オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話   作:みかづき椛

125 / 125
 百二十五話 第十一試合、キックオフ

 欠けた月の下で浮かぶサッカースタジアム、そこのメインコートの観客席はパラパラと席に座る者たちがいた。

 両ベンチの前に選手十一人が並んで立っている。クリアナイトの選手は全員、無表情であった。

 対するコチヤーズの選手の表情はそれぞれ個性があるものの、闘気を失ったような顔をしている者はいない。

 だが、赤いユニフォームに身を包む一人の者が照明の光に照らされた時、スタジアム全体が困惑する。

「キャプテン……!!」

 コチヤーズの選手たちはフィールドに向かって歩く背番号8の赤いユニフォームをまとう早苗に注目する。

 早苗はコチヤーズの選手と目を合わせることもなく、ただ、フィールドに向けて歩き始めた。

「とりあえず……キャプテンが無事なのはよかったけど……」

「おい、あまり動揺するな。キャプテンがクリアナイト入りする可能性は話してあるだろ」

 左腕に黄色いキャプテンマークをつけているラックは不安げな発言をしたカサゴに注意した。

「むしろキャプテンを取り戻すチャンスだ」

 ラックの言葉にチームメイトが小刻みに頷く。コチヤーズからは悲しみに打ちのめされている印象はなかった。

◆

 その後、クリアナイトとコチヤーズはそれぞれポジションに着いた。クリアナイトのキーパーは諏訪子。

 DFは白狼天狗四人と椛。MFはカールがある緑ロングで頭に一本のツノがある少女――高麗野あうん。

 他のMFは早苗と響子がいて、FWは晴奈と黒髪ロングで狼の耳がある少女――今泉影狼である。

 コチヤーズはGKが橙。FWはアキスと灰色のショートのカナ。MFはシラウオとフナと咲夜とキクラゲ。

 DFはフランドールとエリィとラックと文が並ぶ。センターサークルには晴奈と影狼が並んでいた。

フォーメーション

 クリアナイト(晴奈のチーム)

       諏訪子

  ハクロウ ハクロウ 椛 ハクロウ ハクロウ

     あうん 早苗   響子

        晴奈  影狼

 

      アキス   カナ

   シラウオ   フナ  咲夜   キクラゲ

  フラン エリィ ラック  文

        橙 

 コチヤーズ(早苗のチーム)

