オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
満月の光に照らされている永遠亭の縁側に苛立った様子のラックが立った。
「黒幕子全然来ないではないかー!!」
ラックの肩にサバミが手を添える。
「まぁ落ち着けって、ナイターの可能性もあるんだぜ」
「それなら最初からそう言ってくれ……!」
近くに立つ輝夜がくすくすと笑う。
「今宵は満月よ。きっと満月の光に照らされながら試合をしたかったのね〜」
「知らんが」
「で……でたーー!!」
フナと妖夢が同時に声を上げ、鬼のような形相になった依姫は刀を抜いて切っ先を黒幕子に向けた。黒幕子は物怖じせず立ち尽くす。
「黒幕子!! 姉様はどこにいる!」
全力疾走でサバミが依姫の前に駆け寄り、依姫を睨みつける。
「落ち着け依姫、まずは試合だ」
冷静な顔付きの永琳はカナの頭を激しめに撫でながらその場に現れた。
「ここで殺しても豊姫様が無事に帰ってくるとは限らないわ。少し大人しくして」
依姫は唇を噛みゆっくりと刀を納めた。
「……分かりました」
「で、試合はどこでやるんだ?」
黒幕子は無言で上を指差した。
「上です。一面茶色の砂、重力は少し軽く、時折流れる砂で足を取られる」
サバミの目が見開かれる。
「おい……まさかイナイレGOのデザートスタジアムとGO3のサンドリアスを合わせたようなフィールドなんじゃないだろうな!?」
周囲の全員が首を傾げ、サバミの熱い独り言に困惑の視線を向けた。
◆
数十分後、永遠亭の上空に茶色の砂のフィールドが浮かび上がっていた。クリアナイトのベンチには黒幕子を中心に黒いキーパーユニフォーム着用している灰色ロングに冠を乗せている塵塚ウバメ、赤いユニフォームの玉兎五人、水色の短髪に短い兎耳があるレイセン、浅葱色のダブルおさげと長い兎耳がある清蘭、ブロンドボブにハンチング帽に短い兎耳がある鈴瑚、因幡てゐ、鈴仙・優曇華院・イナバの十一人が並んでいた。
「お姉ちゃんは……いるんですか?」
フナの質問に依姫は静かに首を振った。
「いいえ……いません」
「コチヤーズ全員集合!」
号令をかけた日狭美の元にコチヤーズメンバーが集まる。
「FWはアキスと魔理沙のツートップ。サイドハーフはシラウオと依姫。ボランチは妖夢と早苗。サイドバックはサバミと萃香様。センターバックはリードシクティスと霊夢。そしてゴールキーパーはラック」
サバミは静かに残無の側に寄る。
「霊夢がいきなりスタメンって……練習してないのに大丈夫ですかね総帥……」
「役立たずなら交代させればよい」
ラックが隣でフラフラしている萃香を力強く指差す。
「巫女よりも気になるのが、酔っぱらい鬼がなんでスタメンなんだ!?」
日狭美はラックの頭を両手でがっしりと掴む。
「残無様には何か狙いがあるはずです」
リードシクティスは両手を勢いよく合わせてパンッと大きな音を出し、視線を集める。
「黒幕子によると数分間だけフィールドで練習していいそうです」
リードシクティスが両手を挙げると全員の服装が一瞬で緑のユニフォームに変わった。霊夢の背中には大きな0の番号が描かれていた。サバミが思わず吹き出し、笑いを堪えるように両手で口元を押さえ始めた。
◆
霊夢を除くコチヤーズのスタメン十人が、砂のコートで軽くパス練習を始めた。
サバミがシラウオへパスを出すがボールが予想以上に伸び、タッチラインを越えてしまった。
「くっ……やっぱりパスが伸びるな……」
シラウオがボールを拾いに行きサバミは真顔に変わる、
(前の埴輪戦では圧勝だったのになぜ急遽ナイターで厄介な砂のフィールドに……おかしい)
視線をクリアナイトのベンチに移すと黒幕子と残無が何やら会話をしていた。
(あいつは総帥となにを話してる……?)
一方、コチヤーズのベンチでは妹紅が慌てた様子で空から降りてきて輝夜の隣に腰を下ろした。
「輝夜……上空に突然大量の砂が……何事かと思ったらこれがその……超次元サッカーってやつか?」
「そうよ! 妹紅も一緒に観戦しましょ〜」
「そうだな……」
輝夜に笑顔を向けられた妹紅はため息をつきながらもベンチに座った。ベンチの並びは左からカサゴ・フナ・イヨカ・キクラゲ・輝夜・妹紅・文。そこへ残無が戻ってきてカサゴの隣に座る。
「総帥、何を話してきたんですか?」
「交渉をな」
「交渉?」
「黒幕子は呆れていたな。弱すぎると……だから第三試合には特別な勝利条件がついた。クリアナイトは6点取れば勝ち、コチヤーズは1点取るだけで勝ちとなった」
ベンチのメンバーが一瞬凍りついた。
「え!? 1点で勝ち!?」
突然、残無の右隣の空間が紫色に引き裂かれ、スキマから紫の顔がひょっこりと覗いた。
「紫!?」
霊夢が驚きの声を上げて紫に近付く。
「霊夢の初試合は絶対にこの目で見たいじゃない」
「あっそう」
霊夢は照れを隠すように紫から視線を逸らすと、サバミが満面の笑みで手を振る。
「紫さんも出場してもいいんだぜ!」
「お断りよ」