グリーンなシゲルくん   作:煮干し銀

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VSレッド3回戦

 ハナダシティに戻って来たシゲルは、ひとまずポケモンセンターに直行してポケモンたちを預ける。ゲームと違ってすぐに回復することもないので、その暇な待ち時間でレッドが来ていないか探すことにした。

 

 ポケモンセンター内には姿がない。ならばとポケモンセンターから出て周囲を見渡してみる。時間的にはレッドはもうハナダシティについているはずだ。

 

 もしレッドがハナダに来ているとすれば、寄る所はフレンドリィショップかポケモンジムだろう。フレンドリィショップはポケモンセンターから少し離れているので見えないが、ポケモンジムなら近いしデカいのでハッキリ見える。

 

 レッドの場合、来て早々ジムに挑戦しているということも十分に考えられるシチュエーションだ。しかし、ジムから聞こえてくる微かな歓声に、その可能性はないと即判断する。

 

「これはポケモンバトルの歓声っていうより水中ショーの歓声って感じだ。この街はポケモンバトルが盛んなんて雰囲気も無いし、バトルじゃあそこまで歓声は上がらないだろう」

 

 ジムにいないならとフレンドリィショップに行ってみるが、結果は空振り。店員さんに赤い帽子の少年が来ていないかと聞いても、見てないとのことだった。ポケモンセンターでも見たような見てないようなと曖昧な様子だったし、これ以上足で探し回るのは非効率でしかない。

 

 仕方がないのでシゲルはゲームでライバルとバトルをすることになるゴールデンボールブリッジ前の空き地で待つことにした。

 

 もちろん待っている間は時間を無駄にしないためにポケモンたちの特訓をする。仲間内での特訓ではレベルが上がらないので、互いに技を教え合ったり立ち回りの練習をするぐらいしか出来ないが、これはこれでバトルで役立つので今後も積極的にやっていきたいものだ。

 

 リザードはコラッタと組んで、ニドリーナはポッポと組んで訓練している。コイキングは最近やっと覚えた『たいあたり』をパラスに受けてもらって、いざバトルになっても使えるようにならしている。

 

 この訓練に関してはシゲルが口を出すこともあるが、基本的にはポケモンたちだけで行われる。自分に何が必要か、何が足りていないか、自分自身で考えることは大切だ。リザードの『ほのおのキバ』も、特殊攻撃より攻撃の数値が上がりやすいことで、最適な攻撃技を覚えられないかとコラッタと一緒に訓練して身につけたものだった。

 

 シゲルはパーティメンバーを見ながら次のハナダジム戦について考える。ハナダジムはゲームではカスミがジムリーダーで、ヒトデマンとスターミーを出してくる。ヒトカゲを選んだトレーナーにとっては非常に厄介なジムだった。だが今回はカスミがサトシと旅をしているので、彼女の姉たちの誰かがジムリーダーになっている。

 

「ヒトデマンもスターミーもうちのパーティにとってはキツかった。だけど何が出てくるかわかっていた分まだマシだったかもしれない」

 

 シゲルがアニメのハナダジム回で印象に残っているポケモンはパウワウぐらいだ。例えば今度のジム戦でパウワウが出てくるとして、実はパウワウが覚える技は水技より氷技の方が多い。

 序盤で覚える技も『こごえるかぜ』とか『オーロラビーム』とか、そんな技ばかりだった。よって万が一を考えるとほとんど育てる時間がない草タイプのポケモンは出しづらい。

 

 電気タイプがいれば一番良かったのだが、ここまでの道のりで捕獲できる電気タイプはピカチュウのみ。レッドやサトシのピカチュウは特殊なので除外するが、普通のピカチュウはかなり打たれ弱いので、たとえこの時点でレベル20になっていたとしても簡単に戦闘不能にさせられてしまう。

 

 となると最早シゲルがとれる対抗手段は1つしかなかった。

 水タイプには水タイプをぶつける。氷も水も等倍になるのなら、どんなものが出て来ても単純な殴り合いに持ち込めると踏んだのだ。

 

「コイキング、次のハナダジムはお前が主役だ。頼むぞ」

 

「コッコッ!」

 

 シゲルの期待の言葉に頭より高く飛び跳ねるコイキング。もちろんコイキングのままバトルするわけではなく、ギャラドスに進化してから挑む予定だ。現在のレベルは16。レッドとのバトルで1レベル上げられれば、あとはお月見山で拾った『ふしぎなあめ』3個でちょうど進化できる。

 

(問題はどのタイミングでコイキングを出すかだな)

