黒鬼の動画編集班(個人)兼マネージャー   作:まあまああまあま

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うーん難産。超かぐや姫のメインがKASSENじゃないので戦闘描写が難しいですわね。
それはそうと雷くんが「俺の中学の出席番号きく?12番」とか言う面白男の可能性出てきてエグい。



ブランクあれども元上位勢につき

『さあ一回戦もこれが最終試合! 急遽雷、乃依が欠席となったBlack onyXだがなんと! マネージャーのミト、そしてヤチヨが参戦だぁぁぁ!!』

 

 忠犬オタ公の実況が会場に響き渡る。会場の熱気が高まる。月見ヤチヨの助っ人参加は珍しいものの初めてではない。人数が足りない場合にサポートとして入ることは度々あった。

 だが珍しいことには変わりない。その上、Black onyXの持つ人気が相乗効果となり期待が増していた。一部ファンは雷、乃依が出ないことに不満を覚えていたが、それ以上にBlack onyXと月見ヤチヨのコラボレーションに興奮していた。また、Black onyXのコアなファンは裏方のmitoが表舞台に出てきたことに驚きを隠せない。

 Black onyXのメンバーが度々mitoの実力について配信で語っていた。どれほどのものなのか。客席から見定めるような視線が注がれる。

 そんな中、当の本人たちはというと。

 

「ごめんね〜。ちょっと二人の実力的にヤッチョはだいぶ弱くなっちゃうみたいなんだ」

「帝、先に謝っておく。おれにマクロは期待しないでくれ」

「………………」

 

 ヤチヨのサポートは相手チームとの実力差を見極め本人にバフ・デバフが入る。プロゲーマーとして活躍している帝と、そんな帝とSETSUNAでならいい勝負になると自負しているmito。内部レートはかなり高く、この試合はヤチヨにそれなりのデバフが入ってしまうようだ。

 まあそれはいい、と割り切る帝。問題はmito。

 

 元々SETSUNA専ということもありSENGOKUについてはからっきし。大会ではBlack onyXの監督として名を連ねたりしてはいるものの殆ど眺めているだけ。戦術面はあまり期待できないだろう。出来る出来ないで言えば出来るのだろうが圧倒的に経験値が足りない。

 対する相手はBlack onyXに勝つために作戦を練ってきているだろう。また、この大会に呼ばれているように実力も担保されている。帝のIGLに全てが掛かっていると言っても過言ではない。

 

「ま、ミトに難しいことをさせる気はねえよ。お前はボトムレーン走れ。ヤチヨちゃんは俺と一緒にトップレーン落とすって感じで」

「つまりおれはボットで勝ってくればいいのね。あ、ビルドはこれがいいとかある? タンクとかサポートとか」

「タイマンで一番強いやつ」

 

 その言葉に笑みを浮かべるmito。ワクワクが止まらない。Black onyXのマネージャー業務に振り回され、牙はすっかり抜け落ちたと思っていたが、どうやら違うらしい。

 

「りょーかい」

 

 

 

第五話 ブランクあれども元上位勢につき

 

 

 

 KASSENには様々な武器種が存在する。例えばそれは刀であったり、弓であったり、ハンマーであったり、双剣であったりする。デザインなどをカスタマイズしたりユニークな形状の装備を制作できたりするが、あくまで形状だけであり武器種としては既存の武器種に分類される。例えば、月見ヤチヨの傘型の武器。あれは見た目こそ傘であるものの、データ的にはチャクラムなど投擲武器に分類される。

 また、武器の性能が違うのはもちろん、武器種によって装備可能なスキルも変わってくる。ハンマーであれば隠密スキルは使用できない、双剣ではチャージ攻撃ができないといった風に。

 武器種とスキル、そして武器デザイン。これらがKASSENのビルドの幅を無限ともいえるほどに増やし、複雑さ、面白さを担保している。

 そんな中でmitoが、かつてSETSUNAで最上位勢として君臨していた男がタイマン最強だと思うビルドは

 

「……よし、スキルセット完了」

 

 ──槍であった。

 そもそもこのKASSENというゲームにおいて遠距離武器はあまり強くない。一定以上のプレイスキルを持ったプレイヤーであれば回避は容易であり、基本的には牽制以上の意味をもたない。

 乃依など遠距離に特化しているプロゲーマーもいるため一概に弱いとは言えないが、一朝一夕で使えるようなものではない。あくまでミニオン狩りや牽制である。

 そんなこのゲームでメインとなるのは当然近接戦闘である。近接戦闘においてリーチがどれほど重要かなど、語るまでもなく歴史が証明している。

 尤もKASSENはあくまでゲームであり、リアルでの戦闘と比べスピードが速く三次元的な動きが生じるためリアルほどリーチが活きるとは限らない。しかし、それでもリーチがあるというのはそれだけで脅威である。

