全自動怪人製造マシーンin異世界   作:あなたちゃん

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3:採用活動①

 

「んふふ。やっぱりあまり変わらない感じみたいだね。」

 

 

そう呟きながら、“外”を歩く。

 

少々色々と舞い上がり過ぎたので精神統一し、その後ドローンで得た情報の精査を開始。特に問題ないと見受けられたため、自身はあの基地から外へと出ていた。大気の構成も地球に似通っており、此方が把握していない未知の病原菌やウイルスなども無し。常人の数十倍の強さを誇る“怪人”であれば何があっても問題ないだろう、という判断だ、

 

しかしこの地は真なる『異世界』。私が検知出来ない危険もあることだろう。

 

支部長という大役を頂いたからには、思いつく限りの対策を講じるのが役目である。ピレスジェットとかいうどうにもならなかった存在もいるが、とにかく今は安全を期すべき。それゆえに基地奥深くに身を隠しておくべきなのだろうが……。

 

 

「私一人しかいないからねぇ。」

 

 

もしあの支部。『ニューヨーク第三支部』の人員そのままこちらに転移できていれば、使い捨て可能な戦闘員を送り出していたことだろう。適応率が低く怪人にすることが出来ない欠陥品ではあるが、それでも一般人の5倍以上。より鍛え上げ技術を学ばせれば並みの怪人程度なら簡単に制圧できるのが彼らである。

 

製作コストも安価で、強さもいくら未知の場所でも偵察程度であれば十分。まさに彼らにうってつけの仕事なのだが……。

 

 

「全員殺されたからなぁ、うん。」

 

 

戦闘員も、それより強い怪人も、全て怨敵ピレスジェットによって殺されてしまっている。今頃基地の廊下のどこかで血だまりになっていることだろう。つまり1人である。というか精神統一後に全員のバイタルを確認しにいったので1人は確定である。余りにも惨たらしく殺されていたせいでとってもナイーブに成ってしまったが、それでもやっぱり1人である。

 

とても悲しい。

 

 

「……とりあえず人手を確保しないと。」

 

 

この身は改造済みであるため十数日連続で仕事し続けても壊れることはないだろうが、精神は別。仲間がいれば耐えられるかもしれないが、一人では病んでしまう可能性が高い。少なくとも正常な判断を下せる状態ではなくなるだろう。

 

故に組織再出発に必要なマンパワーを確保するためにも、早急に“現地協力者”が必要だ。

 

ということで一定の安全を確保した後は、この支部長直々にフィールドワークに出発したのである。まぁ私自身が未知の存在をこの手で確かめたいという思いが9割ぐらいな気もするが、とにかく仕事を熟すことにしよう。

 

 

「して、今回の目的だけど……。やっぱり“彼ら”だよね。」

 

 

デバイス越しで確認した、緑色の小鬼。ゴブリンたちだ。

 

徘徊している1体を重点的に監視した結果、運よく彼らの巣らしき場所を発見することが出来た。事前調査の結果20名ほどがあの場にいたことを確認済み。まさに最上の結果と言えるだろう。

 

音声を聞いている限り、とても原始的な言語。というよりも犬猫が使用する単純な発声によるコミュニケーションしか行っていない。それゆえ私と高度な会話を熟すことは出来ないだろうが、やはり20という数字は強い。その半数を研究の為に切り刻むと考えても、二桁は残る。初手の“人手確保”と考えればかなり良い“現地協力者”だ。

 

 

「それに、見た目の割には力が強いみたいなんだよねぇ。」

 

 

正確な測定をしていないため映像からの推測にはなるが、人間の子供程度の背丈ながら成人男性と同等の身体能力を持つことを確認している。関節や体躯の問題からそれ以上のパワーを発揮することは難しいだろうが、十分な膂力。単純な荷運び程度であれば簡単に熟してくれることだろう。

 

 

「さて、そろそろ……。あぁいたいた。」

 

 

そんなことを考えながら歩いていると、見えてくる彼らの拠点。自然に出来た洞穴を活用した巣だ。

 

どうやら見張り番がいる用で穴の前に陣取っているようだが……、やる気がないのか欠伸をしているのが見て取れる。別にそれが何かというわけではないが、与えられた役目を真っ当に熟さない存在は酷く不愉快。欠伸ゴブリンは“研究素材”とすることを決めながら、少々やる気を高めていく。

 

 

 

「周囲に他の反応は無し。では、“勧誘”の時間といこう。」

 

 

 

特に何もせず、足を進め彼らの前に進み出る。

 

するとようやくこちらに気が付いたのだろう。欠伸を上げていたゴブリンが声を上げ始め、警戒体制へ。出入り口付近にいたのであろう他のゴブリンたちも飛び出てくるが……。彼らの顔に浮かぶのは、“嘲笑”。

 

 

