オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
二十五話 落とし物
コチヤーズとクリアナイトの第二試合の数日前、博麗神社の鳥居前でサバミは突っ立っていた。
サバミは火のついたタバコを咥え、晴れ渡る幻想郷の青空を見上げていると、近付く者が視界に捉えた。
「……誰か来た。霊夢の見舞いか?」
近付くその者はその亜麻色の髪を真ん中分けにし左右を髪飾りで二つ結びにした少女――玉造魅須丸であった。
(なんだこの……おでこを露わにした勾玉レインボー女は……! でこフェチだから心くすぐるぜ……)
◆
数分後、境内の建物から出てきた魅須丸は鳥居の前でサバミの前に立って会話をし始めた。
「いや~、霊夢への愛され度はなまら凄いっす!」
「……陰陽玉の継承者を失うわけにはいきませんからね。サバミくんの治療はどれくらいで終わりそうなんですか?」
「あと数日です……次の試合には間に合わなさそうなんですがね……」
魅須丸は不思議な者を見る目つきに変わり、首をかしげて苦笑いをしているサバミの顔を見つめ始める。
「試合……とは?」
「超次元サッカーです!」
サバミは足元に転がっていたサッカーボールを拾い上げると、魅須丸は目を大きく見開いた。
「まんまるかと思ったらまんまるじゃない!」
「すみません……」
「とにかく! 博麗霊夢くんのことは頼みましたよ!」
「はい! 異世界の現冥王がバッチリやってみせます!」
サバミは自信満々に胸を張ってそう宣言した時、数十秒時が止まったかのように表情が固まる。
「あ……冥王の大鎌」
「冥王の……鎌?」
「忘れてた……! 冥王の大鎌を持ち帰ってなかったんだ! あれはすごく大事で、なまら危険な武器なんですよ!! あいつと戦闘した場所……山の何かの入り口の近くに落ちてるはずなんだ……」
慌てた様子でサバミは頭を抱え、付近をうろつき始めた。見かねた魅須丸がサバミに尋ねる。
「……もしかして虹龍洞?」
「あ、確かそんな感じの!」
「案内してあげますよ。飛べますか?」
サバミは背中に天使の翼と悪魔の翼を生やし、自信満々の顔付きに変わって飛行し始めた。
「飛べます!!」
◆
虹龍洞の入り口付近の地面に突き刺さっている異様な存在感を放つ大鎌の刃に、何者かの影が近付く。
その者は、灰色のロングヘアをなびかせ手にスコップとツルハシを握った少女――姫虫百々世であった。
「ツルハシ……? いや鎌か……」
「触るなっ!!」
百々世が冥王の大鎌に触れようと右手を伸ばした瞬間、叫び声が響き、百々世の動きが止まる。
天使と悪魔の翼を広げて宙に浮かび、真下に睨みをきかしているサバミは百々世と目が合う。
「誰だお前は」
百々世は尋ねると、サバミは微笑みながら下降し、素早く大鎌の柄を掴み地面から引き抜いた。
「いや~悪いな! これはなまら危険な代物で、私しかまともに持てないんだ!」
サバミは張り詰めた空気をかき消すように照れ笑いを浮かべながらその場から逃げるように飛び去った。
「なんだったんだあいつ……」
◆
飛行中のサバミは背後から近付く魅須丸に追いつかれる。並んだ二人は会話をし始める。
「異世界の住人はまだ弾幕勝負ができないんですか?」
「み……魅須丸さん……弾幕勝負は難しいっすよ……」
サバミが苦笑いした直後、視界の端で白い物体が地面に落ちているのに気付き、速度を落とした。
「なんだあれ……?」
二人は地面に降り立つと、草むらの上に落ちている紙垂が付いたお祓い棒が視界に飛び込んだ。
「お祓い棒ですね。博麗霊夢くんが落としたのでしょうか?」
「これは私が持ち主にちゃんと返しておこう」
「ちゃんと忘れずに返してくださいね。サバミくんは約束を忘れそうな人だから」
「酷いな〜!」
サバミはムスッと頬を膨らませ、笑顔に変わり、その場は和やかな空気に包まれていった。