原初龍神創世神話   作:天龍寺

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原初龍神創世神話

昔々――。

 

いや、それよりもなお遥か昔。

 

時の流れも定まらず、空間さえ未だ形を成さぬ頃。

 

ただ「無」のみが在った。

 

無は何も生まず、何も滅ぼさず、永き静寂のまま在り続けた。

 

しかし、その静寂は永遠ではなかった。

 

いつしか無は揺らぎ、その揺らぎは果てなく広がる。

 

やがて、あらゆる情報、物質、宇宙が集い始め、それらは数多の可能性を孕む混沌となった。

 

混沌は絶えず流転した。

 

生まれては消え、

 

集まっては散り、

 

定まることなく巡り続けた。

 

さらに永き時が流れると、混沌にも濃淡が生じ始めた。

 

濃き場所には情報が集い、

 

情報は物質を呼び、

 

物質は宇宙を抱き、

 

集えば集うほど、更なる情報や物質を引き寄せてゆく。

 

やがて、それは一つの巨大なる混沌の集合体となった。

 

その集合体は、なおも永き時を経て、己という概念を知る。

 

己を知った混沌は、初めて意思を宿した。

 

そして、意思ある混沌として、その身に集いし物質と宇宙を己が肉体とし、一柱の巨大なる存在となったという。

 

やがて、その存在は己が内に自在に世界を創る術を得た。

 

創られた数多の世界は、後に龍界と呼ばれるようになった。

 

その世界が如何なる姿であったのか。

 

どれほど広大であったのか。

 

それを知ることのできる者は、その存在以外にはいない。

 

ただ、その存在は己が創りし世界を静かに見守りながら、長き時を過ごしたと伝えられる。

 

されど、やがてその存在は己が外なる世界に興味を抱くようになった。

 

己が内ではなく、その外には何が在るのか。

 

その想いは時と共に深まり続けた。

 

しかし、その巨大なる身を動かすことは叶わなかった。

 

そこで己が力を分かち、一柱の化身を創り出した。

 

化身は本体の意思を受け継ぎながらも自由に混沌を巡り、その果てを知るため旅立った。

 

化身は己が混沌の外を巡った。

 

幾億の時を越え、

 

数え切れぬほどの無の海を渡り、

 

宇宙さえ生まれぬ空間を越えながら旅を続けた。

 

そしてある時。

 

遂に、これまで見たこともない巨大なる存在を見つけることとなる。

 

その存在もまた、無数の情報や物質、宇宙をその内に抱いていた。

 

しかし、己とは決定的に異なっていた。

 

意思を持たなかったのである。

 

語ることなく、

 

動くことなく、

 

ただその内で数多の世界を生み続け、

 

外へ向かっては静かに在り続けるのみであった。

 

化身は、その不思議にして魅力ある存在の周囲を巡りながら、永き時をかけて観測した。

 

やがて、二柱の化身が姿を現した。

 

彼らもまた意思ある混沌より生まれ、未知を求めて混沌を巡る旅の果て、この場所へ辿り着いていたのである。

 

三柱は互いを見て驚いた。

 

己以外にも、意思を持つ存在が在ったからである。

 

三柱はそれぞれの成り立ちを語り合った。

 

いずれも混沌より生まれ、

 

いずれも己が内に世界を創り、

 

いずれも未知を求め旅を続けていた。

 

その違いは僅かな性質のみ。

 

まるで三つ子の兄弟のようであったという。

 

三柱は共に、その意思無き存在を見守った。

 

長き時をかけて観測し、

 

幾度となく思索を巡らせた。

 

しかし、その存在は何一つ語ることはなかった。

 

されど、その内では数多の世界が絶えることなく生まれ続けていた。

 

三柱は幾度も協議を重ねた末、一つの約定を交わした。

 

この存在を共に見守り、

 

その内に眠る数多の世界を観測し続けよう、と。

 

そのため三柱は、互いに集い語らう領域を創った。

 

後に、その領域は神界と呼ばれるようになった。

 

さらに三柱は、それぞれ神界へと繋がる新たな世界を築いた。

 

その世界は、後に写世と呼ばれる。

 

その頃より三柱は、それぞれの性質と、その在るべき方角に従い役目を担ったという。

 

北には、調和を司り写世を治める主龍仲神。

 

東には、叡智を司り写世を治める青龍知神。

 

西には、力を司り写世を治める天龍武神。

 

南には、意思無き混沌――現世。

 

そして、その四方を繋ぐ中心には、現世を見守るための神界が築かれた。

 

それより後も三柱は神界に集い、現世を観測し続けたという。

 

その観測が今なお続いているのか。

 

あるいは、既に終わりを迎えたのか。

 

その真実を知る者は、誰一人としていない。

 

ただ分かっているのは――

 

天龍武神に連なる一つの世界が、確かに在るということ。

 

そして、この神話もまた、その世界へと連なる物語の一つである。




あらすじに書いた通り、作者が学生の頃、双子の片割れと妄想していた創作神話を軽く纏めた短編です。

作者と双子片割れが妄想した物語には、多少の差異は有りますが、同じような神話概念を軸に妄想しています。
いわゆるシェアワールドってやつです。

元々はお互い単独で妄想した神を作り、それに設定を盛って行った結果こんな感じの創作神話になりました。

作者が創作した神は本文中にある天龍武神で
双子の片割れの創作した神は青龍知神です
主龍仲神は後から二人で盛った神で造化三神の天之御中主神がモデルで名前はふんわりだったので今回勝手にそれらしくしました。

何故三柱が龍かと言うと田舎の祭神が龍だったから好きだった以上に理由はありません。
なんかそれらしい理由考えなきゃだめかな?


設定ふわふわの中二病妄想神話ですが一旦のまとめとして、ここに残そうと思います。


8/6/30
読みやすいように加筆修正しました。
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