オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
虹龍洞入り口付近で霊夢と山如が繰り広げた弾幕ごっこでは、霊夢の勝利で幕を閉じた。
華やかな戦いを地面に立って見上げていたサバミとカサゴはあっけにとられている様子だった。
「見たかカサゴ……」
「うん……ヤバかったね……」
弾幕ごっこを終えた山如は霊夢に近付いて少し会話した後、サバミとカサゴの目の前に降り立つ。
「あんたたち外から来たのかい? 道理でただ逃げ回っていたわけだ」
「はい……って、それは煙管なんですか?」
サバミは降り立った山如の手に持つ、龍の形をした煙管に目を奪われている様子だった。
「それがどうかしたんだい?」
「なまらかっけーっす! 私の持ってる煙管なんてめちゃくちゃ普通っすよ」
胸を躍らせている様子のサバミは服のポケットからありふれたデザインの煙管を取り出す。
「お姉ちゃん……そんなことしてる場合じゃないよ……!」
カサゴが慌てて姉のサバミに注意したが、サバミは呑気にタバコを詰めて、火皿に指で火をつけた。
「おいおい熱くないのかい?」
「ふっ……大丈夫です。根っからの火属性なんで」
サバミは山如の質問に対してニヤけると、煙をゆっくりと吐き出した。煙は夜空へと飛んでいく。
「お姉ちゃん……火属性ってだけでドヤらないで……」
その時、サバミは緊迫した表情に変わると、左を向いて煙管を勢いよく前方に投げつける。
「私はな……かくれんぼ鬼役で敵なしと言われてんだ……姿を見せろよ」
回転しながら飛ぶ煙管は空中で停止。煙管を握る右手が出現し、徐々に全身が明らかになる。
「あ……あぁ!!」
カサゴが震える手でその姿を指差す。その者の正体は邪険にカサゴを睨んでいる黒幕子だった。
「察知する範囲はシクティスさんの方が広いが……狭い範囲なら私がダントツでビンビンだぜ」
「……ところであんたは一体何者なんだい?」
山如から質問を受けた黒幕子は邪険な雰囲気を解き、穏やかな顔つきに変わる。
「私の名は黒幕子――」
「おい! なんでそんな名を?」
黒幕子が自己紹介している途中、サバミが遮る。そして、黒幕子は寂しげに夜空を見上げた。
「名乗っても私の名を知る者はいない……意味のないこと……」
黒幕子は過去を振り返り、感情に浸っている様子であった。そんな黒幕子に山如が鋭い視線を送る。
「それであんた……幻想郷で何かしでかす気かい?」
「私の目的はこの世界の住人を集めて異世界を滅ぼすこと」
黒幕子の回答を耳にしたサバミは両手を広げ、軽く笑みを浮かべながら首を横に振った。
「おいおい、私たちの世界を破壊する気か?」
「……はい。仲間の命はとうに尽きているはずですから」
寂しげにうつむく黒幕子、ほんの少しだけ静寂の時が流れると、ビシッと霊夢はお祓い棒を黒幕子に向けた。
「ちょっと聞き捨てならないわね。この世界の住人を集めるですって?」
「初めて幻想郷に来た時、人物の姿は捉えられるのに気配は全く感じないことに気付きました。それで幻想郷の住人を操れば奇襲も容易いことも」
「あんたの存在、博麗の巫女として見過ごせないわ」
「おい! 近付くな!」
霊夢は一歩前に進み黒幕子に歩み寄る。サバミが慌てて手をかざすも、霊夢は意に介さず歩を進める。
「幻想郷を飛んでいたのなら弾幕ごっこくらい知ったはずよね。私と弾幕ごっこで勝負しない?」
「……霊夢さん。スペカなしで倒してあげますよ」
「へぇ〜。いいわ……かかってらっしゃい」
怒りを抑えるように霊夢は口角を上げると、黒幕子と霊夢は真上に向かって同時に飛んだ。
「霊夢! そいつとサシはなまらヤベェって!!」
「売られたケンカは買うまでよ! サバニ!」
「サバ煮じゃねぇ! サバミだ!!」
その時、サバミは一瞬で何かに気付いたように表情が真剣に変わり、背中に背負っていた大鎌を両手で握る。
サバミが瞬時に後ろを振り返ったその時、鋭い太刀音が鳴り響いた。少し苛立った様子の黒幕子が出現した。
「……私はかくれんぼの鬼で敵なしだって……言ったよな」
「黒幕子がもう一人……!?」
「分裂して魔力を察知しにくくしていたんだろうが……それは力を半分にすることになるんだぜ……!!」
サバミは左側に純白の天使の翼、右側に漆黒の悪魔の翼が生え、もう一人の黒幕子とともに空を飛んだ。
◆
数分が経過した頃、戦っているサバミの呼吸はかなり荒くなっていた。黒幕子は薄い笑みが浮かぶ。
(なんか苦しい……これはまさか見えない毒……!?)
「苦しいでしょう?」
「……ふっ。知り合いの最強毒使いに比べたらなぁ……へでもねぇ!」
強がるようにサバミが笑ったその直後、黒幕子は両手に握る剣でサバミの肩に切り傷を負わせた。
「うっ……!」
黒幕子の右手から黒い光線が放たれ、それが直撃したサバミはフラフラと落下していき、片膝が地面に着く。
(やべぇ……! なまらやべぇ……!! 正体は気体の毒魔法か……くそ……)