 

(それに、こいつにはとある()()()があるしな)

 

 あまり装飾のないシンプルな造りの槍の柄を撫で笑みを深めるmito。やがて試合開始の合図が鳴り響く。大きな桃に運ばれバトルフィールドへと降り立つ。

 帝と一瞬目線を合わせ、そしてすぐにライドモンスターに乗り込む。鷹を模した飛行タイプのライドモンスターは移動速度で地上型に勝るもののある程度まで行くとミニオンに落とされてしまう。ミニオンの感知範囲に入る直前で飛び降りるmito。地表に降下しミニオンを狩りながらボトムレーンの櫓へと走る。

 

『ボトム、敵がミニマップに映ってねぇ! 隠密スキルケア!!』

 

 次の瞬間、岩陰から人影が飛びかかってきた。ブロンドの髪を揺らした優しげな顔。普段は忠犬ハチ公とともに大会の解説をしている乙事照 琴(おっこてる こと)であった。

 柔和な雰囲気とは裏腹に、元プロゲーマーらしくその攻撃は荒々しい。意識の外からの攻撃を上手くいなすことが出来ず、HPが大きく削られる。流石にそれだけで落ちることはないがそれでも大いにリードを取られてしまう。

 

「過激だなぁ乙事照さん」

「今ので倒しきれないってマ?」

 

 それじゃ、なんて軽く言いながら戦線を離脱する乙事照。視界から外したのは一瞬だというのにもう位置を掴めない。隠密スキルも当然発動されており、ミニマップを確認してもアイコンは表示されない。

 これは、徹底的なmitoへのメタである。mitoがSETSUNAで──すなわち対人戦で優れた実力を持っているというのは乙事照も当然把握している。

 元プロゲーマーとして簡単に負けるとは思わないが、確実に勝ちを拾えるかと聞かれれば首を横に振る。

 

 ではどうすれば勝率を極限まで上げることができるか? そう考えたときに乙事照が思いついたのは相手の土俵(タイマン)で戦わないことであった。

 SETSUNAにおいて、隠密スキルというのは使われない。使う意味がないからだ。向かいあった状態でよーいどんで始まるSETSUNAにおいて相手から発見されにくくなり、かつミニマップに映らないだけのスキルを積む余裕などない。

 隠密スキルが活きるのはKASSEN*1やこのSENGOKUくらだろう。つまり、mitoは隠密スキルの対処に慣れていない。

 そう考えてのヒット&アウェイ。一撃離脱を繰り返しダメージレースを制しに行くスタイル。待ちに徹したとしても良くて相打ち、無理に牛鬼を倒しに行けばその隙を突かれ倒されるのが見えている。

 思考を巡らせているmitoへ対して二度目の強襲。警戒していたため一度目の攻撃ほど一方的に不利になることはないものの防戦一方である。

 

「嫌な事してきますね、勘弁してくれ、よっと!!」

「ここはSETSUNAじゃないっすから」

 

 一度切り結び、すぐさま飛びのき再度隠密状態になる乙事照。

 現状、乙事照が一方的にダメージレースに勝ち優位にいるかのように見えるこの作戦。しかしその実、なかなか薄氷を踏むかのような戦法である。

 まず大前提として離脱した際に完全に姿を隠さなければならない。姿が見えていればこの作戦を取るのが不可能となる。マップの把握と相手の視線管理、双方を完璧にこなさなければ取れない戦法である。

 また、これは急ごしらえの戦法である。乃依、雷が欠席になったという事は、当然だが乙事照にとっても意外であった。代打がmitoだというのを知ったのは大会が始まる直前。そこからこの戦法を思いつき、そしてそれを形にしているのは流石元プロゲーマーといったところか。

 さらに、これはあくまで一対一であるから取れる戦法だ。トップレーンが敗北し、そのままカバーが来て人数不利な状態となればこの戦法は崩壊する。じわじわ削っていくしかない現状、その可能性は十二分にありえた。

 

 しかし、ハマれば完封できる。確かな実力と仲間への信頼。乙事照はボトムレーンの勝ちをほぼ確信していた。とはいえ慢心はしない。徹底的に、最後まで削り取る。元とはいえプロゲーマー、慢心して詰めをしくじるなど許されない。だからこそ、淡々とヒット&アウェイを繰り返す。

 mitoに動きがあったのは五度目か六度目か、それくらいの撃ち合いの時。鍔迫り合いの最中、唐突に距離を取り、そして突きのモーションに入った。()()()()()()()()()()()()距離を取って。

