異世界転生モノだと思ってるバカ   作:さぼさぼさん

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意識(適当)してるのは「あくまで14歳の思春期カップルである」ということを念頭に書いています。甘酸っぱくあれ


付き合ってすぐのデートってなんかドキドキワクワクするよね♡

「……わあ!言いつけ通り待っててえらいじゃないか、アッシュ。じゃあ、行こうか!」

 

 高校に入ってから更にお嬢様の擬態が上手くなったラップランドはその社交的スキルで生徒会やら理事委員会やらに席を置き、人望を我がものにしていた。だから最近は一緒に帰ることが少なくなってたんだよな。

 ん?俺ちゃんはって?そういうの小・中でやりまくって飽きたし、ほら……そういう余裕無かったじゃん。言わせんなって恥ずかしいっ!

 

 冷静になって考えるとさぁ、俺こいつと釣り合ってなくない?今一度ラップランドの容姿を再認識しようぜ、なあお前ら。

 まず最初に目につくのはすっげー手入れを欠かしていないんだろうなって分かる白髪とシルバーブロンドの中間みたいな髪艶。当たる光の角度で毛流れがなめらかに見えるのが、ねぇ?こいつも女の子なんだなって感じで……あの、マジかって(語彙力)

 

 うはー!?よく見てこなかったけどほんとーにラップランドって美人なのよ!再確認とか言って髪の特徴述べただけでもう女の子らしさ感じて頭どーにかなりそうなんだが!?

 ……うう、よし耐えたぞ。次に目に入るのは、女の子の中じゃキツめの印象を受けるだろう綺麗なアーモンドアイに、ループス特有の狼みてぇな瞳孔。瞳の色がこれまた乳白色っぽいから、この瞳孔が分かりやすく見える。これがとっても美しい。

 

 もうちょい昔はさぁ、髪の長い美少年つっても通りそうな見た目だったんだよ。だからギリ男友達感っていうの?そーいうので異性に対する意識を持たずに済んでたの!

 でも今はあれだよ。指定制服なのもあるのか、女性的な要素が多すぎて……目のやり場に困るっつーか。ふつーに可愛い女の子しててムカつく。

 

 あと俺ちゃん鈍くないからさぁ、ラップランドが分かりやすく好意向けてくるとすぐに効くんだわ。恥ずかしくて顔赤なんねん。この瞬間もそう。もうちょい距離遠くてもいいはずなのに、肩がくっつくくらいまで身体を寄せて歩くもんだからヤバいって。香水のいい匂いするしさぁ……!

 

「……あの、近くないですか。ラップランドさん」

 

「ふぅん……恋仲になったんだし、これくらいは普通かなと思ったんだけど。ボクが近くにいるの、嫌なんだね……アッシュは」

 

「……うがー!!その言い方ズルいだろてめー! 嫌なわけないだろうが! ただ俺はこういう耐性無いの! わかるでしょぉ!? 今まで恋愛経験ゼロなんだからさぁ!!!」

 

「……奇遇だね、ボクもアッシュが初めてだよ? それに……お互い分からない同士ってことなら、付き合い方の正解はボクらが決めていいってことだよね」

 

 目を細めて艶めかしく微笑むラップランド。明らかにこいつフルスロットルでイチャつこうとしにきてる。もう肩が近いとかそれ越して腕を絡みにきやがった。腕ほそっ!あとどこがとは言わないが当たってるって!恥じらいを持て恥じらいを。

 

 愚痴のひとつでも言いたいところなんだが、嬉しそうなラップランドを見るとそれは違うよなって感じて言い出せねぇ。はぁ、これが本当にチェリーニアの言う惚れた弱みってやつ?俺は認めない。こいつの耳をくすぐって対抗してやる。あ、ちょっとその恥ずかしいけど嬉しくないわけじゃないから目を瞑って堪える仕草やめてね?エロいから。

 

「……つか、行くところ分かってんの? 普通に鉱石病検査のため、バベルに向かってるんすよ俺らは」

 

「一緒に行こうねって話したのはボクだよ? 覚えてないわけないじゃないか。 やっぱりパートナーの健康状態は支えてあげないとね」

 