「成程成程、その辺りは私の常識と同じみたいだね。生殖までそうかはわからないけど、忌み者にする文化はある、と。」

 

 

言葉を紡ぎながら、何も気にせず更に足を進める。

 

自身は戦闘をメインとする怪人ではないが、これでもデスカンパニーが誇る最高の教育機関。幹部育成校である『アカデミー』を卒業しかけていたのだ。眼前の相手が“どうとでもなること”ぐらい簡単に解ってしまう。デバイス上でも大丈夫だろうと考えていたが、実際に見てより確信を深めた形だ。

 

そんなことを考えていると、ゴブリンたちも行動を終えたのだろう。いつの間にか私の周りを取り囲み、それぞれの武器の切っ先を此方に向けている。

 

 

「ギャギャ!」

 

「何かしらの牙を括りつけた槍、人が作ったものを再加工したもの。石を削って作ったナニカ。初期石器文明程度ですかね? 野蛮ですねぇ? ほれ、それでどうするのですか? これから“お友達”になるのです。先手ぐらい譲って差し上げましょう。」

 

「……ギャッ!!!」

 

 

そう言ってみれば、あちらも自分が揶揄われたのが理解できたのだろう。

 

囲んでいた一体が強く踏み込み、そのまま先端を此方の腹へ。

 

何の抵抗もなくソレが突き刺さり、ゴブリンの顔に強い笑みが浮かぶが……。

 

 

 

「そう言えば名乗っていませんでしたかね?」

 

 

 

彼の槍が、徐々に吸い込まれていく。

 

それと同時に、消えていく肌の色。

 

彼らが見やすいように“半透明の水色”にしてみれば、一瞬のうちに溶かされ消え去った彼の槍が。

 

そしてその様子にあっけにとられたゴブリン目掛けて、“傷口”が開く。

 

槍の柄を辿り瞬く間に彼の身体に張り付いて行き、ゴブリンがもがこうとするよりも早く、その口内へとたどり着く。そして彼が悲鳴を上げるよりも早く、より内部に到達。何もできないよう拘束した瞬間、残る頭部の穴全てから“粘体”が侵入。瞬く間に脳へと到達し、“施術”が開始される。

 

時間にして数秒。他のゴブリンたちが驚きのまま身動きが取れない間に、彼に付着していた粘体たちが徐々に戻っていく。

 

そして残るのは、酷く濁った眼だけを残すゴブリン。

 

 

「皆さんどうも初めまして。新生デスカンパニー所属、そして此度新設された異世界第一支部の支部長を務めさせて頂いている、“怪人スライム女”です。今日は皆さんにとても素敵な提案をしにきました。」

 

 

そう言いながら軽く指を下へと振るうと、即座に跪く先ほどのゴブリン。

 

えぇえぇ、上手く行ったようで何より。専門ではないが、簡単な“洗脳改造”は私でも可能。そしてスライムという不定で粘体の肉体を持つ私であれば、体を開かずに施術を行うことなど容易。ふふふ、これで仲間が一人増えましたね?

 

 

「現在我が支部では絶賛人手不足でして……。すぐに働ける人を探しています。どうです? お給料は出ませんが、かの至高の存在である怪人クモ女様にお仕えすることが出来ますよ? まぁ貴方たちは構成員というよりも、資材扱いですが。」

 

 

攻撃したはずなのにダメージが無く、更に攻撃した味方がいきなり私に跪いたことが未だに理解できないのだろう。これだけ言葉を紡いだのだが、一切反応が無い。

 

いや確かに恐怖やそれに近い感情が少しずつ、しかし確実に彼らの中に埋め込まれたことは表情から見て取れるのだが……。う~ん、やはり畜生程度にクモ女様の素晴らしさを説いても通じませんか。仕方ありませんね。

 

 

「成程、沈黙は肯定という奴ですね。ではではご厚意に甘えるとして。」

 

 

その瞬間、自身の全身から針のように伸びる粘体たち。

 

私を囲んでいたすべてのゴブリン、その頭部の穴全てにこの身が入り込んでいく。もがき何とか取り外そうとするものもいるが、そもそもこちらは改造人間。どれだけ分割し細くした細胞、触手であっても常人程度の力でほどけるわけがない。

 

粛々と作業が進み、脳へと到達。ぱっと切り刻み処置を終わらせることで、一気に仲間が増える。

 

 

「……うん、完璧。じゃあ一応確認、全員手を上げてくださ~い。」

 

「「「ギャ!」」」

 

「はいよくできました。んじゃ、他の仲間の所に案内してくれるかな? 彼らも“スカウト”してあげましょう!」

 

 

うんうん、上手く行ったようで何より! これで直近の人手問題は解決、ですね!

 

 






感想、評価、お気に入り登録いつもありがとうございます。
してくれなかった人は洗脳処置させてもらいますね♡
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