オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
真空の闇にガラスが砕けるような亀裂が発生、その亀裂は瞬く間に広がり、裂け目から一人の女の子が吐き出されるように現れた。
その女の子は白の着物を着用し、黒髪はおかっぱで身長は百五十センチほどで、首の左側に三日月形の傷跡があった。
「……ようやく出られた」
女の子は黒い細身の剣を出現させ、右手で憎しみを込めるように強く握る。
「私を閉じ込めた神……あなたとあなたが管理する世界を……滅ぼす」
脳裏に年老いた男の声が蘇る。
『異世界を管理するための力を注ぎすぎた結果心が乱れて暴走したのか……解決策を考えるまで封印せねば……ひとまず百年……』
女の子は歯を食いしばったその時、女の子の姿が一瞬にして消えた。
◆
月面にある都、無数の兎耳を持つ玉兎たちが行き交う街の中心、そこに黒い剣を右手に握った女の子が降り立った。
「誰だ!」
「侵入者だ!」
周囲の玉兎たちが一斉にライフル型の武器を構える。次の瞬間、衝撃波が空気を裂き数名の玉兎が吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。
「速い……!」
「お前は何者だ! 何が目的だ!」
「名は……黒幕子《くろまくこ》と名乗ります。目的は神と異世界を滅ぼすこと」
再び黒幕子は剣撃を玉兎に当てる。しかし刃は肉を裂かず骨を砕かず、ただ圧倒的な打撃を与えるだけだった。それでも玉兎たちは次々と膝をついていく。
「強い……月の民をここまで……」
一匹の玉兎が苦痛に顔を歪めながらもどこか歓喜に近い笑みを浮かべ、上空を指差した。
「依姫様!!」
顔を上げた黒幕子が視線の先にはピンクのポニーテールを黄色いリボンで結んで赤い袴をなびかせた少女――綿月依姫が黒幕子を睨んでいた。
「あなたは何者です? なぜ月に仇なす?」
「月……?」
「月だと知らなくて……ここに来た?」
黒幕子は質問に答えず、ただ一瞬で間合いを詰めた。
「くっ!」
刀と黒い剣が激突、玉兎たちは悲鳴を上げながら戦場から逃げ始める。
「神はどこに……異世界の神はどこにいる!」
「異世界の神……? 神に会いたいのなら見せてあげましょう……」
依姫が刀を高く振り上げた瞬間、周囲の玉兎たちが一斉に空へ飛び立った。
「依姫様が本気を出される! 離れろ!」
◆
数分間、剣と刀が激しく交わり、黒幕子はいくつか傷を付けられるも、傷は瞬時に塞がり再生していた。
(この娘はまさか不老不死……!?)
「……感じられない」
「何がです……?」
「神の気配が……どこにも」
その言葉を黒幕子が発したその後、一瞬にして消えた。
「逃げた……!?」
遠くの空中から戦場を見下ろしていた玉兎が歓喜の声を上げ始める。
「やったー! 依姫様が追い払ったぞー!」
「まだ喜ばないでください! どこかに潜んでいる可能性があるので見つけ次第、私に報告を!」
依姫は鋭い目で周囲を見渡し、緊迫した表情のまま高く飛んで空中に留まる。
(只者ではない……一刻も早く仕留めねば)
◆
壁も床も天井も全て深い緑の部屋、丸いテーブル一つと椅子三脚があり、すべて同じ色で統一されている。そのテーブルを囲む三人の姿があった。向かいに座るのはほおずきみたいな赤のロングボブとおでこの角がある見た目20代前半くらいの女性――ユニ。そしてその隣にはクリーム色の長い髪をなびかせ背中に純白の翼を持つ美形の見た目20代前半くらいの男性──ペガが座っていた。
「今日は急な呼び出しに応じてくれてありがとう」
リードシクティスの挨拶に、ペガが勢いよく立ち上がり翼をバサリと広げた。
「いちいち立ち上がっている場合ではありません!」
ペガをリードシクティスが睨みつけると、ユニがくすりと笑う。
「リードちゃん、ペガはああいう奴なのは分かりきってるから気にしないほうがいいよ!」
「……気にする」
「相変わらず固いなリードシクティスは」
ペガは再び腰を下ろし、腕を組んだ。
「で……本家地球の月から異世界の魔力が漏れてきたって話か」
鋭い目つきのペガが切り込む。
「古い文献を当たったところ……百年程前に失敗した世界の神候補を宇宙に封印したらしいのです……」
「神候補……!?」
ユニとペガが同時に声を揃える。
「つまりリードちゃんの先代だったかもしれない人……ってこと? なんで封印されたの?」
ユニの質問にリードシクティスは静かに頷いた。
「う〜ん……力が強すぎて暴走したせいなのか仕方なく封印したのだと……多分」
「じゃあ……あの子は百年封印されてたってことか」
「そういえばリードちゃんって弟さんと二人で神やってるよね? 一度失敗したから二人体制にしたとか?」
リードシクティスの肩がピクリと一度動くと、ペガが羽ばたくのを止めて席に座り、テーブルに片手をついた。
「どうする? 今から三人で戦って止めるのか?」
「それが……今その子は幻想郷に移動したみたいで」
「幻想郷!?」
「少女ばかり活躍しているって噂の……?」
ペガの質問にリードシクティスは小さく頷く。
「だから……こちらも女性の強者だけで編成しようと思っています」
「ふっ……相変わらずルールに縛られる女だな」
ユニが笑いながらリードシクティスと肩を組む。
「あ、リードちゃんが少女なら私も少女だよね!」
「ちょっとユニ、あなたの世界はどうするの?」
「え? 友達でしょ?」
軽い返事にリードシクティスとペガが同時に顔をしかめる。
「お前が抜けたら世界がヤバいだろ」
ペガの指摘にユニがしょんぼりと肩を落とす。
「う……うん……」
「まぁ、リードシクティスは弟がいるから大丈夫だろうけどな」
ペガの一言でリードシクティスは顔に力を入れ、トマトのように頬が赤くなる。
「弟は……攻撃特化なんです……! 私がいなければ……!」
「過保護だなお前」
「……話は終わりです。皆さんにはあの女の子の動向にだけ注意してください」
リードシクティスはその場から瞬間移動で姿を消す。
「やれやれ……」
ペガも消え、その場にはユニ一人となった。
「リードちゃん……あの子、私たち三神が揃っても勝てるか怪しいのに……どうするつもりなんだろう……」
ユニは首をかしげ、瞬間移動でその場から姿を消した。
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