オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
白玉楼前にある長い階段で出来たピンク色のフィールドで行われているクリアナイト第四試合、キックオフして間もなくボールを受けた妖夢はドリブル中、一人の選手を前にして足を止める。
妖夢に立ちはだかったのは無表情の幽々子だった。
「ゆ……幽々子様……」
妖夢は一瞬たじろぎ、隙を突かれるように幽々子に攻められ、ボールを奪われる。
「落ち着いて!」
早苗の呼びかけに妖夢は頷き、気迫の表情に変わって幽々子からボールを奪い返した。
「よし!」
前を走るフナが小さくガッツポーズした。そして妖夢・シラウオ・フナ三人は並んで走り始める。
「あの必殺技をしましょう!」
フナの言葉で二人は頷き、空中に蹴り出したボールを三人で連続して次々に蹴りを入れていく。
「ソードオブダルタニアン!!」
三つの青い輪っかの形をした魔法陣の中心からオレンジ色のオーラをまとったボールが一直線にゴールを襲い始めた。
「超強力な必殺シュート技がいきなり炸裂! コチヤーズ先制なるかー!?」
一直線にゴールをボールの軌道は大きく右に逸れてゴールの上を通過した。
「おっと! ここでソードオブダルタニアンが大きく逸れました! 最後の蹴りを入れるタイミングが合わなかったのでしょうか!?」
「すみません……私がタイミング早すぎました……次こそ決めましょう!」
自らミスしたと明かす妖夢、シラウオとフナには明るい顔を見せたが、二人から離れた途端に表情が暗くなった。
◆
前半2分頃、中央を走る妖夢にパスが送られる。
「次こそ決める!」
再び妖夢の前に幽々子が立ちはだかる。
「失礼します! Zスラッシュ!」
妖夢は左から抜き去ろうと飛び出した瞬間、ターンしながら斜めに下がって右から幽々子を抜き去り、地面に赤いZを描いた。
「妖夢!! ボール!!」
早苗は叫ぶ。妖夢は足元にボールが無いことに気付く。幽々子はボールを確保し、味方へとパスする。
「え……!? どこかで落とした……?」
唖然とする妖夢へ他のコチヤーズメンバーから心配な眼差しで見られる。
「妖夢……この試合に勝てば幽々子が帰ってくるから焦ってるな……」
魔理沙はそう呟いた時、ベンチに座る残無は鋭い目線を妖夢に向けていた。
◆
前半3分頃、幽々子からボールを受け取ったルナサはリードシクティスと対面していた。
(ドリブルで来るか……シュートでくるか……)
ルナサはボールに横回転をかけるように左足で軽く蹴って前に送る。ボールから黄色い五線譜と音符がリードシクティスを囲った。
「メロディウェイブ」
リードシクティスはうなだれて頭を抱え、膝をついた。
(ヤバいな……シクティスさんにメンタル攻撃は効きやすいってバレてるな……)
サバミが内心そう呟いた時、ルナサの足元のボールに輪っか状の青い五線譜が囲んで青い様々な音符がついた。
「フォルテシモ」
ルナサは軽やかな音を鳴らしながらボールをゴールに向かって蹴った。
ゴールに青がかった白い球が襲い始めた時、橙は右手の指先から五本の鋭い青紫色の爪を伸ばした。
「スラッシュネイル!」
ボールは4つに切り裂かれて橙の掌に乗る。そしてすぐさま新しいボールが橙の元に渡され、軽い蹴りでエリィに渡す。
「橙! ありがとう! 妖夢さん!」
エリィは妖夢に向かってボールを蹴るも、妖夢は右足でのトラップに失敗してしまう。
「あわわ!!」
こぼれたボールをシラウオが冷静に右足で押さえた。
「す……すみません……」
その時、コチヤーズのベンチに座る残無の前に立つ日狭美が残無に呼ばれて振り返る。
「残無様? 何か指示でもあるんですか?」
「交代だ。妖夢を下げる」
残無の言葉でベンチに座るコチヤーズメンバーがギョッとする。
「よ……妖夢さんを下げるって……本気で言ってます……!?」
残無の隣に座るカサゴが少し戸惑いながら訴えた。残無の隣に現れているスキマから顔を覗かせている紫が困り顔になる。
「それはちょっと酷じゃないかしら」
「そ……そうですよ! 妖夢さんはご主人である幽々子様を助けるためにチームに入って人一倍努力してたんですよ!」
カサゴは涙目で訴えながら残無の服をつかんで揺らし始める。
「残無様を揺らさないでくださいまし!!」
日狭美はカサゴの服をつかんで乱暴に地面に押し倒した。
「酷とは言ったが紫、妖夢のミスのせいで負け、藍を取り戻せなかったらどうする」
「……それはそうだけど」
◆
前半5分頃、妖夢・シラウオ・フナのソードオブダルタニアンが二度目の失敗に終わってボールがコートの外に飛んだ時、交代を告げる笛の音が鳴り響いた。審判が持つ交代ボードには赤い11と青の33が描かれていた。
「ここでコチヤーズ! 早くも選手交代です!」
妖夢は交代ボードを見て、数秒間立ち尽くした。
「交代……ですか……」
気が抜けたようにそう言った妖夢へチームメイトが駆け寄る。重い雰囲気が漂う中、妖夢はうつむいて唇を噛み締め、フィールドの外へ歩き始めた。
「私……足手まといだから仕方がないですよね……すみません……」
「必ず勝って見せますから!」
「そうだ! 妖夢任せろ!」
早苗と魔理沙の背に受けながら重い足取りで歩いている妖夢はベンチ前に到達する。背番号33番のキクラゲは何も声を出さずに妖夢と手でタッチしてフィールドに足を踏み入れた。
(大丈夫かな〜……)
普段は能天気なキクラゲが珍しく暗い表情を浮かべていた。
「すみません……」
妖夢は周りに謝罪してベンチに座る。周りのメンバーは妖夢に声をかけられずにいた。
「戦いたかった……最後まで勝利に貢献したかった……!!」
少しの静寂の後、妖夢の頬を伝う涙が膝に何度も落ちていく。妖夢を除いたコチヤーズメンバー全員の顔に威圧感が露わになった。
出てきた必殺技
妖夢とシラウオとフナ ソードオブダルタニアン
妖夢 Zスラッシュ
ルナサ メロディウェイブ
ルナサ フォルテシモ
橙 スラッシュネイル