【全話挿絵】TS女神転生~合体事故?でジョブは死霊でした。憑依スキルを使った女性たちの様子が変なんです。 作:よっちゃ
ください。
なろう、カクヨム、アルファポリスでも投稿しています(する予定です)
全話挿絵がありますので、ぜひイラストもお楽しみください。
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第1話
辺境にある村は今絶望の淵に沈んでいた。
魔王軍先遣隊。
黒い鎧に身を包んだ魔族兵たちが村を包囲し、中央広場には赤熱した鉄板と魔王への忠誠を示す刻印を押すための鉄棒が並べられていた。
空気は焼けた鉄の臭いと恐怖で濁っている。
「ウジ虫以下の人間共よ、選択肢は二つだ」
先遣隊の隊長が、愉悦を隠そうともせずに告げる。
「魔王様に忠誠を誓いこの刻印を受けるか── それともこの鉄板の上で踊り、三分間耐えてみせるか、選ばせてやろう」
ざわめく村人たち。
最初に一人の男が前に出た。
「……貴様らになど、魔王になど従えるか!」
次の瞬間、男は赤く熱した鉄板の上に放り投げられた。
「ぎゃあああああ、熱い、たすけ」
焼ける音、叫び、そして、沈黙。
抵抗を諦め刻印を押された者たちは、痛みに耐えきれず地面に転がり
「 次だ 」
隊長の視線が震える幼子に向いた。
「幼子では死んでしまいます、ど、どうかお情けを」
「ならぬ、たとえ赤子であっても魔王様に忠誠を誓うのだ」
その時──
一人の少女が前に出た。
「赤ん坊には手を出さないで!」
場違いなほど細い声。それでも、はっきりと響いた。
隊長は目を細めニタリと笑う。
「ほう。美しい娘よ。では貴様はどちらを選ぶ?」
「私は……」
少女は震える足で一歩踏み出す。
「あなたたちのような、人を人とも思わない悪魔には……決して屈しません!」
一瞬の静寂のあと、爆笑が広場を満たした。
「うわはははははは
いいだろう小娘。
いや、失礼。美しいお嬢さん。
三分だ。
その綺麗な顔が、焼けただれるのは惜しいがな」
少女は震える足で、焼けた鉄板へ向かう。
──お父さん、お母さん。
──妹は逃がしました。
──私も、今からそちらへ行きます。
──神様、最後に、悪に屈しない勇気をお与えください。
「ああ、神よ…… どうか……どうかお助けを……」
地に伏した女神官が、血を吐きながら祈る。
「神などいるか! このアマー!」
魔族兵が女神官を蹴り飛ばした。
「ふむう、改めて貴様らゴミ共に伝えておこう。
神など、とうの昔に死んでおる。祈るなら魔王様にしろ。
寛大な魔王様は、貴様ら害虫のような価値しかない人間共でも、家畜として活用してやろうと仰っている」
魔王軍先遣隊隊長による冷酷な現実。
あまりの絶望。もうこの世界には祈る事すら許されてはいない。人間は魔族の奴隷として生きる未来しかないのだと。
誰もが、そう思った瞬間──
── 待て
鈴のように美しく、しかし力強い声がどこからともなく響いた。
いつの間にかそこに、半透明で上半身だけの美少女がゆらゆらと宙に浮かんでいる。
「……貴様あ、何者だ?」
先遣隊の精鋭の一人が、手に持つハルバードで少女を突き刺す。
しかしその攻撃は、ただ、すり抜けた。
「
放たれたファイヤーボールも、何事もなかったかのように通り抜ける。
先遣隊隊長として数多くの敵を
正体を探れと。
「鑑定スキル──アナライズ!」
隊長の視界に浮かぶ情報。
種族:TS女神
ジョブ:死霊
スキル:憑依
種族魔法 :神聖魔法( 弱体化中 )
「……バカな、女神?
そして、TS?」
隊長は、歪んだ笑みを浮かべる。
「なるほど、わかったぞ。
TS、すなわち、
そして死霊となったと。
哀れ、女神が死霊とはな」
そして舌なめずりをした。
「ふははは、死霊といえど女神を喰ろうたら……どんな味がするだろうな?」
次の瞬間。
隊長の体が異形のモノへと変貌する。
周囲の魔族兵を掴み、喰らい、血と悲鳴が飛び散った。
「ひ、ひいいっ! 隊長、一体何を!?」
「出来損ないの
しかし異形の化け物の攻撃は、ことごとくTS女神の体をすり抜ける。魔法も意味をなさない。
「ちょこざいな、死霊如きの死に損ないめが!」
異形の化け物は、卑怯にも村人を人質に取った。
「ふははあ、どうする、TS女神さまよ?」
その時、半透明の美しき美少女が、少女を見た。
「君。少し、体を借りるね? 先っちょだけ、痛くないから」
「え……は、はい……TS……女神さま」
「スキル、【
半透明の美少女が、少女の中へと溶け込んだ。
嫌な予感がした異形の化け物は、再び鑑定を使用する。
ミーナ (16)
種族:人
状態:TS女神が憑依中
ジョブ:くすぐり師
スキル:くすぐり
解析:手を触れずとも対象をくすぐる
「──はあ?」
化け物が
「憑依する相手を間違えたな! ははは、娘ごと喰ろうてやるぞ、TS女神よ!」
その瞬間。
「……スキルを使うよ。
ほい、【くすぐり】」
「ぎゃはははは!! くすぐりだと!?」
「あ、あれ? や、やめ……ひ、ひぃぃ!! ぎゃははははははは、ひい、やめろお」
「ひ、ひひ、た、たましいを、ち、ちょくせつ、くすぐるなんて、
ひゃひゃあああああ」
数多くの村を、町を滅ぼし、人間の尊厳を奪って来た異形の化け物は、 地面をのたうち回りピクピクと
そして、やがて力尽きた。
「貴様らの悪行の数々、このおれがしかと見届けたぞ! 汚物に情けは無用からの、浄化魔法!」
少女ミーナに憑依したTS女神が、神聖魔法を放つ。
光が満ち、異形の化け物は跡形もなく消滅した。
静寂。
やがて、村人たちが膝をつき祈りを捧げる。
「ああ、我らがTS女神様……どうかこの世界をお救いください」
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ミーナは、迷っていた。
──今の自分では、何の役にも立たない。
──こんな、価値のないスキルでは。
その肩に女神官が手を置き、優しくミーナの決意を後押しする。
「教会の古い書物に、ある言葉が残されています。 あなたの勇気が、TS女神様を降臨させたのです」
ミーナは、涙をこらえながら、そして決心した。
「……TS女神さま、わたし、私も一緒に、行ってもいいですか」
半透明の死霊系TS女神は、少し照れたように笑った。
「そうだな、そうしてもらえると助かるわ。おれ、一人じゃここから動けないみたいだしね」
「……また先っちょだけ、憑依してもいい? 痛くなかったでしょ?」
「は、はい。喜んで」
美しいTS女神にそう言われ、頬を染めるミーナ。
「慈悲深き神よ、貴方様がTS女神さまを遣わしたのですね」
旅立つ二人を見送りながら、女神官は神に感謝の祈りを捧げる。
──―迷わず行けよ、行けば分かるさ。
数百年、教会の誰一人として解読ができなかった古き謎の言葉。
女神官は確信する。
女神様が
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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ノクターンでR18版の執筆を始めました。
元々少しエッチなエピソードが多いので、R18版の方がよりハーレムメンバーとのやり取り(意味深)を描写できていると思います。特にイラストは気合いが入っています。 ぜひノクターンでR18版もお楽しみください。