オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
幻想郷の暗い夜道では低身長で髪型は後ろに一本結んである黄土色のおかっぱ風の女性――ラックが立っていた。
低身長で妖精の羽根が生え、藤色ロングヘアの女の子――イヨカ。姉妹である二人は寄り添っていた。
イヨカは背中の羽根をプルプル震わせながら、姉のラックの服の裾をぎゅっと握っている。
「お姉ちゃん……」
「どうしたイヨカ?」
「怖い……」
「見れば分かるが……無駄に話しかけないでほしいな」
少し苛立った様子のラックの返事にイヨカは目を潤ませながら怒りの顔つきになり、姉を睨みつけた。
「イヨカ……こんなにもうるうるしているのに!」
「分かったから落ち着け!」
「あ〜〜〜〜〜」
「え!? なんだ!?」
突然の何者かの唸り声に驚いたラックが振り返ると、両手を突き出している者が立っていた。
その者は額にお札が貼られ、膝を曲げずにぎこちなくキョンシーの少女――宮古芳香であった。
「変な奴だな……」
「敵! 噛みつくぞ〜!」
芳香がラックとイヨカに向けて膝を曲げながら歩いて近付いていく。ラックはイヨカに強く抱きしめられる。
「おい抱きしめるな!」
ラックは身動きが取れず、右腕を芳香に噛みつかれる。だが、芳香は腕に歯型すらつけることができなかった。
「……あれ?」
「どこか行け!」
跳び上がったラックは芳香の腹を蹴り飛ばした。芳香は地面に倒れ込み、動きが止まる。
「なんだあいつは……」
「お姉ちゃん……ゾンビ……」
「ゾンビ……? あいつがか……まぁ、とにかくとりあえずここから離れるぞ」
二人は走り出した。しかし、ラックは数歩で何かに足を取られ、再び転倒した。すぐさまラックは立ち上がる。
「なんだ!? また死体か!?」
ラックが見下ろすと、そこには腹部に赤い蹴り跡があり、仰向けに倒れている人物がいた。
その者はボロボロになっている巫女服を着た緑のロングヘアの少女――東風谷早苗だった。
「この女……腹を蹴られたのか? さっき私が蹴り飛ばした奴とは違うようだが……」
ラックが疑問を口にして数秒後、天からリードシクティスが息を切らしながら降り立つ。
「ラックさん! イヨカさん! ここにいたんですね!!」
「やっと神が来てくれたか」
「リード様〜〜!!」
イヨカは目から涙が溢れ出して、全力ダッシュでリードシクティスに駆け寄って抱きついた。
「あ……あの! 今はとにかくサバミさんたちの所に来てください! イヨカさんの回復魔法が必要かもしれません!」
「な……サバミがやられたのか!? ならば今すぐ瞬間移動の魔法で飛ぶぞ!」
「それが……幻想郷中で異世界の瞬間移動の魔法を封じる魔法がかけられているみたいで……飛んで移動するしかないんです」
「だから飛んで来たのか……」
ラックはリードシクティスに向けて右手を差し出した瞬間、また妹に裾を引っ張られる。
「この人……かわいそう……」
「かわいそう?」
イヨカは早苗を指さし、膝をついて両手を腹に当てる。イヨカから柔らかな光が溢れ、蹴り跡が消滅した。
「ゾンビではなかったのか……」
◆
数十分後、三人は虹龍洞入口近くに到着した。そこには毒の魔法で苦しむ四人が地面に横たわっていた。
「イヨカ! 頼む!」
潤んだ瞳のイヨカは頷き、両手を広げた。手から光の粒が舞い上がり、四人を包み込むように降り注ぐ。
しかし、回復魔法を受けたはずの四人の表情は険しくなっていき、四人全員が悲鳴を上げた。
「くそっ……! なぜ効かない……!? 毒……毒といえば……キクラゲ! あいつも連れてきてくれ!」
「分かりました!」
ラックに指示されたリードシクティスは慌てるように空を飛び始めた。さらなる助けを求めるために。