【全話挿絵】TS女神転生~合体事故?でジョブは死霊でした。憑依スキルを使った女性たちの様子が変なんです。 作:よっちゃ
元々少しエッチなエピソードが多いので、R18版の方がよりハーレムメンバーとのやり取り(意味深)を描写できていると思います。特にイラストは気合いが入っています。 ぜひノクターンでR18版もお楽しみください。
第18話 温泉編①
街道は穏やかだった。
馬車は静かに進み揺れもほとんどない。
あまりにも快適すぎて、旅というより移動する部屋であった。
その中で──
「みんな重要な話がある」
TS女神が唐突に口を開いた。
「突然だが、秘境の中に温泉がある気がするんだ。
もちろん周りには何もなく、俺たち四人だけでゆっくりと楽しめる、そんな露天風呂だ」
TS女神が何か確信があるような真剣な眼差しで言う。
「みんなで温泉に行こう」
「……秘境の温泉ですか。
しかも人が誰もいないような温泉。
うーん、そんな話は聞いたことがありませんが」
ミーナが可愛らしく首を
「急にどうしたんだい?
TS女神さまのほうから温泉に行こうだなんて。
いつもは私たちとの
ニキも首をかし
「私にはわかります。
突然のそのお申し出、なにかお考えがあるのですね?」
エリーゼだけがわずかに期待を込めた視線を向けた。
TS女神はゆっくりと腕を組み、真剣な眼差しを三人に向ける。
「うむ。……お前たち、なにか気づかんか?」
「何に、ですか?」
「おれたちが出発の準備をしてから──
ずいぶん時間も経っている……それなのに、まるで先に進んでいない気がしないか?」
「え、どういうことでしょうか?」
ミーナが瞬きをする。
「いえ、つい先ほど出発したばかりだと思いますが……」
「……でも、なんとなくTS女神さまが言っていること、分かる気もするよ」
ニキがぽつりと言った。
「こう……妙に“区切り”がついた感じといいうか、熱を感じなくなったというか。上手く説明できないんだけど……」
「今回の温泉の話と、それに何か関係があるのでしょうか」
エリーゼが静かに問いかけ、TS女神は深く慈愛に満ちた表情で頷いた。
「うん。これは女神的な勘だが──いや、確信に近いんだ」
妙に重々しく言い放つ。
「この温泉は、“
「えたり、ですか?」
「なんとなくな……前世のおれ、すなわち日本人の男で、眼鏡で、TS好きだった記憶が告げているんだ」
TS女神は遠くを見るように目を細めた。
「ここで温泉に行かなければ、いや、おれたちが温泉に入らなければ、“モチベ”とやらが上がらず──」
「永遠に水の都へ辿り着けないだろう」
「……」
「それどころか──」
ビシッと指を立てた。
「なにか嫌な予感がする。
女神的な直感が告げている。
このままでは、
“おれたちの戦いはこれからだEND”
で終わってしまう可能性すらあると」
「えええ!? 一体、それはどういう意味なんですか? なにか……とてつもなく嫌な感じを受けましたが」
ミーナが動揺を隠せず狼狽える。
続けてニキが即座に突っ込む。
「ちゃんと説明してくれTS女神さま。
一体なんのことなんだい、それは……」
「すまん、おれにも分からん。だが、かつてのおれの、眼鏡の部分がこのままで危険だと告げている」
TS女神は真顔で断言した。
「ゆえに──」
ドンと座席を叩く。
「温泉を探し、みんなで仲睦まじく湯に浸かるんだ!」
「ええっ!?」
「総員、気合いを入れて探索してほしい」
そして意を決したように続ける。
「今回、おれはお前たちと一緒に温泉に入りたいと思う。四人全員一緒に、温泉回だ!」
「「「えええええ!?」」」
三人の声が綺麗に揃った。
馬車の中に見事なまでの驚愕が響き渡る。
──こうして。
水の都へ向かうはずの一行は、なぜか温泉を目指すことになった。
──────────
──数刻後。
街道脇の小さな休憩所で一行は情報を得ていた。
「ございますよ」
村人の老人がどこか神妙な顔で頷く。
「あの山の奥深くに天然の露天風呂があるという噂でございます。儂も若い頃に聞いただけなんですが、なんでもエタリに効能があるらしく、幻の名湯と言われております。と言っても実際に行った者はいないのですが……」
「ほんとにあったー」
ニキが目を丸くした。
「しかし──」
村人は声を落とす。
「山には凶悪な魔物が住み着いておりましてな。
行くのは無理ですじゃ。
お嬢様方も諦めなされ」
「ふむ」
一瞬の静寂の後。
「うわ、楽しみです。
えへへ、みんなで一緒に温泉か。
TS女神さまも一緒に入るんですよね?」
ミーナが即答した。
「ご老体、ご心配なく。
こちらにおわす御方はTS女神さま。
魔物などたちどころに浄化されるでしょう。
さ、一刻の猶予もありません。急ぎましょう」
エリーゼも迷いなく続く。
「ねえちょっと待って、今の話ちゃんと聞いた?
