オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
幻想郷の人里から少し離れた地でサバミは火がついたタバコを口に咥えていた。
(FWに転向したアキスは秋を愛する高速剣士……魔力も強いし足も速い……あいつと誰かをミキシマックスさせれば、六の力の電光石火のスピードストライカーが作れるかもしれない……こちらの世界にタイムマシンはないが……代わりの人材を探してみるか……)
突然、サバミの背後に依姫が降り立った。
「あなた、上空に浮かぶ施設から出てきた方ですね」
「うわっ!」
サバミは驚き、慌てるように振り返る。
「誰だあんたは!?」
「お初にお目にかかります。綿月依姫と申します。簡単に申し上げれば月の都のリーダーを務めています」
(月の都のリーダー……宇宙への封印が解けて月へ飛んだという話はシクティスさんから聞いたが……)
ジッとサバミは依姫の顔を見つめ始める。
「攫われた私の姉様と部下の兎たちが『超次元サッカー』なる競技に強制参加させられていると耳にしまして」
サバミはハッとして依姫の両肩に手を当てた、
「そうか……姉を取られたのか……だったら、あんたも一緒に出て姉様と部下を救おうぜ!」
「分かりました」
◆
数日後、クリアナイトとの第三試合の朝、空中に浮かぶサッカースタジアムのミーティングルームの引き戸が勢いよく開かれて霊夢が入室した。
「おっ! 霊夢! 試合出る気になったか?」
サバミが椅子から立ち上がってニヤリと笑う。鋭い視線を向ける霊夢に近付く。
「お祓い棒は持てないスペルカードも使えない……もうほんとうんざり! サバミ! いつになったら治るの!?」
「霊夢さん! 大変申し訳ございません! もしよろしければこれを……!」
慌てるように霊夢に近付くリードシクティスは深々と頭を下げながら黒い手袋を霊夢に差し出した。
「これは?」
「痺れに強くなる手袋です……!」
「もう意味ないんじゃないの……? まあ一応つけるけど」
霊夢はため息をつき、リードシクティスに手袋を装着してもらった。
「ちょっと話いい?」
「え……はい……」
霊夢の提案で自身を含めたサバミとリードシクティスの三人はミーティングルームを出た。
「それで突然なんだけど……その黒幕子って前に幻想郷に来てたりしてない?」
「え? えっと……異世界転生してから封印されるまで他の世界には行っていないはずです」
サバミがとぼけた笑みを浮かべた。
「一回対決した時に何か感じたってことか。根拠はあんのか?」
「え? 勘だけど」
「勘かい! なぁ霊夢、メタ発言風に言うとあいつは完全オリジナルキャラだからな」
「黒幕子は出身である北海道で亡くなってから異世界に転生して……」
霊夢が右手を振って話を遮る。
「もういいわ」
「そうか! 切り替え早いな!」
◆
数十分後、迷いの竹林の薄暗い小道をコチヤーズ一行が進んでいた。
「もこー!」
「てゐー!」
数人の声が竹林に響き渡る。
「……ねぇ本当に大丈夫なの?」
霊夢が不安げにリードシクティスに尋ねる。
「まあ……一度迷ったら私たちの魔法でなんとか戻ってこれますから……」
歩を進めているシラウオが立ち止まる。
(穴が……)
突然、前方に並んで歩いていたリードシクティス・フナ・アキス・キクラゲ・サバミ・カサゴが突然二メートルの深さがある穴に一斉に落ちた。
「ぎゃーー!!」
アキスはすぐさま素早く壁を二度蹴り、軽やかに地上へ飛び出した。
「うわっ! すごい身体能力ですね!」
カサゴはあんぐり見上げてそう言うと、サバミにポンと肩を乗せられる。
「行くぞカサゴ!」
サバミは背中に天使の白い翼と悪魔の黒い翼を生やして力強く羽ばたかせて上昇し、カサゴも黒い悪魔の翼を広げて穴から脱出した。
「お姉ちゃーーん!」
イヨカが泣きそうな顔で叫んで姉たちが落ちた穴に駆け寄り、地べたに寝そべって穴に向かって右手を差し出す。
「つかまってーー!」
「イヨカでは無理だ。お前も落ちる」
ラックは冷静に返し、一回のジャンプで軽々と地上に戻った。イヨカはパッと表情が明るくなり、思いっきりラックを抱きしめた。
「やっぱりすごいジャンプですね。それでもキーパーに向いてないんですか?」
妖夢はボソッと魔理沙に耳打ちする。
「そうらしいな。早くゴールキーパー向きの人が出てきて欲しいが」
「お姉ちゃーーん! 助けてーー!」
フナの悲鳴が響く。シラウオが仰向けになり静かに右手を穴に差し出した。
「ジャンプしてつかんで」
「お姉ちゃん……気付いていたならすぐ教えてよ……」
「ごめん」
シラウオが無表情で謝ると、フナの手を掴んで妹を引き上げた。
「もう……お姉ちゃんはこういう所が抜けてるんだから……」
(ぬけぬけのフナが何を言っているんだ……)
ラックが横目でフナ見て内心でツッコむ。リードシクティスはゆっくりと浮上し、心配そうに穴の底にいるキクラゲを見下ろす。
「私は飛べるのですが……キクラゲさんは……」
魔理沙がうつ伏せになり、穴に向かって手を差し出した。
「ほらキクラゲ、キノコ引っこ抜くみたいに引き上げてやる」