君はどんな効果だい? いつ発動する?   作:やーなん

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トキコちゃんがあれなので、今回は久々に主人公の視点です。



僕は人をカードしないとダメなんだ、呼吸をするようにね

 

 

 

 メグル君たちとお話出来る時間が無い……。

 

 僕はミク、魔王様の四天王だ。

 つまり彼女に仕える仕事をしている。

 

 以前、ミクはあの都市国家が沢山ある世界を滅ぼしたわけだけど、女神メアリース様は数万もの人間が住む世界を管理している偉大な御方。

 前の仕事が終わった? じゃあ次はこちらね、ってことである。

 

 僕はその尖兵として、授業さえ免除されて新しいミクの仕事の先に派遣されているんだ。

 

 その世界は、まあ前の都市国家世界よりマシかな? 程度の民度だった。

 

「でもね、ミク、あの世界の皆は凄いんだよ!!」

「なになに、シュウ? 私は一回顔出ししかしてないからさ。資料とかあるんだけど、興味無いからよく見てないし」

「あのねあのね、ミクは魂をカードにしてテキストを出現しているでしょ? 今度の世界は全ての人間が当たり前にそうやってデッキを産み出してるんだ!!」

「なにそれ、面白ッ」

 

 ミクは学園の理事長室のソファーにふんぞり返り、僕の話を聞いてくれている。

 

「……でもね、みんな楽しそうじゃなかった。エデン・コードがあって、アセンションもしているのに」

「ふーん、どうして?」

「なんか、呼応率とかいうのがあって、それが高まるとデッキから好きなカードを引けるらしいんだけど、それって完全に才能の世界みたいなんだ」

「ああ、最近流行りの共鳴率的な概念か。

 まあ、デッキが魂の一部であるなら、デッキ内の好きなカードを引くことが出来るのはむしろ自然な事か」

 

 人間の動作をデッキで考えるなら、『自分が走るカード』『モノを取って投げるカード』を引くみたいなものかな。そりゃあいつでも好きなカードを引けるわけだね。

 人間が歩くのがデッキからカードを引くみたいにランダムだったら、何もできないし。

 

「だからね、だからね!! 僕がエデン・コードの本当の楽しさを教えてあげるんだ!!

 あんな窮屈そうな世界にこそ、僕らのエデン・コードが必要だと思うんだよね!!」

 

 僕は満面の笑みでそう言った。*1

 ミクはそんな僕の顔を愛おしそうに撫でてくれた。

 

「うんうん、窮屈だとか言って結局無限ループとか開発されて規制とかされないようにね」

「あはは、そんなの壁とやってるのと同じじゃないか!!! そんなデッキこっちだと誰も組まないよ!!」

「それはそれで窮屈な気もするけどね」

 

 でもそれはアセンションじゃないし、と僕はミクの言葉に唇を尖らせた。

 

「ま、今度の仕事先でずっと行かせててゴメンね。

 こういう仕事って初期対応が大事だからさ。しばらくは部下たちに任せていいよ」

「うん、魔王の幹部ってのはここぞって時に出るものだしね」

「まあ私は幼少期から度々登場して勇者の父親をぶっ殺すくらいのインパクトある悪役の方が好みだけど」

「あはは!! それ、ミクが下らない努力って一蹴する奴じゃん!!」

 

 実際そうなんだろうけど。でも僕にとって、ミクが楽しめるかどうかが重要なんだし。

 

「そうかな? 私はその下らない努力こそを愛してるけど」

「うん。ミクはそれでいいと思うよ」

「ふふふ、それじゃあ次は週末に頼むよ」

 

 はーい、と言って僕は理事長室を後にした。

 何日か振りのアセンション学園だ。

 

 僕はスマホを確認すると、何件かアプリにメッセージが来ていた。

 どれも大した用件では無いけどその中に、数日前にトキコちゃんからキュリア様の件で早く来てほしいってメッセージがあった。

 

 一応確認の為に電話を掛けたが、応答は無い。アセンション中かな?