 

(そんなに離れたらそもそも当たらんっすよミトさん)

 

 訝しみつつ、カウンターからの離脱の用意をする乙事照。そして、突きが放たれる。届きそうもないその槍の一撃は──

 

「ちょ、なんじゃそれ!!」

 

 途中で槍の上半分が()()()()()。槍版ロケットパンチとでもいうべきそれは乙事照の意表を突き、その胴体、脇腹を抉る。そしてmitoの手元に残っている槍の下半分、残された部分の先端からは刃が生えている。仕込み杖ならぬ仕込み槍とでもいうべきそれは、リーチはなくなるものの、相手の意表を突くことができ、かつ戦闘中の武器種変更を可能としていた。

 もちろんスキルは槍のままだが立ち回りが変わってくる。リーチを活かした一方的な攻撃から手数を活かした隙を与えぬ攻撃へ。射出した槍の上半分と手元に残された下半分。それらを両手に持ち、自在に振り回す。

 槍から二刀流へと立ち回りが変化する。今までの攻撃と異なるリズムにうまく対応することができずにいる乙事照。離脱しようにも、今までと違いクロスレンジで切り結んでいるため離れる隙を作れない。

 一歩も譲らぬ激しい攻防。戦いながら次第に牛鬼に近づいていく。mitoがそちらに誘導している。乙事照としてはその誘導には乗りたくない。牛鬼の近くは遮蔽物がなく、隠密スキルが使えないからだ。

 しかし、乗らざるを得ない。今戦闘のペースを握っているのはmitoである、仮に離れようとする動きをすればその瞬間に切り捨てられるだろう。

 

「自分の得意なエリアに持ってくとかやらしすぎ」

「乙事照さんの戦法のがやらしいでしょ」

 

 だだっ広い、遮蔽のないフィールドでお互い向き合う。武器は互いに二刀流。乙事照が隠密スキルを積んでいる分スキル的に負けてはいるものの、mitoも槍用スキルをセットしているため状況はイーブンといったところか。ここからは、シンプルなプレイスキル勝負になる。

 

「ところで」

 

 はずだった。

 mitoが両手に握る二本の剣、もとい槍の上半身と下半身を近づける。

 

「まさかこれが不可逆なものだと思ってたりしません?」

 

 焦る乙事照。今までリーチで劣る二刀流が渡り合えていたのは隠密スキルを活かしたヒット&アウェイで戦っていたからだ。

 乙事照はさっきの切りあいでプレイスキルはmitoのほうが優れていると理解させられた。もしこのヒット&アウェイが通用しないフィールドで、相手が槍になったら勝機はほぼない。剣を構えて駆け出し、接続をさせまいと切りかかる。しかし、それは一瞬遅かった。

 乙事照の持つ刃がmitoに届く前に、再び一つになった槍がそれを防ぐ。そして、剣をかち上げられ無防備な胴体に槍が突き刺さる。

 

 そうしてボトムレーンの熾烈な争いはここに決着した。

*1
バトロワモードのこと




捏造楽しい……楽しい…………。まあそのせいで書き上げるのに時間かかったんですけども。許してください。


読まなくてもいい設定コーナー
・一口武器解説 Gungnir(グングニル)
製作者:mito

 別に必中でもないし必殺でもない。ただ柄にあるスイッチを押すと槍の上半分がそこそこの速度で射出される。射出された槍はワイヤーで下半身と繋がっているため失うといったことは滅多に起きない。下半身のもともと槍の柄があった場所には短い刃があり、上半身と合わせて使うことで疑似的な二刀流ができる。
 また、上半身と下半身をジョイントすることで再度槍として使うことができる。戦闘中にプレイスタイルを変えることができるのが強みだが、使い手によっては槍・二刀流どちらもイマイチになってしまう武器。
 ロボアニメのロケットパンチのシーンを見たときに思いついた。開発当初の名前はロケットスピアだったが、思いのほか強かったためこんなダサい名前じゃいけない!と思い改名した。


ハーメルンのFAQを見ていたんですけど面白い情報が載ってました。

※参考情報(2015/09/21現在)
○「連載」かつ「通常投稿」の設定である小説の一話当たりの平均文字数
全体:4005字
調整平均8以上:7490字

参考:FAQ 一話当たりの最低文字数について

今だったらもっと短くなってそうですね。調整平均8以上で4000字くらいかしら。
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