オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話   作:みかづき椛

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  四十四話 ストーカー問題

 エリィの部屋で正体を現したお手伝いさんことオレンジショート髪の男と紫が揉めていた。

「エリィには黙ってあげるからホワイトのことを詳しく教えてちょうだい」

「ホワイト!? なぜ?」

 紫は無言の圧でお手伝いさんを睨み続ける。

「ホワイト思い出は一切ねぇな。俺はただその時、アタックに失敗していただけだったんだ」

(何回恋に失敗したの……)

「ホワイトは捨て猫だったそうだ。エリィは家に持って帰って飼っていいかと頼んだが……母は反対し、父は賛成したそうだ」

 お手伝いさんは説明中、ブラウンを優しく抱き上げた。

「ブラウンは優秀でな……俺の脅威となる存在には必ず威嚇するんだ。前に猫を飼うことに反対していたエリィの母には威嚇して、賛成派の父には威嚇しなかった」

「そんなに私、怖かったかしら……」

「さっきの異空間開くやつ厄介すぎるからなぁ……さすがブラウン」

 お手伝いさんは優しくブラウンを撫でて床に降ろした。

「ブラウンは……俺がエリィの話題に入りたくて飼い始めたんだ。結果は惨敗だったが……なんだかんだ飼い続けている」

「話を戻すけどホワイトはどうなったか……耳にしてない?」

 紫の問いに、お手伝いさんは暗い表情で下を向く。

「聞いた話によると飼い始めてから一年……急に容体がね……」

「亡くなったのね」

「エリィは責任を感じて猫を飼うのを止めようと言っていた……そこでエリィを励まそうと、俺は猫になることを決めたんだ」

 紫は不思議そうに首をかしげる。

(エリィの励ましかた……他になかったのかしら……?)

「元々可愛らしい感じの俺がメイクしてメス猫になったらワンチャン行けっかな〜って思ってメイクしてエリィに近付いてみたらびっくり! 全くバレなかった!」

(よくバレなかったわね……)

「幸い、俺は飼ってる猫の種類を明かしていなかったからブラウンを見ても大丈夫だった……話はこれで終わりだ。さっきも言ったが絶対に内緒だからな!」

 お手伝いの念押しに目を細めた紫は静かに頷いた。

 数時間後の昼頃、エリィの部屋には五頭の猫・紫・エリィ・そしてお手伝いさんがいた。穏やかな雰囲気に包まれながらエリィと紫は猫たちと戯れていた。

「ねぇ、エリィ……お手伝いさんが男だったらどう思う?」

 紫の言葉でお手伝いさんの動きが止まり、エリィが一瞬動揺するも笑顔に変わる。

「さすが幻想郷の賢者様。思いつく質問がとても変化球です!」

(エリィはコチヤーズのメンバー入りして、戦いのさなかでいずれバレるかもしれない。だから早めにバラした方がいいのよ)

 二つのスキマを出現させた紫はスキマを通してお手伝いさんの頭を鷲掴みにしようと手を伸ばす。しかし、お手伝いさんは両手でがっしりと紫の手を止めた。

「もー! 紫さん! 何してるんですかー! お手伝いさんは頭を触られるのがとても嫌がるのにー!」

(この……! 男子だから力が強いわね……!)

 エリィがお手伝いさんに近付き、全身をくまなく目でチェックし始める。

「よく私、周りから鈍感って言われるんですよ。でも、さすがにお手伝いさんが男だったら気付きます!」

 エリィは笑顔でお手伝いさんの頭を右手でガシッとつかんだ。

「あれ? なんかつかんだ? えいっ!」

 お手伝いさんのカツラはエリィにぶんどられ、オレンジ髪があらわになった。

「えっ……! あのオレンジ髪もしかして……」

 エリィはしだいに顔が青ざめる。

「エリィ……実はあなたをつきまとっていた男子がお手伝いさんとして猫に化けていたのよ!」

「そ……そんな……うそだ……! お手伝いさん……なんとか言って……いや! 何も言わないでー!」

 部屋にエリィは叫び、気を失うように仰向けに倒れた。

 いつかの夕暮れ、エリィが暗い表情でスタジアム内の廊下をとぼとぼ歩いていた。

「ホワイト……どうしたら死なずにすんだのかな……ぐすん……」

 うつむきながら歩いていたエリィはふと立ち止まり、目線を上げた。そこには黒髪ツインテールに猫耳をつけた人物がキジトラを抱いて立っていた。

「誰……?」

 その人物がゆっくり近付き、キジトラをエリィに差し出す。キジトラがつぶらな瞳でエリィを見つめ始める。

「もしかして、抱っこしていいんですか……?」

 差し出されたキジトラをエリィが優しく抱きかかえると、瞳が涙で滲み始めた

「う……う……猫ちゃん……かわいいよ〜!! うわ〜ん!!」

 エリィがお手伝いさんの正体を知って気絶してから一時間が経過した頃、部屋の床に寝かされていたエリィが静かに目を覚ます。側には心配そうに見つめる紫がいた。

「目を覚ましたのねエリィ……」

「お手伝いさんは……?」

「とりあえず、あいつは自分の部屋にいるわ」

「さっき……私に聞きましたよね……お手伝いさんがつきまといの男だったらって……」

 エリィは身体を起こし、ベッドから出て立ち上がる。

「えぇ……つきまといまでは言ってなかったような気がするけど……」

「つきまとっていたことは許そうと思います。だって、猫ちゃんたちのお世話をちゃんとやってくれてたので……」

「え!?許すの!?」

 数分後、黒髪ツインテールに猫耳のお手伝いさんが部屋に入ってきた。

「あなた……なんか許されたらしいわ。これからもエリィの猫の世話をしていいらしいわよ」

 紫はそう告げると、お手伝いさんは両手でガッツポーズをした。

「マジ!? よっしゃー!」

「……なんか嫌だ。喋るの」

「え?」

 エリィが口元で両人差し指を交差させ、バツ印を作る。

「喋るとあいつになるので、一生喋らないでください!!」

「えぇーー!?」

 こうして、お手伝いさんは男としての尊厳を失う代わりにエリィのそばにいられるようになった。

(まぁ……エリィが良いなら、めでたしってことなのかしらね)

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