【全話挿絵】婚約破棄された悪役令嬢、実は元覇王でした ~小僧、婚約を破棄し国外追放するだと?   作:よっちゃ

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第4話 醜女のまま逝く!オレは醜姫ブス・グロリア!

 続き

 

 

「……」

 

「…………」

 

「………………」

 

「……って、顔、同じじゃねえか!! 髪の色だけ変わって、顔も身体もそのままだぞ!」

 

「ギャハハハ! むしろ前より浮いてるんじゃない? その銀髪、致命的に似合ってないわよ!」

 

「はあ? なんだと!? オレの髪が……?」

 

「ブハハハハ! 誰か鏡を寄越せ!」

 

「……ほんとだ。オレの髪が白銀だ。妙に神々しい色しやがって」

 

「おいブスぅうう! 貴様、普通この流れは、呪いが解けて美少女が降臨とかじゃねえのかよ!」

 

「うむ。我もそう思ったが……。

 ふっ、まさか接吻(キッス)で呪いが薄れ、さらに醜貌(しゅうぼう)が際立つとは」

 

「ガハハハ! クソ共! うるせえ!!

 このオレがたかが接吻(せっぷん)一発(ごと)きで美少女になれるなら、とっくに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!

 オレだってな……なりたいわ、そんなもん。

 オレだって、美しく……なりてえよ! 」

 

「……」

 

「って、嘘でぇーす!! 

 オレは美しくなんぞなりたくねえ! 

 それだけは……それだけは死んでも言えぬ!

 オレは醜女(しゅうじょ)のブス、

 ──醜女(しこめ)の侯爵令嬢、ブス・グロリアだ!!

 この身に美を()びるなど、オレにとっては──恥辱(ちじょく)

 

「醜いブスよ、お前に何か呪いっぽいのがかけられていたのは事実だ。

 ふっ、そしてそれは男の接吻(ちゅー)によって解けたのも事実。

 ただ、呪いは全然関係なく、顔面は元来それだったのだな。

 ふっ、流石は醜の化身よ」

 

「ふふふ、そうじゃねえ精霊王(ロリコン)よ」

 

「……何?」

 

「オレは醜女(しこめ)だ。だが、それがオレなんだ」

 

「…………」

 

「なあ王太子、いや、モルボル」

 

「…………」

 

「もしここで、御伽噺(おとぎばなし)みてえにオレが美人になってたらさ」

 

「…………」

 

「それまでのオレは、全部否定されることになっちまう」

 

「…………」

 

「醜女って言われ続けた日も、裸足で森を突っ走った日も、 (ふん)の始末を己でしてきた日も」

 

「…………」

 

「全部、それはオレなんだ」

 

「…………」

 

「呪いが解けて美女になるだと!? 

 それでハッピーエンドってか!

 なんだその、くそ安っぽいお涙頂戴のストーリーは!!

 そんなの、このブス・グロリアはこっちから願い下げさ!」

 

「…………」

 

「オレから醜さを取っちまったら、ただの小娘になっちまう」

 

「オレは……醜女のブス・グロリア。

 それでいいんだ……そうだろう?」

 

「……」

 

「……ああ、そうだな……」

 

「醜女のまま立って、醜女のまま吠えて、醜女のまま足掻いて、醜女のまま逝ってやる!」

 

「モルボル、オレが唯一愛した男。

 口や体が臭えのなんてお前を語る上で些末(さまつ)

 オレにとってはお前がこの世で最高の男だった。

 そして聖女サイボーグよ、お前は美しい。

 入れ乳(しりこん)とかそんな些事(さじ)の全ては、お前の美の前に(かす)むだろう。

 そうだ、お前は今誰よりも美しいのだから」

 

「……」

 

「ふふ……侯爵令嬢、醜女(しこめ)のブス・グロリア。

 同じ男を愛した恋敵(とも)

 ならば貴様の()(ざま)、この聖女サイボーグが見届けてやろう。

 無様を晒すなよ?」

 

「……ああ、俺は汚臭の王太子モルボル。

 口と体から汚物みてえな臭いのする、汚臭王となりこの国をより繁栄させてみせるさ」

 

「ふん、救いようのねえ、愛すべき馬鹿(あほう)どもだ!

 王太子モルボル、聖女サイボーグ!

 残る余生、ふたり幸せに暮らせい!

 

 じゃあな、あばよ!」

 

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「……醜いアヒルのブスお嬢様」

 

「なんだ守銭奴の銭ゲバメイドよ?」

 

「遠い、海の向こうの異国、覇道を往く女がおります」

 

「ほう……」

 

「名は……公爵令嬢、覇姫(はき)エレクシア」

 

「……オレにはわかる。その(おんな)、只者では無い……なんと言う、名前の圧!」

 

「誰よりも美しく、誰よりも苛烈(かれつ)

 その歩みは血を裂き、視線は魂を穿(うが)つ──まさに覇姫(はき)

 

「……今のオレでは、その女の、足元にも及ばぬだろうな」

 

 

覇姫(はき)エレクシア、覇道を往く姫か……ふふ、面白い。 ならば……」

 

 

「このオレは……醜姫(しゅうき)となろう!」

 

 

矮躯(わいく)肥躯(ひく)痘面(とうめん)乱歯(らんし)歪姿(わいし)

 醜声(しゅうせい)腐気(ふき)悪臭(あくしゅう)嘲笑(ちょうしょう)──。

 

「人が()み、

 人が目を()らし、

 人が石を投げるもの──」

 

「──ならば、オレはその全てを……、

 この醜の身に、(まと)い尽くしてやる!」

 

「オレによこせ、この世の全ての(しゅう)を! そんなもの、オレが全て喰ろうてやるわ!」

 

「オレは── 醜姫(しゅうき)ブス・グロリア」

 

覇姫(はき)エレクシアよ、互いに覇道を往くのなら、 いつか必ず、相見(あいまみ)えることになるだろう」

 

「その時──、

 ()(まと)覇姫(はき)か、それとも、(しゅう)(まと)醜姫(しゅうき)か」

 

「どちらがこの天地を喰らい、覇者となるか、決めてやろうじゃねえか」

 

「オレの墓標に名はいらねえ、

 

 死すならば、

 

 ── そうさ、この世の美を踏み砕き、

 世界中の劣等(れっとう)も、(しゅう)も、(あざけ)りも、すべてを喰らい尽くした、その果てに!」

 

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 チャッ! チャッ! チャララッラ──!

 

 チャッ! チャッ! チャッ!

 

 チャッ チャッ チャララッラ……

 チャッ チャッ チャッ……

 

 

「ママ、見て! すっごい醜女(しこめ)が歩いてるよ!」

「しっ! 見ちゃいけま──

 ……いや、違う。

 

 (わらべ)よ、目を逸らすな。

 あれが── 哀しみを背負い、世の醜を纏い、天に挑まんとする(おんな)

 

「その()(ざま)、 しかとその(まなこ)に焼き付けなさい!」

 

「 ふーん 」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

「美の覇者に、人は(ひざまず)き、

 醜の覇者に、人は(ふる)(おこ)つ」

 

 ──覇阿メルン書房刊『覇道思想史概論』

 

 




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