俺が再び生まれ落ちた世界は、争いの絶えない世界だった。
それこそ現代日本という戦争になじみのない温室育ちの俺には少々過酷、いやかなり過酷なほどこの世界はそこらかしこで戦争が起きていた。
そんな終わってる世界で、幼い親友が俺に問いかけてくる。
「ねぇ、なんで人は争うと思う?」
そんな彼女の質問が俺の頭の中で響いた。
「そんなの偉い人が好き勝手したいからだろ」
「違うよ……足りないんだよ、優しさが」
「はぁ?優しさで済む話じゃないだろ」
「ううん、みんなが優しかったら争いは起こらないよ。そして、みんな優しさは持ってるの。思い出せないだけで、ずっと優しさを貰って生きてきたんだから。だから、優しさがわからないはずはないんだよ」
確かに、全人類が相手を尊重できるなら争いごとなんて起きやしない。でも、それは荒唐無稽であり得ない理想論だ。そう、頭の中で否定する。それでも……
「だからね、私はみんなに優しさを思い出せてあげたいの!」
俺はこの時の、彼女か目を輝かせながら語る、荒唐無稽で有り得ない理想論に、どうしようもなく魅せられてしまったのだ。
***
「……」
自らの異能に焼かれ、真っ黒に焦げて顔も見えない死体を見つめる。
その死体は、全身くまなく、いっそ綺麗なくらいに炭化しており、もはや元々誰だったのか分からず、辛うじて人であったことが
分かる程度であった。
「はは、優しさ、ね」
彼女は確かにあの時、全ての人は優しさを理解できるといった。
「無理だろ」
今、理解した。理解してしまった。性善説なんて嘘っぱちだ。人間なんて腹の中ではろくでもないこと考えているクズばっか。このクズだって、彼女をここまでボロボロにさせた。許せないゆるせないユルセナイ
クズが際限なく私腹を肥やし、侵略された世界の人々が搾取される。搾取先がなくなれば、新たな世界に侵略し、搾取先を増やす。僅かな一部だけが得をし、大多数が不幸を押し付けられる。
彼女だってそうだ。いつも晴れやかに笑っていた顔は、先ほどまでありとあらゆる感情が抜け落ちたようだった。健康的な肉付きだった体は、ひどく痩せこけていた。指をいたずらに捥がれ、鎖に繋がれたままクズに純潔を散らされた。
クズはクズだ。優しさを思い出しても、理解ができない。いや、理解しようとしない。
決めた。優しさだけで平和なんて無理だ。相手が理解しようとしないなら、こっちも理解しなくていい。だから、彼女も俺も大っ嫌いなことで平和を叶えてやる。
俺が、この世界の全部を支配してやるよ