 恥ずかしさもあるけど、温度感がずっと違いすぎてアレ。置いてかれてまっせ、俺が。前世ん時に初恋は経たから分からんでもないんだよな。色々妄想逞しく考えるよな。パートナーて。早いよ将来設計が。

 付き合えたらその後は……もしかしてあんなことやこんなことまで……!みたいな感じなんだろうか。ラップランドも年頃だし乙女ちっくなところは昔からあったしな。するわな、そりゃ。

 

 おじさんみたいなこというけど前世の友人で学生時代の恋人と結婚してたやつ一組くらいしかいねーんだよな。え、これ分かる?なんか結局のところ自然消滅してたり学生って目移りしがちだから長続きしないのよ。

 ラップランドはそこらへん見えてないがちではある。そんな恋愛事は上手く行かへんのや〜という。は?おめーが大切にすればいいだろって?言われんでもするわボケ!

 

 彼女である前に元々友達だからな、絶対にラップランドが悲しい思いはさせません。安心しろカス。ごめん、観客席から石を投げられてガチギレした。てへぺろ。でも可愛いラップランド見れるからお得だろ。お釣り返ってくるまであるだろ。ね?

 

「……帰り道、なんかスイーツでも食べに行くか」

 

「珍しいねぇ……キミがスイーツを好んで食べてる記憶無いんだけど」

 

「…………もう少し二人きりで居たいってことだよバカ」

 

「────っ! ふふ、くふっ……素直じゃないね、キミって。でも……嬉しい」

 

 

 

「やっと来たね……待ちくたびれたよ。アッシュさん」

 

「…………この女の子とは知り合い?」

 

「あの、腕を絞めないで?痛えから……ちょ、まって!? 骨が、骨がミシって言った! タンマ! タンマですラップランドさん!」

 

 バベルシラクーザ支部って結構広い施設って話したっけ。市役所くらい広いんだよここ。そうそう、上に案内板みたいなのがあってさ、右行くと〇〇部署〜、左行くと〇部署〜って感じ。

 んで、医療センターは入口から右手を曲がって建物と建物を繋ぐ渡り廊下みたいなのを通った先、別棟丸ごと医療センターになってんの。

 

 すげぇよな。ヴェネツィアの財力もだが、ここまでの機材を揃えたバベルにも。どーやらクロージャ?っていうブラッドブルードの天才エンジニアが色々関与してるんだとか。

 

 さて、ンなわけで医療センターにて鉱石病検査の受付に参ったわけなんですが、入って早々仁王立ちしてふんぞり返っているススーロちゃんに出くわした。

 

 ぶっかぶかの白衣を着て、心配になるくらいほっせ〜身体で睨みつけてくるその姿は、我が妹のリサちゃんや素直かわいいアンジェリーナとはまた違った属性を感じてクるものがありますね。

 

 世間話をするくらいにはススーロちゃんとは仲を深めているので、実は上に兄が二人いて、下に妹が一人いる立派なお姉ちゃんっていうのは教えてもらってんだよね。

 

 だから安易にお得意の妹扱いすると、「ちょっとやめてよね、髪が乱れるでしょ」ってツンケンした反応が得られる。新鮮〜!

 

 年齢で言うと俺らの1コ下かな?普通に進学してたら中3になるはず。ま、学歴はススーロちゃんの方が上なんだけどね。バレルモ市立医科大学在学中だとかなんとか?

 

「……ご挨拶が遅れてすいません、ラップランドさん。アッシュさんから名前は伺っています。私はススーロ、このバベルシラクーザ支部で医療研修生としてプログラムに参加しています」

 

「これはこれは!ご丁寧にありがとう、ススーロさん。ボクはこのおバカさんの『()()』なんだ。どうぞお見知り置きを」

 

 あ〜……痛ってぇ。腕折れるかと思ったわ。……ん、なによススーロちゃん。え?「……この人怖いんだけど」って?だいじょぶだいじょぶ、ラッピー今飼い犬が通りすがりの通行人に吠えるみたいな、そういう状態なだけだから。

 

「……はぁ。いっつもふざけてる。とりあえず、鉱石病検査を受けにきたということで間違いないですよね?」

 

