異世界転生モノだと思ってるバカ   作:さぼさぼさん

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てれぱしーかも、しんぱしーかもしれないしね?
今しねって言いましたか?


おりぱしーってなにぱしー?

「────そういえば、アタシらってドコに向ってるわけ?」

 

 

 

「えー、しらない!」「覚えとけよ」「ワシは覚えとるぞ!」「僕も」「……静カニシロ……」「たしか今運んでるガキの」「この女の子のお父さん」「お父上ですねぇ……」「……ダマレ……」「この娘のパパのぉ?」「たしか『巫王の余韻』って言ってたぞ」「お仲間のアジトじゃ!」

 

 

 

「…………ダマレッ!!! ……ぼ、僕……アタシ……チ、チガウッ! ……オレハ……『オレ』ダッ……」

 

「貴方……鉱石病の侵食が酷くなっていってるのね……ねぇ、待って頂戴。今貴方お父上が……なんて……?」

 

 ブツブツと爪を噛み、なにも無い虚空を焦点の合わない視点で見つめながら、時には幼さを感じる声色、時には女性的な声色、時には理知的な物言いをする声色と、まるで彼の中に何人もの人格が存在しているかのように話している用心棒に、ベアトリーチェは内心恐怖を覚えながらも話しかける。

 

「オマエ……話シテイイ……ナンテ……言ッタカ? エ゛ェ!? ……ケケ、次喋ッタラ……殺ス。殺……ス!? 殺ス!!!」

 

(……もう手遅れね。何か知っている彼からお父上の手がかりを掴めたら、なんて思ったけれど……)

 

 ベアトリーチェは知っている。かつてリターニアを恐怖に陥れたあの巫王に狂わされ、かの偉大なる巫王の巫術の再現……あるいは巫王のそのものの復活を父が目論んでいたのを。それでも小さい頃のベアトリーチェはただ自分の歌声を褒められて、嬉しかったのだ。

 

 だが、歳を重ねるごとに嫌でも気付いてしまった。ベアトリーチェの声は『巫王の声』の器としてしか期待をされていなかったこと。制御できないこの歌声の効果に愛想を尽かし、お父上はリターニアにいる「巫王の余韻」共とまた別の……たしか『塵界の音』とやらを人の脳へと埋め込めないかという実験に今や没頭していることを。

 

 ベアトリーチェはただあの日の父の愛を思い出し、それが枯れてしまうその日まで惰性で生きているに過ぎない。オペラ座で観客一同の喝采をその一身に受けても、どうしても愛に(かつ)える心は満たされることはない。

 

 ……久しぶりに、面白そうなお友達に巡り逢えそうだったけれど。叶うはずの無い願いを抱きながら生きるのにも、もう飽き飽きだった。

 お友達になってまだ数日も経っていない彼は、そのことに気付いていたようだけど。ここがわたしの終わりでいいかもしれない……そうベアトリーチェは思った。

 

 

 

 ちくしょう。らしくねぇところを見せた。何より恥ずかしいのは、ラップランドとチェリーニアがいつもみたいに冷やかしてネタにしてこないことだ。

 黒歴史ってのは笑い話にできりゃ根腐れねぇってのが俺の持論なんだわ。こうやって真面目に心配されると……むず痒くてありゃしない。

 

「……もう、大丈夫かい?」

 

「────ああ、元気ピンピンよ。ほら見な、俺の尻尾の揺れ具合が物語ってんだろ?」

 

「ふっ……軽口を叩けるのなら問題ないな」

 

 あ、それそれ。それだよチェリーニア〜!!!俺のギャグを尽く無視するそのムカつく感じ!マジで身体に沁みるぅ〜!あの、ドン引きして俺のハグを拒否らないで。まだちょっと心が弱いのよ?しくしく。

 

「さて、ベアトリーチェがどこに連れていかれたかの目処は立っているかな。アッシュ」

 

「いやぁ……それがさっぱり。『アーツ言語』でアンジェリーナが拐われた時みたいに追跡しようと思っても、あいつの『影』にひとっつもアーツの残滓がない。いや、残滓が()()()()()()()()

 