 アセンション中はスマホを使うのはマナー違反だし。

 

 仕方ないので、メグル君に確認を取ることにした。

 

「もしもし、メグル君?」

『シュウか。丁度いいや、ちょっと錬金術準備室に来てくれ!!』

 

 ……一方的に電話を切られてしまった。

 こういう時のメグル君は切羽詰まっている時だ。

 仕方ないので、僕は錬金術準備室に向かった。

 

 

 

 我らの造物主、女神メアリース様は人間だった頃、非常に優れた錬金術師だったと、当人の自著伝でこれでもかと自己主張している。

 かの御方は人類文明の女神であるので、そこに記された彼女の御業は人類でも再現できるはずである、と多くの人は考えた。

 

 なので僕らの地球で、錬金術師とは神学に科学的アプローチをする学問と言える。

 とは言え、学校で習う分においては単なる科学の授業と変わらない。

 追加で昔に実在した錬金術師の名前とか、思想とか、そう言うのを習ったりするくらいだ。

 

 そんな訳で、錬金術準備室と言っても単なる理科準備室であると言っても過言ではない。

 そこに行くと、廊下でメグル君とガイ君が佇んでいた。

 

「二人共、そんなところでどうしたの?」

「悪いけど、ここの鍵を借りて来てくれないか!! シュウなら借りられるよな!?」

 

 開口一番に、メグル君がそう言った。

 

「別に構わないけど、それならさっきの電話の時言ってよ」

「そうだな、二度手間だ」

「あ、ごめん」

「まあ、メグル君が必要って言うなら構わないけど」

 

 僕は職員室に向かって、先生達に断って錬金術準備室の鍵を借りて二人の許へと戻った。

 

 鍵を受け取ると、二人はさっさと中に入ってしまった。

 

「あの、何をするのか分からないから一応言っておくけど使用許可は取って無いからね!!」

「ちッ、気が利かない」

 

 僕がそう言うと、ガイ君はあからさまに舌打ちをした。

 

「メグル、あの棚の瓶とあの器具、あとあっちの瓶もだ」

「ああ、わかった」

 

 すると、メグル君のジャケットから小人が顔を出して、指を差して指示をしているではないか。

 

「わわッ、なんか小人が居る!?」

「……? お前、メグルの友人だろう? 知らなかったのか?」

 

 うんうん、と僕はガイ君に何度も頷いた。

 

「あ、もしかしてアレかな、ミクが言ってたカードの精霊って奴?」

「色々物申したいが、今は良しておこう。

 自称司令塔さん、彼に事情を説明したまえ」

「ふん、この俺を顎で使うか。まあいい、手隙だ」

 

 メグル君と小人が準備室を漁っている間に、ガイ君が事情を説明してくれた。

 

「え、キュリア様がそんなことしてたの!?」

「貴様は彼女の正体を知っていたのだろう?」

「うん、そりゃあね……。でもキュリア様が……」

 

 彼女は事前にミクと面談し、人類に悪影響を及ぼさない人格の持ち主であると太鼓判を押されていた。

 それに、吸血鬼達が残虐で傲慢なのはずっと昔の話だと聞いてる。

 今ではすっかり慎ましく大人しい生活をしているらしい。

 

 そもそも吸血鬼が本当に危険なら、メアリース様がさっさと滅亡させているはずだし。

 

「……血清を作ることは賛成だよ。でも、キュリア様とちゃんとお話して説得するべきだよ」

「当然だ。だが、交渉に“交渉力”を持たずに挑むバカは居ない」

 

 ガイ君の言いたいことは分かる。彼が正しいことも。

 でも、何だか僕は武器を持って話し合うみたいで、ちょっと嫌だな。

 

 そうしているうちに、テーブルの上でメグル君たちは機材や薬品を広げている。

 

「あとはキュリアの血があれば、血清の作成に取り掛かれるだろう」

「じゃあトキコ次第か」

「ああ、勝っても負けても血は手に入る筈だ」

 

 三人はいったいトキコちゃんに何をさせてるんだ……。

 僕が戦慄してると、突然閉めておいた錬金術準備室のドアが開いた。

 

「おい、そこで何やってんだ、お前ら」

 

 気だるげなくたびれた白衣の先生が中に入って来る。

 錬金術担当の教師である、猫屋敷先生だった。

 見た目はだらしないオジサンだけど、若くして准教授になった秀才だと聞いてる。

 

「あ、先生、これは――」

 

 メグル君は咄嗟に小人ちゃんを背中に隠した。

 流石に事情の知らない人間に彼女を見せるわけにはいかないという判断だと思う。

 だけど、それは少し遅かったようだった。

 

「そこのお前、今隠したのは――」

「えーと、これは幼馴染から預かった人形で」

「――もしや、ホムンクルスだな!?!?」

 

 なぜか、猫屋敷先生は目の色を変えてメグル君に、より正確には小人ちゃんに迫った。

 