「おう、よろしくたのんます」

 

「うぅん……多分ボクは検査室までは同行できないよね。あっちの待合室で待ってるから、終わったら声をかけて」

 

 ちゅーことで俺とラップランドはここで別れて、ススーロに連れていかれて検査室に来た。鉱石病ってすげぇざっくり言えば源石が身体ん中にできてる病なわけなんだけど、この源石ってさぁ、ちょーっとアーツを流すとぽわぁ……って淡く発光すんのさ。

 

 検査器はその超よわ〜いアーツをマジで的確に身体に放射して光らせる機械。まああれよね、レントゲンみたいな?でもこの機械を使うのに結構ムズい資格が必要だったはず。取り扱いミスったりアーツの込め具合ミスると過敏に反応した源石が……ほら、内側でヤバいことなるからさ。

 

 世界〇天ニュースみたいなドキュメンタリー番組でまんまこの事件取り上げられてたなぁ〜。その頃は資格導入がされてなくて誰でも使用できる時代だったっぽくて、かつ現場責任者が鉱石病差別主義者なのも相まって、患者が酷い目に……っていう。うひゃー……グロいね……!ってベラ姉と怖がりながら見た覚えあるわぁ、なっつ。

 

「…………うん、お疲れ様。検査は滞りなく終了だよ。

 ちょっとこっちの診察室に来てくれる?アッシュさん」

 

「あいよぉー、どうだった?」

 

「臓器系に源石結晶の陰影は見られなかった。それにその『腹』と『脚』の部分以外は……臓器の輪郭は鮮明に写し出されたよ」

 

「……ありゃ? 鉱石病っぽくねぇ結果じゃない?」

 

「……うん。私もあまりこういったケースは見たことがなくて、診断しかねてる。ただ、どうしても血液循環の観点で、その『腹』は血の通り道なの。採血もさせてもらったけど、血液中に含まれる微量な源石結晶の粒子は、平均よりやや上回ってた」

 

「……あ゛ーーー、言いたいこと分かった。この二つが悪さしてんのね?」

 

 コンコンと叩けば金属的な音を鳴らす『脚』。ススーロちゃんは無言でこくりと頷いて、結論を簡潔に述べてくれた。

 完全な鉱石病とは言い難いが、その身体を補完している『腹』と『脚』から汚染レベルの高い源石結晶が生成されている。それを加味するに、俺ちゃんことアッシュは鉱石病の類いと言って差しつかえないだろう、と。

 

「んー、つまりはさぁ、この素材不明の『腹』と『脚』に集中して源石結晶ができてるみたいな認識でいいの?」

 

「厳密には違うし、仮にその説を是とするならアッシュさんは性格の攻撃性の増加だけに留まっていないはずだよ。身体の中に高濃度汚染域があって、ずっと曝露され続けてるってことになるから」

 

「……うーん。やっぱり俺も厄ネタ抱えちまった感じかぁ……」

 

「あまり力になれなくてごめんね。今私たちにできることと言えば体調に左右されてアーツが不安定ならないようにする抑制機の着用と、血中源石密度を気休めだけど低くするお薬の処方しかできないかな」

 

「んーや。マジで助かるよ、バベルは適正な価格で鉱石病患者に提供してくれるから。なんなら鉱石病の人たちは職にもありつけないから、治療費の免除の代わりにバベルオペレーターとして雇用することで負債を解消するシステムなんだって?」

 

「うん。皆まじめに働いてくれるし、初めて会った時より笑顔が増えてるんだ。大学を卒業したら、私はまたここに戻ってくると思う。こんなにいい職場はそうそうないからさ」

 

 いい感じの雰囲気のところ失礼するけんども、ちょいとススーロちゃんが言ってた血中源石濃度を低くするお薬の話をするな?まずなんで鉱石病患者の体内で源石結晶ができるのか……っていうところから全ての研究は始まったのよ。

 ある科学者……あ、ケルシーって言うんですけどその人。聞いたことあるでしょ。が、どーやら身体に流れるアーツに反応して不定期に源石と源石をくっつかせちまってることに気付いたわけ。

 

