オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
曇り空が広がる真夜中、どこかの木々に囲まれた場所にサバミとカサゴが瞬間移動で出現した。
「うぐっ……!」
サバミは地面に尻餅をつきうめき声を上げ、すぐそばでカサゴも同じく尻餅をつき、軽くうめく。
「いたた……あっお姉ちゃん! 大丈夫!?」
「あぁ、尻餅ついただけだ。ちょっと痛いけどな」
笑みを浮かべながら立ち上がるサバミは木々に囲まれた周りを見渡し、何かに気付いて視線を遠くに向ける。
「何か洞窟が見えるな」
「あれは虹龍洞ね」
洞窟のような穴を見ていた二人は背後からの声に驚いて振り返る。そこにはふくれっ面の霊夢が立っていた。
「あんたは……レイレイなんとか……」
「博麗霊夢よ」
「すみません霊夢さん……こうりゅうどうって……?」
カサゴからの質問を受けた、霊夢はうつむいて黙りこむ。夜風が吹く音が辺りに流れる。
「あー……眠いし説明するのも面倒ね……」
「つまり、あんたが知ってる場所ってことはここはまだ幻想郷ってことか」
「なるほど……! それじゃあ……みんなはどこに行ったの? お姉ちゃん」
妹からの質問を受けたサバミは、緊急事態にも関わらずにこやかに笑い、両手を首の後ろに回した。
「まぁ、シクティスさんが来てくれるから大丈夫だろ」
「でも……封印されていたあの人が来たら……」
不安気に呟くカサゴはうつむく。風の音が静かに鳴ると、微笑んだサバミは妹の肩に優しく手を乗せる。
「心配すんなって。その気になれば私が冥王の力を使ってあいつの魂をいじってやるから」
「こんなときでも相変わらず緊張感ないねお姉ちゃん」
「そうか? 悪い」
サバミはカサゴと少し距離を取り、タバコを取り出し、指先で火をつけて咥え、煙を吐いた。
「魂をいじるって……あんた恐ろしい魔法使うのね」
「ちなみに妹も使えるぜ。ただ、私の方がダントツでうまいけどな」
「私は悪魔の力を使うのが得意なんです」
「悪魔の力ねぇ……それにしても気弱だけど」
霊夢の冷たい言葉にカサゴは頬を膨らませた。すると、サバミは背中に天使と悪魔の羽を片翼ずつ生やした。
「ついでに天使の力も使えるぜ。凄いだろ?」
「翼……ってあんたら飛べるの!? だったらここで待ってないで飛んだら?」
「いや……確かに私たち姉妹は翼が生えるエンジェルでもありデビルでもあるが……迷子はじっとしてるのが一番なんだぜ」
そう言って気楽に笑うサバミを見つめる霊夢は、少し呆れたようにため息をついた。
「私は迷子じゃないけどね」
「確かにそうだな。それじゃあ一人で帰ってもいいぜ。あっちからは霊夢の気配を感じられないだろうし、大丈夫なはずだ!」
「でもそれじゃあ霊夢さんが一人に……」
「私は一人でも帰れるから」
カサゴの心配をよそに、屈託のない笑顔を二人に向けた霊夢は空へと飛び上がり、闇夜に姿を消した。
◆
霊夢が去ってから数十分後、虹龍洞入口前で退屈そうなサバミと不安感が強いカサゴが地面に座り込んでいた。
静かな雰囲気が一転、上空からいくつもの弾幕が振り注ぐ。二人が慌てて立ち上がり、空を見上げる。
そこには紫髪に黄色いリボンを付け、赤い着物を羽織った少女――駒草山如が中に浮き、弾幕を撃っていた。
「え!? なんだ!?」
「お前たち、さっさと失せな。虹龍洞は危ないんだ」
山如から警告を受けたサバミは白い天使の翼、カサゴは黒い悪魔の翼を生やし、慌てるように空に飛び始める。
「なんだあいつ……!?」
飛んで逃げながらサバミは振り返ると、背後から山如が弾幕を撃ちながら迫ってきていた。
「お姉ちゃんどうする!?」
「逃げるしかねぇ!」
(あの二人……抵抗せずに逃げるだけかい?)
サバミとカサゴを追う山如が内心呆れていると、弾幕の隙間を縫うようによける何者かが視界に入る。
「あれは……博麗の巫女」
山如霊夢の両隣には陰陽玉が浮かんでおり、弾幕勝負の準備は整っている様子だった。
「戻ってきてくれたんですか……!?」
「さっき言い忘れてたことがあってね。幻想郷での戦い……弾幕ごっこを」
「弾幕ごっこ……? なんだそれは!?」
「……今から見せてあげるから、ちゃんと見ておくのよ!」
「う……うおーい!! ツンデレだったのかよー!!」
サバミの大げさな叫びが夜空に響き渡る。霊夢は二人の前で弾幕ごっこの内容を示し始めた。