異世界転生モノだと思ってるバカ   作:さぼさぼさん

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今回短めでつ


つえーババアがいる異世界は大体おもろい。これガチ。

 テオドーロを倒してすぐ、拘束を解いた用心棒くんもちゃちゃっと殺ろうと思ったら『影』で逃げられちった。自分のことを雇ってくれたトラディトーレに愛とか恩とかないんすかね。そんなんだからはぐれ者のままなんだよ。だっせぇな。

 

 俺らは善人じゃないが、救いの手を差し伸べられるってのにそれをしないほど悪人でもない。残りの雑魚を潰しがてらこの拠点を探索して、行方不明者として電子新聞に挙げられていた子供たちとトラディトーレのやつらが誘拐した子供たちのリストを照らし合わせて都市裁判所に匿名で情報提供した。

 

 ついでに、『ヴェネツィアのお膝元にいる修行中のガキを拐いかけた』っていう難癖をつけて『ディチェンテ』に反してるっていう名目の元徹底的に潰してもらうようにも働きかけた。

 

 ぶっちゃけ俺はンなここまでやる気じゃなかったんだけど、アンジェリーナが今も酷い目に遭ってるかもしれない子供たちの事を考えて、すげー悲しそうな顔するから仕方なくやった。俺はまじでアンジェリーナの泣き顔に弱い。お父さんだから。

 

 おい、そこのニヤついてるラップランド。おめーのその折れてる左腕ひっぱってやろうか。待って、剣で応戦しようとしないで。リーチ的な問題で俺が不利だからっ!!!

 

「しっかし……ここはシラクーザだから何が起きてもまあ驚きゃしねーがよ。ちっと派手に動きすぎじゃねぇか、トラディトーレの連中は」

 

「ミズ・シチリアがなんで怒り心頭なのか……重要なのはそこじゃないかな?」

 

 なにこいつ。なんでクイズの出題者みたいに小出しでヒント出してきてんの?絶対何か知ってるじゃん。そりゃそーだろうな、おめーサルッツォの一人娘だもんな!そういう時だけサルッツォ顔(?)するの許せないっ!

 

「なんでキレてるのか……ねぇ」

 

「……まあ、難しいことは今は後にしてさ。

 口直しとしてオススメのケーキ屋に行ってみないかい? 日を改めて、ボクが奢るよ」

 

「え、えっ!? そのホームページのケーキって……行列が出来ちゃうから開店2時間前に並ばないと買えない、あのっ……!?」

 

「よく知ってるね。ここのパティシエと仲が良くてさ、ボクの紹介って言えばすぐに店内に入れると思うよ」

 

 こういう職権乱用できるのが十二家のイイとこだよな。普段ケーキ食べないだろうに、こいつクレープ食べれなくなったの気にして一応サルッツォ傘下のスイーツ店を押さえておいたのか?マジで真面目だよなぁ、らっぴーって。見習いたい、その健気。

 

 アンジェリーナはもうラップランドの携帯から目を離せなくなっている。尻尾がぶんぶん揺れてますよ。こらっ、女の子がはしたないでしょ!わきまえなさいっ!

 え?本当にそう言ってんのかって?言うわけねぇだろ、褒めて伸ばすがウチの方針だ。

 

「……イイね。乗った! 死ぬほど頭使ったから甘ェもん食いてぇ気分だ! あー、疲れた!!」

 

「っふふ。キミのその子供らしいというか……そういう年相応なところ、嫌いじゃないよ」

 

 ……わお。そういう顔できんのね。驚いて一瞬固まちゃった。そうねぇ、お前らにどう説明したら分かるかなー……。

 まずね、いつもと変わんないラップランドの笑顔ではあるぜ?……ただ、貼り付けた仮面みたいなやつじゃなくて、すげー自然体の微笑みだ。

 

 カスみてぇな俺より今のお前の方が幼気(いたいけ)で美しいと思うけどな。

 

「お前、そっちのほうが断然いいよ。ずっとその感じでいな」

 