「え、えーと、そのッ」

「構わない、メグル。彼は錬金術師だ。臭いで分かる」

 

 小人ちゃんはメグルの後ろから出て来た。

 テーブルの上をこてこてと歩いている。まじまじと見ると不思議な光景だった。

 

「古来より、ホムンクルスは外気に触れられない、か弱い存在と伝説に伝わっている……。

 しかし、メアリース様の自著伝によると、かの御方は自らと寸分違わぬホムンクルスの複製を何百と運用したと言う……。

 女神の御業と同じ人間と同じ強度のホムンクルス……技術的に不可能に近いとされていたが、まさかこの眼で見られようとは!!」

 

 猫屋敷先生は感涙の涙を流していた。

 うーん、僕にはちょっとその凄さが分からないけど、スゴイことらしい。

 

「私の名はメイグイーン。稀代の魔術師にして錬金術師。

 今はこのホムンクルスに身を窶しているが、貴殿を同じ錬金術師と見込んで頼みがある」

「も、勿論です、何でもどうぞ!!」

 

 猫屋敷先生は目を輝かせてそう言った。

 

 

 

「……なるほど、この準備室で良ければ好きにお使いください」

 

 おーい、猫屋敷先生。ここはあなたの所有物じゃないでしょ……。

 

「その代わり、おほん、彼の実験の付き添いと言った体でお貸しするので、私の監督が必要になりますが」

「それぐらいなら構わないよ。私もこちらの科学の全てを理解しているわけではないしね、助言をしてくれれば助かる」

「み、身に余る光栄です!!」

 

 よくわからないけど、メグル君たちは猫屋敷先生という協力者を得たようだった。

 

 

 

「では、通常の血清治療を行うわけでは無い、と?」

「ああ。吸血鬼は魔法生物に分類される。魔術的なアプローチは必須だろう。

 実物を手に入れなければまだわからないが、魔法で免疫機能を増幅し抗体を作るだけでは十分とは言えない可能性が高いだろう」

 

 大人と大人?の話し合いが始まり、僕たち子どもは蚊帳の外になっちゃった。

 でも僕たちに血清の作成で役に立てることは無いし。

 

 ただ、そうしている間にも、事態は急転していた。

 

「あ、キュリアからだ」

 

 メグル君がスマホを取り出し、メッセージアプリにキュリア様から通知が来たらしい。

 

「ッ!? みんな、トキコが大変だって!!」

 

 メグル君はそれだけ言って、錬金術準備室から出て行ってしまった。

 

「おい待て、貴様はちゃんと説明をだな!!」

「メグル君待って!!」

 

 ガイ君も僕も、ただ事ではない様子の彼を追いかけた。

 場所は学校を出て、各寮が集まっているところだ。

 

「み、皆さん!! こっちですわ!!」

 

 寮の外でキュリア様がおろおろしていた。

 もう日が沈んでるので日傘はしていないみたい。

 

「キュリア!! トキコに何があったんだ!!」

「そ、その、若気の至りと言いますか……」

 

 メグル君に凄まれて、キュリア様はもにょもにょと言いづらそうに話し始めた。

 

「アセンションに勝利した私は、トキコさんがあまりにも美味しそうだったので、その首筋に牙を突き立ててしまったのです……。

 ですが、その直後、トキコさんが私の首筋に咬みつかれて……」

 

 通常、吸血鬼は親となる大本が子となる吸血鬼を支配できるのだと言う。

 だが子の力が親を上回ったりすると、その支配力が逆転するらしいのだ。

 その代表的な行為が、親の血を直接吸血することらしい。

 

「トキコは今、私の血を吸い大量に取り込み、暴走状態になっておりますの!!」

「何をやっているんだ貴様は!!」

 

 今まさにその状況だった。

 ガイ君が怒鳴るのも無理はないよね。

 

「わ、私はトキコさんを眷属にするつもりは無かったのです……。

 ただ美味しそうだったから、血が欲しかっただけで……」

「自分で自分の能力が制御できてないのか?」

 

 メグル君は気が気でない様子だったが、キュリア様の聴取を続けた。

 

「だって、忘れていたんですもの!!」

「忘れていたって!!」

「……落ち着け、メグル。やってしまったものは仕方がない。

 それにあの書籍によると、吸血行為によって吸血鬼にする能力を彼女達は喪失していたらしい。忘れていたと言うのも間違いでは無いのだろう」

 

 ガイ君はいち早く冷静になってメグル君を諫めた。

 

