【全話挿絵】婚約破棄された悪役令嬢、実は元覇王でした ~小僧、婚約を破棄し国外追放するだと?   作:よっちゃ

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第3話 醜女系女子の生き様。美を纏うなど恥辱!

 この身に美を帯びるなど、我が生き様には恥辱!

 醜女のまま足掻き、醜女のまま逝く! 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「──おいブス、貴様との婚約を破棄する。父上にも許可をいただいている。理由は言わずとも分かっているだろう? お前が……あまりにも醜いからだ!」

 

「え? そ、そんな……殿下……急になぜ……」

 

「急になぜだと? 気色の悪い声で戯言(ざれごと)を抜かすな! その汚貌(おぼう)で被害者面をしやがって! 俺はな、以前から貴様の醜相(しゅうそう)に吐き気を(もよお)していたのだ。

 侯爵家の財目当てで我慢していただけの話よ。

 だが、それも最早(もはや)不要となった。俺は真実の愛に目覚めたのだ!

 見よ! この外見も魂も清冽(せいれつ)なる、聖女の転生と(うた)われる彼女こそ、我が伴侶だ!」

 

「ねえ、あんたみたいなゴブリン女……あ、それはゴブリンに失礼ね。とにかく、腐臭(ふしゅう)(まと)ったオークとナメクジを()り合わせ、泥水で煮詰めた残滓(ざんし)のような存在は、早く私のダーリンの前から消滅してね♡」

 

「…………」

 

「そういう事だ。もう一度改めて言うぞ。

 ブスよ、貴様との婚約を、今ここで破棄「うるせえええッ!! この瘴気口(しょうきこう)モルボル王子がァ!! 貴様のそのヘドロじみた発酵臭で婚約破棄だと!? 笑わせるなよ、この腐臭王(ふしゅうおう)!」

 

「な、なんだと……!?」

 

醜女(しこめ)が理由でだぁ? 

 上等じゃねえか。たかがモッビーのくせに! 

 てめえの口臭は三日三晩放置された屍肉(しにく)より酷えんだよ!! 近寄るたびに視界が(かす)んでたわ!」

 

「も、もっびー? き、きさま、その態度はなんだ!? ブスのくせに! 醜女(しこめ)ごときが、この俺にそんな口をきいていいと思っているのか!」

 

醜女(ぶす)醜女(しこめ)うるせえ!! 破棄するなら勝手にしろよ!!

 だが、なぜわざわざ学園の卒業パーティーで晒し者にするんだ!? てめえには人の心ってもんがないのか? たかだか顔面偏差値だけが取り柄の腐臭(ふしゅう)王太子(やろう)が調子に乗るんじゃねえ!!」

 

「き、きさま……」

 

「お前らさ、醜女(ぶす)には何をしてもいいって思ってるだろ!? 醜女(しこめ)にも一応人権はあるんだよ!

 ああ、わかったよ、いいだろう。貴様のその婚約破棄、受けてやろうじゃねえか!

 顔だけの腐臭モルボル王子と、全身整形改造済みのサイボーグ聖女だなんて、お似合いのカップルじゃねえか! ガハハハハ」

 

「ブス! 貴様、美しい聖女である彼女への侮辱は許さんぞ! 取り消せ、さもなくば、今ここでたたっ斬ってやるぞ!」

 

「はっ! 笑止! その女の“美”が作り物だと見抜けぬとは、この場の連中の眼は節穴か!

 いいだろう、愚かなモルボルよ、教えてやる。その女が貴様の瘴気(しょうき)に耐えられているのはな──自ら嗅覚を捨て去り、魔術で己の鼻腔(びこう)を封じているからだ! 

 その清冽(せいれつ)なる鼻梁(びりょう)はな、あれは自然の造形ではない。魔導彫塑(ちょうそ)によって削り出された(いつわ)りの(みね)よ!

 それでも臭えからと、常に清浄魔法を(まと)っているのが分からぬのか!」

 

「な、何を根拠に──! 

 こ、この、ナメクジオーク女が! 私の美貌は生まれ持ったものよ!」

 

「ガハハハ! 聖女サイボーグよ! 貴様が聖なる力に目覚めて最初に願ったのは何だ!?

 “世界を救う力”か?

 違うな! 貴様が願ったもの、それは、その偽物の 乳房(にゅうぼう)の増幅と、鼻梁(びりょう)の再構築だろうが!!

 なあ、そうだろう!? 出てこいよゴミクズ精霊王!」

 

「──我を呼んだか、(しゅう)(もの)よ」

 

「出やがったなバケモノめ! てめえがこの女を美女に作り変えたんだろう!? 

 オレは忘れてねえぞ……! 昔、オレがまだ餓鬼だった頃、貴様は一度、オレの前にも現れやがったな!? 

