オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
真夜中の幻想郷、リードシクティス・キクラゲ・アキスの三人が虹龍洞の入口付近に着地すると、そこには毒で苦しんでいるはずのサバミ・カサゴ・山如の三人はすでに立ち上がっていた。しかし、霊夢ただ一人は青ざめた顔で横たわっている。
「え……!? 三人共もう元気になったんですか!?」
動揺したリードシクティスの質問にサバミは頷く。
「あぁ……シクティスさん、イヨカがヒントをくれたんだ」
「ヒント……ですか?」
「イヨカの回復魔法で苦しんだ……それでこの毒の正体に気付いた」
リードシクティスはハッとして拳を平手で合わせる。
「なるほど! 生き物の毒だからイヨカさんの回復魔法で毒が元気になってしまった……ということですか!?」
「その通りだぜ」
サバミは手にしているタバコを一吸いし、ため息のように煙を吐く。
「それに気付いた私とカサゴは自分の力で自分の中の毒の魂を一気に引き抜いた。姐さんも自力で毒の生きようとする精神を消したらしい」
「おい! なんだあれ!?」
ラックが人差し指でとある方向を指差して叫ぶ。全員がその方向を見ると、そこには紫色の歪んだ裂け目が開いていた。それはまるで空間そのものが引き裂かれたかのようなものだった。
「真空魔!? 真空魔だ!!」
サバミが興奮気味に叫ぶ。周囲はきょとんとするだけだった。
スキマから優雅に長い金髪と扇と日傘を持つ八雲紫の顔が覗かせる。
「集まったところで……異世界の住人九名……幻想郷へようこそ」
リードシクティスが挨拶の言葉を送った紫への警戒心が顔に出る。
「あなたは?」
「私のことはさておき、霊夢にかけられた毒はもう蔓延する恐れはないのね?」
「はい……」
「それじゃあ霊夢を博麗神社に連れて休ませてあげましょう。場所が分からないなら案内してあげるから」
リードシクティスは紫に深く頭を下げた。
「すみません……案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「ついて来て」
◆
真夜中の博麗神社、境内にある建物の和室に敷かれた布団に顔色悪い霊夢が眠りについていた。
そして鳥居の前では異世界から来た九名と八雲紫が話し始めていた。
「つまり……生きてる毒の魔法を取り除こうにも、冥王の魔法を霊夢に向けると毒の魂と一緒に霊夢自身の魂まで抜けてしまう恐れがある……そういうことね」
「そうっすね……だからといって姐さんの煙を吸いまくるわけにもいかないでしょうし……」
「他に方法は無いのかしら?」
紫は質問を投げかけると、サバミはニヤリと笑みを浮かべた。
「紫さん、異世界の現・冥王を舐めてもらっちゃ困るぜ」
「舐めてなんかないけど」
「私が繊細に霊夢の中にある毒の魂だけを削り取る! これでどうだ!?」
「え!? お姉ちゃん! そんなことできるの!?」
カサゴの質問でサバミは首をかしげる。
「……さぁ!?」
(お姉ちゃん……絶対今、思いついただけだよね……)
「もし霊夢が死んだら……責任を取ってくれるのかしら? 重い責任よ」
サバミは自信満々に胸を叩く。
「任せろ! 針に糸を万回通す作業だと思うけどな! その間、禁酒してやるよ!」
高らかに宣言したサバミはポケットからタバコを取り出して火をつけた。ラックは飛び上がって、サバミの背中を右の掌で叩く。
「タバコは吸うのかよ!」
突然、両手でサッカーボールを抱えている穏やかな表情の黒幕子が鳥居の前に出現した。
「え!?」
その場に緊張感が走る。
「十日後、試合をお願いします」
黒幕子はボールを蹴り、サバミへと放つ。サバミは胸でトラップして左足の裏で押さえた。そして黒幕子は瞬間移動で姿を消す。
「ボール蹴って消えた……」
呆然としているアキスがそう呟き、握った刀を納めた。
「どういうことだサバミ!」
ラックがサバミに詰め寄る。サバミは照れくさそうに頭をかいた。
「実はな……私が黒幕子に青い炎をぶつけた時、超次元サッカーにハマるように魂をちょっとだけいじってやったんだ。そんで、十日後に試合することになったらしいぜ!」
「……いや超次元サッカーってなんなんだ!?」
「イナズマイレブンだが?」
「知るかー!」
ラックの叫びが夜空に響き渡り、紫は扇で口元を隠しながら深いため息をついた。
「せめて弾幕ごっこにして欲しかったわ……」
「紫さん……それだと幻想郷の住人に迷惑がかかるだろ?」
「おい! 超次元サッカーとやらが、我たちが全員できる前提になっているぞ!」
怒りを露わにしているラックの発言を遮るようにリードシクティスが一歩前に出た。
「とにかくみなさん……やってみませんか?」
「ガチで戦うよりもマシになったんだぜ! やろう!!」
リードシクティスとサバミの言葉に、周りは誰一人返事することはなかった。