【全話挿絵】婚約破棄された悪役令嬢、実は元覇王でした ~小僧、婚約を破棄し国外追放するだと?   作:よっちゃ

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第24話 覇姫エレクシア探検隊~ついに発見!未開の部族④

 テーマソング二番

 

 ♪ 行く手を阻む 巨大な魔の沼♪ 

 ♪ 底なし沼が 侵入者の 行く手を阻む♪ 

 

 ♪ 巨大なピラニアが 沼より現れる♪ 

 ♪ エレクシアの 白い脚が 怪魚を蹴り飛ばす♪ 

 

 ♪ さらに密林を 進むと♪ 

 ♪ 奇妙な足跡が 続いてる♪ 

 

 ♪ 人のものとは 思えない♪ 

 ♪ 不思議な足跡だ♪ 

 

 ♪ 密林の奥地に 原住民発見!♪ 

 ♪ 腕には何故か スマートフォン♪ 

 

 ♪ この密林には まだ誰も知らない♪ 

 ♪ 恐るべき秘密が 隠されている♪ 

 

 ♪ ゆけ ゆけ 覇姫エレクシア♪ 

 ♪ ゆけ ゆけ 覇天軍女子♪ 

 ♪ ゆけ ゆけ 未来のために♪ 

 ♪ 密林の奥へ!! 

 

 

 続き

 

 その時だった。

 黒い水面が、突然──盛り上がった。

 

 ──ドォン!! 

 巨大な影が、水中から次々と跳ね上がる。

 全長二メートルはあろうかという、

 人を喰らう巨大ピラニアの群れ。

 口いっぱいに並ぶ鋭い牙。

 濁った黄色の目が、侵入者を睨みつける。

 

 魔の沼に棲む捕食者──

魔沼(ましょう)巨魚(きょぎょ)グラッジフィッシュ】

 

 ギチギチと顎を鳴らしながら、

 巨大魚たちが一斉に口を開く。

 

 水面が爆ぜるように弾け、

 群れは弾丸のごとくエレクシア隊長へ襲いかかった。

 

 しかし──

 隊長の表情は、まったく変わらない。

 

「ふん」

 水面を蹴った隊長の身体が、ふわりと宙に浮いた。

 紅いドレスが(ひるがえ)る。

 そして──

 バキィィッ!! 

 エレクシア隊長の白磁(はくじ)のような美しい脚が、

 最前列の怪魚の顔面を蹴り抜いた。

 

 

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 究極奥義──覇天撃怪魚脚。

 

 衝撃は頭蓋を貫き、

 巨体はそのまま水面へ叩きつけられる。

 ドォォォン!! 

 一匹が沈む。

 だが次の瞬間、さらに数匹が跳ね上がる──

 

 だが遅い。

 宙に舞う隊長の脚が、

 連続して閃いた。

 バキッ、バキィッ、バキィィッ!! 

 次々と叩き落とされる巨魚たち。

 巨大魚は大きく跳ね、やがて力を失い、

 そのまま黒い沼の底へと沈んでいった。

 

 エレクシア隊長は何事もなかったかのように着地し、再び走り出した。

 

 水面を蹴る音だけが密林に響く。

 

 やがてエレクシア隊長は対岸へと到達した。

 最後の一歩で地面を踏みしめると、手に持っていた鋼鉄ロープを近くの巨木へと結びつける。

 太い幹にぐるりと回し、固く締め上げる。

 これで、一本の鋼鉄索が沼の上に張られた。

 

 隊長はロープの張りを確認すると、満足そうに頷き、対岸へ向かって手を軽く振る。

 その合図を見た覇天軍女子たちは、待っていたと言わんばかりに動き出した。

 

「参りますわ」

 

 一人の令嬢が、ロープに滑車を掛ける。

 腰に結び、ロープを両手で握る。

 

 そして──

 

「ヒャッホーイ!!」

 シュオオオオオオッ!! 

 令嬢の身体が一気に沼の上を滑り出した。

 ドレスが大きく広がり、まるで赤い花が空を舞うようだ。

 

 沼の黒い水面の上を、優雅に、そして凄まじい速度で滑り抜けていく。

 

「まあ! 楽しそうですわ!」

「次はわたくしです!」

「ドレスを押さえてくださいませ!」

 

 次々と令嬢たちが滑車を掛けていく。

 シュオオオッ! 