「ひゃ〜……ラップランドちゃん、綺麗……」

 

 アンジェリーナがちょっと見蕩れてぽけ〜っとしている。俺のいきなりの発言と併せてラップランドは何がなんやらと不思議そうに顔を傾けている。まあ元々黙ってりゃどこぞのお嬢様か?ってくらい美人だからな。そんなやつの自然体の微笑みの破壊力といったら一入(ひとしお)よ。

 

「……二人とも、ヘンな感じだ。 アッシュ、その真面目ぶった顔をやめてくれるかな?」

 

 ま、散々な一日だったが仲は深まったか。俺クロスタータ好きなんだよな。お店に並んでねぇかな。好きな理由?昔お袋がよく作ってくれたから。つーか俺とラップランドは身体をさっさと治さねぇとなぁ。いつに食いに行けることやら。

 

 

 

 テイクアウトでイングリッドたちの土産として買ったクロスタータをつまみながら資料をめくる。紙面にこぼれないように食うの俺うめぇんだよ。変なところで器用っしょ?

 何を調べてんのか、って?今俺らが生きてるこのシラクーザの成り立ち。それとミズ・シチリアの台頭による影響について。

 

 なんとなく知ってたけどミズ・シチリアって改めてすげー傑物なのな。元々シラクーザって国……うーん、ここでは『土地』と呼ぶべきかな。……は、リターニアの属国だったのさ。

 

 リターニアは音楽とそれに関連するアーツに富んだ国だ。ついでに……つーかこれこそが本質だが、貴族と平民の文化層にも分かれている。

 あと金律楽章っていう『法律』?うーん、なんつーのかな。音楽でありながら、『アーツ』でもあるバカげた巨大装置によって人々の価値観は定められてる。

 

 いつかの時、俺らは成金貴族みたいなモンだって言ったろ?実際成り立ちとしてはそうなんだよ。リターニアの高塔でふんぞり返ってる偉そうな貴族どもに嫌気がさして、俺らのご先祖さまは独立を宣言した。

 これがテラ暦999年の出来事だ。最古のファミリー、グレイホールの十二家はこの時に生まれたマフィアの事を指す。

 

 ここから40年余りの年月、手綱を握るご主人様がいなくなった狼たちは争いに争いまくった。テラ暦で言えば1039年。

 さて、若き日のミズ・シチリアはこの終わらない抗争に何か解決策は無いかと悩んだ。

 

 ミズ・シチリアはラテラーノという国にそれを見出した。ラテラーノもラテラーノでこれまた変でさ。いま世に出回ってる銃の原型はラテラーノから発掘された銃がオリジナルなんだよ。

 

 これのコピーだったり、構造を真似てちょこっとイジったりしてんのがBSW製の銃だったりするんだけど、ラテラーノにとっての銃は『法』を支える重要な役割を担ってるんだ。

 そんでもってこのラテラーノにおける『法』はリターニアの金律楽章のようなそれとはまた別の概念で成立している。

 

 金律楽章は死ぬほどアーツの才能があるやつが書き換えようとすれば書き換えられることのできる代物だが、『法』は絶対であり、誰にも侵害されることのない命令なんだ。

 

 ミズ・シチリアはその銃によって下される安定した『法』……いわば『銃と秩序』に着目した。もうめちゃくちゃ文字通りさ。『銃』で『秩序』を保つ。たったこれだけ。

 

 その『銃』は後に設立した十二家で構成された円卓会議、グレイホールの面々の暴力的な「力」だし、『秩序』はミズ・シチリアが定めたシラクーザにおける「ルール」だけど。

 

 もちろん、「私はこうするつもりで貴方たちに協力を仰ぐわ」って提案して「はいわかりました!」ってなるわけなかった。ご先祖さまはかなりご立腹。なんで俺らがお前の言うことを聞かなきゃならねぇんだ!つって。

 

