【全話挿絵】婚約破棄された悪役令嬢、実は元覇王でした ~小僧、婚約を破棄し国外追放するだと? 作:よっちゃ
元覇王 (享年十八) 転生先は公爵令嬢エレクシア。
腐りきった婚約破棄劇を一つ残らず粉砕していく。
卑劣な婚約破棄野郎共が、暗殺者を放った。
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「ククク……淑女だけの軍勢か。楽しみだぜ。
おいガイアス、女どもは俺たちの好きにしていいんだよな?」
テリオスの奴の声が夜の闇に溶ける。
「油断するな、テリオス。淑女の軍勢といえど女騎士崩れも多いと聞く。
それにここは公爵家だ。どんな罠があるやもしれん」
「へっ、心配性だなガイアス。所詮は婚約破棄された令嬢どものおままごとだろ?
俺たちA級冒険者パーティー《スーファイブ》が相手じゃ、遊びにもならねえさ」
深夜。
日々繰り返される婚約破棄劇を荒らして回る
──肥沃な領地を持つエルドレイン公爵の屋敷は、異様なまでに静まり返っていた。
虫の
広大な敷地を囲む
ククク、このジャッカス様は一流の斥候だ。
今まで
魔物の巣窟、盗賊団の砦、邪教徒の地下神殿──
どんな場所にも「気配」というものがある。
だが、この屋敷にはそれがない。
(……静かすぎる)
警備兵がいない、巡回の足音もない。
魔力探知の結界特有の、肌を撫でるような違和感も感じない。
これほど巨大な屋敷だ。
通常なら巡回は最低でも二組、屋根上にも弓兵、結界は三重が常識。
それが──ここまで何もない。
(罠か?)
いや、と俺は首を振る。
ついこの間まで、花よ蝶よと育てられていた貴族令嬢の寄せ集めだ。
令嬢らしくお茶会でもして寝ているのだろう。
フッ、軍勢などといっても所詮は素人のお花畑集団に違いない。
それにしても今回の依頼は
とある高位貴族様から秘密裏に回ってきた裏の仕事。
標的は、
社交界の華と
エレクシア・エルドレイン公爵令嬢。
そして今や覇天軍を率いる首領──
学園卒業パーティーで王太子に婚約破棄を宣告され、その場で王太子を粉砕。
止めに入った騎士団の精鋭すら血祭りにあげた絶世の美女。
そんな尾ひれのついた噂が、裏社会ではまことしなやかに
だが所詮は貴族どもの茶番。
甘ったれたお坊ちゃん相手に、お転婆なお姫様が
ヒヒヒ、
そいつを好きにしていいってんだから、最高だぜ。
成功すれば一生遊んで暮らせる程の報酬。
さらに軍団の女どもは好きにして構わないときた。
これまで幾度も死線を越えてきた俺たちだ。
ドラゴン、魔王の眷属さえ踏み越えてきた、精鋭中の精鋭。
たかが貴族の小娘どもなど──相手にもならん。
「見張りは、いないようだ。行くぞ」
短く合図し屋敷内へ侵入する。
廊下は長く暗い。
燭台の炎が不自然なほど揺れない。
俺たち五人は足音ひとつ立てず進む。
「フフフ、
俺たちへの歓迎パーティーでも準備されていると思ったんだがな」
マーカスの奴が小さく笑う。
頼もしい最強の戦士。
こいつが壊してきた
やがて巨大な鉄扉の前で止まる。
依頼書にあった位置と一致する。
ここがエレクシアの寝室へと続く唯一の道。
耳を当てる。
気配は……ない。
罠の気配も魔力反応もない。
ゆっくりと扉を押し仲間を手招きする。
全員が部屋の中へ入った瞬間──
背後で重い音が響いた。
ゴオン!
取っ手を掴むが動かない。
外側から封鎖された感触。
(ちっ、罠か……!)
最初に目に飛び込んできたのは光だった。
床一面に反射する無数の銀光。
一歩踏み出しかけて──凍りつく。
「……なんだ、これは!」
床が、ない。
隙間なく並ぶのは無数の槍の
白銀の刃が天井の灯りを鈍く弾き、冷たい森のように林立している。
「ひっ!」
その中心──
黒い
片目は眼帯に
膝の上で重ねられた白い指先。
その背後では、夜そのもののような黒髪がゆらりと揺らめいていた。
(……なんだ、こいつは)
背中に、冷たく不快な汗が流れた。
女がゆっくりと口を開く。
「──ようこそ、冒険者パーティー
“スーファイブ”の皆様」
声は細く小さいが、槍の一本一本を震わせるように空間全体へと波紋のように広がった。
「私はこの《
セラフィーナと申します」
名乗りと同時に、金属の擦れる音がどこからともなく鳴る。
「皆様にはぜひ──
私の“質問”に、お答えいただきたく存じます」
「──
なんぞや?」
静かな声だった。
だが、部屋全体を支配する不気味な響きがある。
「イヒヒ! 可愛らしいお嬢さん。
この程度の罠でわしらを足止め出来ると思っているのかい? 」
ドリアスが小娘を
「ふむ、答えは……それでよろしいでしょうか?
よくお考えになってくださいませ」
ヒヒ、さすが頼もしい歴戦の
ふん、所詮は女か。俺たちにこれほどの時間を与えてしまうとはな。
テリオスが眼帯の女を見下ろして
「ははぁ……なるほど。
お嬢ちゃんは“女の生き様”を知りたいのか。
簡単な話だ。強い男に選ばれ、愛でられ、犬のように腰を振り従う。
それが女の幸福だろう? ヒャハハ」
テリオスの奴め、もう既に術を完成させたな?
「安心しろ。俺は優しい。ちゃんと順番に教えてやるさ」
マーカスがベルトに手を掛け舌なめずりをする。
ヒヒヒ、こいつまた壊す気だ!
「俺はよお、女の目が、恐怖に濁る瞬間がたまらねえんだ。
誇り高い女ほど、壊し甲斐がある」
「ハハハハハ! 泣いて、
「さあ、お嬢ちゃん。俺たちがその綺麗な身体に
“女の生き様”ってやつを刻んでやるよ!」
「残ったその目をくり抜いてズタボロに陵辱してやる!!
泣き叫べ!!」
「ヒャハハハハハハッ!!
ショータイムの始まりだあ!!」
「ヒャッハ──!!
レッツ、パーリィイイイ!! 」
「キャアアアアアア!」
続く。