【全話挿絵】TS女神転生~合体事故?でジョブは死霊でした。憑依スキルを使った女性たちの様子が変なんです。 作:よっちゃ
かなりエッチな内容になっていますので、ぜひお読みください。
ノクターンノベルズで
『TS女神転生』や作者名『よっちゃR18』でご検索ください。
R18版をむしろ本編としてやっていきたいと考えています。
第14話
城塞都市が解放され一夜が明けた。
クソとゲロと絶望の匂いが染みついていた街は、不思議なほど静かで── そして、その静けさの奥には確かな“期待”が息づいていた。
朝の光が城壁を照らす。崩れかけていた石畳の上を恐る恐る人々が歩き始める。
露店はまだまばらだ。
だが昨日まで閉ざされていた扉が、ひとつまたひとつと開いていく。
「……本当に、まだ信じられないよ」
城壁の上から街を見下ろしニキがぽつりと呟いた。その目には薄っすらと涙が浮かび、その声には安堵と少しの戸惑いが入り混じっている。
「昨日までここは地獄だったのに。TS女神さまは本当にすごいよ。私を救ってくれたように、この街も救ってくれるなんて」
「ふん、ウジ虫共は全て消毒済みだ。おれはおれなりのやり方でこの腐った世界を浄化してやるさ」
俺は霊体のまま、ふわりと宙に浮かびながら言う。
「俺の中に巣食う眼鏡のやつの心の師とやらが言っている。元気があれば何でもできる、とな」
「素晴らしいお言葉ですね。それに、この街の噂はすぐに広まるはずです。そうすれば、この国中の人々がTS女神さまの
隣で鎧を鳴らしエリーゼが背筋を伸ばす。
「ふむ。そういえばエリーゼは元貴族だったな。この街をどうするか、何か案はあるか?」
「はい」
彼女は一拍も置かず真っ直ぐに答えた。
「ここを──TS女神さまの直轄の領地としましょう」
ミーナとニキが同時にエリーゼを見る。
「……領地?」
「この街はすでにTS女神さまに救われました。ならば名実ともに“TS女神の街”として再出発するのが最善かと思われます」
「なるほど」
俺は顎に手を当てる。
「じゃあ、領主の館はどうしますか?」
ミーナがそう言った。
街の中心にそびえる、立派すぎるほど立派な建物。だが同時に旧領主の象徴でもある。
「一度綺麗に浄化して再利用しようか。ちょびっとでもあの領主の匂いが残っていたら不快だし」
俺は即答した。
「使い道は色々ある。
まずはあそこを行政庁舎にする。
一部は孤児共の寝床、あとは学舎だな。
教育施設がない街はまた腐るからな」
一瞬の沈黙。
そして、ニキが小さくだが確かな声で言った。
「……獣人の子も、そこに入れる?」
「当然だ。そういえばニキは人と獣人とのハーフだったな。あまり獣人の特徴が見えないが、何かあるのか?」
「へへへ、実はお尻のところに小さな尻尾があるんだ。よ、よかったら、こ、今夜にでも確認しておくれよ」
「ふむ、どうなっているのか少し興味があるな。後でじっくり見せてもらおう」
「やった!」
ニキがガッツポーズをし、ミーナがずるいずるいと駄々をこねる。
まあとにかくだ、この街は俺の好きなようにしようと思う。
俺は胸を張る。
けっこう大きいんだからね!?
