オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
激しい雨に打たれているサッカースタジアム内のミーティングルームではコチヤーズメンバーが集まっていた。
コチヤーズの選手たちの表情が暗く、重たい空気が流れる中、サバミの司会で話し合いが行われていた。
「まとめると、百年の封印が解かれた晴奈は幻想郷に降り立って二つに分裂した。一つは霊夢と弾幕ごっこをして敗北、もう一つは私の魔法で超次元サッカー脳にされた……ここまでは分かるか?」
サバミの言葉に席に座るコチヤーズメンバーは全員頷くと、目の前の机にメモ帳を置く文が右手を挙げた。
「分裂した理由って……サバミさんは分かります?」
「片方が万が一、封印されてもいいようにな」
◆
晴奈が百年の封印から逃れた日の夜、曇り空の下、晴奈は霊夢から放たれた弾幕をその身に何度も受けていた。
着ている巫女服がボロボロとなった晴奈は霊夢に背を向けた。背中を向けられた霊夢はしかめっ面に変わる。
「私と同じ、空を飛ぶ巫女になった割には全く手応えなかったわね」
余裕の態度の霊夢に貶された晴奈は無表情を崩さず、一瞬にしてその場から姿を消した。
「勝負の前にした魔理沙を攫わないという約束……守ってくれるのかしら……」
その後、霊夢から離れた晴奈は真下の守矢神社に鼻歌混じりに軽やかに歩く早苗の姿を目にする。
「あの者に……半分の私を……」
早苗の前に降り立った晴奈は裸足の右足を振り上げ、無慈悲にも腹を蹴った。早苗は地面に横たわった。
◆
そして現在、サバミはコチヤーズメンバーに晴奈が中に入った早苗が守矢神社を離れたところまで話した。
「晴奈の半分は早苗の中に入ったその後、うまく操れなくて飛んでる途中、気を失って落下したんだ」
「なるほどな……」
ラックは浮かない顔でそう言い、考え事をするように天井を見上げると、再び険しい表情の再び文が右手を挙げた。
「サバミさん、そのことをいつから知ってたんですか?」
文の質問を受けたサバミは口をつぐんだまま土下座をした。突然の出来事に席に座る全員が一斉に立ち上がる。
「すみませんでした……キャプテンと初めて会った時から、キャプテンの中に晴奈が封印されてることを……」
普段おちゃらけているサバミから出た重いトーンでの謝罪に、チームメイトの表情が固まった。
「……頭を上げなさい」
アシカの声が飛ぶも、サバミの頭は地面に着いたままだった。見かねたように魔理沙がサバミの前に立つ。
「私は許さないけどなサバミ……早苗のこと、チームメイトに相談してほしかったな」
「ごめん……」
地に頭をつけたサバミは再び謝罪すると、魔理沙はミーティングルームの出入り口へ向けて歩き始めた。
「別にお前のことを嫌いになったからってわけじゃないんだが……コチヤーズを抜けさせてもらうぜ」
魔理沙の宣言に席に座るほとんどのメンバーが雷に打たれたかのように一瞬体が跳ね、立ち上がる。
「そろそろ魔法の研究に専念したくてな! 超強力な助っ人が来たから……私が欠けても問題ないだろうって」
「いやいや困りますよ!」
文はそう言って立ち上がると、アキスの右手が肩に乗せられる。文は口角が下がったアキスと目が合う。
「引き留めても無駄だと思うよ」
「……じゃあな!」
暗い表情から笑顔になった魔理沙は窓を開け、箒に乗って飛び、闇夜を切り裂くようにスタジアムを後にした。
「……すまん。私も十日後、仕事があった」
サバミはそう言うと唇を噛みしめ、周りに向けておじぎし、ミーティングルームを出ていった。
「サバミが仕事で試合に出れない? 嘘に決まってるな」
ラックの発言に周りは納得するように頷いた。すると突然、フナの目が見開いて周りを見渡し始める。
「ちょっと待って! 十日後、サッカーできるメンバー何人!?」
「……フナ、さすがに十一人はいるだろ」
ため息を一度吐いたラックはそう言い、周りの超次元サッカーの選手になれる人を指差し始めた。
「GKは橙。DFは我とカサゴとエリィと文。MFはシラウオとフナとキクラゲとフランドール。FWはアキス……足りないな。誰か一人、メンバーに加えないと……」
「……それなら私が一人、交渉しに行きますよ!」
無理矢理表情に明るさを取り戻すように引きつった笑顔をした文は窓からミーティングルームに出た。
「交渉って……相手は誰なのだろうな」
そう言ったラックは寂しそうに夜空を見上げていると、引き戸が動く音が響き、一人の者が入室する。
その者は両手を腹の前で重ね、灰色のロングヘアと兎耳をモジモジと体を揺らしているカナであった。
「あのぅ〜……私……試合に出たいです〜……」
「お前……いつも謎に実況してる……」
「謎にって酷いです〜……せっかく意を決してメンバー入りを頼み込んだのに〜……」
「そうか……! 実況だけじゃなく、プレーもいけるのか。なら頼む!」
そう言ったラックはジャンプして右の手のひらでカナの背中をはたいた。その時、アキスが首をかしげる。
「文が呼びに行った選手はどうするの?」
「それはその時決めよう」
「ラックって……キャプテンぽいよね〜。偉そうにしてるからかな〜」
キクラゲの発言で周りは納得したかのように何度も頷く。ラックは両頬を膨らませ、キクラゲを睨んだ。
「偉そうにしているは余計だ」
◆
一時間後、ミーティングルームに汗だくで笑顔の文と、涼しい顔をしているメイド服姿の咲夜が窓から入室した。
「連れて来ましたよ! 頼りになる助っ人!」
「咲夜さん!?」
目を大きく見開いたフナは叫ぶと、咲夜は両手で顔を隠しながら席に着いているフランドールの前に立った。
「妹様……いつ紅魔館にお帰りになるのですか?」
「……そんなの決まっているわ。次に勝つまでよ」
「そういうことでしたら……私も、次に勝つまで試合に出続けますわ」
「えぇ!?」
咲夜の宣言に一同叫ぶ。すると、何かに気付いた様子のフナが角の席にうつむいて座るカナを指差した。
「でもさっき、カナがメンバー入りしましたよ……」
「なら……カサゴは監督に戻り、カナと咲夜、二人とも出ろ! これはキャプテン命令だ!」
「ラックさん……キャプテンに任命されたんですか……?」
文の質問を受けたラックは勇ましい顔付きに変わって歩き始め、ホワイトボードの前に立った。
「さっき、我がキャプテン代理となった。面倒だと思ったが……他のメンバーだったら緩いチームになりそうだと思ったからな」
「……そろそろ、練習しない?」
フランドールはそう言って立ち上がると、ラックは走り始め、ミーティングルームを出た。
「よし! 皆の者! 練習するぞ!」
「いちいちキャプテン命令って言わなくていいですよ……」
エリィは小声でツッコむと、周りの者とともに立ち上がり、ミーティングルームを後にした。