オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
道場入口の前に作られたサッカーフィールドでは、アシカが歯を食いしばりながら拙いドリブルをしていた。
「ちょっと! 見ないでよ!」
「恥ずかしがってもしょうがないぜ! へいパス!」
近くを走るサバミが左手を上げて呼びかける。アシカはボールを蹴り飛ばすも、大きく外に外れる。
「飛ばしすぎだぜ〜!」
サバミはボールを追いかけようと歩みを進めた瞬間、ボールは勝手に飛び、フィールドに帰ってきた。
「あれ? 誰の姿もないのに帰ってきたぞ。何が起こった?」
アシカがボールを飛ばした方向を見つめるサバミの背後に、黄色い服を着用する何者かの姿が現れる。
その者は薄黄緑のボブに黄色いリボンがある黒いハット、ラナンキュラスの柄がある緑のスカートを着用。
体と繋がる紫色のコードとサードアイがあり、右手で包丁を握る少女――古明地こいしだった。
「あなたの後ろにいるよ」
こいしはサバミの耳元でそう囁き、包丁をサバミの背中に突きつけた。瞬時にサバミは両手を挙げる。
「ぎゃー! なんかいるーー!?」
電光石火の如く走るアキスが包丁を持つこいしの手首を握り、アキスの背後からシラウオが包丁を取り上げる。
(何者……!? 気配もなく……)
「いたいから話してー」
こいしはアキスの握る手から振り払おうと体を激しく揺らすと、神子が一瞬微笑み、アシカに近付く。
「丁度いい。アシカ、この者の能力を当ててもらおうか。アシカには見抜く力があった方がいいのだろう?」
「おお……確かに……」
サバミは納得すると、アシカは体をアキスに押さえつけられているこいしに、恐れず凛々しく近付く。
「あなたの能力を当てたら、練習の邪魔をしないって約束してくれる?」
「いいよー」
こいしは明るい表情で返事をすると、アシカは両のまぶたを閉じた。場は静寂に包まれる。
(獲物は絶対に逃さないシラウオとアキスの二人をかいくぐる能力……気配を消す……?)
アシカは睨むようにこいしの閉じたサードアイを数秒間見つめ、右手の人差し指を突き刺す。
「なによこれ」
「閉じたサードアイだよ〜」
「……意味分からないから気配を感じなくさせる能力でどう? サバミが背後に立たれるまで気付なかったから」
「まー、そんなとこかな〜」
こいしは首をかしげてそう言うと、アキスに拘束されながらも明るい笑顔をアシカに向けた。
「私は古明地こいし、無意識を操るほどの能力なんだよ〜」
「あー!」
突然、リードシクティスが大げさな叫びを上げた。リードシクティスはこいしへ猛烈ダッシュで近付いた。
「実はここに異世界転移の魔法で飛んだ時、一人分多くの魔力を消費したんですよ……! まさかあなたが……!?」
「面白そうだからついてきちゃった」
「アキス。手を離せ」
サバミの指示を受けたアキスはこいしから手を離す。サバミは左手をこいしに差し出した。
「あぁ面白いぜ! お前もやるか! 超次元サッカー!」
「やるやるー」
こいしとサバミによる握手が交わされる。それは新たなコチヤーズメンバー誕生の瞬間だった。
「よし! メンバー追加!」
「きゅ……急に決まりましたね……こいしの無意識を操る能力は協力ですが、味方との連携が難しそう……」
◆
次の日の朝、道場入口付近でコチヤーズメンバーが集まっていたところ、アシカの背中に扉が出現した。
その扉が開き中から一人が姿を現した。扉から出てきたのは冠を被っている金髪ロングの者だった。
前掛けには北斗七星や星座が描かれ、オレンジ色の狩衣を着用し、椅子に座っている摩多羅隠岐奈であった。
「誰よあんた。まさか、次に能力を当てられる人? 」
「摩多羅隠岐奈ですよ! 背中に扉を出現させ、後戸の国に住む幻想郷の賢者の一人……」
文は喋っている途中、慌てるように両手で口を塞ぐ。しかし時すでに遅く、クイズができなくなった。
「クイズをするのではなかったのか……」
屠自古がボソッとそうツッコむと、隠岐奈はアシカの目の前まで移動した。
「私の名は摩多羅隠岐奈。そこの鴉天狗が言っていた後戸の国……そこからお前たちを見ていた。私が1日1回、クイズの相手のところまで飛ばしてやろう」
「おぉー! なんか知らないけどクイズさせてくれる人来たな」
サバミは喜びを露わにするように両手でバンザイすると、八雲藍は隠岐奈を見る目を細める。
「少し怪しいですけどね……」