【全話挿絵】TS女神転生~合体事故?でジョブは死霊でした。憑依スキルを使った女性たちの様子が変なんです。   作:よっちゃ

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ノクターンでR18版の執筆を始めました。
元々少しエッチなエピソードが多いので、R18版の方がよりハーレムメンバーとのやり取り(意味深)を描写できていると思います。特にイラストは気合いが入っています。 ぜひノクターンでR18版もお楽しみください。


第11話 太くて硬いひのきのぼう

 第11話

 

 剣先が震えていた。エリーゼ・フォン・ルーベルトは、ナメクジのように這いずる怪物── かつて領主だったものを静かに見下ろしていた。

 

「……降参する」

 

 潰れかけた顔が、歪んだ口でそう吐き出す。

 

「命だけは……助けてくれ……頼む」

 

 その声は、かつて数え切れぬ命を踏みにじってきた者のものとは思えないほど、みっともなかった。

 

(こんなクズに父は……伯爵家は潰された)

 

 エリーゼは剣を──下ろした。

 

「……貴様など、虫けら以下の貴様如き……」

 

 冷え切った声。

 

「斬る価値もない」

 

 剣を鞘に納め彼女は言う。

 

「この剣は復讐のために振るうものじゃない。これからは……こちらにおわすTS女神さまのために使う」

 

 その言葉にナメクジ領主は──安堵した。

 

 だがその瞬間。

 床に散らばっていた魔人の肉片が──不気味に蠢いた。

 

「な……っ!?」

 

 汚肉が黒く脈打ち、触手のように伸び領主の身体へと絡みつく。

 

「た、助け──」

 

 悲鳴は途中で潰れた。醜い顔がぐにゃりと歪み、今度は“魔人の側”が歓喜の声を上げる。

 

「──ふふふふふ」

 

 領主の身体が完全に取り込まれた。

 骨が砕け、肉が溶け、巨大な紫色のナメクジのような魔人が再び立ち上がる。

 

「……な、貴様、まだ……!」

 

「まーた復活しやがった、本当に気色悪い化け物だな。

 略してキショバだよお前は」

 

「許さぬ、許さぬぞ女神め。ズタボロに犯して喰ろうてやるぞ」

 

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 その時──

 

「TS女神さま!!」

 

 通路の奥から聞き覚えのある声がした。

 

 ミーナとニキ、そして冒険者たちが駆けつけてくる。

 

「止まれ! 来るな! ストップ!!」

 

 俺は即座に叫んだ。

 

「ミーナとニキは近づくな、いいな絶対にだ! 

 冒険者共はとりあえずミーナとニキを死んでも守れ。で、残りは加勢しろ! 瀕死の重傷くらいなら何とかしてやるから」

 

 ミーナとニキ、二人を人質に取られたら厄介だ。

 

 一人の冒険者がスラッシュを放つ。

 が、キショバの顔に当たった瞬間かき消されてしまう。キショバが顔を歪めて嗤う。本当に気色悪い。

 

「無駄だ…… 貴族である領主を取り込んだ我は、平民やこの街の人間では傷つけられぬ。それがこの世界のルールなのだよ」

 

 冒険者たちの攻撃が次々と放たれる。

 だが──すべて弾かれてしまう。

 

「くそっ、効かない!」

 

「全員下がれ、気色悪い怪物、略してキショバはおれがやる! お前らは死んでもいいから肉壁となってミーナとニキを守っていろ」

 

 ふむ、しかししぶといやつだ。

 やはり神聖魔法が女神の固有能力である以上、いくら俺が男だと言っても、やつには致命傷にならないのかもしれない。

 

 まあ、魔人は他にもいるみたいだし、こいつで色々実験してみるか。

 ごめんね? キショバ。

 

「まずは、神聖魔法で浄化!」

 

「ぎゃあああああ」

 

「次は、少し強めの浄化」

 

「ぎょえええええ」

 

 普通にダメージは与えている。ただ最後のHP1が削りきれない感じか。

 

 まーだピクピク生きてるな。これほんとに死ぬの? 