「でも、今は違うんだよね?」

「……ええ、私の父は公王様ですから」

「公王? 吸血鬼には王は居ないのではないのか?」

 

 キュリア様はガイ君の言葉に力無く首を振った。

 

「かの災厄に立ち向かう為、始祖様が新たに生み出した真祖の吸血鬼。

 それが公王様です。かの御方は世代を経て劣化した全ての氏族に、次世代を齎しました。

 かの御方の御子は全盛期のヴァンパイアとしての能力のみならず、家が受け継ぐ異能を確実に生じさせる異能を有していたのです。私は御顔すら拝謁したことすらありませんが、その御力によって我らは災厄を退けたと聞いております」

 

 つまり、キュリア様はその新世代の吸血鬼ということなんだね。

 

「吸血鬼の強さは、血の純度に依存する、か」

 

 ガイ君が目を細めてそう呟いた。

 

「それで、全盛期の吸血鬼がなぜ凡俗の小娘程度に主導権を奪われたんだ?」

「奪われたと言うよりも、独立した、と言った方が正しいかもしれません。伝承によるなら、人間が吸血鬼になった場合の強さは適正や本能の強さによって決まるそうなのです」

 

 キュリア様は不安そうに視線を右往左往しながらそう言った。

 

「適正? じゃあ、トキコは吸血鬼になる適性が高かったってことなのか?」

「恐らくは。私としても信じられないことに」

 

 驚くメグル君に、キュリア様も困惑気味にそう言った。

 

「本能の強さとは?」

「具体的にはよくわかりません。何分大昔のことなので。

 ですが、三大欲求が強い者ほど強力な眷属になったとリーリス一世の伝記には書かれていますわね」

「なら、それも読ませろ!! 今は情報が欲しい!!」

「あれは全十巻はありますわよ!?」

 

 まあまあ、と僕が猛るガイ君を諫めていると。

 

「つまり、だ」

 

 ふわり、と空から小人ちゃんが飛んできて、メグル君の肩に降り立った。

 

「トキコの奴はドスケベだってことで良いのかな!?」*2

「いやいや、何でそうなるんだよ!!」

 

 メグル君がトキコちゃんの名誉を守るべく慌ててそう言った。

 が、他の皆は目を逸らしていた。もう、そういうことになっちゃうじゃないか!!

 

「誰がドスケベですって!!」

 

 パリン、と寮の二階から吸血鬼と化したトキコちゃんが現れた。

 

「トキコ!! お前何してるんだ!!」

「なに? なにですって? そんなの“夕食”に決まってるでしょ!!」

 

 メグル君が問うと、トキコちゃんは牙を剥き出しにして笑った。

 すると、ぞろぞろと寮から操られた生徒達が現れた。

 

「トキコさんは、吸血鬼の本能に意識を乗っ取られているんですわ!! 正気ではありません!!」

「なんだと!?」

 

 ガイ君はキュリア様の言葉に、驚愕した。

 

「いいえ、キュリア様。私は正気よ、だってこんなに清々しい気分なんですもの!!」

「なに言ってんだよ、トキコ。正気に戻ってくれよ!!」

「……呆れた」

 

 大勢の生徒を従えて、トキコちゃんは目を細めてメグル君を見やった。

 

「私はトキコじゃないって言うの? メグル」

「当たり前じゃないか、トキコはこんなことしない!!」

「あははは!!!」

 

 それを聞いたトキコちゃんは、お腹を抱えて笑い出した。

 

「メグルらしくないわね、それってアセンションじゃなくない?」

「ッ……」

「私とは話し合おうとは言わない訳ね」

「勘違いするなよ、凡俗」

 

 怯んでいるメグルの前に、ガイ君が出た。

 

「怪物と話し合いなどと、滑稽だと言っているんだ」

「うるっさいわねぇ、ヒョロガリの御曹司のくせに!!」

 

 これにはガイ君もギョッとしたようだった。

 

「私は、トキコの本能!! 本心なのよ!! これが本当の私なの!!」

 

 それが吸血鬼と化したトキコちゃんの主張だった。

 

「まあ、嘘では無いのだろうね。力を得て解放感と全能感が暴走し、普段押さえつけている自分の全てを曝け出している」

「メグ、じゃああれがトキコだって言うのかよ!!」

「君だって普段は人には言えない本心ぐらいあるだろう?

