オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
六十六話 座禅
夕方頃、サッカースタジアムのミーティングルームでリードシクティス司会でのミーティングが始まった。
「えっと……どうやったらヤマメさんを練習に参加させるかを話したいと思います」
「大変だったな……すぐ飽きるし、すぐ疲れたって言うし……」
困り顔の魔理沙はそう呟く。周りのコチヤーズメンバーも、苦悶の表情を浮かべていた。
◆
翌日の朝頃、コチヤーズのメンバー全員、幻想郷の命蓮寺の入口まで移動していた。
「命蓮寺での修行で異世界のヤマメがちゃんと練習に向き合えるやつになればいいんだが……」
早苗はそう呟いていると、キクラゲの背後から唐傘を持っている者が忍び寄る。
その者は水色の服を着用、水色のショートボブで、赤と青のオッドアイの少女の姿をした多々良小傘だった。
「べろべろばー!!」
キクラゲは一切動じず、右手に持ったカラカサタケを握り、小傘の口の中にカラカサタケを突っ込んだ。
「ドーン!!」
「むぐーー!!」
「これぞ、共食い〜!」
小傘はもがき始め、キクラゲは不適な笑みを浮かべる。ラックは両目を閉じ、ため息を吐いた。
「誰だか知らんが、相手が悪かったな……」
「朝から騒がしい……一体何があったんだい?」
背後からの声にコチヤーズメンバーは振り返る。
そこにいたのはネズミ耳にショート灰色で尻尾でネズミが入っているかごを持つナズーリンだった。
「ねずみー!!」
獲物を狙う猫のように豹変したエリィはナズーリンに向かって走り始めた。
「なっ! なんだい君は!?」
逃げ始めたナズーリンは慌てながらエリィの頭に装着してある猫耳カチューシャに注目した。
「猫!?」
「お前ら、入る前にハチャメチャは止めよう」
サバミは二人に注意し、エリィを動かないように抱きしめた。エリィは暴れることを止めずもがき続ける。
「お姉ちゃん、その辺にしたら?」
アキスの呼びかけにキクラゲはカラカサタケを引っ張って口から出す。小傘は気を失って仰向けに倒れた。
◆
コチヤーズメンバーは門下生に囲まれながら小傘が寝かせてある命蓮寺内の一室に集まっていた。
紫色から金髪へのグラデーションロングの髪に、ゴスロリ風の衣装を着る聖白蓮はコチヤーズと話していた。
「それでヤマメさんをここの門下生に……ヤマメ……?」
首をかしげた白蓮の脳内におだんごがある金髪ショートの黒谷ヤマメの顔が頭に浮かぶ。
「こいつの心をビシッと鍛えてスゲェやつにしてくれませんかね〜」
サバミは隠れるように後ろに立っていたヤマメの背中を何度も押し、白蓮の前まで押し出した。
「……分かりました。あなたは今日から門下生です」
「おっ、さらっと決まったな」
魔理沙はそう言った時、体を抑えられている豊満な胸を持つヤマメは子供のようにジタバタし始める。
「嫌かもしれないー!」
「逃げるな! お前はゴールキーパーをするんだ!」
「ハラスメント〜!」
◆
一時間後、コチヤーズメンバーは並んで足を組んで座っていた。空間は静寂に包まれていた。
(コチヤーズメンバーでいっぱいになるから、まさか座禅で門下生を絞るとはね……)
ラックは目をつむりながら内心そう言った時、部屋に白蓮が警策を持って静かに入室する。
静かに歩を進める白蓮は一番近くに座っていたフナの前に立って数秒後、肩を軽く叩く。
(ついお姉ちゃんのことを考えちゃったよ〜!)
続いて白蓮はフナの隣に座るシラウオを素通りし、白蓮はキクラゲの前に数秒立って肩を叩いた。
「いた〜い!」
(フナとキクラゲがやられたか……フナは姉のことで、キクラゲはキノコのことで頭がいっぱいだったからか……)
ラックは内心で分析していると、白蓮はアキスを素通りし、エリィの前に数秒立って肩を叩く。
(いたい! もしかして猫ちゃんのことを考えていたのがばれてた!?)
その後、サバミ・リードシクティス・アシカは素通りされ、カサゴ・ラック・早苗・魔理沙・橙が叩かれた。
◆
その後、コチヤーズメンバーはリードシクティスの司会のもと、命蓮寺の部屋で集まって話していた。
「大丈夫だったのは私、シラウオさん、アキスさん、サバミさん、アシカさん、文さんですね」
「シクティスさん、異世界に置いてきた弟のことが頭によぎらなかったのか?」
「実は、幻想郷に来る前に弟に甘えておいたんですよ」
「なるほどな」
サバミは背後からの殺気に気付いて振り向くと、両頬を膨らませているカサゴに睨まれる。
「お姉ちゃん自身に冥王の魔法をかけて雑念を消したよね!? シラウオさんとアキスさんはエリートだから分かるけど……」
「え……さぁ〜な? それより今日の天気はいいよな〜……」
サバミはとぼけた顔ではぐらかす答えると、ふくれっ面のカサゴは近くにいたアシカを指差す。
「アシカもなんで大丈夫だったの!?」
「逆に聞きたいわ。なんでじっとしてるだけなのに雑念あるのよ」
「うぅ……その返しアシカらしいけど……」
カサゴは悔しそうにアシカを見つめ始めた時、早苗は不思議そうな顔付きで文を見つめる。
「文さんもなんで大丈夫だったんですか?」
「私ですか? ふっふっふ……なぜなら私は、清く正しい新聞記者ですからねぇ!」
「あぁ……」
「あ、橙はエリィとは別グループにした方がいいな。練習の時にキーパーがいなくなる」
「えぇ!?」
サバミの提案で驚愕の表情に変わって叫んだエリィは、潤ませた瞳をサバミに向けた。
「サバミさん……私から橙を引き離すんですか……!?」
「これはエリィのためでもあるんだ。もう半分は別の場所でサッカーの特訓……それでいいよな、キャプテン!」
「確かに……キーパーは別々に分かれた方がいいですよね」
「そ……そんにゃ〜……!」
悲痛な叫びを上げたエリィは目の前にいる橙を強く抱きしめて別れを惜しむように頭を撫で始める。
「橙〜!! 離れ離れになるのは悲しいよ〜!」
「エリィ! 修行頑張ってね!」
「橙もね……うわーん!」
鼻水を垂らして泣きじゃくんでいるエリィは橙の胸元に顔を埋める。周りは和やかな空気に包まれた。