【全話挿絵】婚約破棄された悪役令嬢、実は元覇王でした ~小僧、婚約を破棄し国外追放するだと? 作:よっちゃ
「公爵令嬢エレクシア、貴様のような陰気な女との婚約は
──今この場で破棄する!」
王城大広間に、王太子の怒声が
「フフフ……よかろう、
ならば……死ぬがよい!」
エレクシアの背後の空間が、ぐにゃりと
「
エレクシアの
彫像のように美しい脚が
次の瞬間、王太子の
「ぐおおお! 余の股間が、燃え盛る太陽のように熱いイイイイイ!」
王太子の身体が灼熱に包まれる。
その存在は光の中で焼かれていく。
元勇者であり歴代最強と
燃やし尽くされながらも笑みを浮かべた。
そこにあったのは
「み、見事だ……エレクシア。甘さを捨てきれなかった貴様が、
まさか、魔王すら退けた勇者を一撃で
エレクシアは振り返らない。
「執念。それが我を覇王へと変えたのだ」
死の間際──
「エレクシア……フフッ、俺ごときの……勝てる相手ではなかった……
貴様こそ真の覇王よ……」
「ぐばあ!!」
言い終えるや否や、王太子の肉体は日輪の灼熱に焼き尽くされ、
やがて灰となって崩れ落ちた。
その灰さえも熱風に巻き上げられ、跡形もなく消え去る。
──終劇。
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「と、こんな感じでどうだろうか。我ながら素晴らしい出来だと思う」
エレクシアは誇らしげに胸を張った。
「王太子殿あそこを焼かれて逝った──!!
肉片の欠片も残らず文字通り燃え尽きたでござる!!」
マーガレットは扇を広げ、目を見開いた。
「いと恐ろし! いと理不尽!」
「いや、婚約破棄なんぞするやつだからな、自業自得だろう」
「さすがはエレクシア様。
王太子如き汚物にも、人としての尊厳ある最期を与えるとは……」
四天王セラフィーナが、不敵に笑った。
「ニホンの神々が刺激を求めるのならば、
次はこのセラフィーナが作ってみましょう」
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「セラフィーナ、陰気な貴様との婚約を破……
なっ!?」
王太子がそう言い終わる直前。
空が
それらが王太子の身体を、雨のように容赦なく貫く。
「ぐぼぁっ……!」
鮮血が舞う。
だがセラフィーナは前へ歩み寄る。
「下衆よ、冥府へ逝く前に問いましょう」
槍に貫かれながらも、なお立つ王太子へ、セラフィーナが問いかけた。
「
王太子は血を吐きながら、笑った。
「女か……フッ、女など顔が美しければそれでよい……」
「ぎゃびいっ!」
槍が一斉に
無様にも王太子の身体は
細切れの肉片が音もなく地に落ちる。
セラフィーナは背を向ける。
「愚か者め」
風が黒髪を揺らす。
「
セラフィーナがそう言い終えた瞬間、
王太子の汚らわしい
──終劇。
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「ウヒイイイ! 王太子殿また
「今度は
マーガレットは額を押さえた。
エレクシアは腕を組み、うむと
「しかし、なるほどな。こうして物語を作ってみると……
マーガレットの申していた“ニホン”とやらに住まう神々が、
なぜこのような話を好むのか、少し理解できる」
マーガレットはぴくりと肩を震わせた。
「神々……と申されましても、上位次元よりこの世界を観測しておる方々にて候」
「ゆえに、この世界では“婚約破棄される令嬢”が量産されるのでござる」
「ニホンの方々が、それを好むゆえに」
「フフフ……迷惑な神々だな」
エレクシアは脚を組み直した。
ハイヒールの鋭い踵が、怪しく光った。
「よかろう」
「しかしだ、婚約破棄をするような無礼な下郎に対し、
軽快に“ざまぁ”を叩き込む。
これは確かに、スカッとする」
「そうですね。理不尽に捨てられし側が、圧倒的力で逆転する。
それがざまぁ。
短く、強く、わかりやすいゆえに流行る、と」
セラフィーナが淡々と分析する。
「オレにも作らせてくれ。
実はオレも生前は日本で生活していた記憶が
「婚約破棄ものは……そこそこ読んだからな」
「ほお、それは楽しみだ。では
元ニホンジンの腕前、見せてもらおうではないか」
②へ続く。