 

 もう少しやってみよう。

 

「う……む、ムダだ……女神よ。もうやめろ」

 

「キショバ、ゴーホーム!」

 

「ぎゃあああ、お願いだからやめろおお!」

 

 ふむう、本当の本当に気色悪いやつだ。

 

「ミーナ!!」

 

「はい!?」

 

「こっちに、おれのひのきのぼうを投げてくれ!!」

 

「え!? こ、これを!?」

 

 ミーナが半信半疑で投げた愛棒のひのきのぼうを受け取る。

 ひのきのぼうを振り回しながら、俺はふとある事に思いが至った。

 

 俺は──上半身しかないから、男である感覚、つまり男の象徴を忘れてしまっているのだ。

 

 何となく、本当に深い意味も無く、その太くたくましい棒を──― エリーゼの身体の、 男なら本来あるはずのその場所に……

 

「おれのターン! おっきくて太い棒を装着する! カシャーン!」

 

「なっ……女神よ!? き、貴様、な、なにを……!!」

 

「えええ!? TS女神さま、な、なにやってるんですか──!!」

 

 ミーナが裏返った声を上げる。

 

「もうやだ……」

 

 両手で顔を覆いミーナはその場にしゃがみ込んだ。

 

 一方ニキはというと── 額に手を当て、深いため息。

 

「……はぁ。「カシャーン」って何よ。それに、その女は誰なのよもう」

 

 見た目は完全にアウトだった。

 うら若い美しい女騎士が、太くてたくましい棒を男の象徴のように装着し構えている光景。

 

 だがその時──ひのきのぼうが輝き出す!

 

「ぎゃあああ、め、目があああ!」

 

 映像が俺の頭の中に流れ込んでくる。

 一人の、バーバリアンみたいな筋肉ムキムキの女が、面積の少ないあぶない水着だけを着て木の棒で竜の王をシバキ倒していた。

 

 レベルを最大にまで上げた女勇者( バーバリアン )が、暇つぶしにやったのだろう。

 竜の王ともあろう者が、逃げ惑いながら悲鳴を上げている。

 

 

 しかし勇者って女? だったのか。

 

 ほんとめっちゃ強ええ。

 あ、股間に棒を当てて「ふいいいい!」って言ってる。

 

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

【挿絵表示】

 

 

 俺はひのきのぼうをイケナイところに装着したおかげでか、完全に男の感覚を取り戻した気がする。

 

 死にかけのキショバのくせに、汚らわしい醜悪な汚顔で嘲笑う。

 

「グフフフ、恐怖のあまり、ついに狂ったか……女神よ」

 

 俺は静かに告げた。

 

「ねえキショバ。魔人って、お前の他にもまだいるんだっけ? ほんとごめんね? もうお前と戦うのも飽きてきちゃった……」

 

「──ほれ、浄化要る? 遠慮なく受け取って死んでね」

 

 ミーナたちも来たしそろそろ帰ろう。

 軽く放った浄化魔法が汚魔人を包み込む。

 

「な……!? こ、これは……!」

 

 キショバ魔人の身体がボロボロと崩れ始める。

 

「馬鹿な……女の神は……我に……!」

 

「安心しろ、残った魔人共もすぐに始末して送ってやるよ。そしてさようならキショバ。

 ごほん、それではTS女神が命じます。次に生まれ変わるときは立派なナメクジになってください」

 

 巨大なナメクジのような化け物、みんなのキショバは完全に光へと還った。

 

 残ったのは静寂だけ。

 ミーナとニキが駆け寄って来る。

 

「TS女神さま! その綺麗な女は誰なんだよ!? ちゃんと説明してもらうから! 私というものがいながら!」

 

「もう! またどこの馬の骨とも分からない女に憑依したんですか!? TS女神さまの専用ボディは、私だけなんですからね!」

 

 俺はエリーゼから素早く抜け出すと、天井をするりと抜け、一目散に逃げ出した。

 

「こ、こんな体験は初めてだ……す、すごかった……ふふふ、責任は取ってもらいますよ。な、なぜなら……おれのエリーゼ って言われたし」

 

 へたり込んだエリーゼのやつが、熱のこもった怪しい目でひのきのぼうを握りしめていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 ──続く。

 

 

 

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