オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話   作:みかづき椛

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  四十一話 スキマ妖怪と猫好き

 降りしきる雨の中でアキスと文が互いに木刀を手にして戦い始めた頃、コチヤーズのミーティングルームでサバミによる熱弁が続いていた。

「攻撃も問題だが守りも穴がある! だから1人優秀なディフェンダーを追加しなければならない!」

 サバミは思い切りホワイトボードを掌で叩く。

「野獣の獰猛さと賢者の頭脳を持つファンタジックリベロ! こいつが必要なんだ!」

 妖夢はサバミの熱弁に頷く。

「サバミさん……つまりその要素を二人の力を合わせて作ると……そう言うことですね」

「オーラを渡す人はもう決めてある……紫さんだ!」

 サバミの言葉に周りは一瞬だけざわめく。

「なるほど……紫は幻想郷の賢者だしな。それで紫のオーラを受け取る人物は誰なんだ?」

 魔理沙が尋ねると、サバミがミーティングルームを見渡し、首を横に振る。

「ここにはいない」

「え? ここにはいない?」

「そう……いないから呼ぶんだ……うちの賢者っぽい女の子を!」

 その宣言に、周りは大きくざわめいた。

 数時間後、ミーティングルームに身長150センチほどの女性が緊張した面持ちで入ってきた。その女の子は薄緑色の短いポニーテールに猫耳カチューシャをつけていた。

「私……エリィって言います! 事情はよくわかりませんが、よろしくお願いします!」

 コチヤーズメンバーに挨拶した女の子はホワイトボードの前で深々とお辞儀した。

「リード、事情くらい説明してやれよ」

 席に座るラックのツッコミで立ち上がったリードシクティスが立ち上がり、申し訳なさそうに頭を下げる。

「すみません……事情を話したら混乱するかと……」

「エリィ! 超次元サッカーやるよな!」

 晴れやかな笑顔のサバミの言葉でエリィが力強く頷く。

「はい! とにかく私……頑張ります!!」

 妖夢がため息を一度吐く。

「分かってなさそう……」

「エリィの先祖はな、なまら賢くて魔法使いとして優秀だったんだ。その力をエリィに受け継いでいる!」

「エリィさんは私たちが幻想郷に異世界転移する前に一度呼んだのですが、飼っている猫ちゃんのことが心配で行かなかったんです」

 リードシクティスの説明でエリィは元気なく頷く。

「はい……ですがリード様の熱意に負け、私の部屋をまるまる持っていくことで戦うことに決めたんです」

 エリィは両拳を握って顔の前まで上げ、気合に満ちた表情に変わると、サバミが真剣な表情でエリィの両肩に手を置いた。

「いいかエリィ、お前はリベロをやるんだ」

「あの……いきなり初心者のエリィにリベロをやれだなんて少し無茶ではありませんか?」

 リードシクティスが心配そうに尋ねるも、エリィが即座に頷いた。

「はい!! やります!! 意味は全く分かりませんが!!」

「お前ならやれる! 勉強と特訓だ! とりあえず紫さんを呼んでエリィと仲良くさせよう!」

 勢いよくサバミが提案すると、ホワイトボードの前に空間を裂くようにしてスキマが出現し、中から紫が出てきた。

「呼ばなくて結構よ」

「え……空白に裂け目がー……! あ……あなたは……?」

 驚いたエリィが恐る恐るスキマを覗いた。

「こっそり聞き耳を立てていたら私の名前が出てきてね。この子と仲良くすればいいの?」

「さすが賢者! 話が早いぜ!」

 サバミは笑顔を紫に向けると、紫はエリィに近付き、睨みつけた。

「あなたみたいな小娘に私のオーラを受け止められるのかしら」

 エリィは怯むが、すぐさま気迫のこもった表情に変わる。

「頑張ります!!」

 紫は微笑んでエリィ右手を差し出す。

「幻想郷のために、頑張りましょう」

「はい!」

 エリィと紫はがっちりと握手をかわした。

 数分後、エリィと紫はリードシクティスの案内で、とある部屋の扉の前まで移動した。

「ここがエリィさんのお部屋です」

「リード様、案内してくれてありがとうございます」

 エリィはお辞儀し、扉を開ける。広々とした部屋には檻の中でくつろぐ猫、キャットウォークを歩く猫など、計五頭の猫がいた。

「みんな私のかわいい(にゃん)ちゃんたちです!」

 エリィが両手を広げ、笑顔を紫に向ける。

「にゃんちゃんたち……? あ……猫と言えば私もいるのよ」

「え!? 紫さんも飼っているんですか!?」

「部屋に入れてもいいかしら?」

「え……う〜ん……お……お願いします」

 エリィが少し葛藤しながら猫の入室を許可すると、紫色のスキマが部屋の入口に現れる。

(ちぇん)! 出ておいで〜」

 紫は呼びかけると、猫耳と二股の尻尾、白の長袖に赤い中国風のワンピース、頭に緑色のドアノブカバーのようなものを被った(ちぇん)が暗い表情でゆっくり現れる。

「お……思ったよりずっと大きいけど……かわいい〜!」

 エリィが両手を広げ、(ちぇん)を抱きしめる寸前まで近付いた。

「ちょっと……! あんた誰!?」

「私はエリィ! 触っていい!?」

 笑顔のエリィに対し、橙は困惑の顔付きに変わる。

「えっと……」

「いいわよ」

 紫が(ちぇん)の代わりに了承すると、エリィが即座に(ちぇん)を抱きしめ、ほっぺたを両手でスリスリし始める。

「こ……この状況はなんにゃあ……? ちゃんと説明してください紫様ーー!!」

「凄い凄い! 橙は日本語お上手〜!」

「なごやかねぇ〜」

 紫は微笑みながらエリィと橙の触れ合いを見守り始めた。

 数分後、橙はスフィンクス座りでじっと見つめるレッド・マッカレルタビーに向け、固形の猫エサを数粒差し出す。エリィがその様子をわくわくといった様子で橙を見守っていた。

「名前を呼んでください! オレンジって!」

「オレンジ! エサだにゃあ!」

 橙に呼ばれた猫は立ち上がり、橙の掌のエサを嗅いで静かに食べ始める。

「猫が猫のお世話……鼻血出そう……」

 八雲紫がエリィの顔を覗き込むと、エリィの鼻の下に鼻血が伝っていた。

「鼻血出てるけど大丈夫……?」

「え?」

 エリィが腕で人中を擦り、血がついた腕を見てぎょっとする。

「うわー! ちー!!」

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