「へぇ……?また 彼の『アーツ』が進化したのかな……面白そうだね!アハハッ……!」

 

 最近俺らマフィアのお仕事苦戦してないからね、ちょっと強そうな相手だって分かると少しワクワクすんのは分かるよ。でも俺らだけが被害に遭うのならそれでいいんだけど、今回はベアトリーチェが巻き込まれちまってんだ。

 

「……俺ァあのクズがここに来れたことがそもそも不自然だと思ってんだ。 どうして俺らがこの日オペラ座を観にここに訪れるって分かった?」

 

「それに、アッシュの不幸をどうだ……などとも言っていた。鑑みるに、ベアトリーチェと私たちの関係も筒抜けになっている」

 

「なるほど……それを知ってるのは……あの日の誰かしか居ないってワケだね? アハ、鋭いね!」

 

 二人の顔を見やって、お互いの認識がちゃんと共有されているかを確認する。うし、少しわざと遠回しに言ったつもりだが、同じ思考っぽいな。

 

「────ベアトリーチェの使用人、ルパートとエリザを問い詰めるぞ」

 

 

 

「お待ちしておりました、御三方」

 

「フン、ここに来るまでが遅すぎる。待ちくたびれたわ!」

 

 ベアトリーチェの屋敷へ到着すると、俺たちが目的としていた人物、使用人のエリザとルパートがさっそくお出迎えをしてくれるそうで。歓迎ムード……って感じじゃあねーな。

 エリザは腰に一本の打刀を、ルパートはデカめの楽器型アーツユニットを装備して敵意を向けてきている。それじゃあ私たちは裏切り者ですよって言わんばかりじゃねーか、えぇ?

 

「俺さぁ、あんたらのコントみたいなやり取りが可笑しくって……好きだったんだよ。

 なぁ、今からでも『嘘だ』って言ってくれないか?」

 

「ふっ……残念ながら、それはできない相談でございますね」

 

「……おっけー。 じゃあボコすわ」

 

 ナイフを投擲し、『アーツ言語』でルパートとエリザの間に割って入る。分断した二人を狙うように、ラップランドとチェリーニアもほぼ同時に攻撃を仕掛けた。

 ラップランドはルパートを、チェリーニアはエリザと殺り合うつもりらしい。んじゃ任せよっと。

 

「キミはボクが相手をしてあげるよ!

 ────アハハハハッ!」

 

「甲高い音は楽章にて不協和音になりかねん。 即刻静かにさせてやる」

 

「……ふむ。相当な剣の腕前ですね、チェリーニア様」

 

「そちらこそ、中々やるな」

 

 残った俺はと言えば、実はこいつらだけじゃなくて他の使用人もうじゃうじゃいるモンなんで、そいつらの相手をしてる。こんなに人数を配置するってことは屋敷ん中になんかあるってことだよな。分かりやすくてすち♡

 

 俺らって弱いものイジメと数の暴力好きじゃないのよ。だから俺だけはこいつら片付けたら屋敷に入っちゃお♡ってハナシ。ちなみに最初のやつは全然嘘ね。弱いものイジメだーいすき!!!

 

 ルパートやエリザと違ってこいつらはただの素人集団くせぇ。前のめりに突っ込んでくるが重心がぐらぐら。少し横に避けちまえばすぐに倒れ込む。

 連携もおざなりだから、挟み撃ちなんて小洒落た真似しても正面のヤツが合図を送る目線でバレバレ。

 

「なあ、お前らはあの二人と違ってどっかの組織に所属してるってわけじゃなさそうだが……どーしてベアトリーチェを裏切ったんだ?」

 

「俺たちだって、お嬢様を裏切りたくはないさ。だけど……『巫王の余韻』たちに家族を人質に取られたら、どうしようもないだろっ……!」

 

 ……おっと。最初にこいつらに感じてた厄ネタの匂いはこれのことだったか。あー……なんだっけ?ミズ・シチリアとかいうクソ強ババアの話するときにさぁ、リターニアの『金律楽章』ってのは死ぬほど才能がありゃ書き換えられなくもないって話をしたよな。

 