いくらTS女神さまがいると言っても、もう少し情報を集めてからの方が……」
ニキだけが現実的な反応をする。
だが──
「……すまないニキ、時間がないんだ」
TS女神が低く呟いた。
「え?」
「魔物と戦っている時間というか……もう気力がほぼ残っていない」
常に自信満々で大胆不敵なTS女神にしては珍しく、明らかに様子がおかしい。
「もう限界に近いと思う」
「え!? TS女神さまがそんな弱気な発言を……!?」
ミーナが動揺する。
TS女神はぐっと顔を上げた。
「急がねばならない、この世界が消えかかっている!」
その目は、妙に真剣だった。
「みんな、覚悟はいいな?
おれたちはエレクシアとかいう他作品の暴力女に、負ける訳にはいかないんだ!」
「エレクシア?
女性の名前でしょうか?
なにか凄まじい圧を感じる名前ですね……」
エリーゼがゴクリと息を呑む。
「TS女神さまがいつになく本気です」
「よし──」
TS女神が力強く言い放つ。
「早速出発だ!」
そして──
「おれたちの戦いはこれからだ!」
──────────
「……はっ!?」
「ええええ!?
一体何を言っているんですTS女神さま!?」
三人のツッコミが炸裂した。
TS女神が我に返る。
「おれは今、何と言った……?」
青ざめ、震え出すTS女神。
「頼む、急いでくれ」
真顔で御者のエリーゼに指示を出す。
「馬車には魔物避けと透明化の神聖魔法を最大出力でかけてある。道中、魔物に遭遇することはないはずだ。
魔物と戦うなんて、そんな面倒なことをするはずがない!」
「面倒なこと? 魔物たちが面倒だから戦わないってこと?
それに、どうしてそこまで温泉にこだわるの?
まあもちろん私だって、温泉行きたいけどさ……」
ニキが疑問を呈す。
山へ向かう一行。
ただ一直線に。
──彼女らは、まだ歩み始めたばかりなんだ。
この果てしなく遠い道のりを……
──―─
「あああ────!!
よ──し!!
暑いから服を脱いじゃおっかな!! 」
TS女神が立ち上がる。
「霊体の服って脱げるんだよね。
脱いだらその下には」
「じゃじゃーん!」
「きゃ、きゃあああ!?」
ミーナが悲鳴を上げた。
「TS女神さま!?
まだここは温泉じゃありません!
ふ、服を着てください!!」
「ちょっと!? さっきからどうしたの!?
一体誰に言ってるの!?
誰と戦っているの!?」
ニキもさすがに焦りを隠せない。
「はわわわ……」
御者台のエリーゼが固まる。
手綱がわずかに緩み、馬車は大きく揺れ危うく横転しかけた。
(すごくキレイで、おっきかった……)
馬車はそのまま、凄まじい勢いで山の奥へと突き進んでいく。
道中の魔物など全てなぎ払いながら。
温泉編②へ続く。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
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