オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
九十一話 十六夜と三日月
コチヤーズ対クリアナイトの第八試合が行われる前日の夜、幻想郷は逆三日月の光に照らされていた。
白い和装に身を包む黒幕子はふらふらと飛んでいると、真下にある紅色の洋館――紅魔館が視界に入る。
門の前にいる赤髪のストレートロングの頭に緑色の帽子と緑のチャイナドレスを着る少女――紅美鈴が立っていた。
「起きてください」
立ったまま鼻提灯を作っている美鈴に黒幕子は刀の刃先を美鈴の首元に当てる。風圧で鼻提灯が破裂した。
「むにゃむにゃ……」
「ここにいるという、悪魔はどこにいますか」
美鈴は目覚め、驚愕の表情に変わる。黒幕子は表情崩さず、美鈴の首元に刃先を向け続ける。
「うわぁ! あんた誰ですかー!」
「悪魔はどこですか」
(あ……悪魔……!? どうしよう……喋らない方がいいのかな……)
美鈴は内心で思考を巡らせていると、美鈴は黒幕子と少し距離を取り、ファイティングポーズをとった。
「話す気がないなら……おとなしくしてもらいます」
「えぇ!? 嫌だ!」
黒幕子は美鈴に斬りかかる。初撃を華麗にかわした美鈴は蹴りで反撃するも、すぐさまうつ伏せに倒れる。
(あれ……全身の力が……もしかして触れるだけでも駄目だった……?)
美鈴は再び眠るようにまぶたを閉じる。黒幕子は高く飛んで紅魔館内に侵入していった。
◆
紅魔館内、薄青紫色ショートヘアの頭にドアノブカバーのようなものをかぶり、白いレース服を着用。
さらに、背中に黒い悪魔の羽が生えている少女――レミリア・スカーレットがいる部屋のドアが開く。
部屋にメイド服を着た咲夜が入室する。レミリアは咲夜を背にして窓の外を眺めていた。
「お嬢様、黒幕子がここに来ました」
「そう……」
「どうします? 美鈴が捕まりましたが逃げますか?」
レミリアは振り返って歩を進め始める。咲夜を通り過ぎて部屋を出たレミリアは悪魔のように不敵に微笑む。
「逃げる? 紅魔館の主である私が?」
「ですが……黒幕子は心を操る魔法を扱うとか……もし私が操られてお嬢様を……」
「心配ないわ。私は捕まらない運命が見えるから。大丈夫よ」
「……なら大丈夫ですね」
◆
数分後、レミリアと咲夜は紅魔館の外に出ると、数十メートル先の地面に何者かが倒れていることに気付く。
その者は黄色いショートヘアでサイドテールにレミリアと同じドアノブカバーのようなものをかぶっている。
さらに、巻きスカートの赤色の服を着用、背中にはカラフルな結晶でできた羽があった。
「フラン!!」
倒れてピクリとも動かないその者はレミリアの妹である少女――フランドール・スカーレットであった。
レミリアが一歩踏み出すも、咲夜の手で制止を受ける。レミリアは見上げると、黒幕子が飛んでいた。
「上にいます」
「……あいつが黒幕ね」
「ここはやはり……逃げましょう」
咲夜は己の能力である時間停止を使い、レミリアの服を引っ張ってその場から姿を消した。
◆
数分後、紅魔館の大図書館内ではムスッとした表情のレミリアと、真顔の咲夜ともう一人がいた。
三日月の飾りがあるドアノブカバーのようなものを頭にかぶり、ゆったりした薄青紫色の縦じまの服を着用。
紫髪ロングの少女――パチュリー・ノーレッジ。咲夜とレミリアとパチュリーの三人は会話していた。
「ねぇ、本当にフランは連れて来られなかったの?」
「妹様は顔色が悪かったので毒の魔法を受けているのかなと……黒幕子は毒を盛って攫うというのが常套手段らしいので。見逃す他ありませんでしたわ」
「黒幕子の狙いは私たちを攫って操ることなのね」
咲夜は頷くと、パチュリーの息が荒くなり、仰向けに倒れた。レミリアはパチュリーに駆け寄る。
「パチェ!! どうしたの!?」
「レミィ……上……」
パチュリーのかすれた声に、二人は見上げる。そこにはレミリアを睨みつけている黒幕子が飛んでいた。
「悪魔は殺す……」
黒幕子はそう呟くと、咲夜は時間停止を行い、レミリアをおんぶして二人はその場から消えた。
◆
レミリアをおんぶしている咲夜は外に出ていた。門の外には紅魔館全体を覆う結界のような壁があった。
(この壁……ナイフをいくら当てても弾かれるわね……)
咲夜はレミリアを降ろし、時を動かす。その数秒後、上空に黒幕子が出現し、咲夜と黒幕子が睨み合う。
「お嬢様には指一本たりとも触れさせませんわ。黒幕子」