 シュオオオオッ! 

 赤、桃、白。

 色とりどりのドレスが、風を受けて膨らみながら次々と沼を越えていった。

 その様子は、まるで空を渡る貴族の行列のようである。

 沼の魔物たちも、さすがに手が出せない。

 もし飛びかかったとしても──

 先ほどの巨大魚の末路を見れば無事では済まないからだ。

 

 

 やがて最後の令嬢が対岸へ到達した。

 スカートの裾を整え、優雅に着地する。

 

「ふう……思ったより速いですわね」

「風が気持ちよろしいですわ」

 

 覇天軍が誇る行軍術──

 覇天軍滑空渡河(ジップライン)

 

 鋼鉄の索を張り、滑車を用いて一気に谷や沼を越える大胆不敵の渡河法である。

 ドレスを汚すことを嫌う覇天軍女子たちにより開発され、現在の優雅な形へと進化した。

 その速度は熟練者であれば時速八十キロに達するとも言われる。

 

 

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 やがてエレクシア探検隊は、密林の奥地で奇妙な光景を目撃した。

 木々の合間に粗末な小屋が並ぶ集落があったのである。

 

 そして。

 そこで隊員たちは──

 いつもの光景を目にした。

 

 ──────────

 

 四天王メスガッキーナが一歩前に出る。

 

「……ざーこ♡、おまえ、ここで婚約破棄をしたの?」

 

 翻訳

『ちいさなさかな すきです、 あなたは ここで こんやくはきを なさいましたか?』

 

 司祭は、ゆっくりと頷いた。

 

「そうだ、こむすめよ」

 

 翻訳

『はい、仰る通りでございます。可愛い小さな私の娘様』

 

 そして、恐るべき顔で淡々と言い放つ。

 

「われわれにとって、こんやはきは──ぎしきなのだ!」

 

 翻訳

(わたくし)(ども)にとりまして、婚約破棄というものは、一年に一度開催される一種の楽しい伝統行事でございますよ』

 

「※§ΛΦ〇ΧΨ※§ΛΦ〇ΧΨ!!」 

 

 周囲の未開の部族たちが一斉に叫び声を上げた。

 

キィィエエエエ!!

 

 翻訳

『私共は貴方様方を捕縛し、臓物(ぞうもつ)は邪神ウルヴァドロンへ(つつし)んで献上致します。可食部は丁寧に調理のうえ、余すところなく頂戴する予定でございます。特に皆様のような若い淑女は食いでが御座います。

 なお、逃走はお控えいただけますと幸いです。

 ──そちらの、ちいさな魚、ちいさな魚と煩い小生意気なメスガキ。

 貴様は最も新鮮な状態で献上いたしますので、ご安心くださいませ。どうもありがとうございました。では、いただきます』

 

 蛮族たちが狂ったように目を見開き、探検隊へと襲いかかってくる! 

 

「何と言う野蛮人だ!」

「容赦は無用だ! 撃退せよ」

 

 婚約破棄を弄ぶ者に慈悲はない。

 

 一瞬で戦場は制圧され、未開の部族たちはすべて地面に伏し、縄で縛られ身動き一つ取れない。

 

 静寂が戻る。

 四天王メスガッキーナが愚かな司祭を見下ろし(つぶや)いた。

 

「……儀式、ねえ。ふふふ、ざーこ」

 

 翻訳

『あらあら、そんなにいきりたって……それがあなたがたの“ぎしき”なの? 

 ずいぶんとおそまつで、かわいらしいこと。

 いっしょうけんめい こわがらせようとしているみたいだけれど、ごめんなさいね、すこしもこころがうごかないの。

 

 ねえ、いまどんなきもち? 

 たいせつにしていたものを、こんなふうにかるくあしらわれて……

 くやしくて、くやしくて、しかたがない? 

 ふふ、それでもなにもできないなんて──ほんとうにあわれだわ。

 ほら、もうすこしがんばってみせて? 

 でないと、さいごまで“ざーこ”のままよ?』

 

 

 

 なぜ、この未開の部族は婚約破棄を繰り返すのか。

 それを“儀式”と呼ぶ理由は何なのか。

 

 そして──

 あの奇妙な四角い板(スマホ)は何なのか。

 

 謎は、ますます深まるばかりであった──。

 

 

 

 




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