 その時どうした!? オレの顔を見た瞬間──悲鳴をあげて、光の裂け目に逃げ帰ったよなァ!!」

 

「…………」

 

「なぜだ? オレを貴様好みの美少女に魔改造(せいけい)して、てめえの愛し子にすりゃあよかったじゃねえか! なぜそうしなかった!?

 答えろ──小娘嗜好(ロリコン)精霊王!!」

 

「──うむ、覚えておる。久しいな、醜き者よ。

 そして……ふっ、やはり我の目に狂いはなかった」

 

「くっ……きさま」

 

「まさか、ここまで醜く育つとはな。

 長命なる我でさえ、貴様ほどの醜相(しゅうそう)は見たことがない。

 ふっ、全能とて万能ではない。我にも出来ることと、出来ぬことがある。

 貴様のその醜さだけは……世界の(ことわり)から外れておった。まさに唯一無二の(しゅう)よ」

 

「…………」

 

「許せ、醜きブスよ。我が貴様を救わなかったがゆえに、貴様は外見だけでなく──ふっ、心まで醜獣(モンスター)へと育ってしまったか」

 

「……」

「……オレはな、なあ、王太子。

 オレは貴様との婚約が決まった日── 嬉しすぎて、森中を裸足で駆け回ったんだ」

 

「…………それがどうした」

 

「王家が侯爵家の金目当てだってことくらい、餓鬼のオレにも分かってたさ。

 それでもな、それでも── オレなんかを“選んでくれた”って思っちまったんだよ」

 

「…………」

 

「そこらに咲く花に話しかけたりしてよ、

 “オレ、王子様と婚約したんだぞ! ”って。

 そしたらさ、花のやろう、見事に逝き(枯れ)やがった。

 川を泳ぐ魚にも言った。

 “こんな醜女のオレが、選ばれたんだぞ! ”ってよ。

 そしたら……魚が動かなくなって、浮かんで来やがった。

 あの死んだ魚の目、あの(まなこ)がいつまでもオレを睨みつけていやがる。

 くそっ、忌々しい……」

 

「……ブスよ、貴様の醜さは、神に呪われているのだ」

 

「ふふふ、そうさ。オレは幼い頃からずっと醜女、化け物って言われ続けて来た。

 親兄弟はむろん、屋敷のメイド達にすらだ。

 侯爵家の令嬢が、着替えはもちろん、己の(ふん)の始末すら自分でやってきたんだ。

 笑えるだろ?」

 

「……ブスよ、俺達が9つの頃、王家主催の舞踏会で、俺の口が臭えと笑った餓鬼共がいたな。

 その後、そいつらは涙ながらに俺に謝罪してきたが、貴様が何かしたのか?」

 

「ふん、知れたことよ。腐臭がしようが、貴様の魅力に気付かぬ未熟者共に、わからせてやっただけだ」

 

「……」

「…………ちっ」

「……おい、その醜い(まなこ)を閉じろ、ブス」

 

「……はあ? いきなりなんだ?」

 

「早く醜眼(しゅうがん)を閉じやがれ! この醜女(しゅうじょ)が!」

 

「チッ、なんだってんだ、いきなりよ。

 ふん、まさか、オレを斬るつもりか? 

 ちっ、好きにしろ……」

 

「くっ……ブスよ。目を閉じると、なおさら貴様のおぞましい醜貌(しゅうぼう)が際立つ。

 恐るべき……面構(つらがま)えよ」

 

「ふっ、お前の激臭も大概だがな……鼻が焼け落ちそうだ。

 意識が飛びそうだぞ、モルボル」

 

「愛しい聖女よ。これに深い意味は無い。過ちを一度だけ許せ。

 これは長年婚約者だった醜女(とも)に贈る手向けの花」

 

「わかっているわ、モルボル殿下」

 

「その、醜眼を……開けるなよ」

 

「……」

「…………」

「……ちゅ……」

「……っ……ん……!?」

「……ぐちゅ……」

「……ん、……んん……」

「……ぬちゃ……」

「……っ、……」

「……ねちゃり……」

 

 

「──ぶぇっ……げほっ! おえええっ!!」

「うっ……おぇぇ……!! おぼぉっ!」

「くせえ……! 胃が……胃が苦しい……!」

「げええっ……! なんだその醜唇(しゅうしん)は……! おのれ、ぬめぬめしていやがる……おええっ!」

「こっちこそ口の中がヘドロ溜めだ! おえぇっ!」「ぐっ……! 聖女……サイボーグよ、浄化を……! うぷっ……! 死ぬ……!」

 

 

「……」

「……む!?」

「──お、おい! な、なんだ!?」

醜女(しこめ)から……白煙が……立ち昇っている!?」

「まさか……こ、これは……!」

「むう……この光……呪いが解けるのか!?」

「ま、眩しい……っ! め、目がああ!」

「……おい、見ろ!」

「髪の色が……変わっていく……!?」

「……醜女の髪が……」

「銀……いや──白銀だ……!」

「まさか……真の姿が現れるのか……!?」

 

 

 続く




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