 少なくとも、吸血鬼となって別の何かに変貌しているわけではなさそうだ」

 

 或いは、と小人ちゃんは腕を組んで何かを思案しだした。

 

「メグさん、前々からあんたは煩わしいと思ってたのよ。丁度いいわ、あんたはお人形にしてあげる!!」

「知っていたさ。やってみたまえよ、力に溺れた小娘風情が」

 

 小人ちゃんはトキコちゃんの殺意を鼻で笑った。

 

「その後はメグル、あんたよ!!」

「え、ええ、俺?」

「あんたは両手両足を折って、折れたままで私の血で治してあげる。

 勝手にどこかに行かないように、私の部屋で飼ってあげるわ!!」

 

 その猟奇的な発言に、メグル君は唖然としているようだった。

 

「他のゴミはその後掃除してあげるわ!!」

「止めてよ、トキコちゃん!! 僕たち友達じゃないか!!」

 

 僕はたまらず、そう叫んだ。

 だけどなぜかトキコちゃんは、ぷるぷると震えてこう言った。

 

「誰があんたなんかと、友達だって!?」

「ええ!? どうして!?」

「普通、友達はカードにしたりしないのよ!!」

「そんな、だって気にならない? 友達がどんな効果とかステータスをしてるとか……」

「気になるか、バーカ!!」

 

 僕はショックを受けて膝をついた。

 

「そんな、僕はみんなと、友達だと思ってたのに……」

 

 がっくりした僕は、はたと気づいた。

 

「そうだ!! ねえねえトキコちゃん、今のトキコちゃんってどんな効果をしてるの? いつ発動するのかな!!」

 

 今のトキコちゃんは、言わば別バージョン。別カード扱いに違いない。

 

「ステータスは? どのクランに所属してるの? どんなカードとシナジーがあるのかな!! やっぱり、メグル君と一緒に飾って欲しい?」

「……それがあんたの本性ってわけ。あんたの方がよっぽど化け物じゃない」

「それはちょっと違うかな」

 

 僕は嬉しくなって、彼女にこう言った。

 

「ミクは、魔王様は僕にこう言ってくれたよ、僕はこういう生き物だろうって。

 ミクはね、僕の全てを肯定してくれて、相応しい活躍の場をくれるんだ。

 だからこそね、トキコちゃん。僕も君を否定したりしないよ」

 

 なぜか、トキコちゃんは一歩引いた。どうしてだろう?

 

「君も、そう言う存在になっただけなんだから」

「私をお前と一緒にするな!!」

「一緒だよ。僕は教えてあげてるんだよ?

 そう言う生き方をするなら、その生き方に殉じないといけないって。

 だからさ――」

 

 僕の背から、高速で黒い靄の手が伸びた。

 

 いくらトキコちゃんが吸血鬼だろうと、それから逃れることは出来なかった。

 だって、この手はミクの、魔王の腕なんだから。

 

 一瞬でトキコちゃんの魂を鷲掴みにして、その姿を一枚のカードに変えた。

 

「トキコちゃんも、自分が他人に討伐されるって運命を受け入れないとダメだよ?」

 

 僕は地面に落ちたトキコちゃんのカードを拾った。

 彼女に操られていた生徒達も、繋がりが切れてバタバタと倒れて行く。

 

「あ、やっぱりそうだ!! 見てみて、メグル君!! やっぱり人間と時と効果とステータスが変わってるよ!!

 でも実用性は無さそうかな……。仕方ないから、吸血鬼化は治療するしかないか……」

 

 僕はそこで、みんなが僕を見ているのに気づいた。

 

「どうしたの? トキコちゃんを治す準備しなくていいの?」

 

 僕は皆にそう言って、笑いかけた。

 

 

 

 

 

 

*1:
ミク「(私もこんな邪悪な顔芸したいなぁ……)」

*2:
アニメ鑑賞中のトキコ「私、なんでこんなに辱められないといけないの……」





この主人公、そのうち全世界の人をカードにするのが夢とか言いそう(捕食植物使い並の感想

最近ちゃんと寝てるのに疲れて何もできない日が増えてる気がします。
更新したい、執筆したい、アイディアはあるのに!! もう若さを羨む年頃なんでしょうか。

ではまた、次回!! 感想や高評価を下さると、励みになりますので、お待ちしております!!

この中でどのキャラが好き?

  • 我らが正統派主人公、メグル
  • 相棒兼精霊ポジ異世界人、メグ
  • 常識人枠ライバル御曹司、ガイ
  • 狂言回しの正統派幼馴染、トキコ
  • 正統派吸血鬼伯爵家当主、キュリア26世
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