所を書いた紙をセイラに手渡す。

 

「後日、ここに来ていただければ」

 

「この日にここにいけばいいんだな、分かった」

 

契約してしまったな……。なにか見落として無かったらいいんだけど……。

 

「それはそれとして、セイラさん私が所属しているゲマトリアに入りませんか?」

 

「断る!!」

 

「そうですか……」

 

シュン……

 

なんだこいつ……。

 

そんなことをしていると……。

 

グゥゥゥ……

 

「セイラさん、お腹が空いたのですか?」

 

「いや、違う俺のじゃねぇよ」

 

どこからか腹が鳴る音が聞こえる……。一体何処から……。

 

「うぅ……」

 

……あぁ……さっき倒したヘルメット団からか……。

 

「そういえば黒服、このヘルメット団多分お前が寄越したものだろ」

 

「えぇ、そうです。おかげで少しですが、いい戦闘のデータが取れました」

 

「そうか、黒服こいつらに報酬は絶対に振り込めよ」

 

「えぇ、元からそのつもりです」

 

報酬を支払わないなんて言ったら今この場でぶん殴ってたな……。

 

「つかぬことをお聞きしますが、何故そのようなことをお聞きしたのですか?」

 

「あぁ、なんだが見過ごせなくてな……。多分こいつら金がなくて飯が食えないんだろう。だからお前が報酬を支払わないなんて言ったらお前をぶん殴ってた」

 

「おぉ怖い怖い。えぇ、間違いなく振り込みますのでご安心を」

 

「ならいいんだが……。あれ、そういえば今何時だ?」

 

セイラがスマホを見る。

 

「……!?ヤッベ!!もうこんな時間!!帰らねぇと!!じゃあな黒服!!」

 

「えぇ、また次お会いした時に。そしてセイラさん、私は何時でも貴方を見ていますよ……クックック……」

 

セイラがポケットから羽根を取り出し飲み込み、ウィングをコピーして急いでゲヘナに向かって飛び始める。

 

……やはり興味深い。砂を飲み込んだ時もそうでしたが先程鳥の羽根を飲み込んだ時も、いつの間にか帽子を被っていた、そして飲み込んだ対象の力を使うことができる……。そして先程セイラさんが圧をかけてきた際の神秘の高まり。セイラさんは自覚していないようですが、恐らくあれは……。まぁそれについてはいいでしょう、これからの研究で分かること……!クックック……これから貴方を研究できると言うことを思うと心が昂ります……!これからよろしくお願いしますよ、セイラさん……!クックック……クックックック……!

 

 

 

 

なんかさっき気持ち悪いこと言われたような……。

 

 

 

 

 





いつの間にか10000字近くになってました……。

次どうしようかな。
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