オリキャラと東方キャラで超次元サッカーする話 作:みかづき椛
コチヤーズメンバーが集まる紅魔館内の広い部屋では、置いてあるホワイトボードにサバミが何か書き始めた。
キーキー音が止み、サバミが横にずれると、ホワイトボードに書かれてある『三日月晴奈』が露わになる。
「読みは『みかづきはれな』だぜ。今、黒幕子と名乗っているあいつの名だ」
「はれなと言うのか……さすがに黒幕子は本名ではなかったな」
ラックはそう呟くと、サバミはホワイトボードに『北海道→異世界転生→封印→幻想郷』と書いた。
「北海道で死ぬ前、当時十八歳の晴奈は何をしていたと思う? ちなみに今は十九歳だぜ。十九歳で不老不死の魔法を受けたからな」
「どうでもいいから早く説明しなさい」
「は……は〜い……」
アシカに急かされたサバミはしゅんとして肩を落とし、ホワイトボードに『巫女』と書いた。
「巫女として過ごしていた晴奈だったが……自身がかかった病気が原因で住んでいた村が大変な目に遭い、晴奈を恨む人は増え始めていったんだ……」
◆
その後、晴奈は首に斧を受けて亡くなり、異世界転生してクロマグロと出会い――
異世界の神が死に、代わりの神になるため選ばれた晴奈が様々な力を注がれている途中で暴走し――
宇宙空間に飛ばして百年封印し、現在に復活して超次元サッカー脳にされるまでの流れをサバミは説明し終えた。
「こうして、異世界最強の巫女と呼ばれた晴奈は超次元サッカーにはまったことによって全てを作った始まりの今は亡き神への復讐心が薄まっていくのであった……」
「勇者クロマグロの右腕である三日月晴奈……まさか黒幕子の正体が彼女だったなんて……」
リードシクティスは首をかしげながらそう呟くとサバミはホワイトボードを思いっきり叩いた。
「晴奈はな……百年前の最強格たちに勝ってきた……相手をどうやって倒せるかめちゃくちゃ研究する……努力家の巫女とも呼ばれていたんだ」
「努力家の巫女……霊夢と真逆だな」
そう呟いた魔理沙は周りを見回す。何も見つけられなかった様子の魔理沙は再びサバミに視線を合わせた。
◆
数時間後の昼頃、サッカースタジアム内のミーティングルームにコチヤーズメンバーが集まっていた。
ホワイトボードの前にはサバミとこいしが並んで立っており、サバミが何かを熱弁している。
「今日! ふらっと来たこいしを見て思ったんだ! 時止めディフェンスへの対策方法を!」
「じゃあみんな、とりあえずフィールドに行こ〜!」
こいしは笑顔でガッツポーズをし、席に座るコチヤーズメンバーは一斉に立ち上がった。
◆
数十分後、スタジアムのメインコートでは足元にボールを置いているコチヤーズメンバーが二列に並んでいた。
「これから無意識状態のこいしが列の間を歩き、ボールを奪いに来る。みんなはなるべく奪われないように頑張ってくれ」
サバミはそう言うとこいしはその場から姿を消した。まるでメンバーの意識から消えるように。
「私も並ぶか」
列の最前列に立ったサバミはボールを足裏で押さえようとした瞬間にボールが消え、バランスを崩した。
「おわ〜!!」
サバミは思い切り尻餅をつくと、照れるように笑みを浮かべたこいしがサバミの背後に姿を現した。
「みんな〜! こうならないように頑張ってね〜!」
◆
その日の夕方、サッカースタジアム内の廊下ではサバミとこいしが椅子に座りながら話していた。
「いつかは走りながらこの無意識特訓をやろうと思ってるが……こいしが接触して危険に晒すかもしれん。付き合ってくれるか?」
「いいよ〜!」
「よし! 数日後には紅白戦をしながらこいしを乱入させよう!」
◆
数日後の夜、サッカースタジアム内の部屋の出入り口に早苗・シラウオ・フナの三人が立った。
三人は静かに部屋に入ると、ベッドで赤色のパジャマ姿のレミリアが静かな吐息で眠りについていた。
「二人とも、部屋から出ましょう」
小声でシラウオはそう言うと三人は静かに部屋を出て扉を優しく閉め、廊下を歩き始める。
「レミリアに謝りたかった……結果、命は失われなかったけど体に何度も傷を与えてしまった……」
「多分、そのことについては気にしてないと思うので大丈夫だと思いますよ。傷もマネージャーの回復魔法で全快しましたし」
早苗はそう声をかけ、うつむきながら歩くシラウオの肩をさすった。笑顔のフナは姉の顔を覗き込む。
「お姉ちゃん! 晴奈からの攻撃を4時間耐えたんだから誇ってよ!」
「はれな……?」
「黒幕子の本当の名前らしいよ! 三日月晴奈!」
「その名前聞いたことがある……百年前の最強の火属性、無駄のない最低限の動きと魔力で敵を倒す巫女服姿の者……」
冷静に三日月晴奈の特徴を発するシラウオに、早苗とフナは不思議そうな顔付きに変わる。
「え? お姉ちゃん知ってたの?」
「私の理想。彼女みたいな無駄がない人になりたいと思っていたから」
「えぇ!? まさかの憧れだったー!?」
フナの叫びの後、無表情ながらも頬を赤くしているシラウオは右手で妹フナの口を塞いだ。
「うるさい」