「おれの領地での差別は禁止する。破れば激しい仕置きをしてやる。人も獣人もドワーフもエルフも貴族も孤児も関係ない。
全ての奴らに衣食住を与え働かせる。
仕事は何でもいいんだ。何かしら自分のできることをすれば良い」
「この街は、あのゴキブリ領主のせいで肥溜めみたいになってた。だから全部ひっくり返す。根こそぎな」
その後、俺たちはニキの弟を迎えに行き、足を止めることなく冒険者ギルドへ向かった。
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ギルドの中は──ひどい有様だった。
床に転がる冒険者。
壁にもたれて動けない者。
目の下に濃い隈を作ったまま、それでも笑っている者。
「……全員、徹夜だったな」
「ええ。TS女神様の命令でしたから」
誰かが誇らしげに言った。
「ギルドマスター、この街はどうなるんでしょうか?」
「TS女神様次第だな……」
「俺はTS女神様のためならいつでも死ねるぜ! あのお方なら必ずこの腐った世界を浄化してくださるさ」
「俺もTS女神様に尻を引っ叩かれたいぜ」
冒険者がそんな事を話しているその時── ふわり、と空気が変わった。
「みんなー、元気ですかー!?」
聞き慣れた声。
「TS女神様だ! シャキッとしろ!」
「おはようございます!」
「指示された事は大体終わりました!」
俺は苦笑する。
「元々ひでえ顔が、さらに酷くなってるな。
……だがそれがいい。まさに立派な労働者の顔だ。その顔を笑うやつはいない」
「じゃあ回復してやろうか。
はい、8時だよ全員集合!」
「ミーナ、ニキ、エリーゼ。また合体するぞ」
「ピッタリくっ付いてくれ」
三人同時に憑依の、四位一体合体。
「神聖魔法──全体パーフェクト・ヒール」
光が広がり冒険者たちの顔から疲労が抜けていく。
「……生き返った」
「これでまた戦える……!」
「俺の古傷が無くなった!」
「私の小指が生えてきたよ」
「腕が!? 見ろ! ニックのやつの腕がニョキニョキ生えてきたぞ!」
「よし、これで二十四時間、まだまだ戦えるな?」
俺は続ける。
「モヒ。ニキの弟の面倒を見てくれ、冒険者に憧れてるんだってよ」
「はい、俺、冒険者になりたいです!」
ニキの弟──ライン(13)。
その瞳は、病に伏していた頃とは別人のように輝いていた。
「いい目じゃねえか」
腕を組んだモヒカン──カンモヒが笑う。
「お前獣人か。よし、みっちり鍛えてやる」
「ニキの弟だ。Aランクに育て上げろ」
「ちなみにお前は何ランクだ?」
「Bですぜ」
「ふうん」
俺は神聖魔法を手に纏わせ、汚尻を引っぱたく。
「すぐAになれ」
「は、はい!」
──モヒカンのやつ、初めて会った時はミーナのジョブを笑いやがったからシバいてやったが、良い尻を持つ冒険者になりやがった。
それと、信者が増えたせいなのかは分からないが、すこぶる調子が良い気がする。
「よし、ミーナ、ニキ、エリーゼ、もう1回合体だ。今度のはちょっと消耗が激しいかもしれんが我慢してくれ」
「今からお前ら全員に、俺からの女神の加護をかけてやる。これで安心して死ぬまで働けるはずだ」
「──四位一体合体」
次の瞬間、淡い光が爆発した。
ギルド内にいる全冒険者が、はっきりと“何か”を感じ取る。
「 Goddess’s Blessing 」
俺の声が空間そのものに響く。
「ステータス、スキルUP
状態異常耐性・大
毒、呪い、魅了、恐怖──ほぼ無効
持続的に体力回復」
「うおおおお! TS女神様、太っ腹すぎ!」
ざわめく冒険者たち。
神聖魔法の力が、確実に戻ってきているのを実感する。
……やっぱり俺、本来は支援特化の女神なんだな。
本当に何となく感じるだけなんだが、俺を女神たらしめる核のような部分、つまり俺の創造主? が回復、支援特化の女神なんだろう。
そしてその創造主の力が
「ハゲギルドマスター! いや、今はフサフサマスターだな。よく聞け」
「他の奴らも一言も聞き漏らすなよ? 後で忘れましたなんて言ったらお仕置きだからな」
俺はふわりと高度を上げギルド全体を見渡す。
人間、獣人、ドワーフ、混血──
「TS女神領では、種族による差別を全面的に禁止する」
ざわっ、と空気が揺れた。
「戦いが得意なやつは前で戦え、商売が得意なやつは行商をしろ、掃除が上手なら便所掃除だ!」
「要は向いてる仕事に就けって事だ。適材適所だな」
「そこの犬の獣人君、お前は何が得意だ?」
俺はちっこい犬の獣人を指差す。
「TS女神様、オイラは匂いを嗅ぐのが得意です!」
「ふむ、嗅覚が鋭いなら斥候、追跡もできるし、意外と錬金術の分野で重宝されるかもな」
「そこのお前は?」
「わ、私は目が良いです!」
「それなら警備や索敵で役に立つな」
冒険者の下っ端みたいなガキが手を挙げる。
「TS女神様、僕は何も得意な事がありません、どうすればいいでしょうか」
「それなら学べ、そのための学舎を用意する。何も無いなら技術を持て!」
「あと、そこら辺に転がってる孤児も全部集めろ! いいか、俺の街に孤児なんて存在させるな。衣食住を与え、出来ることを学ばせろ。
その資金は領主の館にあった財宝を当てる」
「あと、税もできるだけ安くしろ」
女神領の大改革。
その日のうちに改革は次々と決まった。
税は大幅に引き下げ
孤児には住居と仕事を用意
獣人も人間もドワーフも同一基準で雇用
冒険者は街の守り手としても契約
学舎での技術訓練
ミーナの村へ冒険者を派遣し交流開始
こうして、 TS女神直轄領【ティーエス】は
── 新しい女神の国として動き出した。