 結果、ミズ・シチリアによって十二家は調伏されることになる。たった一人の、十二家でもない女のループスに。

 んで、ミズ・シチリアが十二家に脅……求めた『秩序』は二つ。「皆殺しは禁ずる」という不文律。そしてそれを機能させるため、ミズ・シチリアの意志を代弁する都市裁判所の設立の許可。

 

 これによってやっとこさ抗争ばかりのシラクーザに平和が訪れた……ように思えた。

 まあさ、ある程度のルールを確かに決めたんだよ、ミズ・シチリアは。

 でもこれって、「ルールの範囲でなら遊んで(殺して)いいよ」ってことでもあってさ。マフィアたちは止まるわけじゃなかったんだ。

 

 

 不完全なんだよ。ミズ・シチリアの『銃と秩序』は。

 

 

 

「────ふ、……ふぁ〜……読むの飽きた。 ベラ姉〜、この本片付けて〜!」

 

「貴方で片付けなさいな、私は手伝いません」

 

 隣で一緒に読書ターイムしてたベラ姉は真面目に難しそうな小説を読んでる。でもブックカバーで隠してるが、実は読んでるの最近シラクーザで出回ってるロマンス小説でしょ。

 時々「はうっ……」とか「そ、そんなこと……」とか難しい内容だったら出ねぇ声出してるもん。

 

 立ち上がって、書斎の穴抜けしたところにクソ分厚い歴史書を片付ける。パンパンっと埃をはたいたら部屋から出てイングリッドの部屋に無断で邪魔をする。

 

「リサちゃ〜〜〜ん!!! おにいちゃんお勉強つかれちゃった〜〜〜!!!」

 

「にいちゃ!」

 

 こっちに気付いててちてち歩いてくるかわいいリサちゃん。ん〜かわいいねぇ〜!!!

 らぶりーリサちゃん、縮めてらぶリサとさせていただきます。ほっぺをつんつんすると、にへらと笑ってはしゃいでくれる。らぶリサとさせていただきます。高い高いすると九本の尻尾が四方八方ぶんぶん揺れて喜んでくれます。らぶリサとさせていただきます。

 

「……部屋に入る時はノックをしてと言ったはずだよ。 それで、知りたいことは得られたのかな」

 

「……んー、まあ? コンタクトを取らないといけない人物もなんとなく掴んだ」

 

「へぇ。 アッシュは面倒くさがりだから、こういう自主的な活動はしないものだと思っていた。 どういう心境の変化かな?」

 

「……俺の友達が巻き込まれたからさ。事前に対策できるならやっておいて損は無ぇって……ただそれだけだよ」

 

 目を細めてなんか変な顔をしてるイングリッド。え、何?むず痒いから見つめるのやめてね。なに、なんなのよぉ!?

 

「ヴェネツィアでの生活に慣れて……君から少し子供らしさというものがすり減ってしまわないか心配だったけれど。 友達……ね。嬉しいよ、アッシュにもできて」

 

「あ゛ぁ? それ俺に友達が出来そうにない性格だって言いてぇのか?」

 

「にいちゃー?」

 

「ふふ。いいや、本当に心から喜ばしいと思っているよ。そうだ、その『コンタクトを取らないといけない人物』っていうのは、誰なのかな?」

 

 分かりやすく話を逸らしやがって。これだからイングリッドやラップランドと会話するの嫌なんだよ。どっちも一枚上手って感じだから。むきー!!!!

 

「────テキサス。俺らと同じ十二家に連なるテキサスファミリーの孫娘、チェリーニア・テキサスの居場所を訪ねる」




若き日のミズ・シチリアが主人公の二次創作めちゃくちゃおもしろそうじゃないですか?
きっと若いイケメン時代のアグニル神父とセフレ関係にあったと思うんですよね。強引にアグニルを引き摺ってラブホに連れて行くミズ・シチリア、良くない?

お茶目で天然だけど腕の立つアグニル神父(27)と勝ち気で身内にはとことん甘い姉御肌なミズ・シチリア(22)的な。ここ年の差で。年の差でいきたいっ!いかせてぇっ!!!!!
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