 この巫王ってのは唯一だ。唯一その書き換えを成功させたバカげた才能の持ち主で……リターニアに大量の屍の山を築いたイカれた人物なんよ。こいつの奏でる音楽……っていうか『アーツ』は聴いた人々を狂気に陥れて、そんで頭から離れない旋律で人々を魅了した。

 

 で、またあの巫王の旋律を聴きたい、巫王の時代を到来させたいって目論んでるテロリスト集団が「巫王の余韻」ってワケだ。

 へぇー、じゃあルパートとエリザはその「巫王の余韻」の楽団員か。アイツら自分たちのやること成すこと音楽だと思ってる節あるからな。特にルパートなんかそれが顕著じゃん。

 

「……お前らも可哀想に。さくっとオとしてやるから、抵抗すんなよ」

 

『アーツ言語』を二重起動して、『任意に発動/対象に射出/対象:ベアトリーチェ家使用人』をできるだけ尖ってねぇ石っころに設定する。

 最近さぁ、並行して数個の『アーツ言語』を設定するより、リピートで一個に『アーツ言語』を設定するほうがエコだって気付いたんだよ。

 

 スマホだってマルチタスクすると処理重くなんじゃん?アーツエネルギーの消費もそんな感じでさぁ、なんつーのよ。

 スマホのストレージ見ると減ったり増えたりしてる『システムデータ』のギガ数みたいな。それの量がね、減ります。

 

「じゃ……オネンネしてなァ!!!!」

 

 んな感じで射出した石っころがモブ使用人のデコに痛ったそ〜な音を立ててぶつかる。それで終わり……ませんよ二重起動は!そのまま跳躍してまた別のモブ使用人へと射出していく。ぶるんぶるーん。

 これの拡張性のあるところは、ルートもこっちで指定できることだ。人間ってのは意外にも最短距離で突っ込んでくる!……っていう思い込みがあってさ。

 今も射出された石っころを避けようとしてるやつがいるけど、こうやってカーブするように指定してやりゃあ……。

 

「────うぶっ!!!!」

 

「あちゃあ……デコじゃなくて鼻に当たっちまった……痛そ〜……」

 

 ま、こんな感じでやれるんすわ。ん?並行起動と二重起動は同時にできるのかって?……やれなくはないけど、そんなアーツの贅沢をするんならどっちかにリソースを偏らせて戦った方が脳内処理の負担が無くて楽。

 つーかそこまで脳みそ回るならこんな『アーツ』操作しなくていいし。イングリッドみたいな戦闘IQが高いやつがンな事してないんだからお察しっしょ。

 

 玄関から行くのも礼儀正しくていいと思うけど、俺はめんどくさいから身体強化でさっさと屋根に飛んで2階の窓をぶち破るよ♡ロミオとジュリエットも身体強化のアーツ使えばジュリエットを引っ張れたのに。もったいな。アーツって概念がない?無粋なこと言うなって、バカ。

 

 この場合で言えばジュリエット枠ってベアトリーチェになんのか?いいね、屋根裏部屋に窓があったか記憶にねぇけど、あったならマジでロミジュリだよ。うーん、屋敷裏がある塔の形状的にはディ〇ニーのラ〇ンツェルの方がイメージ近ぇ。髪も長ぇし。

 

「おはようございま〜〜〜〜す!!!!

 寝起きドッキリで〜〜〜〜す!!!!」

 

 扉切り刻んでたからするっと入れるかと思ったらなんか直ってた。だからもっかいぶっ壊しちゃうぞ!♡

 思いっきり蹴っ飛ばして中に入ろうとすると、すげぇ勢いで『影』のトゲが飛んできた。あぶねぇって。中暗くてわからんかったわ一瞬。

 

「……ケケ……アッシュ……ダ! オレヲ……トラディトーレヲ……滅茶苦茶ニシタ……! コロ、殺ッ……!殺ス!!!!」

 

「───いちいち女々しいんだよクズが!!

 てめぇらがアンジェリーナを拐ったからだろクソメンヘラァ!!」

 

 ほったらかしにしたツケを今ここで回収しにきたよ♡てか誰がどう見てもコイツ正気じゃなくて草。

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