ヘイキガミ   作:ヴェールヌイ510

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ここは日本。

そしてこれは、日本で働く一人のヘイキガミのお話。












入隊

 目が覚めた。

 緊張のせいであまり眠れなかった重い体を起こし、洗面台へ向かう。

 顔を洗い、寝癖を整え、軽く朝食を摂る。私には必要ないが、歯を磨く。

 そして、制服を着込む。

 髪色に似合うような黒い制服だった。

 翼も相まって、さながらカラスのよう。

 

 少ない荷物を持ち、愛銃を軽くチェックしてからケースに入れる。

 それから、部屋を出た。

 

「行ってきます」

 

 

 

 

 二駅ほど乗り継いで、目的地まで歩く。

 歩道を歩くので、脚部の車輪は使わない。

 長い坂道をしばらく歩けば目的地に着く。

 地図を確認し、私は立ったまま睡眠を敢行している警備員の横を通り過ぎて門をくぐる。

 東海空軍基地の門を。

 

 数多の部屋を通り過ぎ、やがて一つの部屋の前で止まる。

 2回ほど息を吸って、吐く。

 そして、扉を空けた。

 

「失礼します。本日666航空部隊へ入隊しました。

一五式汎用戦闘機影電(エイデン)404号機です」

 

 訓練通りの敬礼。

 手の角度。

 翼の角度。

 全て完璧。

 

「始めまして、影電404号機」

 

 隊長と思われる眼帯をした、同じ制服の少女が席を立って近づいてくる。

 

「共に頑張ろう」

 

 そう言って、手を握った。

 

「自己紹介が遅れたな、私の名前は影電013号機。ここの隊長だ」

 

 思い出したように敬礼を返す隊長。

 それに合わせて、部屋にいた隊員全員が敬礼をする。

 

副隊長(315号機)、ちょっと新入り案内してくるから書類頼む」

「了か―…えっ普通逆では!?隊長!?」

 

 驚く副隊長を置いて隊長は告げる。

 

「では案内しよう」

 

 隊長に連れられて部屋を出る。

 隊長の髪は癖っ毛なのだろうか、結構ボサボサだ。

 

「ここが、滑走路だ。…あとは特に何も言うことはないかな」

 

 髪から目を離して滑走路に目を向ける。

 当たり前だが、狭い。

 

「で、あの建物が宿舎」

 

 指差していったかと思うとどんどん歩いて行ってしまう隊長。

 

「ここが食堂」

 

 普通。

 

「ここが台所。自由に使えるよ」

 

 使えるんだ。

 

「人用のトイレ」

 

 私たちに必要ないのに紹介する意味とは。

 

「で、ここが君の部屋。私と同室」

 

 正直に言って部屋は、感想を出しにくかった。

 半分は新品かというほど整頓かつ清潔なのに対して、もう半分(隊長側)が酷い。

 服は畳まれずタンスに突っ込まれ、机には銃の手入れ道具が散乱している。

 床も半分だけ傷だらけ。この隊長、今見ると床を傷つけないためのカバーを履いていない。

 鳥型の脚部はカバーを付けるべきなのに…。

 

「どうした404号機?具合でも悪いのか?」

 

 心配した隊長が聞いてくるが、大丈夫だと答えると元の顔に戻った。

 どういう脳の構造しているんだろう。

 

「まぁいいや。午後に君を哨戒任務につかせておいたから、それで交流でも深めてくれ。放送するから、聞こえたら滑走路に集合」

 

 え?時間は?

 聞くまもなく、隊長は部屋に出てしまった。

 

「先が思いやられる…」

 

 ふと、ケースから銃を出してみる。

 愛銃、一五式半自動小銃。訓練生時代からそばにある銃。

 見るだけで、不安が和らいで行く気がした。

 

「…とはいえ、あの隊長大丈夫かな」

 

 やっぱり不安は拭えなかった。






ちょっとした解説
一五式汎用戦闘機影電
日本の主力戦闘機。陸海空で統一された戦闘機。
13㍉機銃と15㍉機銃がそれぞれ二丁ずつ装備されている。
ヘイキガミの場合は両こめかみに13㍉、両肩などに15㍉が装備されている。

一五式半自動小銃
装弾数十四発の半自動小銃。命中精度の威力を重視した結果反動が大きくなり、ヘイキガミ専用兵装となってしまった。
予備弾倉と、七発給弾クリップを使い分けることができるが、大体七発給弾クリップが普及している。

空軍
ある程度独立しているが、本土の内部のみ。
本土の外での行動は海軍か陸軍に臨時統合される。
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