 

 『でんこうせっか』で動き回るコラッタをリザードが何やら真剣な表情で凝視しているのを眺めながらそんなことを考えていると、ふと背後に気配を感じた。振り返ると目の前にはレッドが立っているではないか。

 

「うわっ! ビックリした。黙って後ろに立つなよレッド!」

 

「……忙しいのかなと」

 

「だとしても黙って後ろに立たれるよりは話しかけられた方がマシだ!」

 

「……ごめん」

 

「はぁ……まあいい。それで、僕に話しかけたってことはポケモンバトルがしたいんだろう?」

 

 レッドは黙って頷く。

 

「ふっ、僕もそのためにここで待ってたんだ。さあ、ライバル対決3回戦といこうか!」

 

 シゲルはポケモンたちをボールに戻してレッドと対峙する。訓練を見ていたレッドにはシゲルのパーティの面子はバレているので、そこから予想して最初のポケモンを出してくるはずだ。

 

 ボールを投げるのは同時。赤い閃光と共にポケモンたちがバトル場に登場する。

 

「いけっ! ピジョン!」

「いけっ! コイキング!」

 

 レッドはピジョンで空から様子見をするつもりのようだ。対してシゲルは初っぱなコイキングというまるで相手をなめているかのようなポケモンを選出。

 

「ピジョッ!」

 

「コッコッコッ!」

 

 空を飛ぶ鳥と地をはねる魚。

 最初に指示を飛ばしたのはシゲルだった。

 

「コイキング! 『はねる』!」

 

「コッー! コッ、コッ! コッー!」

 

 より高くはねるコイキング。何も起こらない。ただ跳ねているだけだ。

 

 レッドはその意味不明なシゲルの行動に一瞬思考停止する。

 

 沈黙するバトルフィールド。どう見ても絵面はシュールそのもの。

 

「……?」

 

「戻れコイキング! いけっ、ニドリーナ! 『がんせきふうじ』!」

 

 レッドが混乱している間に、コイキングを戻して出したニドリーナが『がんせきふうじ』を使用する。結果は見事命中。ピジョンは効果抜群でHPを半分以上削られ、加えて追加効果で素早さを下げられた。

 

「……! 『かぜおこし』!」

 

「へっ、流石に『どくのとげ』を忘れてねぇか。だけど毒にする手段は他にもあるぜ。『どくばり』攻撃!」

 

 『かぜおこし』を受けて、反撃に『どくばり』を撃つニドリーナ。素早さが下がったピジョンは避けきれず、毒状態になる。

 

 その後は近接技も織り交ぜたピジョンの攻撃をできるだけ躱し、毒と『どくばり』によるダメージでHPを削り切りニドリーナが勝利した。

 

 続くレッドのポケモンはフシギソウ。

 

「フッシー!」

 

 シゲルは相性有利なリザードに交代する。

 

「リザ!」

 

 しかし、いざ攻撃と思ったところでレッドはフシギソウを戻し、イシツブテに交代。咄嗟に『がんせきふうじ』を警戒するシゲルだったが、それに反してイシツブテはリザードに接近した。

 

 序盤のイシツブテの覚える技に接近して放つ岩技は無い。

『メガトンパンチ』かとシゲルが思ったところで、レッドの静かな指示がシゲルの耳に届いた。

 

「……『じばく』」

 

「はあっ!?」

 

 直後巻き起こる爆発。巻き上げた土埃が晴れると、そこには倒れたイシツブテとリザードの姿。超接近からの『じばく』でリザードの体力は一撃で持って行かれて決まったのだ。

 

 シゲルはまさかレッドが『じばく』なんて技を使うとは思っていなかった。完全に想定外だった。

 

 そこからはフシギソウ相手にポッポを繰り出すも、交代して出てきたピカチュウに電撃で落とされ、ニドリーナでなんとかピカチュウを倒すことはできたが、体力の削られていたニドリーナがダウン。

 

 コラッタの『でんこうせっか』と『ひっさつまえば』でようやくフシギソウを倒したものの、次に出て来たニドラン♂に毒状態にされて倒される。

 

 最後はコイキングでは歯が立たず、ギブアップ。レッドのポケモンが5体だったことからパラスは使えなかったという部分はあるが、相性的にパラスを出せたとしても負けていただろう。互いに有効打がなければ早い方が有利だ。

 

 こうしてシゲルとレッドのバトル3回戦は、レッドの勝利で幕を閉じたのだった。

 




次は遅れると思います。
やる気の問題です。
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