◆

 コチヤーズ対クリアナイトの第十一試合前半は見るに耐えない展開を観客に見せつけることとなる。

 前半が終わってハーフタイムが始まった頃、スコアは0−7と、コチヤーズはかなりの劣勢となった。

 ハーフタイム時、コチヤーズの選手たちはベンチの前で話すこともなく曇った顔をしていた。

「……希望はかなり薄い。けど、晴奈の集中力が落ちてる気がする」

 僅かな希望を見いだす咲夜の発言にも、コチヤーズのメンバーは一人も表情の曇りが晴れることはなかった。

「お前ら!! 勝つぞ!!」

 ラックは激励するも、元気のない返事をされるだけだった。悔しさを噛みしめるようにラックは歯を食いしばった。

◆

 後半開始、コチヤーズの攻撃からとなったが、ボールはすぐさま奪われ、ドリブル中の響子にカナが迫る。

「やまびこステップ」

 響子はカナの目の前でぐるりと旋回し、その反響でカナを仰向けに転ばせて抜き去り、早苗にパスを送る。

「やまびこステップが来たってことは……そよかぜステップが来ますよ!」

「そよかぜステップ」

 カナはそう叫ぶと、早苗は緑色の風を体にまといながらそよ風が吹くように咲夜に向けて一歩踏み出した。

「予言助かったわ」

 咲夜は右足を伸ばし、早苗から素早くボールを奪取した。前を走るカナに視線を向けた咲夜はパスを送った。

「ありがとう実況ウサギ。パスをあげるから点を取ってきなさい」

「ちょ! 言い方ひどい〜!」

 ふくれっ面のカナはパスを受けた瞬間、カナの付近を走る椛の背中から青と黒のオーラが噴き出す。

 オーラは両肩に山のような物があり、白い要塞のような見た目の化身――城壁巨兵ウォーボーグに変化した。

「ディスペア・フォートレス!」

 狂気に満ちた笑みを浮かべた城壁巨兵ウォーボーグは両腕を重ねて強固な城門の形に変えた。

 そして、城壁巨兵ウォーボーグは黒い泥のようなものをまとった両腕を地面に叩きつけ、カナを転ばせる。

「す……すみませ〜ん!」

 椛はボールを奪い、攻撃開始となったクリアナイトは素早いパス回しで、最後に空高くにボールが上がった。

「メテオアタック」

 空高く飛ぶ晴奈が踏みつけたボールを燃やし、流星のごとくボールは真下のゴールに向けて落下し始める。

「風神雷神!!」

 橙の両隣に青色と黄色で雷をまとう筋肉質マジンと、赤と薄緑で風をまとう筋肉質マジンが出現した。

 二体のマジンは片手を重ね、二つの手のひらを勢いよく前に突き出し、燃え盛るボールに激突した。

「うぐぐ……!」

 見るも無残なボロボロのグローブでボールを受けた橙は歯を食いしばりながら、後ろに押されていく。

 少しずつ威力が落ちていき、完全に勢いを失ったボールはゴールラインを割ろうとしているところで止まった。

「よーし!! ありがとう橙!!」

 満面の笑みのエリィは右拳を突き上げた。橙がゴールキックで飛ばしたボールをラックが受けた。

「橙のあの顔を見せられてはな……」

 ラックはそう呟いて静かに笑い、ドリブルし始めると、横からエリィが猛スピードで追い越していった。

「エリィ……!?」

 背中から青と黒のオーラを噴射したエリィは疾風の白虎を出現させ、ラックに鋭い視線を送る。

「分かった! 勢いのまま攻めて来い!」

 ラックはエリィにパスを送ると、エリィは疾風の白虎に飛び乗り、全身に緑がかった白い雷をまとった。

「シップウジンライ!!」

 疾風の白虎はジグザグに閃光のごとき速さで移動し始め、早苗を感電させながら吹き飛ばした。

「キャプテンに容赦ないな……」

 ラックはボソッとそう呟くと、化身を消したエリィはサイドを駆け上がるフランドールにパスを送った。

「こうなったら……破れかぶれだ!」

 フランドールは指笛を鳴らし、地面から出た燃えるペンギン五羽とともに炎の渦を描きながら上昇し始める。

「インフェルノペンギン!」

 ペンギン五羽に突かれたボールに、フランドールは左足の蹴りを入れ、ボールは炎をまとい、ゴールを襲い始める。

「その技、前半で止められただろ!!」

 ラックの怒号がフィールドに響き渡ると、諏訪子はジャンプして体を丸めながら縦回転し始めた。

「フェンス・オブ・ガイア!」

 諏訪子の前の地面から岩壁を出現させ、その岩壁はボールとペンギン五羽のくちばしが激突し始める。

 数十秒間の激突の末、ヒビが入った岩壁は音を立てて砕け散り、対するボールは衝撃で上へと飛ばされた。

「まだよ」

 ボールに向けてジャンプしたフランドールは炎の渦を作りながら体を横に回転し始める。

「ファイアトルネード!」

 フランドールはオレンジ色の炎をまとった左足でボールを蹴り飛ばし、ボールはネットに飛び込んだ。

 審判の長い笛の音がフィールド全体に響き、フランドールは歓喜の声をあげるチームメイトに囲まれた。

「フランドールさん凄い! 上に弾かれたボールに反応するなんて!」

 無邪気な笑顔のエリィはそう言うと、したり顔のフランドールは振り返ってエリィと目を合わせる。

「ただ諦めてないだけよ」

「みんな!! フランドールを見習って最後の最後まで諦めないで行くぞ!!」

「おーー!!」

 ラックの声かけに周りは力強く返事をした。それはコチヤーズに明るさが戻った瞬間であった。




出てきた必殺技
響子 やまびこステップ
早苗 そよかぜステップ
椛 ディスペア・フォートレス
晴奈 メテオアタック
橙 風神雷神
エリィ シップウジンライ
フランドール インフェルノペンギン
諏訪子 フェンス・オブ・ガイア
フランドール ファイアトルネード(無印)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。