オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話   作:みかづき椛

6 / 78
    六話 不死の姉妹

 真夜中に行われているサバミと黒幕子の戦いでは、息がかなり荒くなっているサバミが地面に伏して倒れた。

「はぁ……はぁ……」

「もう終わりですか?」

(ヤバい……意識が朦朧として来た……)

 黒幕子はサバミに向かって歩を進め始めて間もなく、何かを察知したかのように振り返る。

「あの者は……」

 黒幕子から50メートルほど離れた場所で、決意に満ちた顔つきのカサゴが弓を引き絞っていた。

 カサゴは矢を放ち、黒幕子はその矢をおでこで受け止める。矢は刺さることなく弾かれ、地面に落ちた。

「……うっ」

 突然、黒幕子はめまいに襲われたかのようによろめき始め、サバミ同様に地面に伏して倒れる。

「これは魂を操る魔法……」

 黒幕子の近くにある木に寄りかかっている山如は顔を青ざめながらもクールに煙を一度吐いた。

「あんた今……よけなくてもいいと思っただろう?」

「カサゴ……姐さん……ありがとう」

 サバミは左手を拳銃のように構え、指先にまとわせた青い炎を弾丸のように撃ち、黒幕子にぶつけた。

「やった……!!」

 カサゴが歓喜の声を上げるも、青い炎は一瞬にして消え去り、荒い息遣いのサバミは地面に膝をつく。

「どうだい……今の気分は……?」

 黒幕子はサバミの質問を無視し、遥か遠くへと飛んでいく。木に寄りかかる山如は崩れるように座り込んだ。

「ひとまず……追っ払ったってことかい……?」

「すみません……姐さんに毒の魔法を……」

「構わないよ……それより、この毒の魔法はなんとかならないのかい……?」

「それは……分かりません……」

 山如同様、顔色が悪いカサゴは地面を引きずるように、ゆっくりとサバミに歩み寄っていく。

「お姉ちゃん……これはやっぱり……毒魔法……?」

「あぁ……いつの間にか喰らっていたから……気体の毒魔法だろうな……しかもなまら強力な……」

 その時、天から霊夢がフラフラと降り立つ。霊夢の顔も周りの三人同様、青ざめていた。

「霊夢さん……!」

「勝ったのは良いけど……凄く気分が悪い……なにこれ……」

(か……勝っただと……!? 確かにもう片方の奴の魔力を感じないが……凄いな……)

 その場に何者かが一直線に飛んで来る。その者は息を切らしているリードシクティスだった。

「すみません! 助けに来るのが遅れました……!」

 苦しみに悶えているカサゴだったが、救世主がその場にかけつけた時のような笑顔に変わる。

「リード様……!!」

「シクティスさん……ナイスタイミング……早く毒の分析を……」

 サバミが喋っている途中、力尽きたように地面に倒れた。続けてカサゴ・霊夢・山如も倒れる。

「皆さん! しっかりしてください! とりあえずこの毒が蔓延しないように封印します……!」

 リードシクティスは両手を高く掲げ、手のひらから強い水色の光を出し、辺り一帯を照らした。

(これであの者の毒魔法はこの四人の中だけに……封印魔法を使ったら本人も封印されますし……どうしましょう……)

 幻想郷の夜、細い獣道には黒い忍装束に身を包んだ白髪ショートの女性――シラウオがいた。

 さらに、白い和装を身に包んだ白髪ショートの女の子――フナもその場にいた。二人は仲のいい姉妹であった。

 二人とも、腰に剣を吊り下げている。フナは体を震わせながら、姉の腰回りをぎゅっと抱きしめていた。

「お姉ちゃん……絶対に離れないでね……!」

(……離れたくても離れられないけど)

 無表情であったシラウオは微笑み、妹の頭を優しく撫でて二人で歩くことを再開する。

「そうだ! もし敵が現れたら私が斬り捨てるから!」

 フナは姉から離れ、しなやかな腕で居合い抜きを披露する。辺りの木々が揺れ、静寂を切り裂いた。

「フナ、私たちが持つ剣は神剣だから控えめに……あと、できるだけ喋らないように」

 シラウオがフナに軽く注意したその時、二人の目の前に赤い髪の首がころりと地面を転がってきた。

「NOーー!!」

 フナの悲鳴が夜の闇を切り裂いた。フナは瞬時にシラウオの背後に回り込み、再び腰にしがみつく。

「フナが無駄に素振りしたから……これは?」

 シラウオはしゃがみ込んでその首を観察し始めた。切り口にしてはあまりにもきれいで、血は流れていなかった。

「うるさいわね」

「ぎゃーー!! 喋ったーー!」

 少女の首が喋るとふわりと浮き上がり、フナが再び絶叫した。フナは姉の手で口を塞がれる。

 首は赤いマントをその身にまとう胴体と合わさった。二人の前に現れたのはろくろ首の妖怪、赤蛮奇だった。

「あなたは何者……?」

「バレちゃしょうがないわね。私はろくろ首なのよ」

「ふぇ! ふにゃひにゃへにゃ!?」

 フナは言語なき声を上げながらもがくように姉の手を振りほどき、ほっとため息を吐く。

「さっきお姉ちゃん驚いていた!?」

「え!? 別に無表情だったけど……」

「そんな……転がった首が喋ったらお姉ちゃんが驚くと思ったのに……」

「もし私が驚くようなことがあればフナは気絶すると思うけど」

 赤蛮奇の言葉にフナの肩ががくっと落ち、シラウオの静かなツッコミにフナは唇を尖らせた。

 場が和んでいた時、空から息を切らしながら一直線に飛ぶリードシクティスがその場に降り立つ。

「シラウオさん! フナさん! サバミさんたちに会いに来てください! サバミさんたちが危ないんです! 力を貸してください! 無属性の魔法が必要かもしれません! お願いします!!」

 リードシクティスの切羽詰まった表情を見たシラウオとフナの目つきが鋭くなり、気が引き締まる。

「分かりました」

「了解しました! 案内してください!! あっじゃあね! 赤蛮奇!」

 フナは笑顔を赤蛮奇に向け、手を振る。この間、赤蛮奇はポカーンとしているだけだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。