 カルテを取って2年ほど生活リズムが良い患者と同じ年数だけど生活リズムが仕方ないとはいえ崩れていた患者の血中源石密度の推移を比較してみたら、まあ案の定生活リズムが崩れてるやつのほうが高い数値を叩きだした。

 

 ここから発想を広げた医療研究チームは源石に次ぐ源石と親和性の高い物質、かつ身体に影響もなくアーツによって反応するとかいうクソ難条件の宝探しをすることになった。

 人間って糖分欠かせないじゃん?やっぱ甘いもん食べると頭が冴えるよね。んで、一般に流通してる砂糖は不純物も混ざってるのよ。んや、混ざってるっつーか製法がなんというか雑なのさ。

 

 バベルの倉庫には結構な量の工業用糖原がある。マジで混じり気のない、純度100%の糖原が。これをねぇ、質の高い有機アケトン少量に食用として使えなくない上級エステルで化学反応をぶち起こすと……源石と同じかそれ以下の親和性だが、ちょっとくらいは結合を阻害する薬、通称『理性剤』ができあがるんだよね。

 

 これを摂取すると24時間の間に理性剤と融和した源石粒子がすこーしだけ。本当ににすこーしだけなんだけど尿や便として排出されて血中源石密度が下がるって寸法。

 でも過剰に理性剤を摂取することは推奨されてない。ま、有機アケトンが科学材料として包含されてるからね。害が少ないだけでゼロなわけじゃねーから。

 

「それじゃあ、お大事に。経過観察として、せめて月末には顔を見せてね。本当は週に1回のペースがいいけど、アッシュさんは来ないでしょ」

 

「よぉーく俺のことをお分かりで。おっけ、月末……つーか月に1回来りゃいいのね」

 

 ススーロちゃんにひらひらと手を振って診察室から出る。うへ、検査室から診察室に行ったからちょっと地理感覚バグった。前世とかもよくあったなぁ〜……人間ドッグするとき、2階とか1階とか行き来して迷わなかった?俺今それ。

 

 まあ廊下の真ん中あたりに案内図あるから迷わなくて楽ちんだけどね。しっかしマジで広いなシラクーザ支部。あと通りすがりの職員さんがいっぱい挨拶してくれてなんか嬉しい。うふふ。

 

「────やっと終わった。待ちくたびれちゃったよ、アッシュ……」

 

「…………どわぁっ!? う、後ろから囁いてくんなって……こしょばいだろうが!!!」

 

「ボクとしてはこのままおんぶしてもらいたいくらいなんだけどなぁ……女の子を長く待たせておくって彼氏として酷いと思うよ?」

 

「一緒に着いてくるつったのお前じゃん……ったく、都合のいいやつめ、このこのっ」

 

「わっ……ふふ、ちょっと……ん、くすぐったいから……あっん……」

 

 仕返しにいつもやってる感じでケモ耳をくすぐってやったら顔を赤らめて身体を震わせるラップランド。ん〜……あれ、良くないなこれ。成年誌行きですか?ただケモ耳くすぐってるだけですよ?

 でもあのね、手が止まらないっていうか……なんていうの?ぽーっとなっちまって俺も、やめなきゃと思ってるのに身体が動かねぇ。あはは、たしけて。

 

「……ん゛んっ!ここ、そういうことする場所じゃないんだけど?」

 

 手早くお薬を持ってきてくれたススーロちゃんのお陰で、一線を越えずに済みました。本当にありがとうススーロちゃん。すげーダボついてるブランドパーカー買いたそうにしてたけど「……うう、学費で貯金はほぼ持っていかれちゃうから……でも家族のみんなから借りるのは……」みたいなこと言ってたね、後でプレゼントします。本当に、ありがとう。




この後アッシュとラップランドはスイーツを買いにいきますが、味変で別々のを頼もうと言ったアッシュを裏切り、ラップランドは一緒のものを買いたいと言って全く同じスイーツを頼みます。
「美味しいね」とアッシュに微笑みかけたラップランドはそのとき年相応の女の子のような笑顔を見せたとかなんとか。定かじゃないですけどね、なんかそういう話をアッシュくんから聞きました。
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